東洋エンジニアリング(6330)企業分析レポート
本レポートは公開情報の整理であり、投資勧誘・投資助言を目的とするものではありません。数値は連結ベース(特記なき限り)。一過性損益は評価から除外するよう努めています。
1. 企業情報
- 概要:総合エンジニアリング(EPC:設計・調達・建設)。三井系で国内上位(概ね3位)。石油・ガス、石油化学、化学・肥料、発電・交通、環境・水処理、先端生産、医薬・ファインケミカル、バイオ等をグローバルに展開。MODEC(三井海洋開発)との合弁(OFS)を通じFPSO領域にも関与。
- 事業構成(売上構成の目安):石油化学17%、石油・ガス28%、発電・交通等17%、化学・肥料30%、他8%。海外比率77%(2025.3期)。
- 技術・ソリューション:SUPERHIDIC(省エネ蒸留)、HERO(熱回収・省エネ系)などの省エネ・脱炭素技術、e-メタノール、CCS、クリーン水素・アンモニア、地熱、SAF等。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の総合プラントEPCでJGC、千代田に次ぐ上位プレーヤー。化学・肥料、エチレン等で強み。FPSOは合弁を通じてEPCI案件に関与。
- 競争優位性:化学・肥料領域の実績・プロセスエンジ知見、省エネ・脱炭素技術ポートフォリオ、三井系ネットワーク。海外案件運営のノウハウ。
- 課題:EPC特有の薄い利益率とコスト・工期リスク、為替・資材調達のボラティリティ、案件偏重による売上変動。地政学・政策変更リスク。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/重点分野:脱炭素・資源循環を成長ドライバーに据え、クリーン水素・e-fuels(e-メタノール等)、CCS、グリーンアンモニア、SAF、地熱、FPSO領域に注力。
- 具体トピック(2026/3期1Q短信より)
- インドのe-メタノール案件でファーストドロップ達成(2025年6月)。
- OFSでFPSOのEPCI受注を2件。
- 受注高(1Q):連結250億円(前年同期比+116.5%)、総受注残:約5,997億円。
- 通期見通し(会社計画・据置)
- 売上2,000億円(前期比-28.1%)、営業利益15億円(-42.1%)、経常利益65億円(+0.6%)、純利益50億円(+147.4%)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:EPCの出来高計上。大型案件の獲得・進捗に売上が連動。利益はコスト管理・変更対応・為替の影響を受けやすい。
- 適応力:脱炭素・省エネ、省エネ蒸留等の独自技術、FPSO等の成長分野へ事業軸を拡大。受注残約6,000億円は売上の複数年分カバー(会社計画売上2,000億円基準で約3.0年分)とみられる一方、収益化のタイミングと収益率改善が重要。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:SUPERHIDICなど省エネ・プロセス革新、HERO等の熱回収・省エネ技術、e-fuels/CCS/水素・アンモニアなどエネルギートランジション対応。
- 収益牽引領域:化学・肥料、石油・ガスに加え、FPSO(合弁)、e-メタノール等の新領域案件が次期以降の売上・利益寄与余地。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提データ(2025-09-30終値):株価1,589円、時価総額約612.7億円、BPS(実績)1,496.34円、業界平均PER14.0倍、PBR1.1倍。
- PERの見方(データ差異に留意)
- TTM EPS(過去12ヶ月)約34.5円 ⇒ TTM PER ≈ 46.1倍。
- 会社予想EPS(2026/3期)85.33円 ⇒ フォワードPER ≈ 18.6倍。
- 別データの会社予想EPS130.45円 ⇒ フォワードPER ≈ 12.2倍。
- 注:直近短信(2025/8/7)時点の会社ガイダンスは85.33円。指標値の出所で乖離があるため、評価時は最新IRを優先するのが適切。
- PBR:1,589円 / 1,496.34円 ≈ 1.06倍(業界平均1.1倍に近い水準)。
- EV/S:EV ≈ 612.7 + 511.4 − 795.5 = 約328.6億円、売上TTM 2,780.9億円 ⇒ EV/S ≈ 0.12倍(EPC特性上低水準になりやすい)。
7. テクニカル分析
- トレンド:終値1,589円は50日移動平均1,531.9円を上回り、200日移動平均918.7円を大きく上回る。中長期は上昇基調。
- 位置:52週高値2,022円からは約21%下、52週レンジ(530〜2,022円)の約71%地点(やや高値圏寄り)。
- 直近10日:1,440〜1,636円のレンジで推移しつつ、下値を切り上げる動き。出来高は3ヶ月平均(約328万株)を下回り、10日平均(約126万株)近辺で推移。
- 信用動向:信用買残3,216千株(前週比+54.8千)、信用倍率2.13倍。買い長方向で需給の偏りには留意。
8. 財務諸表分析
- 売上推移(億円):2022/3 2,030 → 2023/3 1,929 → 2024/3 2,608 → TTM 2,781。直近四半期は前年同期比-21.5%(1Q)。
- 利益性:
- 粗利率:TTMで約9〜10%。
- 営業利益率:TTM約0.9〜1.4%(1Qは1.36%)。EPC特性上、業界平均(中位〜高位数%)と比べ低位。
- ROE:実績3.26%、ROA:0.5%(低水準)。
- キャッシュ・フロー・BS:
- 現金同等物:7,955億円、総有利子負債:5,114億円でネットキャッシュ。
- 流動比率:約1.41倍。自己資本比率:22.7%(前期末20.9%から改善)。
- 受注残:約5,997億円と厚み。為替・利払増、工事損益変動の影響には継続留意。
- 傾向:2024/3期に利益が伸長後、TTM・1Qは利益率が低下。コスト増・為替影響・販管費増が利益圧迫要因。
9. 株主還元と配当方針
- 直近配当:年間25円(2025/3期)。
- 会社予想(2026/3期):年間25円(中間無配・期末25円、据置)。
- 配当利回り:1.57%(株価1,589円基準、会社予想25円)。
- 配当性向:
- TTM EPS34.5円ベース:約72.5%(データ提供値と整合)。
- 会社予想EPS85.33円ベース:約29.3%。
- 自社株買い:開示ベースで確認できる最新の実施は不明。自己株式保有約0.6%。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落:+105%と大幅上昇(業界テーマ・受注/脱炭素期待等の影響が示唆)。
- 直近の勢い:50日線上で推移し戻り基調も、出来高は3ヶ月平均を下回りつつ推移。信用買い優位で短期の値動きは需給の影響を受けやすい可能性。
- 価格ドライバー:受注ニュース(FPSO・脱炭素案件)、プロジェクト進捗・損益見通し、為替、資材コスト、地政学・政策(関税・補助金)など。
11. 総評
- 受注残は厚く、脱炭素・FPSO等の新領域の案件進展がみられる一方、短期の完成工事高は減少し、利益率は低位。EPC特性上、為替・コスト・工期に敏感で、利益変動が出やすい。
- バリュエーションはPBRで業界平均近辺。PERは採用するEPS前提で評価が分かれるが、会社ガイダンス(85.33円)基準では業界平均PER(14倍)を上回る水準。EV/Sは低位で、EPCモデル特性を反映。
- 財務面はネットキャッシュ・流動性は確保される一方、自己資本比率は2割台で厚いとは言い難い。中期的には脱炭素ポートフォリオの収益性向上と案件管理(コスト・為替)の精緻化が鍵。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- 根拠:TTM売上は前年比+6〜7%だが、2026/3期会社計画は-28%。LTMは成長も短期減速を考慮し中立。
- 収益性:C
- 根拠:粗利率1桁台後半、営業利益率約1%台。業界中位〜上位水準を下回る。
- 財務健全性:C
- 根拠:自己資本比率22.7%、流動比率1.41倍、ネットキャッシュはあるが資本厚みは十分とは言い難い。
- 株価バリュエーション:B
- 根拠:PBRは業界平均並み、PERは前提次第で割安〜やや割高のレンジ。総合して中立。
参考データ(主要数値)
– 株価:1,589円(2025/09/30)
– 時価総額:約612.7億円
– PER:12.2倍(EPS130.45仮定)/18.6倍(会社予想EPS85.33仮定)/46.1倍(TTM)
– PBR:1.06倍(BPS=1,496.34円)
– 配当:年間25円(会社予想、利回り約1.57%)
– 売上:TTM 2,780.9億円、会社計画(2026/3期)2,000億円
– 受注残:約5,997億円
– 自己資本比率:22.7%(2026/3期1Q)
– 信用倍率:2.13倍
注記:一部指標にデータソース間の差異(EPS・EBITDA・BPS等)が見られます。評価の際は最新の会社開示(2025/8/7短信等)を優先してご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 6330 |
企業名 | 東洋エンジニアリング |
URL | http://www.toyo-eng.com/jp/ja/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。