1. 企業情報

東邦ホールディングスは、医薬品や医療機器等の卸売を中核事業とする持ち株会社です。その他に、調剤薬局事業、ジェネリック医薬品の製造販売事業、そして顧客支援サービスを含む周辺事業を展開しています。特に医薬品卸売事業では、処方薬、試験試薬、検査機器の販売に加え、医療機関や薬局向けの経営コンサルティング、開業支援、人材紹介、そしてENIFなどの情報システム開発・提供といった幅広いサポートサービスを提供しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

東邦ホールディングスは、医薬品卸売業界で国内4位に位置しています。地場の医薬品卸売会社を買収することで、全国的な事業展開を進めてきました。競争優位性としては、薬の流通を担う基盤事業に加え、デジタル技術を活用した顧客支援システムや物流・包装機能の強化(CDMO機能の拡充)を通じて、医療機関や薬局に対して多角的なサービスを提供している点が挙げられます。これにより、顧客との関係性を強化し、事業の差別化を図っています。一方、業界全体としては薬価改定や薬機法改正など国の政策動向が業績に大きく影響するという特性も持ち合わせています。

3. 経営戦略と重点分野

同社は中期経営計画2023-2025「次代を創る」の最終年度にあり、多様な重点施策を推進しています。医薬品卸売事業では、薬価の中間年改定や規制環境の変化に対応し、ワクチンやスペシャリティ製品の取り扱いを拡大するとともに、流通コストの効率化と事業拠点の再編を進めています。調剤薬局事業では、事業会社の再編・統合を通じて効率化と収益性の向上を目指しています。医薬品製造販売事業では、CDMO(医薬品開発製造受託)機能の強化、再生医療等製品の輸送・保管条件確立への取り組みを進めています。また、デジタルを活用した顧客支援ビジネスの強化、ガバナンス体制の強化も重要な経営戦略として掲げられています。

4. 事業モデルの持続可能性

医薬品卸売は医療インフラを支える安定的な事業基盤です。同社は、薬価制度改革や医療提供体制の変化といった外部環境の変化に対し、ワクチンやスペシャリティ医薬品、検査薬といった成長分野への対応、調剤薬局の再編による効率化、医薬品製造販売事業でのCDMO機能拡充、再生医療分野への参入といった多角的な戦略で適応を図っています。さらに、ENIFなどの情報システムを通じて顧客である医療機関や薬局の経営を支援することで、卸売に留まらない付加価値を提供し、事業モデルの持続可能性向上に努めています。一方で、国の医療政策や薬価改定が業績に与える影響は、引き続き注視が必要な要素です。

5. 技術革新と主力製品

同社は、医薬品流通サービスに加え、医療機関・薬局向けの多様な顧客支援システムを開発・提供しています。主なものとして、医薬品受発注情報端末「ENIF」、オンライン診療・服薬指導システム「KAITOS」、医療ケア予約システム「LXMATE HeLios」、大規模病院向け在庫管理システム「ENIFwin」などがあります。これらは、医療現場の効率化や患者サービスの向上に貢献し、同社の収益を牽引する付加価値サービスとなっています。また、羽田パッケージングセンターの開設や再生医療等製品の輸送・保管条件確立への取り組みなど、物流・包装分野における技術革新にも注力しています。

6. 株価の評価

現在の株価5,482.0円に対して、会社予想EPS251.00円に基づくPERは21.84倍です。また、実績BPS4,102.53円に基づくPBRは1.34倍です。
業界平均PERが12.1倍、業界平均PBRが1.0倍であることと比較すると、同社のPERおよびPBRは業界平均を上回る水準にあります。このことから、現在の株価は、予想利益や実績純資産に対して業界平均と比較して高く評価されている状況と見ることができます。

7. テクニカル分析

株価は年間で見ると上昇基調にあります。年初来安値3,965円から大きく上昇し、現在の株価5,482.0円は年初来高値5,726円に比較的近い水準で推移しています。直近10日間の株価推移を見ると、9月上旬に5,700円台をつけた後、一時的に下落し、現在は5,400円台後半で推移しています。
50日移動平均線(5,271.14円)と200日移動平均線(4,640.72円)の両方を上回っており、短期および中長期的な上昇トレンドは継続していると見えるものの、直近では高値圏での調整局面にあると言えます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高:
    • 過去数年間は着実に増加傾向にあり、2025年3月期(過去12か月)の売上高は1兆5,184億円に達しています。
    • ただし、年間の売上成長率は直近で鈍化傾向にあります(2025年3月期は対前年比+2.8%)。
    • 2026年3月期第1四半期の売上高は3,758億円で、前年同期比+0.7%とほぼ横ばいです。
  • 利益:
    • 売上総利益率は約8%台で推移し、やや低下傾向にありましたが、2026年3月期第1四半期決算では、売上総利益が前年同期比で増加しました。
    • 営業利益は、2024年3月期に193億円まで伸びましたが、2025年3月期(過去12か月)は189億円と微減しています。
    • しかし、2026年3月期第1四半期の営業利益は38億円で、前年同期比で+68.6%と大幅な増益を達成しており、収益改善の兆しが見られます。
    • 親会社株主に帰属する純利益も、2026年3月期第1四半期は前年同期比+85.8%と大きく向上しています。
  • 収益性指標:
    • 過去12か月の実績ROEは8.46%、ROAは1.70%です。卸売業の特性上、利益率やROAは高水準ではありませんが、ROEは日本のプライム市場平均と比較して標準的な水準です。
  • 財務健全性:
    • 自己資本比率は直近の2025年6月末で34.4%です。一般的な目安とされる40%を下回る水準ですが、流動比率は1.27と短期的な支払い能力に問題はありません。
    • また、直近四半期のTotal Debt/Equityは7.43%と非常に低い水準であり、有利子負債は少なく、資金繰りの安全性は高いと評価できます。
  • キャッシュフロー:
    • 提供された決算短信では四半期連結キャッシュフロー計算書は作成されていませんが、現金及び預金残高は増加傾向にあります。

9. 株主還元と配当方針

会社は配当による株主還元に積極的です。2025年3月期(実績)の年間配当は65.00円でしたが、2026年3月期(会社予想)では年間90.00円と増配を計画しています。これにより、会社予想配当利回りは1.64%となります。
過去12か月の配当性向は22.87%と比較的小さく、今後の業績次第ではさらなる増配余地や内部留保を通じた事業投資の余地があると考えられます。
主要株主リストの筆頭に「自社(自己株口)」が記載されていることから、過去に自社株買いを実施し、自己株式として保有していることが示唆されます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

同社の株価は、過去52週間で約19.39%の上昇を示しており、S&P 500の同期間の変化率(16.33%)を上回るパフォーマンスです。年初来高値に比較的近い水準で推移しており、中長期的な上昇モメンタムは継続しています。しかし、直近では高値圏での調整が見られます。
信用取引においては、信用買残が前週比で増加し、信用売残が減少しているため、信用倍率は1.30倍とやや買い残が増加傾向にあります。
投資家の関心は、医薬品卸売事業の安定性、調剤薬局事業の再編による収益改善、ワクチンやスペシャリティ製品といった成長分野への取り組み、そしてデジタルを活用した顧客支援サービスの進捗などに向けられると考えられます。国の医療政策や薬価改定の動向も、引き続き株価に影響を与える主要な要因となるでしょう。

11. 総評

東邦ホールディングスは、医薬品卸売を基盤に、調剤薬局、医薬品製造販売、そして多様な顧客支援サービスを展開する企業です。売上は堅調に増加しており、特に第1四半期決算では大幅な利益成長を見せ、事業構造改革やコスト効率化の成果が表れつつあると考えられます。財務面では、自己資本比率は改善の余地があるものの、有利子負債が極めて少ないため財務基盤は強固と評価できます。
株価は中長期的に上昇モメンタムを維持しており、会社予想に基づくPERやPBRは業界平均を上回る水準にあり、市場からの一定の評価が織り込まれている状況です。配当についても増配が計画されており、株主還元への意欲がうかがえます。
医療政策や薬価改定といった外部環境のリスクは存在するものの、同社が推進する事業再編、デジタル化、成長分野への戦略的投資が今後の業績にどう影響していくか、その進捗が重要な注目点となるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性: B
    • 売上高は緩やかながらも着実に成長傾向にあります。直近の第1四半期の売上成長率は控えめですが、堅実な事業運営が評価できます。
  • 収益性: B
    • 卸売業という業界の特性上、利益率は低水準にありますが、直近の第1四半期では営業利益が大幅に改善しており、収益性向上の努力が見られます。
  • 財務健全性: A
    • 自己資本比率は40%を下回るものの、流動比率は健全な水準を保っており、負債対自己資本比率(D/E Ratio 7.43%)が非常に低いことから、有利子負債リスクは極めて小さく、財務基盤は強固であると評価されます。

企業情報

銘柄コード 8129
企業名 東邦ホールディングス
URL http://www.tohohd.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 商社・卸売 – 卸売業

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By ジニー

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