1. 企業情報
ＣＩＪは、1976年設立の独立系システム開発会社です。主な事業はシステム開発とその関連サービスであり、公共、通信、製造、研究開発、金融など幅広い産業分野にソリューションを提供しています。特にOS周辺の技術力に強みがあり、NTTデータや日立製作所といった大手企業を主要顧客としています。また、ペーパーレス会議システム「SONOBA COMET」や契約管理システム「Ofigo」、システム移行支援ツール「LeGrad」といった自社開発の製品も提供しています。神奈川県横浜市に本社を置き、従業員数は1,677人です。
2. 業界のポジションと市場シェア
ＣＩＪは独立系のシステム開発会社として、特にOS周辺技術に定評がある点を強みとしています。NTTデータ、日立製作所といった国内大手ITベンダーやメーカー向けの開発が主要な売上を占めており、これは安定した顧客基盤として機能していると見られます。一方で、独立系かつ2次請けのシステム開発が中心であることから、競争環境においては、独自の技術力や専門性を維持・強化し続けることが重要となります。市場シェアに関する具体的な数値は提供されていませんが、特定技術分野での優位性と主要顧客との関係性によって、業界内での一定のポジションを確保していると考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや戦略、中期経営計画に関する具体的な施策や重点分野についての直接的な記述は、提供された情報にはありません。
4. 事業モデルの持続可能性
ＣＩＪの事業モデルは、多岐にわたる産業向けのシステム受託開発と、自社開発パッケージ製品の提供の組み合わせです。デジタル変革（DX）推進、システム開発、保守運用、ITコンサルティング、さらにはオフショア開発サービスも手掛けています。
* システム受託開発: 幅広い顧客基盤とOS周辺に定評のある技術力により、安定的な収益が見込まれます。
* 自社開発製品: 「SONOBA COMET」（セキュアなペーパーレス会議システム）、「Ofigo」（契約管理システム）、「LeGrad」（システム移行ツール）は、企業のデジタル化ニーズに応えるものであり、市場ニーズの変化に適応しようとする姿勢が見られます。これらのソリューションはペーパーレス化や契約管理の効率化といった、現代の企業が直面する課題解決に貢献するものであり、事業モデルの持続可能性を高めていると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
ＣＩＪは「OS周辺の技術力に定評」があることが特筆されています。このような基盤技術は、今日の複雑なシステム環境において安定性と効率性を確保するために不可欠です。
収益を牽引している主力製品・サービスとしては、以下のものが挙げられます。
* SONOBA COMET: タブレット上で動作するセキュアなペーパーレス会議システムです。企業のペーパーレス化や業務効率化のニーズに対応しています。
* Ofigo: 契約書などの合意・契約管理業務を効率化する契約管理・処理システムです。
* LeGrad: 多様なプログラム言語、データベース、プラットフォームに対応したシステム移行を可能にする変換ツールです。レガシーシステムからの脱却やクラウド移行の需要に応えるものです。
これらの製品は、企業のDX推進、業務効率化、ITインフラのモダナイゼーションといった現代的な課題に対応しており、技術革新を通じて顧客価値を提供しています。
6. 株価の評価
現在の株価は490.0円です。
* EPS（会社予想）: 26.52円
* PBR（実績）: 1.91倍
* PER（会社予想）: 18.48倍
現在の株価をこれらの指標で評価すると以下のようになります。
* PER評価: ＣＩＪのPER（会社予想）は18.48倍であり、業界平均PER23.2倍と比較すると、業界平均よりも低い水準にあります。
* PBR評価: ＣＩＪのPBR（実績）は1.91倍であり、業界平均PBR2.3倍と比較すると、業界平均よりも低い水準にあります。
これらの指標から見ると、現在の株価は業界平均と比較して割安な水準にあると言えるでしょう。
7. テクニカル分析
現在の株価490.0円は、直近の株価推移の中にあります。
* 52週高値: 514円
* 52週安値: 369円
* 50日移動平均線: 489.82円
* 200日移動平均線: 471.64円
現在の株価は50日移動平均線とほぼ同水準であり、200日移動平均線を上回って推移しています。また、52週高値514円に比較的近く、年初来高値圏に近い水準に位置していると言えます。
8. 財務諸表分析
過去数年間の損益計算書と各種財務指標から、以下の傾向が確認できます。
* 売上高: 2021年6月期 20,392百万円から2024年6月期 25,733百万円（過去12ヶ月 25,733百万円）と、年々増加傾向にあります。
* 粗利益: 同様に、2021年6月期 3,948百万円から2024年6月期 5,284百万円と、売上高の増加に伴い安定的に増加しています。
* 営業利益: 2021年6月期 1,386百万円から2024年6月期 1,964百万円と、こちらも増加傾向にあります。ただし、Pretax IncomeとNet Income Common Stockholdersは2023年6月期から2024年6月期にかけて一時的に減少している点が観察されます（税金費用や特別損益の影響が考えられます）。
* ROE（実績）: 10.30%（過去12ヶ月 10.31%）と、自己資本を効率的に活用して利益を生み出していると言える水準です。
* ROA（過去12か月）: 7.25%と、総資産に対する利益率も良好です。
* 自己資本比率（実績）: 77.7%と非常に高く、財務の安定性が極めて優れていることを示しています。
* 流動比率（直近四半期）: 3.41と高く、短期的な支払能力に問題がないことを示しています。
* D/E（Total Debt/Equity、直近四半期）: 4.46%と非常に低く、有利子負債への依存度が低い健全な財務体質です。
* 営業キャッシュフロー（過去12か月）: 1.78Bと十分にプラスであり、本業で安定して現金を創出していることがわかります。
全体として、売上・利益は成長傾向にあり、財務基盤は非常に強固であると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 3.27%
- 1株配当（会社予想）: 16.00円
- 配当性向: 会社予想EPS26.52円に基づくと、1株配当16.00円での配当性向は約60.33%です。これは利益の一定割合を株主に還元する方針を示しており、持続性を考慮した水準と考えられます。
- 5年平均配当利回り: 2.58%と比較して、会社予想の配当利回りは高水準です。
- 自社株買い: 株主情報に「自社(自己株口)」保有割合15.33%と記載されており、過去に自社株買いを実施して自己株式を保有していることが確認できます。これは株主還元策の一つとして機能しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は、50日移動平均線付近で比較的小動きで推移しています。現在の株価490円は、年初来高値514円に近く、直近のモメンタムはやや上昇基調にあるものの、高値圏での調整も示唆される可能性があります。
* 出来高: 直近数日は平均的な水準（Avg Vol (3 month) 71.74k, Avg Vol (10 day) 67.53kに対し、本日 55,100株）で推移しており、市場の強い関心が集まっているというよりは、安定した取引が続いている状態と見られます。
* 信用取引: 信用買残が信用売残を大幅に上回っており、信用倍率は11.99倍です。買い残が積み上がっている状況は、将来的な売り圧力となる可能性も示唆します。
株価への影響を与える要因としては、今後の業績発表（次のEarnings Dateは2025年8月5日～12日）や、ITサービス業界全体の動向、DX投資の進展などが考えられます。
11. 総評
ＣＩＪは、OS周辺技術に強みを持つ独立系システム開発会社であり、大手企業を主要顧客とする安定した事業基盤を持っています。システム受託開発に加え、ペーパーレス会議システムなどの自社製品も提供し、市場のDXニーズに応えることで事業の持続可能性を高めています。
財務面では、売上高と利益は着実に成長しており、自己資本比率77.7%、流動比率3.41、低負債比率といった非常に健全な財政状態を維持しています。株主還元についても、予想配当利回りは3.27%と魅力的な水準にあり、過去の自社株買いの実績も確認されています。
現在の株価は業界平均のPER、PBRと比較して低い水準にあり、テクニカル的には年初来高値圏に近いものの、50日・200日移動平均線の上で推移しています。株価モメンタムは安定しており、信用買残は多いものの、出来高は特段大きく動いているわけではありません。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率（前年比）は3.20%と堅調で、過去3年間の売上高CAGRは約8.16%と安定的に成長しています。
- 収益性: B
- 粗利率は継続的に20%台を維持しており、営業利益率は過去12ヶ月で6.94%、EBITDA率は8.96%です。システム開発業界としては標準的か、やや高めの水準を安定的に確保しています。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は77.7%、流動比率は3.41、Total Debt/Equity比率は4.46%と、非常に健全かつ安定した財務基盤を有しています。
企業情報
| 銘柄コード | 4826 |
| 企業名 | CIJ |
| URL | http://www.cij.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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