理想科学工業(6413)企業分析レポート
株価基準日: 2025-09-26(株価 1,230円)
1. 企業情報
- 事業概要
- 高速インクジェットプリンター(VALEZUS, ComColor)、デジタル孔版印刷機(RISOGRAPH)、デジタルスクリーン製版(GOCCOPRO)などの印刷機器が主力。学校・官公庁・自治体・企業などが主要顧客。
- 2024年7月に東芝テックからインクジェットヘッド事業を承継し、印刷機器関連に統合。
- 不動産賃貸、プリントクリエイト、デジタルコミュニケーション、アプリケーションソフト等も展開。
- 収益構成(連結、概況)
- 印刷機器 98%(主要利益源)、不動産 1%(高採算)、その他 1%(赤字)
- 海外売上比率:約52%(2025.3期)
- 上場区分・業種
- 東証プライム、機械(17/33業種)
- 従業員等
- 2,859名、平均年齢 45.7歳、平均年収 815万円
- 本社
- 東京都港区芝5-34-7 田町センタービル
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- デジタル孔版印刷機(RISOGRAPH)で国内シェアが高いニッチリーダー。
- 高速インクジェット(IJP)で海外展開を強化。大量・定型印刷(校内配布物、テスト、案内等)で強み。
- 競合環境(例)
- オフィス・プロダクション印刷:リコー、キヤノン、コニカミノルタ、エプソン、富士フイルムBI、HP等。
- 孔版は競合が限定的で、同社の独自性が相対的に高い領域。
- 課題
- 紙媒体需要の構造的減少、為替変動影響(円高時の採算・為替差損)、価格改定に伴う前倒し需要の反動など。
3. 経営戦略と重点分野
- 2026年3月期の方針
- 印刷機器関連事業の安定運営
- 企画・開発の推進
- コーポレート本部の企画力強化
- 重点施策
- インクジェットヘッド事業の組み込み(24/7取得)による一体運営と製品競争力強化(品質・コスト・開発スピードの最適化)。
- 海外でのIJP拡販、教育・官公庁向けソリューション強化。
- 製品価格政策の適正化と為替リスクマネジメント。
- 通期見通し(会社予想・据え置き)
- 売上 781億円(前年比 -0.8%)、営業利益 56億円(-9.4%)、純利益 41億円(+0.3%)、EPS 63.94円。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 本体販売+消耗品(インク・マスター)・保守のストック型収益が柱。教育分野など大量印刷ニーズでコスト・スピード優位。
- 不動産は安定キャッシュ源、その他事業は育成段階。
- 適応力
- 紙需要減少に対し、コスト/生産性メリットの高い高速IJPへ軸足を移行。
- インクジェットヘッドの内製化・垂直統合により、中長期で製品力・収益性の改善余地。
5. 技術革新と主力製品
- 主力
- VALEZUS(プロダクションIJP)、ComColor(高速カラーIJP)、RISOGRAPH(デジタル孔版)、GOCCOPRO(スクリーン製版)。
- 技術面の特徴
- 高速・低消費電力志向のインクジェット、簡便な運用、TCO重視の設計。
- インクジェットヘッド事業の取り込みにより、ヘッド・インク・エンジンの最適化による性能/コスト両面の改良余地。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 指標比較(現在値)
- PER(会社予想):19.24倍(業界平均 16.6倍)
- PBR(実績):1.23倍(業界平均 1.4倍)
- 配当利回り(予想):4.07%(5年平均 3.52%)
- EV/EBITDA(概算):約8.4倍
- EV ≈ 時価総額885.6億 – 現金161.4億 + 有利子負債70.2億 = 約794.4億円
- EBITDA(LTM):約94.4億円
- P/S(LTM):約1.13倍(時価総額885.6億 / 売上787.2億)
- コメント
- 収益力や成長見通しを織り込んだ水準か、業界平均比ではPERは高め、PBRはやや低めの位置づけ。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 現在値 1,230円は、50日移動平均線(1,193円)上、200日(1,271円)下。
- 直近10日で上昇基調(安値圏の反発)。出来高は10日平均約10万株と3カ月平均約6.2万株を上回るが、本日は約5.6万株。
- 位置
- 52週レンジ:1,007〜1,905円。現在はレンジ下半分(安値から約+22%)。
- 52週変化率:-31.25%、ベータ:0.32(低ボラティリティ)。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上推移:693億円(2022)→ 747億円(2023)→ 746億円(2024)→ 787億円(LTM)
- 3年CAGR:約+4.3%。LTMは前年比+5.5%だが、2026年3月期1Qは前年比-6.0%。
- 収益性
- 粗利率:約59.7%(LTM 470億/787億)
- 営業利益:61.8億円(LTM)、営業利益率:約8.1%
- 当期純利益:40.9億円(LTM)、純利益率:約5.2%
- ROE:6.13%、ROA:約4.0%
- コスト・為替影響(1Q)
- 価格改定の反動・円高で減益。為替差損0.95億円(前年は差益4.22億円)。
- 財政状態・流動性
- 自己資本比率:74.8%(期末)→ 71.7%(1Q)
- 現金同等物:約161億円、総借入:約70億円、ネットキャッシュ約91億円
- 流動比率:2.03倍、D/E(総負債/資本):約0.11
- セグメント
- 印刷機器:売上1,789億円(1Q年率換算不可、前年-5.7%)、利益率は1Qで低下(販管費増・為替)
- 不動産:高採算で安定、その他は赤字継続
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 年間配当(実績/予想):50円(中間0・期末50円)
- 予想配当性向:約79.6%(50円/予想EPS 63.94円)
- 予想配当利回り:約4.07%
- 自己株式
- 自己株式比率:約10.94%(既保有)。新規の自己株買い計画は開示ベースでは確認不可。
- その他
- 2024年12月に株式2分割実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 直近は反発局面。50日線回復、200日線下。短期は上向き、 中期はもみ合い〜下向き基調の境目。
- 投資家属性
- 浮動株:約2,880万株、インサイダー保有比率:約41%、機関保有約10.6%。
- 信用動向:買残12.2万株・売残6.6万株、信用倍率1.85倍(中立的な水準)。
- 需給
- 自己株式が厚く、浮動株は相対的に限定的。決算期・為替・教育向け需要期のニュースで短期的な変動余地。
11. 総評
- 収益の柱は印刷機器で、教育・官公庁向け大量印刷領域に強み。孔版はニッチで優位性があり、高速IJPの海外展開が中期成長ドライバー。
- 24年のインクジェットヘッド事業取得により、垂直統合で製品競争力・コスト構造の改善が見込まれる一方、短期は価格改定の反動と円高で減益影響が顕在化。
- 財務体質は強固(高自己資本・ネットキャッシュ・流動性良好)。配当は利回り4%台で安定的だが、利益水準とのバランス(配当性向)は注視点。
- バリュエーションは業界平均比でPERプレミアム、PBRは平均並〜ややディスカウント。テクニカルは50日線上・200日線下で過度な過熱感は見られにくい構図。
(本レポートは情報提供であり、投資勧誘・推奨を目的とするものではありません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 3年CAGR約+4.3%、LTM売上+5.5%。直近1Qは-6%で慎重要素もあるが、LTM基準では拡大。
- 収益性:B
- 粗利率約60%、営業利益率約8%と安定。業界平均との差は限定的と判断し中立。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率72%前後、流動比率2.0倍、D/E約0.11、ネットキャッシュ。指標は健全。
企業情報
銘柄コード | 6413 |
企業名 | 理想科学工業 |
URL | http://www.riso.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.1)」によって自動生成されました。
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