1. 企業情報
乾汽船株式会社は、外航海運、倉庫・運送、不動産の3つの事業を柱とする企業です。特に外航海運事業が売上の大部分を占めており、中小型ばら積み船を主力として穀物、石炭、木材等のドライバルク貨物を輸送しています。倉庫・運送事業では、倉庫保管、引越し、運送などの国内物流サービスを提供し、陸海一貫物流に強みを持っています。不動産事業では、賃貸オフィスや賃貸マンションの保有・賃貸を行っており、経営基盤の強化に貢献しています。本社は東京都中央区に位置し、1925年の設立以来、幅広い物流サービスと不動産賃貸事業を展開しています。従業員数は185名、平均年齢は44.7歳、平均年収は9,010千円です。
2. 業界のポジションと市場シェア
乾汽船は、海運業に属し、特に外航海運においては中小型のばら積み船を主力としています。提供データには具体的な市場シェアに関する記載はありませんが、外航海運事業が同社の主要収益源であり、その業績はハンディ船市況に大きく左右される特性を持っています。近年ではパナマ運河通航制限の段階的緩和や国際通商環境の不透明感が市況に影響を与えていると説明されています。陸海一貫物流サービスを提供している点は、総合的な物流ニーズに対応できる競争優位性の一つと考えられます。倉庫・運送事業は国内物流市場、不動産事業は都心部および湾岸部の賃貸市場において事業を展開しており、月島・勝どきエリアの不動産は好立地で好調に推移していると報告されています。
3. 経営戦略と重点分野
乾汽船は、中期経営計画において不動産事業の重要な施策として「プラザ勝どきの再開発計画」を推進しています。この計画は、2025年3月の閉館を経て進められており、将来的な収益基盤の強化を目指しています。その他の経営戦略や具体的なビジョンに関する詳細な情報は、提供データからは特定できません。株主還元については、配当性向を業績連動とし、年間配当の下限を6円とする方針を掲げています。
4. 事業モデルの持続可能性
乾汽船の事業モデルは、外航海運、倉庫・運送、不動産の3つのセグメントから構成されており、リスク分散が図られていると考えられます。しかし、主要収益源である外航海運事業は、ハンディ船市況、為替変動、燃料油価格、国際通商環境といった外部要因に収益が大きく左右されやすいという特性があります。倉庫・運送事業は比較的安定した収益源となり、不動産事業は賃料収入による安定的な収益貢献が見込まれ、再開発計画によって将来的な価値向上が期待できます。市場ニーズの変化への適応力としては、陸海一貫物流といった総合的なサービス提供能力が強みとなり得ます。ただし、海運市況の変動による収益の不安定性は、事業モデルの持続可能性における主要な課題の一つです。
5. 技術革新と主力製品
提供データには、乾汽船の特定の技術革新に関する具体的な記述はありません。同社の主力事業は以下の通りです。
* 外航海運サービス: 中小型ばら積み船によるドライバルク貨物(穀物、石炭、木材など)の運搬。28隻の船舶を運航しています。
* 倉庫・運送サービス: 倉庫保管、貨物運送、引越し、書類・メディア保管、機密文書処理など。
* 不動産賃貸: 賃貸オフィスビルや賃貸マンションの保有・運営。
6. 株価の評価
現在の株価は1,661.0円です。
* PER(株価収益率): 会社予想のEPS(1株当たり利益)24.15円に基づくと、PERは68.78倍です。これは業界平均PERの17.2倍を大幅に上回っており、利益水準から見ると割高感があると考えられます。
* PBR(株価純資産倍率): 実績のBPS(1株当たり純資産)1,408.29円に基づくと、PBRは1.18倍です。これも業界平均PBRの0.5倍を上回っており、純資産水準から見ると割高感があると考えられます。
これらの指標に基づくと、現在の株価は業界平均と比較して高い評価を受けている状態と見ることができます。
7. テクニカル分析
乾汽船の現在の株価1,661.0円は、年初来高値1,752円に近い水準で推移しており、年初来安値1,144円からは大きく上昇しています。52週高値も1,752円、52週安値は1,064円であり、現在の株価は高値圏にあります。
50日移動平均線(1,444.24円)と200日移動平均線(1,434.76円)をともに上回っており、短期から中期にかけて上昇トレンドにあることを示しています。直近10日間の株価推移では、1,593円から1,742円のレンジで取引されており、特に9月9日には1,719円の高値をつけ、出来高も増加しました。全体として、株価は堅調に推移しており、高値圏にある状況です。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2023年3月期に44,267百万円を記録しましたが、2024年3月期は29,494百万円に減少しました。過去12か月では31,770百万円と回復傾向にありますが、直近の2026年3月期第1四半期では7,357百万円(前年同期比△12.6%)と減収となりました。
- 利益: 営業利益は2022年3月期と2023年3月期に13,000百万円台と高水準でしたが、2024年3月期には1,678百万円に大幅に減少しました。過去12か月では3,657百万円と回復しましたが、直近の2026年3月期第1四半期では121百万円(同△92.4%)と大きく減少しました。純利益も同様に大きな変動を示し、直近四半期は269百万円(同△69.5%)でした。この利益変動の主な要因は外航海運市況の変動と考えられます。
- ROE(自己資本利益率): 実績で14.66%、過去12か月で12.94%と、資本の効率的な利用は比較的高評価です。
- ROA(総資産利益率): 過去12か月で1.92%と、総資産に対する利益率はやや低い水準です。
- 自己資本比率: 実績および直近四半期末で49.2%と、財務の健全性を示す高い水準です。
- 流動比率: 直近四半期末で1.96倍(約196%)と、短期支払い能力は非常に良好です。
- D/E(負債資本倍率): 直近四半期末で86.00%と、負債が自己資本に対して過度ではない、健全な水準です。
- キャッシュフロー: 過去12か月の営業キャッシュフローは51億円のプラスですが、レバードフリーキャッシュフローはマイナス58.2億円となっています。直近四半期では営業活動および投資活動、財務活動のキャッシュフローがいずれもマイナスとなり、現金及び現金同等物期末残高が減少しています。これは積極的な投資活動や配当支払による影響が大きいと考えられます。
9. 株主還元と配当方針
乾汽船は、配当性向を業績連動とし、下限を年6円とする配当方針を掲げています。
* 配当実績: 2025年3月期は年間合計76.00円(中間6.00円、期末70.00円)でした。この実績に基づく配当利回りは4.71%と比較的高い水準でした。
* 配当予想: しかし、2026年3月期については、業績予想の修正に伴い、年間合計7.25円(中間3.00円、期末4.25円)と大幅な減配を予想しています。この予想に基づく配当利回りは0.44%となります。
* 配当性向: 過去12か月の配当性向は38.02%です。
自社株買いなどの追加的な株主還元策に関する情報は提供データに記載がありません。大幅な減配予想は、投資家の配当に対する期待に影響を与える可能性があります。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 過去52週間の株価変化率は42.94%であり、S&P 500の同時期の変化率16.76%を大きく上回っています。年初来高値に迫る水準で推移しており、50日および200日移動平均線を上回っていることから、短期・中期的に強い上昇勢い(モメンタム)があると言えます。直近10日間の株価も高値圏での推移が続き、変動はありますが概ね上昇基調を示しています。
- 投資家関心: 信用買残が369,500株と買い越しであり、信用倍率も5.95倍と買い方が多いことから、投資家の関心が高いことがうかがえます。これは、将来的な株価上昇への期待が背景にある可能性を示唆しています。機関投資家保有比率26.53%、インサイダー保有比率17.45%も、一定の安定株主が存在することを示しています。
- 株価への影響を与える要因: 主要な外航海運の市況動向、為替変動、燃料油価格が株価に大きな影響を与えます。また、不動産事業における再開発計画の進捗も中長期的な株価要因となりえます。直近発表された大幅な減配予想は、配当重視の投資家にとってはネガティブな要因となり得ます。
11. 総評
乾汽船は、外航海運、倉庫・運送、不動産の三事業を展開する企業です。売上の大部分を占める外航海運事業は、市況変動の影響を大きく受ける特性があり、直近の決算では市況悪化による大幅な減収減益となりました。一方、財務面では、自己資本比率や流動比率が高く、財務健全性は非常に良好です。
株価は年初来高値圏で推移し、テクニカル分析上は上昇トレンドを示していますが、予想PERおよびPBRは業界平均を大幅に上回っており、現在の利益水準や純資産から見ると割高感があるという見方もできます。株主還元策として業績連動配当を掲げていますが、直近の業績悪化を受けて、今期の配当予想は前期から大幅な減額となりました。投資家の関心は依然として高いものの、今後の業績、特に海運市況の動向と不動産事業の再開発の進捗が、株価の主要な変動要因となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- 過去数年は売上高が大きく変動しており、安定的な成長は確認できません。直近四半期では売上高が前年同期比で12.6%減少しており、成長性は不安定と評価します。
- 収益性: C
- 過去12か月やEBITDA率は比較的高水準ですが、直近の2026年3月期第1四半期において、営業利益率が1.65%(前年同期19.1%)に大幅低下するなど、収益性が市況に大きく左右され不安定です。高ROEは評価できますが、安定性という観点からは低めの評価となります。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率は49.2%と高く、流動比率も1.96倍と健全です。負債資本倍率(Total Debt/Equity)も86.00%と適切であり、総じて強固な財務基盤を有しています。
企業情報
銘柄コード | 9308 |
企業名 | 乾汽船 |
URL | http://www.inui.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 運輸・物流 – 海運業 |
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