株式会社きもと(7908)企業分析レポート

個人投資家の皆様へ、株式会社きもとの企業分析レポートをお届けします。

1. 企業情報

株式会社きもとは、特殊フィルムの製造販売を主要事業とするメーカーです。特にスマートフォンやデジタル家電のタッチパネルに使用されるハードコートフィルムでは高い市場シェアを持つとされています。フィルム事業以外にも、レーザースキャン測量で得た3D点群データや2D地図データを活用した空間情報・画像編集・システム開発などを行う地理情報システム(デジタルツイン)事業も展開しています。
本社は埼玉県にあり、代表者は小林正一氏です。1961年2月9日に設立され、従業員数は428名です(平均年齢46.5歳、平均年収5,250千円)。東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、17業種区分では「素材・化学」、33業種区分では「化学」に分類されます。

2. 業界のポジションと市場シェア

きもとは、特にモバイルデバイス向けタッチパネル用ハードコートフィルムにおいて「最大手」であると説明されており、この分野での競争優位性を持っています。デジタルツイン事業は、測量・空間情報分野でその技術力を活かしていますが、市場シェアに関する具体的な数値は開示されていません。
業界内での課題としては、グローバル経済の動向、特に米国の相互関税措置や欧州の景気低迷、中国経済の鈍化といった地政学的・経済的リスクが、海外子会社の業績や製品需要に影響を与えることが報告されています。

3. 経営戦略と重点分野

きもとは「第6次中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)」を策定し、「新しい可能性への挑戦(化学×デジタルの融合)」をビジョンとして掲げています。
中期経営計画における主な戦略と重点分野は以下の通りです。
デジタルツイン事業の強化: 最新の「Gaussian Splatting」技術を用いた「SPLAT TWIN」サービスを展開するなど、新技術の導入と事業拡大を図っています。
高付加価値製品の拡販: 主力の高機能材料(フィルム)事業において、通信機器向け、バッテリー向け、半導体工程用など、用途開発や高機能化による製品の付加価値向上を目指しています。
製造効率の改善: 生産体制の最適化やコスト削減を進め、収益性の向上を図ります。

今期は中期計画の初期段階にあり、バッテリー向け製品は堅調である一方、自動車関連製品や3D関連の受注は外的要因により停滞していると報告されています。

4. 事業モデルの持続可能性

きもとの事業モデルは、多岐にわたる産業分野への応用が可能な特殊フィルムの製造販売と、成長が見込まれるデジタルツイン技術を組み合わせたものです。
高機能材料事業では、通信機器、バッテリー、半導体、輸送機器など、幅広い分野に製品を提供することで、特定の市場需要の変動リスクを分散しています。デジタルツイン事業は、空間情報や3Dデータの活用という点で、建設、土木、防災、都市計画など多方面でのニーズに応える可能性を秘めています。
市場ニーズへの適応力として、デジタルツイン分野での新技術(Gaussian Splatting)導入は、今後の成長に向けた取り組みがうかがえます。しかし、グローバル経済の不確実性や原材料価格の変動、為替変動といった外部要因からの影響は考慮する必要があります。

5. 技術革新と主力製品

きもとは、特殊フィルムの素材配合や表面加工技術に長年の実績とノウハウを持ちます。例えば、「3Dフォームラブルハードコートフィルム」など、成形性を持つ特殊フィルムの開発も行っています。
デジタルツイン事業では、最新の3D空間情報処理技術である「Gaussian Splatting」を用いた「SPLAT TWIN」の商業展開に着手しており、先進技術の導入に積極的であることがうかがえます。
現在の収益を牽引しているのは、連結売上高の94%を占める高機能材料(フィルム)事業です。特に、スマートフォンやデジタル家電のタッチパネルで使われるハードコートフィルムが主力製品とされています。

6. 株価の評価

現在の株価は257.0円です。
– PER(株価収益率、会社予想)は14.49倍です。比較対象として業界平均PERが15.9倍であるため、これより低い水準にあります。
– PBR(株価純資産倍率、実績)は0.61倍です。業界平均PBRが0.7倍であるため、これより低い水準にあります。PBRが1倍を下回ることは、企業の純資産価値と比較して株価が低いことを示唆します。

これらの指標から、現在の株価は純資産や収益性に対して、業界平均と比較して低い水準にあると言えます。

7. テクニカル分析

現在の株価257.0円は、直近10日間で255円から261円の範囲で推移しており、大きな方向感は見られません。
年初来高値は323円、年初来安値は212円であり、現在の株価は高値と安値の中間の水準に位置しています。
50日移動平均線は248.94円、200日移動平均線は258.49円です。現在の株価は50日移動平均線を上回っていますが、200日移動平均線をわずかに下回っており、短期的には下値を支持されつつも、中長期的にはやや膠着状態にあると見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:

    • 2022年3月期: 12,235百万円
    • 2023年3月期: 9,623百万円
    • 2024年3月期: 9,910百万円
    • 過去12か月 (2025年3月期実績として): 11,294百万円 (前年比 +13.96%)
    • 2026年3月期第1四半期: 2,735百万円 (前年同期比 △1.0%)
    • 2026年3月期通期予想: 10,700百万円 (前期比 △5.3%)

    売上高は2023年3月期に減少したものの、その後回復し、過去12か月では改善が見られます。しかし、2026年3月期の通期予想では減収を見込んでいます。
    利益:
    – 2023年3月期は営業利益・純利益ともに赤字でしたが、2024年3月期に黒字転換し、過去12か月(2025年3月期実績として)では営業利益1,341百万円、純利益989百万円と大幅に改善しました。
    – 営業利益率(過去12か月)は11.55%です。
    – 2026年3月期第1四半期は、営業利益315百万円(前年同期比 △11.8%)、親会社株主に帰属する四半期純利益227百万円(前年同期比 △39.5%)と減益となりました。通期の会社予想も減益を見込んでいます。
    キャッシュフロー: 決算短信に四半期キャッシュフロー計算書は記載されていませんが、現金及び預金は直近四半期で12,432百万円を保有しており、潤沢な水準です。
    ROE(自己資本利益率):
    – 2024年3月期実績: 5.35%
    – 過去12か月: 4.49%
    ROA(総資産利益率): 過去12か月: 3.53%
    自己資本比率:
    – 2024年3月期実績: 81.7%
    – 2025年6月30日時点: 82.3%

    非常に高い水準で、財務健全性が極めて高いことを示しています。
    流動比率: 直近四半期: 7.02と高く、短期的な支払い能力も非常に高いです。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当利回り(会社予想): 2.72%
  • 1株当たり配当(会社予想): 7.00円
  • 配当性向: 37.16%(実績ベース)

2025年3月期の実績配当は年間8.00円でしたが、2026年3月期の会社予想では年間7.00円と減配の見込みです。一方で、5年平均配当利回りが2.71%であり、会社予想の利回りは平均的な水準にあります。
株主構成において「自社(自己株口)」が17.66%を占めていることから、過去に自社株買いを実施した実績が示唆されますが、直近の自社株買いに関する具体的な情報はありません。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近10日間の株価は255円から261円と狭い範囲で推移しており、現在のところ明確な上昇または下降の勢いは見られません。
信用取引においては、信用買残が1,033,500株に対し、信用売残が3,100株と、信用倍率は333.39倍です。信用買残が大幅に積み上がっている状況は、将来の株価上昇を期待する投資家が多いことを示唆する一方、将来的な手仕舞い売りが発生した場合の株価への影響も考慮する必要があります。
株価に影響を与える要因としては、主要事業であるフィルム事業の需要動向(特にグローバル経済状況や自動車関連の回復)、そして中期経営計画で重点を置くデジタルツイン事業の成長性が挙げられます。2026年3月期の会社予想が減収減益である点は、短期的な株価の重しとなる可能性があります。

11. 総評

株式会社きもとは、特殊フィルム製造で培った技術力を基盤に、デジタルツイン事業という新たな成長分野にも積極的に挑戦している企業です。タッチパネル用ハードコートフィルムでは業界での強固な地位を確立しています。
財務面では、自己資本比率80%超、流動比率7倍超と極めて高い財務健全性を誇り、潤沢な現預金も保持しています。しかし、その一方で過去の業績は変動が大きく、2023年3月期には赤字を経験しました。直近では回復傾向にありましたが、2026年3月期の通期予想では減収減益を見込んでおり、特に海外事業の動向が注目されます。
株価はPER、PBRともに業界平均と比較して低い水準にあります。信用取引では買い残が多く、今後の需給動向も注視されるでしょう。中期経営計画で掲げるデジタルツイン事業の進展や高付加価値製品の拡販が、将来的な業績と企業価値の向上に繋がるかどうかが重要な焦点となります。

12. 企業スコア

評価項目 スコア 評価理由
成長性 C 過去12か月の売上高は前年比で成長していますが、2026年3月期の通期売上高予想では前期比5.3%の減収を見込んでおり、直近四半期も前年同期比で減収です。売上高の変動が大きく、今期は減少基調が見込まれるため、C評価とします。
収益性 B 過去12か月の営業利益率は11.55%、粗利率は約39.0%と良好な水準です。しかし、2023年3月期に営業赤字を計上するなど、利益の安定性に課題が見られ、2026年3月期通期予想も減益見込みです。絶対水準は良いものの、継続的な高水準が不安定であるため、B評価(中立)とします。
財務健全性 S 自己資本比率82.3%(2025年6月30日)、流動比率7.02と非常に高い水準にあり、財務基盤は極めて強固です。潤沢な現預金も保有しており、財務健全性は非常に優れているため、S評価とします。

企業情報

銘柄コード 7908
企業名 きもと
URL http://www.kimoto.co.jp/
市場区分 スタンダード市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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