愛知製鋼(5482)企業分析レポート
株価:2,556円(2025-10-02終値)
市場区分:プライム 業種:鉄鋼
1. 企業情報
- 概要:トヨタグループの特殊鋼大手。自動車向けの構造用鋼・ばね鋼・軸受鋼などの特殊鋼、ステンレス鋼、鍛造品(エンジン・駆動系・e-Axle等)を主力とし、磁気応用(MIセンサ、ボンド磁石)、アモルファスワイヤ等の電子部品・材料も展開。建築・土木向けやチタン材も取り扱い。
- セグメント構成(会社区分):鋼(ハガネ)、鍛(キタエル)、スマート、ステンレス、その他
- 連結事業構成(売上比率/営業利益率、カッコ内は営業利益率の目安。資料値):鋼36%(4%)、鍛42%(2%)、スマート7%(4%)、ステンレス15%(9%)、他1%(5%)
- 特徴:トヨタグループ向け比率が高く、品質・加工技術に強み。電子部品・磁気応用など非鉄・スマート領域の育成を進める。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の特殊鋼・鍛造の有力メーカー。大同特殊鋼、山陽特殊製鋼、日本製鉄(特殊鋼関連)等が主要競合。トヨタグループ向けを軸に安定的な需要基盤を持つ。
- 競争優位性:
- グループ内需要と認証・品質要求への対応力(自動車品質・トレーサビリティ)
- 鍛造・熱処理・高機能材まで一貫の加工技術
- MIセンサ等の独自技術(スマート領域)による差別化の余地
- 課題:
- 自動車生産動向への感応度が高い(景気・サプライチェーンの影響)
- 原燃料・スクラップ価格、エネルギーコストの変動
- EV化によるパワートレイン部品構成の変化(エンジン系部材の需要構造変化)
3. 経営戦略と重点分野
- 方針(決算短信・開示要旨より)
- 価格政策の適正化と原価低減の継続(販売価格是正、購入品価格の低下効果取り込み)
- 自動車向け特殊鋼・鍛造品の安定供給と高付加価値化(e-Axle等の新領域)
- スマートカンパニー(MIセンサ、磁石、電子材料)の成長加速
- ステンレスは数量・価格下押しへの対処(収益性維持)
- キャピタルアロケーション
- 自己株式取得(2025年Q1に約262億円)を実施
- 2026年3月期は特別配当を含む配当方針(年間134円予想、分割後ベース)
- 中期経営計画:詳細数値目標やKPIは本資料では明示なし
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:主に自動車向け特殊鋼・鍛造品の数量×単価+付加価値(材料設計・加工・熱処理・表面処理)。スマート領域のセンサ・磁性材料はライセンス/部材販売。
- 変化への適応:
- 原材料・エネルギー高への価格転嫁とコスト低減の継続
- EV化に伴う部品需要のシフトに合わせ、e-Axleや駆動系、電磁部材などの比重を高める
- 水素用高圧ステンレスや高機能材など新用途の開拓
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:MIセンサ、アモルファスワイヤ、Nd-Fe-B樹脂磁石など磁気応用技術。高強度・高靭性の特殊鋼設計、鍛造・熱処理のプロセス技術。
- 収益ドライバー:
- 鍛造品:販売価格是正が収益改善に寄与(Q1で増益)
- 鋼(特殊鋼):数量増+価格改善で黒字化
- スマート:電子部品・MIセンサの伸長
- ステンレス:数量・価格下落が課題
6. 株価の評価(バリュエーションの目安)
- 前提:株価2,556円、時価総額約1,650億円
- 指標
- PER(会社予想):約18.9倍(EPS予想135.3円)
- PER(実績LTMベースの目安):約25~26倍(LTM EPS約99.6円)
- PBR:0.79倍(BPS約3,251円)
- EV/EBITDA(概算):約6.1倍(EV=時価総額+有利子負債84.3億円-現金371.8億円 ≒ 2,121億円、EBITDA約346億円)
- 業界平均との比較(提示平均:PER 8.0倍、PBR 0.6倍)
- PERは業界平均を上回る水準
- PBRは平均をやや上回るが1倍未満
- 補足試算
- 産業平均PER(8倍)×EPS(予想135円)→ 約1,080円相当(単純比較)
- 産業平均PBR(0.6倍)×BPS(3,251円)→ 約1,950円相当
- 現在株価はPBR0.8倍近辺で、簿価水準に近いレンジでの評価
(注)単純比較であり、成長性・資本政策(自己株買い・特別配)・顧客基盤の安定性等の差は織り込まれていない可能性があります。
7. テクニカル分析
- 50日移動平均:2,579円/200日移動平均:1,979円
- 現在株価は50日線をやや下回り、200日線を大きく上回る局面
- 52週レンジ:3,040円(高値)~991円(安値)
- 現在は高値から約16%下、安値比では大幅上昇圏
- モメンタム(直近10日):2,800円台から2,550円台へ調整。出来高は3カ月平均(約46万株)より低下(10日平均約35万株)。短期は上値重く、長期は上昇トレンド継続の形状。
8. 財務諸表分析
- 収益性(LTMの主指標)
- 売上高:約3,024~3,033億円
- 営業利益率:約6.0%
- EBITDAマージン:約11~12%
- 当期純利益率:約3.4%
- ROE:4.8%(実績値として3.2%も提示あり)
- ROA:2.35%
- 成長トレンド(年次、売上/利益)
- 売上高:2,601(2022)→2,851(2023)→2,965(2024)→約2,993(LTM、百万円)と上昇基調(3年CAGR約+4~5%)
- 営業利益:312→392→1,037→約1,201(億円換算)で改善
- 2026年3月期Q1は売上+4.4%、営業利益+204.8%と増益(価格是正・コスト低下)
- 財務安全性
- 自己資本比率:58.0%(期末)→53.0%(2025/6末、自己株取得実施の影響)
- D/E(総負債/自己資本):約0.79倍(同)
- 有利子負債/自己資本:38.5%(6/30)
- 流動比率:1.64倍
- キャッシュフロー(LTM)
- 営業CF:432億円と堅調
- フリーCF:71億円(投資・株主還元を賄う水準)
- 2025年Q1は自己株取得約262億円で資本減、現金残高は微増
9. 株主還元と配当方針
- 配当予想(2026/3期、分割後表示):年間134円(うち特別配当合計76円)
- 配当利回り(会社予想ベース):約5.24%(株価2,556円)
- 予想EPS135円前後との単純比較では高い配当性向となる(特別配当含むため一時的に高め)
- 自己株式取得:2025年Q1に約262億円を実施
- 長期平均利回り:5年平均約2.0%(参考データ)
(注)配当は業績・資本政策・特別配当の有無で変動します。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 52週騰落率:約+184%(参考ベンチマーク+17%)
- 需給
- 信用買残:305千株(前週比▲44.5千)
- 信用売残:165千株(前週比+90.9千)
- 信用倍率:1.85倍
- 短期的には売り乗せ・買い整理の動きがあり、上値抑制要因となり得る
- 保有構造:インサイダー(グループ・関係会社)比率が高く(約45%)、フロートが約3,525万株。需給の影響を受けやすい局面がある一方、長期安定株主が多い構造。
11. 総評
- 自動車向け特殊鋼・鍛造の価格是正とコスト低減進展により、利益水準が改善。Q1は増収・大幅増益。
- スマート領域(センサ・磁性材料)が伸長し、事業ポートフォリオの非連続部分の拡大余地がある一方、ステンレスは数量・価格面で逆風。
- 財務は自己資本比率50%超・流動比率1.6倍と健全。有利子負債の比率も抑制的。
- バリュエーションはPBR0.8倍と簿価近辺だが、PERは業界平均を上回る。自己株買いと特別配当で株主還元を強化。
- テクニカルでは長期上昇基調を維持しつつ、直近は50日線割れで短期調整色。信用需給はやや上値重いサイン。
- リスク要因:自動車生産の変動、原材料・エネルギー価格、為替の影響。EV化・部材構成変化への対応力が中期の鍵。
(本レポートは提供データに基づき作成。投資判断は行っていません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoYプラス、Q1売上+4.4%、3年CAGR約+4~5%。
- 収益性:B
- 根拠:営業利益率約6%、EBITDAマージン約11~12%。鉄鋼業の中では中庸〜やや良好の水準。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率53~58%、流動比率1.64、D/E約0.39(有利子負債/自己資本)。保守的なバランスシート。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PERは業界平均(8倍)を上回り、PBRは0.79倍で平均0.6倍より高め。EV/EBITDA約6倍は中立~やや割高寄りのレンジ。
参考データポイント
– 年初来高値:3,040円/安値:1,242円(別データでは991円の表示もあり)
– 移動平均:50日線 2,579円/200日線 1,979円
– 次の主なイベント:決算発表スケジュール(通期・Q2以降)は未明示、配当権利落ち(2026/3/30予定、会社開示ベース)
企業情報
銘柄コード | 5482 |
企業名 | 愛知製鋼 |
URL | http://www.aichi-steel.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
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