1. 企業情報
イクヨは、自動車の内外装に使われる合成樹脂製品の製造、生産、販売を手掛ける日本の自動車部品メーカーです。主力製品は樹脂成形部品で、ラジエーターグリル、バンパー、フロアコンソール、ドアトリム、ピラーパネル、グリップなど多岐にわたります。また、塗装、めっき、レーザー切断、組立などの二次加工サービスも提供しています。主に三菱自動車や商用車メーカー(日野、ふそう、いすゞ)向けに製品を供給しており、特に三菱自動車向けが約4割を占めています。近年、筆頭株主は中国系の企業となっています。従業員数は188名、平均年齢41.6歳、平均年収531万円とされています。
2. 業界のポジションと市場シェア
イクヨは自動車の内外装樹脂部品に特化したメーカーとして、特定の完成車メーカー(三菱自、日野、ふそう、いすゞ)との取引に強みを持っています。市場シェアに関する具体的な数値は開示されていませんが、M&Aを通じて事業規模の拡大と競争優位性の強化を図っています。
自動車業界全体としては、電気自動車(EV)への移行や自動運転技術の進展など、大きな変化の渦中にあります。国内市場の縮小傾向や、米国向け輸出における関税引き上げなどの外部環境の不確実性が課題として挙げられます。同社はこれらの課題に対し、M&Aによる製品ラインナップや技術、販路の拡大で対応しようとしています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、中期経営方針として「事業の多角化」と「競争優位の強化」を掲げ、M&Aをそのための重要な手段と位置づけています。直近の具体的な施策としては、2025年4月に中国のKunshan Veritas Automotive Systems Co., Ltd.を子会社化、同年6月には株式会社タマダイを完全子会社化しました。これにより、自動車部品事業における製品ラインナップ、技術力、および販売ネットワークの拡充を目指しています。
また、厚木工場に係る資産再編に伴う減損損失を計上するなど、資産構造の効率化も進めている模様です。
4. 事業モデルの持続可能性
イクヨの収益モデルは、自動車メーカーへの樹脂部品供給を基盤としています。このモデルは、主要顧客である完成車メーカーの生産動向や市場ニーズに大きく依存します。
自動車業界がEV化や自動運転化に向かう中で、部品メーカーも素材や機能の面での変革を迫られています。同社はM&Aを通じて、燃料パイプやガソリン微粒子フィルター(OPF)、ターボ関連製品といった製品群への拡大を図り、新たな市場ニーズへの適応と事業の多角化を進めています。中国系企業が筆頭株主であることや、中国企業のM&Aを進めることで、グローバルなサプライチェーンへの組み込みや海外市場展開の可能性も示唆されます。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品は、自動車内外装の樹脂成形品、燃料パイプ、ガソリン微粒子フィルター(OPF)、ターボ関連部品などです。特にOPFは環境規制に対応する製品であり、一定の技術的独自性を持つ可能性があります。
具体的な技術開発動向に関する詳細な記述は少ないものの、M&Aによって新たな技術や製造ノウハウを取り込み、製品競争力の向上を目指していると考えられます。樹脂成形技術や二次加工(塗装、めっき、レーザー切断など)における経験と実績が強みです。
6. 株価の評価
現在の株価は1,038.0円です。
提供されたデータには株式分割(2025年6月1日付で1株を10株に分割)の影響とみられるEPS値の乖離が見られます。
決算短信で示された2026年3月期の会社予想1株当たり当期純利益(株式分割後)148.38円を用いて評価を行います。
* PER(株価収益率)
* 会社予想PER(分割後EPSに基づく):1,038円 ÷ 148.38円 = 約7.00倍
* 提供データPER(会社予想):0.58倍
* 業界平均PER:7.3倍
* 分割後EPSに基づく同社のPERは、業界平均と比較して概ね同水準かやや低い水準にあります。提供データに記載されている0.58倍は、株式分割前のEPS等に基づいている可能性があるため、最新の予想値とは乖離が見られます。
* PBR(株価純資産倍率)
* 実績PBR(直近四半期BPSに基づく):1,038円 ÷ 484.20円 = 約2.14倍
* 提供データPBR(実績):2.16倍
* 業界平均PBR:0.5倍
* 同社のPBRは、業界平均PBRを大幅に上回っています。これは、市場が同社の資産価値以上に、今後の成長性や収益性を評価している可能性を示唆しています。
* 配当利回り
* 会社予想配当利回り:3.18%
* 1株配当(会社予想):33.00円(株式分割後)
* 現在の株価を考慮すると、比較的高い配当利回りであり、株主還元への意識が見受けられます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,038.0円は、年初来安値249円から大幅に上昇し、52週高値1,380円と52週安値189.60円のレンジにおいて、相対的には高値圏に位置します。しかし、直近10日間では1,135円(9月8日)から1,038円(9月22日)へと下降傾向にあります。
50日移動平均線(945.88円)および200日移動平均線(536.25円)は現在の株価より下位にあり、中長期的な上昇トレンドは維持されているものの、短期的な株価は調整局面にあると見られます。直近の出来高は減少傾向にあり、投資家の関心が一時的に薄れている可能性も考えられます。
8. 財務諸表分析
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売上高
過去数年間、売上高は着実に増加傾向にあります。直近の2025年3月期(過去12ヶ月)の売上高は17,736百万円です。2026年3月期第1四半期決算では、M&Aの効果により売上高が6,808百万円と前年同期比で71.6%の大幅増収を記録しており、通期予想も30,201百万円と高い成長を見込んでいます。
* 利益過去12ヶ月の営業利益は39百万円、親会社株主に帰属する純利益は44百万円と大幅に減少していますが、これは厚木工場の減損損失計上など、特別な要因が影響していると推測されます。
しかし、2026年3月期第1四半期では、M&Aによる増収と固定資産売却益(約70億円)の特別利益が寄与し、営業利益195百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益2,283百万円と大幅な増益を達成しました。通期予想でも純利益3,256百万円を見込んでいます。ただし、この純利益は一過性の特別利益に大きく依存している点に留意が必要です。
* 収益性指標
* ROE(実績)は0.68%であり、過去12か月間のReturn on Equityは29.00%とデータに差異が見られます。これは上記のような一過性損益や純資産の変化による影響と推測されます。
* 過去12ヶ月の営業利益率(Operating Margin)は2.88%です。2026年3月期第1四半期の営業利益率は約2.9%、通期予想では約3.16%と、比較的低い水準にあります。
* 財務健全性指標
* 自己資本比率は、前期末実績が42.4%でしたが、直近四半期では37.5%に低下しました。これはM&Aに伴う負債増加やのれん計上の影響と見られます。一般的に40%以上が望ましいとされる中で、やや低下した状況です。
* 流動比率は1.50(直近四半期)と、短期的な支払い能力に問題はない水準です。
* D/E(負債資本倍率)は36.26%(直近四半期)と、比較的健全な水準にあります。
* M&Aに伴い、のれん(約25億円増)や長期借入金、資産除去債務が増加しており、今後の財務状況の変化に注意が必要です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間配当金は33.00円(株式分割後)で、配当利回りは3.18%と高い水準です。配当性向は、直近の純利益が特損の影響を受けているため異常値(1,048.95%)となっていますが、2026年3月期の会社予想1株当たり当期純利益(148.38円)に基づくと、約22.2%となり、妥当な水準です。自社株買いに関する情報は開示されていません。株主に対しては、安定した配当を継続する姿勢が見られます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は年初来で446.32%と非常に高い上昇率を示しており、一時的に強いモメンタムがありました。しかし、直近は高値圏から下落基調に転じています。
信用買残は1,111,200株と多く、信用売残が0株であるため信用倍率は0.00倍となっています。これは信用売りができない状況下での買い残の多さを示しており、投資家の株価上昇への期待感(あるいは短期的な需給要因)が見られますが、同時に将来的な売り圧力のリスクも潜在しています。
M&Aによる事業拡大やそれに伴う業績変動、自動車業界の構造変化への対応、そして特別損益(減損、売却益など)が今後の株価に影響を与える主要因となるでしょう。
11. 総評
イクヨは、自動車の内外装樹脂部品を主力とするメーカーであり、M&Aを主軸とした積極的な事業拡大戦略を推進しています。直近では中国企業と国内企業の連結化により、売上高は大幅な増加を見込んでいます。2026年3月期第1四半期は、M&A効果と固定資産売却益の計上により大幅な増収・増益を達成しましたが、厚木工場の減損損失計上やのれんの増加など、財務構造に大きな変化が生じています。
株価は年初来で大きく上昇した後、足元では高値圏での調整局面に入っています。PERは最新の会社予想EPSに基づいて業界平均と同水準ですが、PBRは業界平均を大幅に上回っています。財務健全性については、M&Aによる負債増加で自己資本比率が一時的に低下したものの、流動比率や負債資本倍率は健全な水準を維持しています。
自動車業界の構造変化への適応能力と、M&A後の企業統合(PMI)を成功させ、企業価値を中長期的に向上させられるかが今後の重要な焦点となります。
12. 企業スコア
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成長性:S
M&A戦略により、2026年3月期第1四半期で売上高が前年同期比71.6%増となるなど、大幅な売上増加を達成・計画しており、高い成長性が見込まれます。
* 収益性:C過去12ヶ月の営業利益率は2.88%であり、2026年3月期通期予想でも約3.16%と、自動車部品業界の平均的な水準と比較してやや低い傾向にあります。特別利益による純利益の大幅増は評価から除外します。
* 財務健全性:B自己資本比率は直近で37.5%と前期末の42.4%から低下しましたが、流動比率1.50、総負債資本比率36.26%は健全な水準を保っています。M&Aに伴う負債増とのれんの増加が見られるため、中立的な評価とします。
企業情報
銘柄コード | 7273 |
企業名 | イクヨ |
URL | http://www.ikuyo194.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 自動車・輸送機 – 輸送用機器 |
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