日本たばこ産業(JT, 証券コード: 2914)企業分析レポート

株価: 4,851円(2025-09-29終値)/時価総額: 約9.7兆円

1. 企業情報

  • 概要
    • たばこ事業を中核に、医薬・加工食品を展開するグローバル企業。国内紙巻・加熱式たばこ(プルームX)、海外ではWinston、Camel、MEVIUS、LDなどのグローバルブランドを保有。
    • 事業セグメント構成(売上比率・営業利益寄与は概ね):たばこ(主力、連結売上の約92%)、医薬(縮小・再編進行)、加工食品(冷凍麺・パックご飯・お好み焼き等)。
    • 海外売上比率:約79%(2024.12)。
  • 最近のトピック
    • 2025/5/7に医薬事業の塩野義製薬への承継および連結子会社(鳥居薬品)株式譲渡を公表。非中核の医薬事業を再編し、たばこ/RRP(低リスク製品)・食品へ資源集中。
    • 自己株式取得を継続的に実施。自己株保有比率は約11.2%。
  • 従業員数・平均年収
    • 従業員数:53,593人、平均年齢:41.3歳、平均年収:951万円。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション
    • グローバルのたばこ大手の一角(PMI、BAT、Imperial等と並ぶ規模)。国内の紙巻たばこ市場で高いシェアを保持。加熱式は「プルームX」で拡販中。
  • 競争優位性
    • 強力なグローバルブランド群と規模の経済、価格改定(プライシング)による収益安定性。
    • 地域分散(Asia/Western Europe/EMA)による為替・規制の分散効果。
  • 課題
    • 世界的な喫煙率低下と規制強化(増税、パッケージ規制等)。
    • 加熱式・E-vaporなどRRPでの競争(IQOS・glo等)への対応強化が必要。
    • ロシア・ウクライナ情勢の不確実性(ロシア事業の運営方針見直しを検討中)。

3. 経営戦略と重点分野

  • ビジョン・中期方針(経営計画2025:2025–2027)
    • 為替一定ベースで「調整後営業利益」の年平均mid to high single digit成長を目標(計画2025ではhigh single digit想定)。
    • 資本配分は、安定的な配当を基本に、機動的な自己株式取得を組み合わせる方針。
  • 重点施策
    • たばこ事業
    • 価格・ミックス改善とブランド投資の最適化。
    • RRP(加熱式・E-vapor・スモークレス等)を重点成長分野に位置づけ、「プルームX」の継続拡販。
    • ポートフォリオ再編
    • 医薬事業の承継・子会社譲渡で非中核を整理し、コア事業に経営資源集中。
    • 地域別の深耕
    • EMA(欧州・中東・アフリカ等)での収益拡大、アジア・西欧でもブランド強化。

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル
    • たばこは数量減でも価格改定・プレミアム化で補えるモデル。高い粗利率・営業利益率が構造的に確保されやすい。
  • 変化への適応
    • RRPの開発・投入、規制・税制対応力、グローバル供給能力が強み。
  • リスクと耐性
    • 規制強化・訴訟・為替・地政学リスク(特にロシア)など不確実性は大きい一方、ブランド力とキャッシュ創出力で耐性を持つ構造。

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・開発動向
    • 加熱式「プルームX」や、infused tobacco capsules、heated tobacco sticksなどRRPを継続投入。
    • E-vapor、スモークレス領域も開発・展開。製品安全性・品質・ユーザー体験の改善に注力。
  • 収益牽引製品
    • 紙巻・加熱式含むグローバルブランド(Winston、Camel、MEVIUS、LD)。
    • 地域別ではEMAクラスターが売上・利益の大きな柱。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 現在値と各指標
    • 株価:4,851円
    • 予想EPS:278.24円 → 予想PER:約17.43倍(業界平均PER 19.5倍比で低位)
    • 実績BPS:2,286.58円 → PBR:約2.12倍(業界平均PBR 1.3倍比で高位)
    • 予想1株配当:208円 → 予想配当利回り:約4.29%
    • 予想配当性向(概算):208/278.24 ≈ 約75%(参考:直近トレーリングはEPS低下の影響で約184%)
  • 参考レンジ
    • 業界平均PERを適用:278.24円 × 19.5倍 ≈ 5,426円
    • 業界平均PBRを適用:2,286.58円 × 1.3倍 ≈ 2,973円
    • 指標間で示唆が分かれるため、利益成長の持続性(調整後ベース)と資本効率の改善度合いが評価のカギ。

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 50日移動平均:4,632.8円、200日移動平均:4,263.1円 → いずれも上回り、上昇トレンド。
    • 52週高値:4,929円(現値は高値比▲1.6%)→ 高値圏。
  • モメンタム・需給
    • 直近の騰勢は緩やかに上向き。信用倍率4.87倍と買い残優勢。出来高は3ヶ月平均(約381万株)並み〜やや下。
    • 年初来上昇率:約+17.8%。

8. 財務諸表分析

  • 成長(売上)
    • 売上高推移:2021年2.325兆円 → 2022年2.658兆円 → 2023年2.841兆円 → 2024年3.150兆円 → 過去12か月3.314兆円。
    • 3年CAGRは約11–12%と堅調。2025年上期(1–6月)は売上収益+10.5%。
  • 収益性
    • 2025年上期(IFRS):粗利率約57.9%、営業利益率約27.7%、純利益率約18.4%。
    • 調整後営業利益(為替一定)+24.7%と好調。LTMの営業利益は一時費用影響で低位だが、上期の改善で通期の伸長見込み(会社予想:営業利益7390億円)。
  • キャッシュフロー・資本効率
    • LTM営業CF:約5,372億円、レバードFCF:約298億円(投資・税支払い等で伸び鈍化)。
    • 2025年上期の営業CFは前年比減(税・たばこ税支払い等の時期要因)。
    • ROE(実績):約4.7%(上期ベース簡易計算では改善傾向)。
  • 財務健全性・流動性
    • 自己資本比率:49.1%(2025/6末、前期末45.0%から改善)。
    • 現金等:8,652億円、総有利子負債:1.63兆円 → ネットデット約7,750億円。
    • D/E(総負債/資本)概算:約1.02、Debt/Equity(直近):約39%台、流動比率1.85倍。
    • ネットデット/EBITDAは概ね1.3–1.4倍程度とみられる。
  • セグメント
    • たばこ事業が収益の柱(上期外部収益1.61兆円、調整後営業利益5561億円)。EMAが最大クラスター。
    • 医薬は再編中、加工食品は安定成長。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当
    • 2025年通期予想:1株208円(中間104円+期末104円)、予想利回り約4.29%。
    • 配当性向は予想EPSベースで約75%(安定配当方針)。
  • 自社株買い
    • 中間期にも取得実績あり。自己株保有比率は約11.2%。
  • 株主構成
    • 政府(財務大臣)保有約33.3%。インサイダー保有比率約34.7%、機関保有約18.2%とフリーフロートは限定的。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • モメンタム
    • 50日・200日線上で推移し、52週高値圏に位置。年初来パフォーマンスは堅調。
  • 関心材料
    • RRP拡大の進捗、価格改定、為替動向、ロシア事業の取り扱い方針、医薬事業の承継完了、配当・自己株買い政策が株価に影響。
    • 信用買い残増(前週比+2.33万株)と売り残減で短期は買い優勢の需給。

11. 総評

  • たばこ中核の高収益体質と強い価格決定力、地域分散が安定性を支える。2025年上期は為替一定・調整後ベースで高い伸びを示し、中期計画の進捗は良好。
  • 一方で、規制・訴訟・税制・喫煙率低下、地政学(特にロシア)などの構造的リスクは大きい。RRPの競争力強化とポートフォリオ再編(医薬事業の整理)による集中と効率化が鍵。
  • バリュエーションはPERで業界平均比やや低位、PBRでは高位と見解が分かれる局面。配当は安定的で、自己株買いも機動的に活用。
  • テクニカル面では高値圏で推移しており、短期的な値動きには需給・イベントの影響に留意が必要。

(注)本レポートは公開情報に基づく客観的整理であり、投資判断を目的とした助言ではありません。

12. 企業スコア

  • 成長性:A
    • 根拠:LTM売上+約5%、直近数年のCAGR約11–12%。2025年上期も二桁増収。
  • 収益性:A
    • 根拠:上期の粗利率約58%、営業利益率約28%と高水準。たばこ事業の調整後営業利益も堅調。
  • 財務健全性:A
    • 根拠:自己資本比率約49%、流動比率1.85倍、D/E約0.39、ネットデット/EBITDA約1.3–1.4倍で健全。
  • 株価バリュエーション:B
    • 根拠:PERは業界平均以下で割安感、一方PBRは平均超。配当利回りは社内過去平均(5年)より低めで総合中立。

参考データ(抜粋)

  • 2025年上期(IFRS)
    • 売上収益:1兆7,345億円(+10.5%)
    • 営業利益:4,799億円(+10.9%)
    • 親会社帰属利益:3,199億円(+4.8%)
    • 調整後営業利益(為替一定):5,651億円(+24.7%)
  • 通期予想(2025年)
    • 売上収益:3兆3,440億円、営業利益:7,390億円、EPS:278.25円、配当:208円
  • テクニカル
    • 50日MA:4,632.8円、200日MA:4,263.1円、52週高値:4,929円/安値:3,700円
  • バリュエーション
    • PER(予想):17.43倍、PBR(実績):2.12倍、配当利回り(予想):約4.29%
  • 財務
    • 自己資本比率:49.1%(2025/6)、現金等:8,652億円、総有利子負債:1.63兆円、営業CF(LTM):約5,372億円

必要に応じて、セグメント別の前年比較や比率分解(価格/数量/ミックス/為替の寄与)など、追加資料も作成可能です。


企業情報

銘柄コード 2914
企業名 日本たばこ産業
URL http://www.jti.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 食品 – 食料品

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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

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By シャーロット

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