1. 企業情報
テクニスコ株式会社は、オプトエレクトロニクス、エレクトロニクス、ライフサイエンス産業向けの精密加工部品を製造・販売しています。主な製品は、産業用レーザーやパワー半導体デバイスなどに用いられる高放熱性のヒートシンク製品、プロジェクターやセンサー、医療機器向けなどのマイクロホールガラスやスルーグラスビアといったガラス製品、半導体製造装置向けのシリコン製品など多岐にわたります。同社は1970年に設立され、東京都に本社を置き、株式会社ディスコの子会社です。
2. 業界のポジションと市場シェア
テクニスコは、高機能なヒートシンクや精密なガラス加工技術を活かし、オプトエレクトロニクス、エレクトロニクス、ライフサイエンスといった成長産業のニッチな市場で事業を展開しています。特に産業用レーザー向け高放熱ヒートシンクや車載・医療機器向けガラス製品など、特定の用途に特化した精密部品に強みを持つと推測されます。提供された情報からは具体的な市場シェアのデータはありませんが、株式会社ディスコの子会社である点は、技術連携や販売チャネルにおいて一定の競争優位性をもたらす可能性があります。一方で、特定の産業動向や顧客ニーズへの依存、技術革新のスピードへの対応が課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画に関する情報はありません。しかし、事業内容から、センサー、医療機器、産業用レーザー、車載といった分野で高精度な精密加工部品の提供に注力していると推測されます。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、多様な産業向けに精密加工部品を提供するものです。自動車の電装化や医療機器の進化、高性能センサーの需要増加といった市場ニーズに対応できる製品ラインナップを有しており、市場ニーズの変化への適応力は一定程度あると考えられます。収益は主にこれらの精密部品の製造・販売から得られます。
5. 技術革新と主力製品
テクニスコは、マイクロチャンネルクーラーなどの高放熱ヒートシンク製品、スルーグラスビアやマイクロ流路ガラスなどの精密ガラス製品、CVDサセプターなどのシリコン製品を提供しており、これらは高度な精密加工技術が求められるものです。特に産業用レーザー向けヒートシンクや車載・医療機器向けガラス製品は、収益を牽引する主力製品と推測されます。これら製品群は同社の技術開発力と独自性が反映されていると考えられます。
6. 株価の評価
直近の株価（2025年4月9日終値）は238円です。過去12か月の実績に基づくEPS（1株当たり利益）は-100.33円と赤字となっています。EPSがマイナスであるため、PER（株価収益率）を用いた株価評価は困難です。また、BPS（1株当たり純資産）に関するデータが不足しているため、PBR（株価純資産倍率）による評価も現時点では行えません。
7. テクニカル分析
直近（2025年3月27日〜4月9日）の株価推移を見ると、最高値は309円（2025年3月27日）、最安値は200円（2025年4月7日）となっています。2025年4月9日終値の238円は、この約2週間程度の範囲の中では安値圏に位置しています。株価は2025年3月下旬の300円台から下降トレンドにあり、直近では下落傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2021年度の4,346百万円から2022年度には5,480百万円と増加しましたが、2023年度には5,347百万円、2024年度には4,683百万円と減少し、過去12か月では3,974百万円とさらに減少傾向にあります。
- 粗利益: 売上高の減少に伴い粗利益も減少傾向にあり、粗利率も2022年度の約40%から過去12か月では約20%まで低下しています。
- 営業利益: 2022年度は619百万円の営業利益を計上しましたが、2023年度は273百万円と大幅に減益。2024年度には-476百万円、過去12か月では-754百万円と赤字に転落しています。
- 純利益: 営業利益と同様に、2022年度は802百万円の純利益でしたが、2023年度は222百万円に減少し、2024年度には-603百万円、過去12か月では-909百万円と赤字に転落しています。
- ROE, ROA, キャッシュフロー: これらの指標に関するデータは提供されていません。
- 傾向: 過去数年を比較すると、2022年度をピークに売上高、利益ともに減少傾向が顕著であり、直近では営業利益・純利益ともに赤字に転落しており、収益性が大幅に悪化している状況が見受けられます。
9. 株主還元と配当方針
提供された情報には、配当利回り、配当性向、自社株買いなどの株主還元策に関する具体的な記述はありません。直近の業績が赤字となっていることから、配当支払いについて慎重な判断が求められる状況と推測されます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価は下落傾向にあります。株価に影響を与える要因として、半導体関連市場や産業機器市場の動向、主要顧客である株式会社ディスコの業績、精密加工技術に関連する新たな市場開拓の進捗などが考えられます。直近の赤字転落は投資家の関心度や評価に影響を与えている可能性があります。
11. 総評
テクニスコは、高機能な精密加工部品を多岐にわたる産業へ提供する企業です。高度な技術力を背景に、特定のニッチ市場で事業を展開しています。しかしながら、近年は売上高が減少傾向にあり、2024年度および過去12か月では営業赤字・最終赤字に転落するなど、収益性が悪化しています。株価は直近で下降トレンドにあり、現在の業績状況が株価に反映されていると見られます。親会社が株式会社ディスコである点は、技術面や事業展開において一定の強みとなる可能性があります。
12. 企業スコア
- 成長性: D
- 過去12か月の売上高成長率（対2024年6月期）は約 -15.1%と減少傾向が顕著です。3年CAGRではわずかな成長が見られますが、直近の売上減少が強く影響しています。
- 収益性: D
- 粗利率、営業利益率、EBITDA率が大幅に悪化し、直近では営業利益・純利益ともに赤字となっています。
- 財務健全性: B
- 自己資本比率、流動比率、D/E比率などの財務健全性に関する客観的なデータが不足しているため、中立と評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 2962 |
| 企業名 | テクニスコ |
| URL | https://www.tecnisco.com/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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