以下は、株式会社エノモト(証券コード:6928)の企業分析レポートです。
1. 企業情報
株式会社エノモトは、1967年に設立された精密プレス加工技術を基盤とする電子部品メーカーです。主に半導体やLED製品に用いられるリードフレーム、およびコネクタ用部品の開発、製造、販売を手掛けています。その微細加工技術を活かした精密プレス金型の製造にも強みを持っています。同社の製品は、自動車、コンシューマー機器、産業機械、ウェアラブルデバイス、スマートフォンなど多岐にわたる分野で利用されています。連結事業構成(2025年3月期実績)は、パワー半導体用リードフレームが40%、オプト用リードフレームが13%、コネクタ用部品が45%、その他が2%となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
エノモトは、半導体・LED用リードフレームおよびコネクタ用部品の分野において、精密プレス金型技術を競争優位性として確立しています。特に微細加工技術においては定評があり、これを活かしてLED製品やハイエンド民生機器向けの需要を取り込んでいます。また、メッキ工程の内製化を進めることで、製造コストの削減と付加価値の向上を図っています。特定の市場シェアに関する具体的な数値は開示されていませんが、精密加工技術と内製化によるコスト競争力が同社の強みと考えられます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、市場ニーズの変化に対応し、特定の製品分野での成長を目指しています。2026年3月期第1四半期決算では、以下の施策が利益改善に寄与したと認識されています。
– 付加価値の取り込み: メッキ工程の内製化を推進し、製品の付加価値を高めるとともに原価低減を図っています。
– ハイエンド製品の増産: 特にLED用やスマートフォン、ウェアラブルデバイス向けのハイエンド製品の生産拡大に注力しています。
– 製造工程の自動化・効率化: 生産性の向上とコスト削減のため、自動化・効率化投資を進めています。
短期的な課題としては、自動車向け需要や産業機器向けの在庫調整による需要回復の遅延が挙げられており、世界経済の不不確実性も懸念材料となっています。
4. 事業モデルの持続可能性
エノモトの事業モデルは、精密プレス加工技術を核とする電子部品の製造販売です。リードフレームやコネクタ部品は、様々な電子機器に不可欠な基幹部品であり、幅広い産業の成長に連動する特性を持っています。今後もIT技術の進化やDXの進展に伴い、半導体や電子部品の需要は継続すると見込まれます。ハイエンドLED向けやスマートフォン向け部品の増産、自動車、ウェアラブルデバイスなど多様な最終製品への提供を通じて、市場ニーズの変化への適応を図っています。また、環境負荷低減に向けた製品開発や生産効率の向上も持続可能性を高める要素となり得ます。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術革新は、長年の経験に裏打ちされた精密プレス金型技術にあります。特に「微細加工」に強みを持ち、複雑な形状や高い精度が要求される部品製造で独自性を発揮しています。
収益を牽引している主力製品は以下の通りです。
– パワー半導体用リードフレーム: 自動車、民生・産業機器などに使用され、電子制御の進化に伴い需要が見込まれる製品です。
– オプト用リードフレーム: LED製品向けが中心で、特にハイエンド民生向けの量産拡大により成長しています。
– コネクタ用部品: スマートフォン、ウェアラブルデバイス、自動車向けなどが堅調に推移し、売上を安定的に支えています。
6. 株価評価
現在の株価1,600.0円と各種指標を比較します。
– PER(会社予想): 14.57倍
– 予想EPS 109.79円に基づくと、理論株価は109.79円 × 14.57倍 = 約1,600円となり、現在の株価とほぼ同水準です。
– 業界平均PER 24.2倍と比較すると、現在のPERは低い水準にあります。
– PBR(実績): 0.48倍
– 実績BPS 3,325.81円に基づくと、理論株価は3,325.81円 × 0.48倍 = 約1,596円となり、現在の株価とほぼ同水準です。
– 業界平均PBR 1.6倍と比較すると、現在のPBRは低い水準にあり、資産価値に対し割安感が示唆されます。
これらの指標から見ると、現在の株価は企業の実績および予想利益に対して妥当な水準、あるいは業界平均と比較して割安な水準にあると言えます。
7. テクニカル分析
現在の株価1,600.0円は、年初来高値1,754円、年初来安値1,051円の間で推移しています。
直近の株価推移を見ると、9月中旬から下旬にかけて1,700円台で高値をつけた後、月末から10月にかけては下落傾向にあり、10月1日には1,600円となっています。
50日移動平均線1,584.00円をわずかに上回っていますが、200日移動平均線1,435.26円は大きく上回っており、中長期的には上昇トレンドにあると見ることができます。ただし、直近は調整局面に入っている可能性があります。
8. 財務諸表分析
売上高:
– 2022年3月期: 27,250百万円
– 2023年3月期: 29,265百万円(前年比+7.4%)
– 2024年3月期: 25,244百万円(前年比-13.7%)
– 過去12か月(2025年3月期見込み): 26,880百万円(前年比+6.5%)
– 2026年3月期第1四半期: 7,146百万円(前年同期比+9.8%)
売上高は2024年3月期に一度減少しましたが、直近の2025年3月期および2026年3月期第1四半期では回復基調にあります。
利益:
– 営業利益は2022年3月期の2,012百万円から2024年3月期には160百万円まで大きく落ち込みました。
– 過去12か月では618百万円に回復しており、特に2026年3月期第1四半期では311百万円(前年同期比+198.3%)と大幅な回復を見せています。
– 純利益も同様に2024年3月期には121百万円まで減少しましたが、第1四半期では263百万円(前年同期比+458.6%)と大きく改善しています。
営業利益率は、過去12か月で2.3%程度、直近第1四半期では4.4%に改善しています。
効率性・収益性指標:
– ROE(実績): 2024年3月期 2.09%、過去12か月 3.10%。低い水準にあります。
– ROA(実績): 過去12か月 1.56%。低い水準にあります。
財務健全性:
– 自己資本比率(実績): 2024年3月期 66.7%、2026年3月期第1四半期 65.4%。非常に高い水準を維持しており、財務基盤は強固です。
– 流動比率(直近四半期): 2.19倍。流動負債に対する流動資産が十分にあり、短期的な支払い能力は健全です。
– 総負債/自己資本比率(D/E)(直近四半期): 20.75%。負債比率が低く、財務的なリスクは小さいと評価できます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 4.44% (株価1600円、1株配当71円に基づく)。比較的高い水準です。
- 1株配当(会社予想): 71.00円。2025年3月期実績も同額です。
- 配当性向: 会社財務指標によるPayout Ratioは103.89%と非常に高い水準を示しています。これは、直近の利益水準に対して配当額が大きいことを意味し、安定配当維持の意志が示唆されます。過去の利益変動が大きいため、利益が低い期には配当性向が高くなる傾向が見られます。
- 自社株買い: 株主情報に自己株式口の記載はあるものの、具体的な自社株買いの発表による株主還元策に関する追加情報の開示はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、9月中旬から下旬にかけて高値をつけた後、10月1日には1,600円まで下落し、調整局面にある模様です。しかし、中・長期移動平均線(200日移動平均線)を上回っており、基調としては堅調さを維持しています。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回り(信用倍率591.00倍)、投資家の買い意欲が高いものの、将来的な需給の偏りによる調整リスクも考えられます。
株価への影響を与える要因としては、半導体市場全体の動向、特に自動車向けや産業機器向けの在庫調整の解消時期、スマートフォンやウェアラブルデバイスの需要動向、そして為替の変動(円安は海外売上高の円換算額を押し上げる)などが挙げられます。
11. 総評
エノモトは、微細加工に強みを持つ精密プレス金型技術を核に、半導体・LED用リードフレームやコネクタ部品を製造する電子部品メーカーです。財務基盤は自己資本比率65%超と非常に強固であり、流動比率、負債比率も健全な水準にあります。
過去数年間は利益水準の変動が大きかったものの、直近の2026年3月期第1四半期では、売上高・利益ともに大幅な回復を見せており、通期予想に対しても順調に進捗しています。これは、メッキ工程の内製化やハイエンド製品の増産、製造効率化といった戦略が奏功しているためと見られます。
株価バリュエーションはPER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、高い配当利回りも魅力の一つです。一方で、高すぎる配当性向や、過去の利益変動の大きさは留意すべき点です。直近の株価は調整局面に入っていますが、中長期的な回復トレンドにあると評価できます。今後の業績の持続的な回復と、成長戦略の具体化が投資家の関心をさらに高める要因となるでしょう。
12. 企業スコア
- 成長性: B(中立)
- LTM売上成長率は約6.5%、直近四半期売上成長率は9.8%と回復傾向にありますが、過去数年間では売上・利益に変動が見られます。成長ドライバーのさらなる明確化が望まれます。
- 収益性: C(やや低い)
- 過去12か月および直近第1四半期では営業利益率が改善しているものの、依然として業界平均を上回る高水準とは言えず、ROEも低い水準です。
- 財務健全性: S(非常に健全)
- 自己資本比率65.4%、流動比率2.19倍、D/E比率20.75%といずれの指標も非常に健全な水準であり、財務基盤は極めて強固です。
- 株価バリュエーション: S(非常に割安)
- PER(会社予想)14.57倍、PBR(実績)0.48倍は、それぞれ業界平均の24.2倍、1.6倍と比較して大幅に低い水準にあり、割安感が強いと評価できます。
本レポートは提供された情報に基づき作成されたものであり、特定の有価証券の取得、売却等の勧誘又はその推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任において行ってください。本レポートの情報の正確性、完全性について保証するものではありません。
企業情報
銘柄コード | 6928 |
企業名 | エノモト |
URL | http://www.enomoto.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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