1. 企業情報

フリー株式会社は、スモールビジネス(個人事業主や中小・中堅企業)向けにクラウドベースのERP(統合基幹業務システム)サービスを提供する企業です。主に「freee会計」や「freee人事労務」といったSaaS(Software as a Service)形式のソフトウェアを提供しており、会計、給与計算、勤怠管理、会社設立支援、開業支援、請求書発行、経費精算、電子契約など、バックオフィス業務全般をワンストップで効率化するサービスを展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

フリーは、日本のスモールビジネス向けクラウドERP市場において、主要なプレイヤーの一つです。会計・人事労務のバックオフィス業務を統合的に提供するSaaSモデルに強みがあります。
市場全体では、会計・人事領域で約1.6兆円規模(同社推計)のTAM(獲得可能な最大市場規模)があるとされ、クラウドへの移行が進んでおり、依然として高い成長余地が見込まれています。同社は継続的なプロダクトラインナップの拡充と既存顧客へのクロスセルを進めることで、有料課金ユーザー数を着実に増やしています。主要競合としては、弥生、マネーフォワードなどが挙げられますが、フリーは統合型ERPとしてのUI/UXや機能連携に強みを持つと推測されます。競合環境は激しいものの、クラウド化の流れと効率化ニーズを背景に、成長を続けるポジションにあると考えられます。

3. 経営戦略と重点分野

経営陣は、スモールビジネスの業務効率化と生産性向上を支援することを使命と考えており、そのためのクラウドERPサービス提供を中核事業としています。
中期経営計画として具体的な数値目標は短信に明示されていないものの、主な管理指標としてARR(年間経常収益)、有料課金ユーザー数、ARPU(ユーザーあたりの平均収益)を重視し、これらの持続的な成長を目指しています。
具体的な施策としては、以下の点が挙げられます。
* プロダクト開発への継続投資: freee会計やfreee人事労務などの主要サービスを中心に、機能改善を継続的に行っています。
* 顧客基盤の拡大: 会計事務所を介した新規顧客獲得や、既存顧客に対する新たなサービスのクロスセルを強化しています。
* M&Aによるサービス拡充: クラウド連結会計ソフトやネット予約サービスなどの買収により、プロダクトポートフォリオを広げています。
* 生産性向上への取り組み: 営業活動へのAI活用を進め、事業全体の効率化を図っています。

2025年6月期には営業利益の黒字化を達成しており、成長と収益性の両立を図るフェーズに移行しつつあると見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

フリーの事業モデルは、クラウドベースのSaaSによるサブスクリプション(定期課金)型であり、安定した収益源となるストックビジネスです。一度導入されたサービスは、継続して利用される傾向が強く、顧客解約率が低ければ、売上が積み上がっていく構造です。
市場ニーズとしては、働き方改革やインボイス制度などの法改正対応、デジタル化の推進、バックオフィス業務の効率化といった流れがスモールビジネスの間で強まっており、フリーが提供するサービスはこれらのニーズに適応しています。
ARPU(ユーザーあたりの平均収益)の成長や有料課金ユーザー数の増加は、サービスの付加価値向上と顧客基盤の拡大が同時に進んでいることを示しており、持続的な成長の基盤を構築していると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

フリーは、クラウド技術とデータ連携を核としたサービスを提供しています。特に、銀行口座やクレジットカードとの連携による自動仕訳機能や、給与計算と会計の連携など、統合型ERPとしてバックオフィス業務全体の効率化を図る技術に強みがあります。
技術開発においては、AIを活用した経費精算やシフト管理など、自動化・効率化を進める取り組みが見られます。主力製品である「freee会計」は、簿記の知識がなくても直感的に操作できるユーザーインターフェースが特徴で、個人事業主や中小企業の会計業務を大幅に簡素化します。また、「freee人事労務」は給与計算から勤怠管理、年末調整までを一元的に行い、労働環境の変化に対応する機能を提供しています。これらの製品群は、日々の業務におけるデータの利便性と、SaaSとしての拡張性を両立させることで、収益を牽引しています。

6. 株価の評価

現在の株価3,645.0円に対し、以下の指標を用いて評価します。
* EPS(過去12か月):23.06円
* BPS(直近四半期):332.38円

計算される指標は以下の通りです。
* PER(株価収益率、過去12か月実績):株価 3,645.0円 ÷ EPS 23.06円 = 158.06倍
* PBR(株価純資産倍率、実績):株価 3,645.0円 ÷ BPS 332.38円 = 10.96倍

業界平均PER 66.2倍、業界平均PBR 3.5倍と比較すると、フリーのPERとPBRは高水準にあります。これは、同社が今後も高い成長を続けるという市場の期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。直近で営業利益が黒字転換したばかりであり、今後の利益成長によってPERが低下していくことが期待されます。

7. テクニカル分析

現在の株価3,645.0円は、
* 年初来高値:4,330円
* 年初来安値:2,800円
* 52週高値:4,330円
* 52週安値:2,391円

の中間のやや高値寄りといった水準に位置しています。
また、
* 50日移動平均:3,648.10円
* 200日移動平均:3,611.06円

と比較すると、現在の株価は50日移動平均とほぼ同水準であり、200日移動平均をやや上回っています。
直近10日間の株価推移を見ると、3月31日の3,535円から4月7日の3,000円まで一時的に下落しましたが、その後は3,600円台まで回復傾向にあります。明確な上昇トレンドや下降トレンドというよりは、レンジ内での変動が継続している状況と見られます。ただし、50日・200日移動平均線が上向きで株価がこれらの上にあることから、中長期的には上昇基調にあると考えられます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 連結売上高は過去数年にわたり堅実な成長を続けています。2021年6月期の10,258百万円から、2025年6月期には33,270百万円へと増加しており、過去12か月の売上高成長率(前年比)は34.40%と高成長を維持しています。
  • 利益: 損益面では、過去数年間は先行投資に伴う営業赤字が継続していましたが、2025年6月期に営業利益610百万円、親会社株主に帰属する当期純利益1,370百万円と黒字化を達成しました。調整後営業利益も1,885百万円と黒字化しており、収益性改善の兆しが見られます。粗利率(過去12か月)は82.2%と、SaaS事業として高い水準です。
  • キャッシュフロー(CF): 営業活動によるキャッシュフローは、過去数年間のマイナスから2025年6月期には+3,661百万円と黒字転換しました。これは収益改善に伴う事業活動からの資金創出能力の向上が示唆されます。投資活動によるキャッシュフローは△4,601百万円と継続的にマイナスであり、主に無形固定資産(ソフトウェア)への投資やM&Aによる支出を反映しています。財務活動によるキャッシュフローは+4,977百万円で、借入金による資金調達や新株発行による増資が主な要因です。
  • 財務健全性: 自己資本比率は37.1%(前期42.0%から低下)となっており、一般的な健全性の目安とされる40%を下回っています。これは、事業拡大のための借入金増加や固定資産投資が影響している可能性があります。一方で、流動比率は1.47倍(147%)と、短期的な支払い能力は確保されていると見られます。総資産に対する有利子負債の比率を示すTotal Debt/Equityは48.82%であり、レバレッジは過度に高くない水準です。現金及び現金同等物も35,789百万円と潤沢です。
  • ROE / ROA: ROE(実績)は7.55%、ROA(過去12か月)は0.69%です。黒字転換したばかりであり、これから資本効率が改善していくことが期待されます。

9. 株主還元と配当方針

フリーは、成長ステージにある企業のため、利益を事業への再投資に充てる方針です。そのため、配当は行っておらず、配当利回りは0.00%、1株配当も0.00円(会社予想および将来予想も無配)です。自社株買いなどの株主還元策についても、現在のところ明示的な発表はありません。これは、積極的な事業拡大と収益基盤の強化を優先する経営方針を反映していると考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

株価は、直近10日間の推移では一時的な下落局面もあったものの、その後は回復し、現在の価格は50日移動平均線や200日移動平均線を上回る水準で推移しており、底堅さが見られます。
52週変化率は+41.57%と、S&P500の同時期変化率+16.54%を大きく上回るパフォーマンスを見せており、投資家の高い関心と成長期待を反映しています。出来高も安定して推移しており、市場の注目度が高いことがうかがえます。
株価への影響を与える主な要因としては、スモールビジネスのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の加速、インボイス制度などの法改正対応による新規顧客獲得、主要サービスの機能強化とクロスセル進展、営業利益の継続的な改善、SaaS市場全体の成長性などが考えられます。

11. 総評

フリーは、スモールビジネス向けクラウドERP市場で高い成長を続けるSaaS企業です。売上高は継続的に高成長を維持しており、2025年6月期には営業利益および純利益の黒字化を達成しました。これは、成長フェーズにおける重要な節目と言えます。SaaS特有の高い粗利率を維持しつつ、営業体制の強化やAI活用による生産性向上、M&Aによるサービス拡充など、経営戦略は多角的に進められています。
株価は、今後の高い成長期待が織り込まれており、PERやPBRは業界平均を大きく上回る水準にあります。直近の財務健全性では自己資本比率が40%を下回ったものの、資金調達も積極的に行い、潤沢な現金と安定した流動性を持っています。株式市場からの注目度も高く、高いモメンタムを維持しています。成長投資を優先するため無配を継続していますが、中長期的な企業価値向上への期待が高い銘柄と考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性:S
    • 過去12か月の売上成長率は34.40%、3年CAGRは約35.4%と極めて高い成長を継続しています。ARR成長率も+31.8%と売上高を牽引しており、有料課金ユーザー数とARPUも堅調に伸びています。2026年6月期の売上予想も+23.0%~+25.0%と高水準です。
  • 収益性:A
    • 粗利率(過去12か月)は82.2%とSaaS企業として非常に高い水準です。営業利益は2025年6月期に黒字転換を果たし、調整後営業利益率も5.7%に改善しました。まだ営業利益率自体は高くないものの、成長ステージにおける先行投資が理由であり、事業モデルの潜在的な収益性は高いと評価できます。
  • 財務健全性:B
    • 自己資本比率が37.1%と40%を下回った点は留意が必要ですが、流動比率は1.47倍と短期的な資金繰りに問題はない水準です。Total Debt/Equityも48.82%と比較的に低く、現金及び現金同等物も潤沢に保有しています。成長投資を進める上での資金調達を考慮すると、現時点ではおおむね健全な財務状況にあると判断できます。

企業情報

銘柄コード 4478
企業名 フリー
URL https://corp.freee.co.jp/
市場区分 グロース市場
業種 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業

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By ジニー

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