1. 企業情報
アルインコは、建設用仮設材の販売・レンタルを主要事業とし、そのほか住宅機器（脚立、フィットネス器具、玄米保冷庫など）や電子機器（無線通信機器、プリント配線板など）の製造・販売も手掛ける企業です。仮設機材事業では足場等の建設機材を、住宅機器事業ではDIY製品や健康器具を、電子機器事業では無線通信や部品を提供し、多様な分野で事業を展開しています。本社は大阪にあり、1970年に設立され、東証プライム市場に上場しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
アルインコは建設用仮設材の販売・レンタルにおいて主要なプレーヤーの一つです。国内市場では、都市再開発やインフラの老朽化対策を背景に建設・住宅関連需要は底堅く推移しており、また建設現場での効率性や安全性向上の観点から、仮設機材の「購買からレンタルへ」という市場ニーズの変化が継続しています。同社は、販売事業とレンタル事業の連携強化、新型足場の開発・展開、付加価値製品の市場投入、およびレンタル資産への継続的な投資を通じて競争力を維持・向上させています。一方で、建設資材価格の高騰や人手不足といった業界全体の課題に直面しています。具体的な市場シェアの数値は提供されていません。
3. 経営戦略と重点分野
アルインコは、中期経営計画2027（2025年3月期～2027年3月期）において、「コア事業の進化と事業ポートフォリオの再構築」を基本戦略としています。主要な戦略と重点分野は以下の通りです。
– コア事業の進化: 建設機材の販売事業とレンタル事業の連携を強化し、収益基盤の安定化と拡大を図ります。
– 製品戦略: 新型足場「アルバトロス」をはじめとする、安全性や作業効率を高める付加価値製品の市場展開を積極的に行います。
– レンタル資産投資: 建設現場でのレンタル需要の高まりに対応するため、レンタル資産への継続的な投資を実施し、顧客ニーズに応じた柔軟なサービス提供を目指します。
– 事業ポートフォリオの再構築: 各事業セグメントの収益性改善と成長機会の探求を通じて、企業価値の向上を図ります。
4. 事業モデルの持続可能性
アルインコは、建設機材の販売・レンタル、住宅機器、電子機器という異なる事業領域を持つことで、リスク分散を図っています。特に、建設機材レンタル市場は「購買からレンタルへ」のトレンドが継続しており、この市場ニーズに対応する形で事業を強化していることは持続可能性を高める要因と考えられます。レンタル資産への投資は初期費用を伴うものの、安定的な収益源となる可能性があります。住宅機器事業では、玄米保冷庫やフィットネス機器など、生活関連ニーズに対応した製品を提供しています。電子機器事業では、消防無線更新需要のような特定の市場を取り込み、収益を上げています。一方で、建設資材価格や賃金の上昇、為替変動（特に為替差損益の発生）は、事業の収益性に影響を与える可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
アルインコは、建設機材分野において新型足場「アルバトロス」を主力製品の一つとして展開しており、これは安全性と作業効率の向上に貢献する独自性を有しています。
主な収益を牽引している製品・サービスは以下の通りです。
– 建設機材関連事業: 仮設足場材、物流保管機器などの販売。
– レンタル関連事業: 仮設足場材、高所作業台などのレンタルサービス。
– 住宅機器関連事業: 脚立・踏台、玄米保冷庫、フィットネス機器、アルミ加工品など。
– 電子機器関連事業: 消防無線機器、特定小電力トランシーバー、プリント配線板など。
具体的な深い技術革新の詳細は提供データからは読み取れませんが、各事業分野で市場ニーズに応じた製品開発と改良を進めていることがうかがえます。
6. 株価の評価
現在の株価は1,071.0円です。
– PER（株価収益率）: 会社予想EPS 109.57円に基づくと、PERは9.76倍です。業界平均PER 17.5倍と比較すると、割安な水準にあります。
– PBR（株価純資産倍率）: 実績BPS 1,587.70円に基づくと、PBRは0.67倍です。業界平均PBR 0.7倍と比較して、ほぼ同水準かやや割安な水準です。
これらの指標は、現在の株価が業界平均と比較して割安感を示している可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価1,071.0円は、年初来高値1,115円に近く、年初来安値876円からは上昇した水準にあります。
– 移動平均線との比較:
– 50日移動平均線 (1,069.62円) をわずかながら上回っています。
– 200日移動平均線 (1,035.61円) を上回っています。
株価は短期・中期移動平均線を上回って推移しており、上昇トレンドの継続を示唆する可能性があります。直近10日間の株価推移では、一時1,115円を記録した後、本日終値で1,071.0円と小幅に下落する動きが見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去12か月の売上高は61,601百万円と、過去数年間で概ね堅調に推移しています。2026年3月期第1四半期累計の売上高は15,415百万円で、前年同期比+6.1%と増加しました。
- 利益:
- 売上総利益率は過去12か月で約26.0%です。
- 営業利益率は過去12か月で約3.57%です。
- 2026年3月期第1四半期累計の営業利益は643百万円で前年同期比では+16.9%と増加しましたが、経常利益は614百万円で同△20.5%、純利益は399百万円で同△40.4%と減少しました。これは、主に為替差益の減少や為替差損の計上、特別利益の減少が影響しています。
- キャッシュフロー: 第1四半期累計のキャッシュフロー計算書は提供されていません。
- 収益性指標: ROEは6.27%、ROAは2.03%と、資本や資産の活用効率は中程度の水準です。
- 財務健全性: 自己資本比率は45.1%（直近四半期で44.8%）と40%を超え、流動比率も2.05倍（205%）と200%以上を維持しており、財務基盤は比較的健全な状態にあると考えられます。総負債D/E比率は81.89%です。
9. 株主還元と配当方針
アルインコは、安定的な配当による株主還元を重視しており、配当性向40%を目標としています。
– 1株配当（会社予想）: 44.00円
– 配当利回り（会社予想）: 4.12% (現在の株価1,071.0円に基づく)
– 配当性向（過去12か月）: 43.47%
2025年3月期の年間配当は43.00円であり、2026年3月期は44.00円への増配を予想しています。自社株買いに関する情報は提供されていませんが、目標配当性向に基づいた配当を継続する方針です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
アルインコの株価は、直近52週間で13.24%上昇しており、一定の勢いが見られます。ただし、市場全体の動き（S&P 500の同期間の変動率17.34%）と比べると劣後しています。
– 投資家関心: 本日の出来高は31,800株と、平均的な出来高（3か月平均38,820株、10日平均67,640株）を下回っています。信用買残が144,100株、信用売残が3,600株であり、信用倍率が40.03倍と信用買いが優勢な状況です。
– 株価への影響を与える要因: 建設・住宅関連市場の動向、資材価格や労務費の変動、為替レートの変動による業績への影響、レンタル資産投資の進捗とその収益貢献度、中期経営計画の達成状況などが株価に影響を与える可能性があります。
11. 総評
アルインコは、建設機材の販売・レンタルを主軸に、住宅機器や電子機器といった多角的な事業を展開しています。建設業界の堅調な需要とレンタル化のトレンドを捉え、新型足場の開発やレンタル資産への投資を通じた成長戦略を推進しています。財務体質は自己資本比率や流動比率から健全性が高いと評価されます。収益面では、直近の第1四半期決算において、為替影響や特別利益の減少により経常利益・純利益は減益となりましたが、売上高と営業利益は増加しており、通期予想は変更されていません。株価は業界平均と比較してPBR・PERともに割安感があり、高い配当利回りも魅力の一つです。テクニカル面では移動平均線を上回っており、上昇トレンドを示唆する可能性があります。今後の注目点は、為替変動リスクの管理と、レンタル資産投資が収益にどう貢献していくか、そして中期経営計画の達成状況となります。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 直近12か月の売上高は堅調に推移しており、前年度比成長率もプラス。第1四半期の売上高も前年同期比+6.1%と伸びており、中期的な成長が期待されます。
- 収益性: B
- 過去12か月の営業利益率は約3.57%、EBITDA率は約9.23%と、建設・製造業としては一般的な水準です。第1四半期では為替要因などによる経常・純利益の減少が見られましたが、通期では回復を見込むことからも中立評価とします。
- 財務健全性: A
- 自己資本比率45.1%、流動比率205%、D/E比率81.89%と、いずれも健全な水準を維持しており、強固な財務体質と評価できます。
- 株価バリュエーション: A
- PER（会社予想）9.76倍は業界平均17.5倍と比較して大幅に割安です。PBR（実績）0.67倍も業界平均0.7倍と同水準かやや割安であり、総合的に見て株価は相対的に割安感がある状態です。
企業情報
| 銘柄コード | 5933 |
| 企業名 | アルインコ |
| URL | http://www.alinco.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 金属製品 |
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