1. 企業情報
アリアケジャパンは、鶏、豚、牛などの畜産系エキスを原料とした天然調味料の製造、加工、販売を主に行う企業です。抽出から加工までを一貫して自社で行う生産体制を持ち、天然調味料分野で国内首位の地位を確立しています。業務用製品を中心に、液体スープ(ラーメンスープ、ちゃんぽんスープなど)、液体天然調味料、粉体天然調味料などを国内外の食品メーカーや外食産業に提供しています。日本、中国、台湾、フランス、ベルギー、オランダ、インドネシアなどグローバルに事業を展開し、レストラン経営も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「畜産系エキスの天然調味料」というニッチながらも需要が安定している分野において、国内トップのシェアを誇ります。抽出から加工までの一貫生産体制は、品質の安定性とコスト競争力に寄与しており、これが競争優位性となっています。また、日中欧の複数拠点で生産・販売を行うことで、特定の地域市場への依存を下げ、国際的な市場ニーズに対応できる体制を構築しています。一方で、業務用中心であるため、外食産業や食品加工メーカーの景気動向や需要変動に影響を受けやすい側面があります。原材料である畜産物や香辛料の価格変動リスクも課題となり得ます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は「食の安全」「健康」「おいしさ」を追求することをグループ戦略として掲げています。具体的な施策としては、既存事業の拡充と新規事業展開を推進していく方針です。決算短信からは中期経営計画の具体的な数値目標は確認できませんが、製品の高付加価値化やラインナップの拡充、海外市場での展開強化を通じて持続的な成長を目指すと考えられます。直近の決算短信では、連結子会社としてAriake U.S.A., Inc.を新規連結しており、海外展開をさらに進める姿勢がうかがえます。
4. 事業モデルの持続可能性
アリアケジャパンの事業モデルは、天然調味料という食の「おいしさ」と「健康」に直結する分野であり、業務用として多様な食品に活用されるため、比較的安定した需要基盤を持っています。抽出から加工までの一貫生産体制は、安定供給と品質管理を通じて顧客からの信頼を確保しており、持続的な収益源となっています。また、「食の安全」「健康」を追求する経営戦略は、健康志向の高まりや食品添加物への懸念といった市場ニーズの変化への適応力に繋がります。国内だけでなくアジアや欧州といった多様な地域に進出していることも、特定の市場リスクを分散し、事業の持続可能性を高めています。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術革新は、畜産系エキスをベースとした天然調味料の領域で独自のノウハウを培っている点にあります。高度な抽出・濃縮技術を駆使し、素材本来の風味や旨味を最大限に引き出す製品開発を行っています。これにより、食品メーカーや外食産業が多様なメニュー開発に利用できる高品質な調味料を提供しています。収益を牽引している主力製品は、チキン骨ベーススープ、ラーメンスープ、ちゃんぽんスープなどの液体スープ、ブイヨンやコンソメ製品など多岐にわたります。これらは、多様な食品分野で必要不可欠な基礎調味料として、安定的な需要を確保しています。
6. 株価の評価
現在の株価5,980.0円は、以下の指標と比較して評価できます。
* PER(会社予想): 21.93倍 (業界平均PER: 19.5倍)
* 会社予想EPS 273.17円 × 業界平均PER 19.5倍 = 5,326.815円
* 現在の株価は業界平均PERを用いた理論株価よりも約12.2%割高です。
* PBR(実績): 1.52倍 (業界平均PBR: 1.3倍)
* 実績BPS 3,948.90円 × 業界平均PBR 1.3倍 = 5,133.57円
* 現在の株価は業界平均PBRを用いた理論株価よりも約16.5%割高です。
PER、PBRともに業界平均を上回っており、現在の株価は割高と評価できます。ただし、同社の高い収益性や財務健全性、業界での優位性を考慮し、市場がプレミアム評価をしている可能性も考えられます。
7. テクニカル分析
現在の株価は5,980.0円です。
* 年初来高値は6,890.0円、年初来安値は4,940.0円であり、現在の株価は年初来のレンジの中央やや下方に位置しています。
* 直近10日間の株価推移を見ると、6,320.0円から5,980.0円へ下落しており、短期的な下降トレンドにあることが示唆されます。
* 50日移動平均線(6,339.80円)および200日移動平均線(6,057.67円)を現在の株価が下回っており、短期的には下落圧力がかかっている状況です。
* これらのことから、現在の株価は高値圏ではなく、年初来のレンジの中では中程度の水準であり、短期的には下落傾向が見られます。
8. 財務諸表分析
アリアケジャパンの過去数年間の財務状況を評価します。
指標 | 過去12か月 | 2025/3/31 | 2024/3/31 | 2023/3/31 | 2022/3/31 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 65,400百万円 | 65,400百万円 | 59,981百万円 | 55,698百万円 | 52,658百万円 |
売上高成長率(YoY) | +9.04% | +9.04% | +7.70% | +5.77% | — |
売上総利益 | 19,725百万円 | 19,725百万円 | 16,771百万円 | 16,297百万円 | 18,101百万円 |
粗利率 | 30.16% | 30.16% | 27.96% | 29.26% | 34.37% |
営業利益 | 11,117百万円 | 11,117百万円 | 8,662百万円 | 8,455百万円 | 10,682百万円 |
営業利益率 | 17.00% | 17.00% | 14.44% | 15.18% | 20.29% |
親会社株主純利益 | 8,206百万円 | 8,206百万円 | 7,353百万円 | 6,385百万円 | 7,708百万円 |
ROE(実績) | 7.14% | — | 6.66% | — | — |
ROA(実績) | 5.09% | — | — | — | — |
自己資本比率(実績) | 87.2% | — | 87.2% | — | — |
流動比率(直近四半期) | 7.51倍 | — | — | — | — |
総負債/株主資本(D/E) | 0.01% | — | — | — | — |
- 売上高: 過去数年間で順調な成長を示しており、「過去12か月」および2025年3月期予想も前年実績を上回る見込みです。
- 収益性: 粗利率は2024年3月に一時的に低下しましたが、「過去12か月」では改善傾向にあります。営業利益率も同様に2024年3月に低下後、「過去12か月」では17.0%と回復・改善しており、高い水準を維持しています。
- ROE/ROA: ROE(過去12か月)7.14%、ROA(過去12か月)5.09%は、効率的な資本利用を示しています。
- 財務健全性: 自己資本比率87.2%、流動比率7.51倍、総負債/株主資本0.01%と、非常に高い財務健全性を誇ります。ほぼ無借金経営であり、資金繰りに問題がある可能性は極めて低いと言えます。
- キャッシュフロー: 直近四半期で現金及び預金は減少していますが、潤沢な現預金(562.35億円)を保有しており、総負債15.86百万円と比較しても、極めて健全な状態です。
全体として、売上高は着実に成長し、収益性も改善傾向にあります。特筆すべきは、自己資本比率や流動比率、負債比率から見て、財務健全性が極めて高い点です。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 2.17%
- 1株配当(会社予想): 130.00円
- 配当性向: 50.45% (過去12か月)
- 5年平均配当利回り: 1.77%
同社は1株当たり130.00円の年間配当を予想しており、配当利回りは2.17%と比較的高水準です。配当性向も50%を超えており、利益を積極的に株主に還元する姿勢が見られます。過去5年平均配当利回りよりも現在の予想利回りが高いことから、株主還元への意識が高いと言えます。自社株買いに関する具体的な情報はこのレポートには記載されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 直近の株価推移: 直近10日間の株価は、6,320.0円から5,980.0円へと下降傾向にあります。
- 出来高: 直近日の出来高は44,200株と過去10日の中でも平均的で、売買代金は264,010千円です。特段大きな取引が行われているわけではありませんが、出来高が急増している状況でもありません。
- 信用取引: 信用買残33,100株、信用売残6,000株、信用倍率5.52倍です。買い残が売り残を大きく上回っており、需給面では売り圧力が発生しやすい状況と言えます。
- 株価への影響要因: 直近の株価は下落傾向にあり、市場全体の地合いや、原材料価格の高騰、為替(円安)の動向が事業コストに与える影響などが投資家の関心に影響を与えている可能性があります。特に、原材料コストの変動は同社の利益率に直結するため、重要な注目点となるでしょう。
11. 総評
アリアケジャパンは天然調味料分野における国内トップ企業であり、抽出から加工まで一貫した生産体制により高品質な製品を提供しています。売上高は着実に成長しており、営業利益率も高く、収益性は良好です。自己資本比率87.2%や流動比率7.51倍に示されるように、極めて高い財務健全性を誇り、安定した経営基盤を持っています。株主還元に関しても、配当性向50%超で比較的高水準の配当を実施しています。
一方で、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割高圏にあり、市場は同社の優位性を既に評価していると見られます。直近の株価は下降傾向にあり、短期的には調整局面にある可能性があります。また、信用倍率も高いため需給面での注意が必要です。地政学リスクや原材料価格の高騰、為替変動といった外部環境の変化は業績に影響を与える可能性があり、今後の推移を注視する必要があります。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率(YoY)は約9.04%と堅調な伸びを見せており、過去数年間も安定して売上が増加しています。しかし、直近四半期の売上成長率は+0.8%とやや鈍化傾向が見られるため、SではなくAと評価します。
- 収益性: S
- 過去12か月における粗利率は約30.1%、営業利益率約17.0%と、食品業界としては非常に高い水準を誇ります。特に営業利益率は業界平均を大きく上回っており、優れた収益体質であると評価できます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率87.2%、流動比率7.51倍、総負債/株主資本(D/E)0.01%と、いずれの指標も極めて高い水準にあり、非常に健全な財務体質を維持しています。ほぼ無借金経営に近い状態です。
- 株価バリュエーション: C
- PER(会社予想)21.93倍は業界平均PER19.5倍を上回っています。PBR(実績)1.52倍も業界平均PBR1.3倍より割高です。これらの指標に基づくと、現在の株価は業界平均と比較して割高と評価されます。
企業情報
銘柄コード | 2815 |
企業名 | アリアケジャパン |
URL | http://www.ariakejapan.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 食料品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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