2815 アリアケジャパン 企業分析レポート
最終更新: 2025-09-30
1. 企業情報
- 概要: 畜産系(鶏・豚・牛など)エキスを用いた天然調味料の製造・販売で国内首位。業務用中心(外食・中食・食品メーカー向け)。抽出から配合・加工までの一貫生産と、日・中・欧(+インドネシア)での生産体制が特長。
- 主力製品: チキンボーンベーススープ、ラーメン・ちゃんぽん用スープ、ブイヨン・コンソメ、ソースベース、和風だし、各種エキス(牛・豚・鶏・えび・にんにく)等。
- 事業構成(連結): 液体スープ5%、液体天然調味料82%、粉体天然調味料9%、製品他4%。海外売上比率27%(2025.3)。
- 補足: 食品のほか、農畜水産物・医薬部外品等の製造・輸出入、外食運営も一部展開。2025年に米国子会社 Ariake U.S.A., Inc. を新規連結。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション: 天然調味料(畜産エキス系)で国内リーディング。BtoBでの品質・安定供給・規模の優位性が強み。
- 競争優位性
- 一貫生産(抽出~配合~充填)と世界分散生産による品質・安定供給。
- 長期取引・試作対応力・レシピ提案力によるスイッチングコスト。
- 高水準の財務体質(自己資本比率87%)による投資余力。
- 課題
- 原材料(畜産副産物)・エネルギー価格、為替の変動影響。
- 食の嗜好変化(クリーンラベル、アレルゲン・動物性回避など)への対応力。
- 海外での認証・規制対応、食品安全管理の徹底。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針(短信要約): 既存事業の拡充と新規事業展開を継続。「食の安全」「健康」「おいしさ」を追求。
- 地域戦略: 日本中⻄欧に加え米国を新規連結(Ariake U.S.A.)。グローバル供給網の拡張で需要捕捉と為替分散。
- 製品戦略: 液体天然調味料(高比率)を軸に、顧客ニーズに合わせたカスタムブレンド・用途別ソリューションを深化。
- 中期計画: 具体的数値目標は短信記載なし(—)。通期ガイダンスは維持(売上+2.6%、営業益+9.9%、純益+6.0%想定)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル: BtoBの継続取引が中心で、定期的な安定需要。顧客レシピへの組込みは解約コストが高く、収益の粘着性が高い。
- 需要動向: 外食・中食の回復、内食でも簡便・高付加価値化ニーズ。クリーンラベル志向に沿う「天然調味」領域は構造的需要が見込まれる一方、動物性回避ニーズへのポートフォリオ対応は継続課題。
- 適応力: 世界分散生産と高財務余力により、原材料・為替・規制変化への対応余地は大きい。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向: エキス抽出・濃縮・香り保持、衛生的製造(無菌・低温殺菌)、配合技術に強み。顧客向け試作・用途提案を通じた共創型開発。
- 主力収益源: 液体天然調味料(売上比率82%)が牽引。和洋中の業務用スープ・だしベース、ソースベースが柱。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提: 株価 5,980円、EPS(会社予想)273.17円、BPS 3,948.90円
- 指標
- PER(予想): 21.9倍(業界平均19.5倍比でやや高め)
- PBR(実績): 1.52倍(業界平均1.3倍比でやや高め)
- EV/EBITDA(LTM概算): 約9.8倍[EV≈1.40兆円、EBITDA≈142億円]
- EV/Sales(LTM概算): 約2.1倍
- 参考レンジ試算(単純比較)
- 業界平均PER適用: 273.17円×19.5=約5,330円(現状比+/-: 株価は約+12%上に位置)
- 業界平均PBR適用: 3,948.9円×1.3=約5,133円(現状比+/-: 株価は約+16%上に位置)
- コメント: 予想PER・実績PBRともに業界平均に対してプレミアム水準。強固な財務・利益率・安定配当が背景と考えられる一方、成長加速や海外展開の進捗がプレミアム維持の鍵。
7. テクニカル分析
- トレンド位置: 現値5,980円は50日線6,340円・200日線6,058円を下回り、短期は弱含み。長期は50日線>200日線で基調は中立~やや上向。
- レンジ位置: 52週 4,940–6,890円の中間圏(約53%レンジ進捗)。
- モメンタム: 直近10日で6,330→5,980円へ反落。出来高は3カ月平均(約6.9万株)並み。直近は戻り待ち優勢の推移。
- ボラティリティ: Beta(5年)-0.06で市場連動性は低い傾向。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上: 52,659(2022)→55,698(2023)→59,981(2024)→65,401(LTM, 百万円)と増収継続。3年CAGR約+7.5%。
- 2026/3 1Q: 売上+0.8% YoY、純利益+29.6% YoY(原価率改善で利益率上昇)。
- 収益性(LTM)
- 粗利率: 約30%(20.1B/65.5B)
- 営業利益率: 約17%(会社開示16.9%)
- 純利益率: 約13%(企業財務指標ベース)
- ROE: 実績6.66%(LTM参考7.14%)、ROA約5.1%
- コスト・費用
- 2023期に原価上昇で粗利率低下→その後改善。販管費は増加も売上伸長で吸収。
- キャッシュ・財務健全性
- 現金同等物: 562億円、総資産1,445億円。
- D/E: 0.01%(実質無借金)。自己資本比率87%・流動比率約7.5倍で安全性は高水準。
- 金融収支は受取利息が増加(多額の現金保有)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当: 年間130円(予想・実績)。配当利回り約2.1–2.2%。直近5年平均利回り1.77%。
- 配当性向: 約50%(トレーリング)。
- 自己株式: 発行株式の約2.93%を保有。新規の自社株買い方針は開示情報からは不明(—)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価モメンタム: 52週騰落+18.1%(S&P500換算+16.68%)。直近は短期調整局面。
- 信用動向: 信用買残3.31万株(倍率5.52倍)。売残増(+1,300株)で短期は上値重さの示唆。
- 流動性・オーナーシップ: 浮動株約1,993万株、インサイダー保有41.8%、機関保有33.9%。出来高は中位で需給はタイトになりやすい。
11. 総評
- 事業基盤: 一貫生産・グローバル供給網・BtoB関係性に基づく粘着性の高い収益モデル。食品安全・品質対応に強み。
- 成長・収益: 増収基調が続き、原価率改善で利益率も回復。米国連結など地理的拡張が将来の上積みに寄与し得る。
- 財務: 現金潤沢・実質無借金で耐性が高い。投資・還元の選択肢が広い。
- バリュエーション: 業界平均比でプレミアム。短期はテクニカルに調整局面だが、中長期は財務安定と高い営業利益率が評価指標。
- リスク: 原材料・エネルギー・為替、規制・食品安全、嗜好変化(動物性回避・アレルゲン)などの影響。
※本レポートは情報提供を目的としたもので、投資助言を行うものではありません。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性: A
- 根拠: LTM売上+約9%(対2024)、3年CAGR約+7.5%。1Q YoY+0.8%は足元は横ばい寄り。
- 収益性: A
- 根拠: 営業利益率約17%、粗利率約30%。食品セクター内で高位の収益性。
- 財務健全性: S
- 根拠: 自己資本比率87%、流動比率約7.5倍、D/Eほぼゼロ。
- 株価バリュエーション: C
- 根拠: 予想PER21.9倍・PBR1.52倍は業界平均(19.5倍、1.3倍)よりプレミアム。EV/EBITDA約9.8倍は概ね中位。
参考データ(抜粋)
- 通期会社予想(維持):売上671億円、営業益122億円、経常益129億円、純益87億円、EPS 273.17円、配当130円。
- テクニカル水準(9/30終値): 50日線 6,339.8円、200日線 6,057.7円、年初来高値 6,890円・安値 4,940円。
企業情報
銘柄コード | 2815 |
企業名 | アリアケジャパン |
URL | http://www.ariakejapan.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 食品 – 食料品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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