1. 企業情報

メディカル・データ・ビジョン株式会社(MDV)は、医療・健康データの収集・蓄積および利活用サービスを提供する企業です。主な事業として、医療機関向けのクラウド型情報統合システムや、個人の健康・医療情報を管理するPHR(Personal Health Record)サービス「Karteco」を展開する「データネットワークサービス」と、これらのシステムから集約・構築された大規模診療データベース「さくらDB」を活用し、製薬会社や研究機関向けに分析ツール「MDV analyzer」やアドホック調査を提供する「データ利活用サービス」があります。その他には医療動画配信サービスなども手掛けています。同社の目的は、医療・医薬品データのネットワーク化と利活用を推進することです。

2. 業界のポジションと市場シェア

メディカル・データ・ビジョンは、日本のヘルスインフォメーションサービス業界、特に医療・医薬品データソリューションの分野で事業を展開しています。競争優位性としては、大規模診療データベース「さくらDB」が挙げられ、2025年6月末時点での実患者数は約5,270万人と拡大傾向にあります。この膨大なデータ基盤と、それを活用した分析ツールの提供が同社の強みです。 PHRや健診システムを通じてデータ収集・蓄積を拡大しており、医療機関や製薬会社といった多様な顧客へサービスを提供しています。具体的な市場シェアのデータは提示されていませんが、大規模データベースを持つことは業界内での重要なポジションを築く要因となり得ます。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、大規模データベースである「さくらDB」の強みを活かし、医療データの収集・蓄積と利活用サービスの拡充を重点戦略としています。中期経営計画における具体的な施策として、以下の分野に注力しています。
* PHRサービス「Karteco」や健診システムの拡販を通じて、データ収集を強化。
* 診療データベース分析ツール「MDV analyzer」の機能拡張を進め、関連する特許取得も行うことで、サービスの独自性を高める。
* 企業向けPHR「カルテコworkwell」を運輸・旅客業界向けにも展開するなど、新たな市場開拓を進める。

同社は2025年12月期の通期業績予想を売上高90億円、営業利益26億円、親会社株主に帰属する当期純利益16.5億円と公表しており、中間期の営業損失にもかかわらずこの計画を維持しています。下期に収益回復を見込んでいることが示唆されます。

4. 事業モデルの持続可能性

メディカル・データ・ビジョンの事業モデルは、医療機関からのデータ収集と、そのデータの利活用を求める製薬会社や研究機関へのサービス提供という両面から成り立っています。収益の柱である「データ利活用サービス」は2024.12期の連結事業で71%を占め、直近の中間期でも売上高の約70.5%を構成しており、その伸長が全体の売上を牽引しています。
現代社会における医療・健康データ利活用のニーズは拡大しており、PHRや健診システムの普及も進んでいることから、同社の事業はこれらの市場動向に適応していると考えられます。大規模な「さくらDB」の実患者数増加は、データ量の拡大と提供価値の向上に繋がり、事業モデルの持続可能性を支える重要な要素です。企業向けPHR「カルテコworkwell」の展開は、新たな市場ニーズへの適応と事業領域の拡大を目指すものです。

5. 技術革新と主力製品

同社は医療情報領域の技術開発に注力しています。主な製品として以下のものがあります。
* MDV act: 病院経営指標のプレビュー分析を可能にする医療機関向け分析アプリケーション。
* Karteco: 個人が自身の健康・医療情報を管理できるPHR(Personal Health Record)。
* MDV analyzer: 大規模診療データベース「さくらDB」を活用し、様々な分析を行うためのツール。このツールの一部機能では特許を取得しており、技術的な独自性を示しています。

収益を牽引している主力製品は、製薬会社や研究機関向けの「データ利活用サービス」であり、2024年12月期の連結事業売上構成比で71%を占めています。MDV analyzerの機能拡張や特許取得は、この主力サービスの競争力強化に貢献すると考えられます。

6. 株価の評価

現在の株価は591.0円です。
* PER(会社予想): 13.56倍
* 業界平均PER(23.2倍)と比較すると、会社予想ベースでは相対的に低い水準にあります。
* PBR(実績): 8.00倍
* 業界平均PBR(2.3倍)と比較すると、高い水準にあります。これは、企業の持つ無形資産や今後の成長期待が織り込まれている可能性も考えられますが、実績ROEが大幅なマイナスであることを踏まえると、株価純資産倍率からは割高感があるとも読み取れます。
* EPS(会社予想): 43.59円
* BPS(実績): 73.83円

上記指標を考慮すると、将来の収益成長期待に対してPERは割安に見える一方、直近の収益性悪化(赤字転落)やPBRの高さを考慮すると、株価の評価は多角的な視点が必要となります。

7. テクニカル分析

現在の株価591.0円は、年初来安値332.0円、年初来高値610.0円の範囲で推移しています。
直近の株価は、50日移動平均(528.70円)および200日移動平均(446.92円)を上回っており、上昇トレンドにあることを示唆しています。また、年初来高値(610.0円)に迫る水準で推移しており、現在の株価は比較的高値圏にあると言えます。直近10日間の株価は一時高値608円を付けるなど堅調な動きが見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間は成長傾向にありましたが、2024年に一時的に減少しました。しかし、過去12か月では回復基調にあり、直近の中間期決算でも前年同期比で+9.1%と伸長しています。データ利活用サービスが売上成長を牽引しています。
  • 営業利益: 2021年から2023年までは安定して黒字でしたが、2024年には3百万円と大幅に減益となり、過去12か月および直近の中間期においては営業損失を計上しています。中間期決算では、売上総利益が増加したものの、主に人件費等の販管費増加が営業損失の要因として挙げられています。
  • 純利益: 営業利益と同様に、2024年および過去12か月、そして直近の中間期においても純損失に転落しています。収益性の悪化が示されています。
  • ROE(実績): -21.54%、ROA(実績): -0.33%。いずれも大幅なマイナスとなっており、自己資本および総資産を効率的に収益に結びつけられていない状況が示されています。
  • 自己資本比率: 実績で65.2%、直近中間期末で60.4%と高い水準を維持しており、財務の健全性は比較的高いと考えられます。
  • キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは、過去12か月で39百万円のプラス、直近中間期累計では828百万円のプラスとなっており、現金及び現金同等物残高も増加しています。特に契約負債の大幅な増加が営業CFの改善に寄与していると報告されています。これは、収益性の課題がある中で、事業活動からの資金創出能力は改善していることを示唆します。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 1.52% (現在の株価591.0円、1株配当予想9.00円に基づき算出)
  • 1株配当(会社予想): 9.00円 (通期)
  • 配当性向(会社予想): 約20.64% (会社予想EPS 43.59円、会社予想1株配当9.00円に基づき算出)

2025年中間配当は0円の実績であり、通期で9.00円の配当を予定しています。過去に自社株買い(5.42%の自己株口)が行われていますが、直近の具体的な自社株買いの発表は提示されていません。業績予想で黒字転換を見込んでいるものの、直近の営業段階での赤字を考慮すると、今後の配当実績は通期業績の進捗に左右されると考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は50日移動平均線、200日移動平均線を上回り、年初来高値圏で推移していることから、力強い上昇モメンタムが見られます。直近の出来高も平均を上回る日があり、投資家の関心が高いことが示唆されます。
信用取引においては、信用買残が前週比で増加し、信用売残が減少しているため、投資家からの買い意欲が優勢である可能性があります。
株価への影響を与える要因としては、大規模データベース「さくらDB」の実患者数増加やデータ利活用サービスの売上伸長がポジティブに作用する一方、販管費の増加による収益性の悪化や、通期黒字予想に対する中間期の営業損失が懸念材料として挙げられます。今後の決算発表(2025年8月6日〜12日を次回のEarnings Dateと案内)が投資家の注目点となる可能性があります。

11. 総評

メディカル・データ・ビジョンは、日本の医療データ活用市場において、大規模データベース「さくらDB」とデータ利活用サービスを強みとする企業です。売上高は堅調な伸びを見せており、特に主要事業であるデータ利活用サービスが成長を牽引しています。PHRの拡販や新市場への展開など、中長期的な成長戦略も具体的に推進しています。
一方で、財務面では課題が見られます。2024年以降、販管費の増加が影響し、営業利益および純利益が赤字に転落しており、収益性の改善が喫緊の課題となっています。特に、高い自己資本比率で財務の安定性は保たれているものの、ROEがマイナスである点は資本効率の悪さを示しています。ただし、直近の中間期では営業活動によるキャッシュフローは改善傾向にあります。
株価は、テクニカル分析上は年初来高値圏にあり、移動平均線も上回る強い上昇モメンタムが見られます。PERは業界平均より低い一方で、PBRは業界平均よりも高い水準にあり、企業価値の評価には成長期待と足元の収益性のバランスを見極めることが必要です。
今後の注目点は、中間期で営業損失を計上した状況から、会社が据え置く通期黒字予想を達成できるか、そのための具体的な収益改善策や販管費抑制の進捗がどうなるかという点です。大規模データベースの優位性を活かした事業拡大と、収益性回復の両面が今後の企業価値に影響を与えるものと考えられます。


企業情報

銘柄コード 3902
企業名 メディカル・データ・ビジョン
URL http://www.mdv.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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By ジニー

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