1. 企業情報
日本電技は、1959年に設立された東証スタンダード上場の企業です。主に非住宅ビル（オフィスビル、工場、病院、研究施設、学校、商業施設など）向けの空調計装工事を設計、施工、管理まで一貫して手掛ける大手企業です。事業は「空調計装関連事業」と「産業システム関連事業」の二つのセグメントで構成され、連結売上のうち約91%を空調計装関連が占めています（2025年3月期計画）。産業システム関連では、食品工場や各種搬送ライン向けの計装・自動制御工事、FA機器、産業ロボットを用いた生産管理システムなどを展開しています。アズビル株式会社との提携も行っています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本電技は「ビル空調計装大手」として位置づけられています。非住宅建物に対する設備投資は安定的な需要が見込める分野であり、同社は設計から施工、管理までの一貫体制とアズビルとの提携により、競争優位性を構築していると考えられます。建設業に属し、空調・計装分野に特化しているため、専門性と技術力が強みです。具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、業界内での実績と規模から一定のポジションを確立していると推察されます。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、中期経営計画の具体的な施策や重点分野についての詳細な記載はありません。しかし、日々の事業活動において、空調計装関連事業と産業システム関連事業の両面で国内外の多様な施設に対するサービス提供を通じて、社会インフラを支える役割を担っています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、非住宅建物の新設工事に加え、既存建物の改修・リニューアル工事、そしてそれらの自動制御システムのメンテナンスなど、安定的な収益が見込めるストック型の要素も持ち合わせています。また、工場や搬送ラインにおける自動化・省力化のニーズは継続的に高く、産業システム関連事業においても需要を捉えることが期待されます。省エネルギー化や環境負荷低減といった社会ニーズの高まりは、同社の専門技術を活かした高効率な空調・制御システムへの需要を促進すると考えられ、事業モデルの持続可能性は高いと評価できます。
5. 技術革新と主力製品
日本電技の核となる技術は、ビルや工場向けの「自動制御システム」の設計・施工です。特に空調計装関連では、建物の快適性・省エネルギー性を実現する自動空調制御システムが主力製品であり、収益を牽引しています。産業システム関連では、FA機器や産業ロボットを活用した生産管理システムや、モニター盤・制御盤の設計・製造も手掛けています。技術開発の動向や独自性に関する具体的な情報は提供されていませんが、自動制御技術のノウハウが事業の基盤となっています。
6. 株価の評価
現在の株価は5,170.0円です。
– 会社予想EPS: 404.99円
– 会社予想PER: 12.77倍
– 実績BPS: 2,494.84円
– 実績PBR: 2.07倍
業界平均と比較すると、建設業の平均PERが11.3倍であるのに対し、日本電技の予想PERは12.77倍とやや高めです。また、業界平均PBRが0.7倍であるのに対し、日本電技の実績PBRは2.07倍と大幅に上回っています。これは同社の高い成長性・収益性や良好な財務状況が市場で評価されている可能性を示唆しています。PER基準で算出した参考株価（EPS 404.99円 × 業界平均PER 11.3倍 = 4,576.39円）と比較すると、現在の株価は業界平均の水準から見て高い位置にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価5,170.0円は、年初来高値5,420円に近い水準であり、年初来安値3,065円からは大きく上昇しています。52週高値5,420円、52週安値2,720円（提供データから引用）と比較しても、高値圏にあると言えます。また、50日移動平均線5,031円と200日移動平均線4,103.80円をともに上回っており、株価推移は上昇トレンドを示唆しています。直近の10日間の株価は5,100円から5,420円の範囲で推移しており、一部で出来高が急増している日も見られます。過去52週間で88.00%の株価上昇を記録しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間で着実な増加傾向を示しており、2022年3月期の31,669百万円から2025年3月期（予想）には43,061百万円へと成長しています。
- 粗利益: 売上高の増加に伴い、粗利益も順調に増加しており、過去12か月では18,656百万円を計上しています。粗利率はサービス業として高い水準を維持しています。
- 営業利益: 営業利益も同様に増加傾向にあり、2025年3月期には9,123百万円に達しました。過去12か月の営業利益率は約21.18%と高い収益性を示しています。
- 純利益: 親会社株主に帰属する純利益も順調に増加しており、2025年3月期には6,414百万円となりました。
- ROE: (実績)17.35%、(過去12か月)18.32%と非常に高い水準であり、効率的な株主資本の活用ができています。
- ROA: (過去12か月)13.23%と、総資産に対する利益率も高水準です。
- 自己資本比率: (実績)74.7%、(直近四半期)81.8%と極めて高い水準を誇り、財務健全性が非常に優れていることを示しています。
- 流動比率: (直近四半期)337%と非常に高く、短期的な支払能力に問題がないことが分かります。
- キャッシュフロー: 第1四半期連結累計期間に係る四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析は困難です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当は132.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは2.55%です。配当性向は30.29%と、業績と比較して無理のない水準で安定的な配当を維持する姿勢がうかがえます。2025年3月期の配当（株式分割考慮後122.00円）から2026年3月期（予想132.00円）へと、増配傾向を示しています。株主情報には「自社(自己株口)」の保有があり、これは過去に自社株買いを実施した実績を示唆しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近52週間で株価が88.00%上昇しており、強い上昇モメンタムを示しています。株価は年初来高値圏で推移しており、市場からの関心が高いと考えられます。直近の出来高は、通常よりも多い日が見られることも、投資家関心の高さを示す可能性があります。信用取引に関して、信用売残が0株であるため信用倍率は0.00倍と表示されていますが、これは信用売りの圧力が極めて低いことを示唆している一方で、データ解釈には注意が必要です。第1四半期の決算短信では、売上高・利益の大幅な増益が確認されており、これが直近の株価に好影響を与えている可能性があります。
11. 総評
日本電技は、ビル空調計装を主力とする企業で、安定した需要基盤と高い技術力に基づき、持続的な成長を実現しています。売上高と利益は過去数年間で着実に拡大しており、2026年3月期第1四半期も増収増益を達成しました。特に営業利益率、ROE、ROAといった収益性指標は高水準を維持し、自己資本比率81.8%、流動比率337%という極めて健全な財務体質も特筆すべき点です。株価は年初来で大幅に上昇し、現在は高値圏にありますが、会社の予想PERは業界平均をやや上回る水準です。安定的な配当政策も実施されており、今後の設備投資需要や改修需要の動向が事業に影響を与える可能性があります。
12. 企業スコア
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成長性：A
LTM売上成長率（YoY）が約10.71%、3年間の売上CAGRも約10.78%と堅調な成長を示しており、直近四半期の売上成長率も28.60%と高水準です。
– 収益性：S粗利率約43.3%、営業利益率約21.18%、EBITDA率約22.23%と、建設・設備系の業界平均と比較して非常に高い水準の収益性を実現しています。
– 財務健全性：S自己資本比率81.8%、流動比率337%、D/Eレシオ約0.22と、どの指標を見ても極めて良好な状態で、財務健全性は非常に優れています。
企業情報
| 銘柄コード | 1723 |
| 企業名 | 日本電技 |
| URL | http://www.nihondengi.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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