王子ホールディングス(3861)企業分析レポート
作成日時:2025-10-02 10:46(提供データに基づく。数値は百万円・円単位混在)
株価:788.4円(前日比 -1.0%程度)/時価総額:797,203百万円/配当利回り(会社予想):4.58%
1. 企業情報
- 概要:1873年創立の国内最大手製紙グループ。生活産業資材(段ボール・白板紙・包装・ホーム/ウェルネスケア等)、機能材(感熱紙・特殊紙・粘着・フィルム等)、資源環境(パルプ・エネルギー・植林/木材)、印刷情報メディア(新聞・印刷情報用紙)を展開。海外(アジア・南米・NZ・中国など)比率が約41%。
- 事業セグメント構成(売上比/利益率の目安):生活産業資材41%、機能材12%、資源環境19%、印刷情報メディア12%、その他16%(カッコ内はセグメント利益率の参考、短信/Q1実績ベースでばらつきあり)。
- 特徴:国内板紙トップ、洋紙2位クラス。森林資源〜パルプ〜紙〜加工の垂直統合と海外拠点を活かすバリューチェーン。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内最大級。段ボール原紙・板紙で強固、感熱紙など機能材もグローバルに展開。
- 競争優位性:
- 海外植林・パルプ資源を含む上流資源の内製力
- 包装・機能材など成長分野へのポートフォリオシフト(Walki買収等)
- 国内外の供給網・物流・エンジニアリング機能
- 課題:
- 印刷・情報用紙の構造的需要減
- パルプ市況・為替・原燃料価格などコモディティ要因の変動
- 物流費・人件費上昇によるコスト圧力
- 一部事業の再編・撤退に伴う一時費用
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画2027(準備期):
- 重点:資本効率向上、ポートフォリオ転換、サステナビリティ促進
- 2027年度目標:営業利益1,200億円、当期純利益800億円、ROE 8%、ネットD/E≦1.0倍
- 資本政策:政策保有株売却(450億円)、退職給付信託見直し(210億円)、自己株式取得(最大1,200億円方針)、配当性向50%方針
- 重点分野:
- サステナブルパッケージング/液体紙容器の強化(Walki連結寄与)
- 機能材(感熱・粘着・フィルム等)での高付加価値化
- 資源環境(植林・パルプ・エネルギー)の効率改善と安定運転(NZ Pan Pac再稼働)
- 不採算/非中核の構造改革
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:包装・家庭紙等のディフェンシブな需要+機能材の高付加価値+資源/パルプのサイクル要因のミックス。
- 適応力:
- 価格改定・コスト転嫁の継続、効率化・生産性改善
- 紙からパッケージ・機能材へのポートフォリオ転換
- 脱炭素/循環資源需要を追い風とした素材転換提案
- リスク:パルプ・為替のボラティリティ、物流/人件費の構造的上昇、構造改革の一時損失発生。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向・独自性:
- 感熱紙、粘着、機能性フィルムなどでの配合・塗工技術
- サステナブルパッケージ(バリア紙、再生材活用、プラ代替)
- 植林・パルプ工程の高度化、エネルギー最適化
- 収益牽引:
- 生活産業資材(段ボール・白板紙・ホーム/ウェルネスケア)
- 機能材(感熱・特殊紙・粘着)
- 資源環境(パルプ)—市況の回復局面は利益貢献が大きい
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提数値:株価788.4円、EPS(会社予想)70.16円、BPS 1,126.67円
- 指標比較
- PER:11.2倍(業界平均 9.5倍より高い)
- PBR:0.70倍(業界平均 0.5倍より高い)
- 配当利回り:4.6%前後(会社予想36円)
- EPS利回り:70.16/788.4 ≈ 8.9%
- PSR(時価総額/売上):797.2/1,849.3 ≈ 0.43倍
- EV/EBITDA(LTM):約8.4倍(EV≒1.68兆円、EBITDA≒1,995億円)
- コメント:PBRは1倍を下回るが、PER/PBRともに業界平均比ではやや高め。期待(事業再編・利益回復・資本政策)を一定程度織り込む水準。
7. テクニカル分析
- トレンド位置:株価788.7円は50日移動平均線(約789円)近辺、200日移動平均(約681円)は上回る。52週高値854円の約-7.6%、52週安値541円の+45%水準。
- 直近の値動き:9/29の配当落ち(18円)後に下押し、短期は戻り待ちのレンジ。年初来では上昇トレンド維持。
- 需給:信用買残は減少、売残は増加(信用倍率2.59倍)。短期は上値が重くなりやすい需給。
8. 財務諸表分析(連結)
- 収益・成長
- 売上高(LTM):1,849,264(前年比+9.0%程度、Q1は+4.4%)
- 3年CAGR(2022→LTM):約+7.9%
- 収益性(LTM)
- 粗利率:約18.9%(349,395/1,849,264)
- 営業利益:67,687(営業利益率約3.7%)※Q1単体は0.81%
- EBITDA:199,474(マージン約10.8%)
- 当期純利益:46,171(純利益率約2.5%)
- ROE(実績):4.26%(LTMベースは低位推移)
- コスト/一過性
- 原燃料・物流費上昇、為替差損の影響
- 一時費用(事業構造改善等)計上あり(短信に特損記載)
- 財政状態・安全性(6/30/2025)
- 自己資本比率:41.8%(短信期末ベース約40%)
- 純有利子負債:約8,796億円、ネットD/E約0.8倍
- 流動比率:約1.07倍(ややタイト)
- キャッシュ:691億円
- トレンド評価
- 2022→2024で営業/純利益は減少傾向、LTMで売上は回復、利益はなお過渡期。
- EBITDAはFY24比で持ち直しつつも、Q1の採算は低下。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:年間36円予想(中間18円・期末18円)、配当性向目安50%方針。5年平均利回り2.75%に対し、現状は高め。
- 自社株買い:中計で最大1,200億円規模の自己株式取得方針(実行時期・規模は機動的)。期末自己株式は増加傾向(短信:自己株約9%水準の記載あり)。
- その他:政策保有株の売却継続方針。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:52週で約+45%と相対的に強い推移。直近は配当落ち・利益確定で一服。
- テーマ/関心材料:
- パルプ市況・為替動向(円安/円高、外貨負債の評価替え)
- 原燃料・物流費の推移と価格転嫁進捗
- パッケージ・機能材の伸長、印刷情報メディアの縮小対応
- 中計の資本政策(自己株取得・政策株売却)進捗
11. 総評
- まとめ:
- 国内トップの規模と資源一貫体制、海外展開を強みに、紙需要構造変化に対応しつつ包装・機能材へ転換中。
- LTMでは売上が回復、EBITDAも持ち直し。一方、Q1は為替差損やコスト上昇で採算低下。通期は増益計画(営業利益+10.8%)を維持。
- 財務は自己資本比率40%台・ネットD/E0.8倍と概ね良好だが、流動比率は1倍強とタイト。
- バリュエーションはPBR<1倍ながら、PER/PBRは業界平均比でやや高め。中計の資本効率改善と利益回復の実現度合いが評価の鍵。
- リスク/注視点:パルプ市況・為替の変動、原燃料/物流費、印刷用紙の構造的減少、構造改革費用の発生、海外拠点の稼働安定。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 根拠:LTM売上YoY約+9%、3年CAGR約+7.9%。Q1も+4.4%。
- 収益性:B
- 根拠:LTM営業利益率約3.7%、EBITDA率約10.8%。Q1は一時的に低下(0.8%)。業界平均情報が限定的なため中立評価。
- 財務健全性:A
- 根拠:自己資本比率約42%、ネットD/E約0.8倍。流動比率1.07倍は留意点。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PER11.2倍・PBR0.70倍は業界平均(9.5倍/0.5倍)よりやや割高。PBR1倍未満・配当利回りは相対的に高め。
参考データ・注記
– 直近四半期(2026年3月期1Q):売上+4.4%、営業利益3,703、親会社純利益▲5,157。特別損益や為替差損の影響あり。
– 今後の予定:決算発表(2025-11-06 6:30 UTC)、配当権利落ち予定(2026-03-30)等。
– 株式数・自己株の数値は資料間で基準時点の違いによる差異がある可能性。
本レポートは提供情報に基づく企業分析であり、投資勧誘や個別の投資助言を目的とするものではありません。投資判断はご自身の責任で、最新の一次情報(決算短信・有価証券報告書等)をご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 3861 |
企業名 | 王子ホールディングス |
URL | http://www.ojiholdings.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – パルプ・紙 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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