中部電力(9502)企業分析レポート
株価:2,117円(2025-09-26終値)/時価総額:1.60兆円/配当利回り(会社予想):3.31%
1. 企業情報
- 概要:発電・送配電・小売を中心とする総合エネルギー企業。主要セグメントはJERA(持分法適用会社)、Power Grid(送配電)、Miraiz(小売)。国内外で地熱・水力・風力・バイオマス・太陽光など再生可能エネルギーも展開。燃料上流・調達、電力・ガスの卸、ネットワークサービス、エネルギー関連の建設・製造、ガス供給、不動産等も手がける。
- 特徴:国内電力大手の一角(販売電力量ベースで概ね3位)。火力発電事業は東京電力と統合(JERA)。浜岡原発は複数基が停止中。
- 連結従業員:22,566人/本社:名古屋市
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:中部エリア(愛知・岐阜・三重・静岡西部・長野など)を地盤とする大手。送配電は規制収入、小売は競争市場、発電・燃料はJERAを通じてスケールメリットを享受。
- 競争優位性
- JERAによる燃料・発電の規模効果と調達力(LNGトレーディング等を含む)へのアクセス
- 送配電の安定収入(規制ベース)と広域系統運用ノウハウ
- 地域密着の顧客基盤とソリューション展開(Miraiz)
- 課題
- 原子力(浜岡)の再稼働不透明性と安全対策コスト
- 小売自由化下での競争激化・市場価格変動への感応度
- 脱炭素対応に伴う継続的な資本投資負担
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン:エネルギー安定供給と脱炭素の両立(カーボンニュートラル2050へ)。収益基盤の分散(送配電の安定収益+小売・ソリューションの付加価値+JERAの持分法利益)。
- 重点分野(例)
- 再生可能エネルギー・蓄電池の開発・運用強化
- 需要家向けソリューション(データ活用、VPP、需要側管理等)
- 系統の強靭化・デジタル化(スマートメーター、高経年設備更新)
- JERAを通じた燃料・発電ポートフォリオの最適化(国際事業含む)
- 2026年3月期通期見通し(会社計画):売上高3,550,000百万円、経常利益230,000百万円、純利益185,000百万円、EPS予想244.96円、年間配当70円(据置)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源の多様化:送配電の規制収入はディフェンシブ、小売は市場連動で変動、JERA持分法利益がボラティリティ緩和に寄与。
- 適応力:燃料費調整・ヘッジ、価格メニュー多様化、需給調整力(蓄電・デマンドレスポンス)などで市場変動に対応。
- リスク:燃料・為替・天候、規制・制度変更、原子力の方針変更、JERA業績の変動など。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:系統のDX(スマートメーター、配電自動化)、需給予測高度化、再エネ・蓄電の統合運用。JERAを通じた発電効率化、燃料トレーディング、次世代燃料(例:アンモニア混焼の実証等)への取り組みへのアクセス。
- 主力領域:Miraiz(小売・顧客ソリューション)、Power Grid(送配電)、JERA(持分法で損益寄与)。
- セグメント構成(2026年3月期1Q)
- 売上構成:ミライズ約82%(658,313/800,312百万円)、パワー約10%、その他約7%(概算)
- JERAは連結売上に含まず、持分法利益で寄与
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 現在値:2,117円
- PER(会社予想):8.63倍(業界平均7.0倍比でややプレミアム)
- EPS(会社予想)244.96円 → 理論価格(業界平均PER適用)約1,715円
- PBR(実績):0.57倍(業界平均0.7倍比でディスカウント)
- BPS 3,694.05円 → 理論価格(業界平均PBR適用)約2,586円
- EV/EBITDA(LTM概算):約9.1倍
- EV ≒ 1.60兆(時価総額)+ 2.87兆(有利子負債)− 0.24兆(現金)= 約4.23兆円
- EBITDA(LTM)約0.464兆円
- 配当利回り:3.31%(5年平均3.49%比でやや低め)
評価の見方(相対比較):
– 収益基盤の安定性やJERA寄与を織り込むとPERは平均超、PBRは平均未満というミックス。収益予想の確度、原燃料・規制環境、原子力方針などの前提が評価差に影響。
7. テクニカル分析
- トレンド:株価は50日移動平均(約1,987円)・200日移動平均(約1,754円)を上回り、上昇基調。年初来高値2,180円に接近。
- 位置づけ:52週高値2,180円に近く、高値圏に位置。直近10日では2,060〜2,128円でのレンジ推移後、2,100円台での上値試し。
- 売買需給:信用倍率5.91倍、信用買残増(前週比+53.9千株)、売残減。需給はやや買いに傾斜。短期の戻り売り・利益確定の出やすい水準にも留意。
- 出来高:直近の出来高は3カ月平均(約257万株)を下回る日もあり、高値圏でのエネルギー蓄積局面の可能性。
8. 財務諸表分析
- 売上高(連結)
- 2022/3:2.71兆円 → 2023/3:3.99兆円 → 2024/3:3.61兆円 → LTM:約3.67兆円
- LTM YoY:約+1.6%(燃料価格の影響が大きい水準)
- 利益
- 純利益:2024/3 4,031億円 → LTM 2,021億円(減益)
- 営業利益率(LTM):約8.5%/当期純利益率(LTM):約5.1%/EBITDAマージン(LTM):約12.7%
- 効率・収益性
- ROE(実績):約7.5%(LTMベース約6.7%)/ROA(LTM):約2.0%
- 財務安全性
- 自己資本比率:39.1%(6/30時点:39.2%)
- D/E(総有利子負債/自己資本):約1.0倍(Total Debt/Equity 100%)
- 流動比率:1.01倍(短期資金繰りはタイト)
- キャッシュ
- 現金等:2,374億円、有利子負債:2.87兆円(6/30)
- 四半期トレンド(2026年3月期1Q)
- 売上高:▲2.5% YoY、営業利益:▲20.9% YoY、純利益:▲14.3% YoY
- JERAの持分法利益は増勢。包括利益は持分法適用会社のOCI影響で大幅減。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績:2025年3月期 年間60円(中間30円+期末30円)
- 配当予想:2026年3月期 年間70円(中間35円+期末35円)
- 予想配当性向(概算):約29%(70円/予想EPS 244.96円)。トレーリングでは約22%(提供データ)。
- 自社株買い:—(明示的な情報なし)
- 株主構成:機関投資家比率約48%、インサイダー約3%(提供データ)。安定株主に加え、国内信託銀行の比率が高い。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週変化率:約+19.3%(ベータ0.22で低ボラティリティ)
- 直近モメンタム:年初来高値圏での推移。イベント(配当落ち日9/29、決算10/28)前後での変動に注意。
- 関心材料
- 原燃料・為替動向、規制・制度(燃料費調整、容量市場等)
- 原子力(浜岡)の動向、JERAの損益貢献、再エネ・蓄電案件の進捗
- 需給面では信用買い増加が短期ボラティリティに影響し得る
11. 総評
- 安定収益(送配電)と市場連動収益(小売・JERA)を組み合わせたポートフォリオ。LTM売上は微増ながら、利益は前期高水準からの調整局面。財務は自己資本比率約39%・D/E約1倍で概ね中立、流動性はタイト。
- バリュエーションはPERで業界平均超、PBRで平均未満。JERA寄与や規制収益の安定性、脱炭素投資の進捗見通し、原子力の不確実性などが評価に影響。
- テクニカルには上昇基調を維持しつつ高値圏での揉み合い。イベント前後の出来高・需給に留意。
(本レポートは提供データに基づく定量・定性整理であり、投資助言を行うものではありません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoY約+1.6%、3年CAGR約+10%台(燃料価格要因を含む)
- 収益性:A
- 根拠:営業利益率約8.5%、EBITDAマージン約12.7%、純利益率約5%(業界水準と比較して良好とみられる)
- 財務健全性:B
- 根拠:自己資本比率約39%、D/E約1.0倍、流動比率約1.0倍(総合して中立)
企業情報
銘柄コード | 9502 |
企業名 | 中部電力 |
URL | http://www.chuden.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電力・ガス – 電気・ガス業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.1)」によって自動生成されました。
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