建設技術研究所(9621)企業分析レポート
株価: 2,982円(終値)/市場: 東証プライム/時価総額: 844億円
発行株式数: 28.32百万株/単元: 100株/最低購入代金: 298,200円
1. 企業情報
- 概要: 総合建設コンサル大手。河川・道路分野に強みを持ち、治水・防災、地盤・砂防、橋梁、港湾・海岸、上下水道、交通計画、情報通信、防災・環境、CM/PM(建設マネジメント)など広範に展開。高度資格保有者(技術士等)の比率が高く、海外(アジア、欧州・英国等)にも注力。1945年創業、1964年に現社名へ。
- 事業構成(連結): 国内建設コンサル 69%(利益率目安: 約13%)、海外建設コンサル 31%(同 約3%)注)括弧内は開示表現に準拠した利益率目安。
- 顧客: 中央省庁・自治体・公的機関が中心、民間(インフラ事業者等)も対応。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: 国内建設コンサルの上位企業群の一角。河川・道路、防災・減災領域での実績・ノウハウが強み。
- 競争優位性:
- 高い専門性(資格者比率、解析・設計・CM/PMの一気通貫)。
- 防災・気候変動適応、インフラ老朽化対策などの構造的需要の中心領域に強み。
- 海外売上比率31%と、同業内でも比較的高い国際展開。
- 課題:
- 海外事業の収益性が相対的に低い(目安: 3%台)。採算改善が中期課題。
- 人材獲得・育成コストの上昇、労働集約度の高いビジネス特性による稼働率・人月単価の管理が重要。
- 受注は公共投資サイクルに影響を受ける。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(推察を含む公知の業界潮流に基づく整理):
- 防災・国土強靭化、気候変動適応(河川・海岸・砂防、耐震)、老朽インフラ更新・維持管理の深掘り。
- 海外展開の拡大(アジア・欧州)と収益性改善。
- デジタル/技術高度化(BIM/CIM、i-Construction、GIS/リモートセンシング、AI/シミュレーション)。
- 人材戦略(高度資格者育成・採用、働き方改革、賃金水準整備)。
- 中計の重点施策(想定を含む):
- 高付加価値領域(アセットマネジメント、CM/PM、災害リスク評価)比率の引き上げ。
- 海外案件の選別とプロジェクト管理強化(為替・政治リスク対応含む)。
- DX投資による設計・管理プロセスの効率化と品質向上。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: プロフェッショナル・フィー(人月・成果品ベース)。資本集約度が低く、キャッシュ創出力は安定しやすい。
- 需要構造: 防災・更新需要は中長期で底堅い一方、年度予算配分・政策動向で案件の前後は生じやすい。
- 適応力: デジタル活用・高度専門性の深化で単価・生産性を維持/向上可能。人材確保力が鍵。
5. 技術革新と主力サービス
- 技術動向: BIM/CIM、デジタルツイン、AI/数値解析(流域水文、津波・高潮、地盤・耐震)、リモートセンシング/GIS、ドローン計測等の適用拡大。
- 主力領域: 河川・水防、砂防・地盤、道路・橋梁、港湾・海岸、上下水道、交通計画、CM/PM、資産マネジメント(維持管理計画・劣化診断)など。
- 収益牽引: 国内の防災・更新、道路・河川に強み。海外は拡大途上だが利益率改善が次のテーマ。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 予想PER: 13.14倍(業界平均PER 17.0倍に対しディスカウント約23%)
- 参考: 予想EPS 226.86円 ⇒ 業界平均PER適用の理論価格 ≈ 3,857円
- PBR: 1.32倍(業界平均PBR 1.8倍に対しディスカウント約27%)
- 参考: BPS 2,265.97円 ⇒ 業界平均PBR適用の理論価格 ≈ 4,079円
- EV/EBITDA(LTM): 約5.2倍
- EV ≈ 844億 − 現金292億 + 有利子負債5億 ≈ 558億円
- EBITDA ≈ 107億円
- 配当利回り(会社予想): 2.52%、配当性向: 約37%(中位水準)
7. テクニカル分析
- トレンド: 200日線(2,627円)上、50日線(2,984円)近辺でのもみ合い。年初来高値3,275円に約9%届かず。
- 価格帯印象: 年初来安値2,044円からは大幅上昇後の高値圏寄りでの保ち合い。
- 需給:
- 信用買残 49.9千株、信用倍率 16.1倍(買い長)。前週比で買い増加(+14.3千株)。
- 出来高は直近2.0〜6.6万株で3ヵ月平均(3.8万株)に概ね沿う。
- 水準感: 2,950円前後に短期サポート、3,030円近辺に戻り売り圧力が意識されやすい価格帯。
8. 財務諸表分析
- 売上高(百万円): 2021: 74,409 → 2022: 83,485 → 2023: 93,057 → 2024: 97,678 → LTM: 97,726(3年CAGR約9〜10%、LTMは横ばい)
- 利益:
- 営業利益: 6,991 → 8,018 → 10,011 → 9,397(LTM同水準、23年ピーク後やや調整)
- 当期純利益: 4,471 → 5,874 → 7,534 → 6,746 → LTM: 5,642(減益傾向)
- 収益性(LTMベース目安):
- 粗利率 ≈ 29.1%(28.4/97.7)
- 営業利益率 ≈ 9.6%(9.4/97.7)注: 提供指標「営業利益率0.57%」は他データと不整合で、損益計算書からの算定値を採用
- EBITDAマージン ≈ 11.0%
- ROE(実績)11.6%、ROA(LTM)6.17%
- キャッシュフロー:
- 営業CF 50.2億円、レバレッジドFCF 29.7億円(FCFマージン約3%)
- 減価償却 19〜21億円と資本集約度は低め
- 財務健全性:
- 自己資本比率 70.1%、流動比率 2.80、D/E 0.85%(現金292億円・有利子負債5億円と実質無借金に近い)
- 金利負担は軽微(EBIT/利息費用 > 100倍)
9. 株主還元と配当方針
- 予想1株配当: 75円、配当利回り: 2.52%、配当性向: 約37%(安定配当志向の水準)
- 自己株式: 1.86%(保有残高)。直近の新規自己株買いは情報なし。
- 参考: 2024年12月に1:2の株式分割実施。次回権利落ち予定日: 2025/12/29。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落: +30.1%(TOPIX/S&P500対比でも良好)。β 0.29で低ボラティリティ。
- 直近10営業日: 2,940〜3,020円レンジ中心の持ち合い。3,000円台に断続的な上値圧力。
- 関心材料(影響可能性のある要因):
- 防災・国土強靭化関連予算、災害発生時の緊急対策需要
- 人件費・単価動向、採算管理、海外案件の収益性
- 受注環境(大型更新案件、自治体予算の執行スケジュール)
- 為替・海外政治リスク(欧州・アジア案件)
11. 総評
- 中長期の構造需要(防災・更新・維持管理)に強みを持つ上位コンサル。3年で売上は着実に拡大、収益力は23年にピークを付けた後やや調整。海外比率は高いが収益性改善が課題。
- 財務は極めて健全(高自己資本・実質無借金・潤沢な現金)。安定配当と手元流動性がバッファー。
- バリュエーションは同業平均比でPER/PBRともディスカウント、EV/EBITDAは約5倍とミドル水準。直近は年初来高値圏からの保ち合いで、需給は信用買い長に傾斜。
- 今後は、(1)海外の採算改善、(2)高付加価値領域の拡大と人材生産性、(3)公共投資サイクルの強弱、が注視点。
※本資料は公開データに基づく情報整理であり、投資勧誘・推奨ではありません。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 根拠: 売上3年CAGR約9〜10%。LTMは横ばいだが中期では拡大基調。
- 収益性: B
- 根拠: 営業利益率約9〜10%、EBITDAマージン約11%、ROE 11.6%。同業上位水準とみられるが、直近は減益傾向・海外採算が課題。
- 財務健全性: S
- 根拠: 自己資本比率70%超、流動比率2.8倍、D/E 0.85%、潤沢な現金保有。
【参考データ抜粋】
– 予想EPS: 226.86円/BPS: 2,265.97円
– 予想PER: 13.14倍/PBR: 1.32倍
– 年初来高安: 3,275円/2,044円
– 50日移動平均: 2,983.84円/200日移動平均: 2,626.96円
– 配当(予想): 75円(利回り2.52%)/配当性向: 36.92%
– 営業CF: 50.2億円/FCF: 29.7億円
– 次の主なイベント(予定): 配当権利落ち 2025/12/29
企業情報
銘柄コード | 9621 |
企業名 | 建設技術研究所 |
URL | http://www.ctie.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.1)」によって自動生成されました。
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