ニチハ(7943)企業分析レポート(2025-10-03時点)
株価:2,720円/時価総額:約1,015億円/配当利回り(会社予想):4.19%
市場区分:東証プライム/業種:ガラス・土石(建設・資材)/海外売上比率:約23%(2025.3)
1. 企業情報
- 概要:窯業系外壁材(繊維強化セメント系サイディング)の国内最大手。住宅向けを中核に、非住宅(商業・公共)や海外(米国は現地生産)も展開。内装材、断熱パネル、養生板、工事・リフォームなど周辺領域も手掛ける。
- 主要製品・サービス:外装材、屋根材、軒天、耐火下地材、内装材、外装部材・副資材、シーリング、繊維板/設置・メンテ・改修サービス等
- 連結事業構成(目安):外装材94%、その他6%
- 従業員:3,158人(平均年齢46.2歳、平均年収705万円)
- 本社:名古屋市中区錦2-18-19
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内窯業系外壁材で最大手。高級感のある意匠性・デザイン性に強み。全国的な販売・施工ネットワークと米国での現地生産体制を保有。
- 競争優位性:
- 製品ラインアップと意匠性(高付加価値品)
- 価格改定によるコスト転嫁の取り組み
- 国内最大手の規模・供給力、米国現地生産(為替・関税リスクの一部緩和)
- 課題:
- 国内新設住宅着工の変動(足元は法改正前の駆け込み反動もあり弱含み)
- 原材料・物流コスト高止まり
- 米国住宅・非住宅投資の鈍化、為替・通商政策の不透明感
- 直近決算での「シェアダウン」示唆
※具体的な市場シェア数値は開示ベースで不明。
3. 経営戦略と重点分野
- 方向性(短信・開示に基づく要旨):
- 価格改定とコスト抑制(原材料・物流高に対応)
- 需要分散:非住宅・リフォーム(既存住宅の張り替え)比率の拡大
- 海外事業の強化(米国現地生産の活用)
- 高付加価値・意匠性製品の拡販
- 資本政策:2025年5月に自己株式33.7万株取得。自己株式比率が上昇し、一株価値指標の底上げに寄与。
- 業績予想(会社計画):2026年3月期 通期 売上1,475億円(前年比▲0.7%)、営業利益100億円(+43.8%)、純利益72億円(+166%)、EPS 211.61円を据え置き。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:外装材の製造販売が中心。新築依存度が高い一方、非住宅・リフォーム市場の開拓で需要平準化を図るモデル。
- 需要耐性:
- 住宅着工は景気・金利・制度変更の影響を受けやすいが、既存ストックの改修(リフォーム・再塗装・張替)需要は中長期的に底堅い傾向。
- 米国・海外展開で地理的分散を進める一方、為替や通商リスクの影響は残る。
- 適応力:価格改定や製品ミックス改善、現地生産による為替・輸送コストの抑制は、中期的な利益率回復の鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:繊維セメント系外装材の製造・意匠技術(テクスチャ表現、耐候・耐火性)、ユニット化・副資材連携による施工性向上。
- 主力領域:
- 高付加価値の外装材(高級意匠・大判・高耐候)
- 耐火下地、断熱パネル(省エネ・防耐火ニーズ)
- 米国向け外装材(現地需要に適合した製品展開)
- 足元の収益ドライバー:国内外装材(価格改定・ミックス改善)だが、住宅市況とコスト環境の影響大。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 予想EPS:212.37円 ⇒ 予想PER:約12.8倍(業界平均PER 18.3倍)
- 実績BPS:3,560.30円 ⇒ PBR:約0.76倍(業界平均PBR 1.4倍)
- 配当:年114円 ⇒ 予想配当利回り:約4.19%
- トレーリング配当性向:約146%(LTM EPS低下の影響)。会社予想EPSベースでは配当性向は約54%。
- EV/売上:約0.65倍(EV≒961億円、LTM売上1,484.8億円)
EV/EBITDA:約7.6倍(LTM EBITDA約126億円)
– コメント:主要指標(PER・PBR)は業界平均比で低位。PBRは1倍を下回り、簿価に対するディスカウントが見られる一方、ROEが低位である点が背景。
7. テクニカル分析
- 現在株価:2,720円は、50日移動平均(約2,966円)、200日移動平均(約2,965円)をともに下回る。
- 52週レンジ:2,674円~3,610円。現値は安値圏に近い水準。
- 直近イベント:9/29に配当落ち(57円)。その後、株価は弱含みで推移。
- 出来高:直近10日平均約10.8万株に対し当日7.2万株と低調。信用倍率2.42倍は中立圏。
- 総合所見:短期トレンドは下向き(下値・上値切り下げ)。移動平均線の下方で推移しており、モメンタムは弱め。
8. 財務諸表分析(傾向)
- 売上高(億円):1,286(2022)→ 1,381(2023)→ 1,428(2024)→ 1,485(LTM)
- LTM成長率:+4.0%、3年CAGR:約+4.9%
- 粗利・粗利率:514.9(40.0%)→ 523.1(37.9%)→ 507.4(35.5%)→ 508.5(34.3%)
コスト高の影響で粗利率は段階的に低下。
– 営業利益・営業利益率:125.8(9.8%)→ 117.1(8.5%)→ 102.1(7.2%)→ 69.6(4.7%)
コスト・市況要因で採算悪化。1Q単体の営業利益率は約3.3%。
– 純利益・純利益率:101.5(7.9%)→ 90.4(6.6%)→ 80.7(5.7%)→ 27.1(1.8%)
為替差損やコスト増の影響もありLTMは低位。
– EBITDA:189.8 → 161.9 → 169.6 → 126.0億円(マージン低下)
– ROE(実績):2.16%、ROA(LTM):約2.3%
– 財務安全性:
– 自己資本比率:約70%、流動比率:2.52倍
– 総現金:214.9億円、総有利子負債:161.4億円(ネットキャッシュ)
– D/E:約13.5%と低レバレッジ
– セグメント(1Q):外装材が売上の約93%・セグ利益の大半を占有。国内・米国とも市況弱含みで減収減益。
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:年114円(中間57円・期末57円)。5年平均配当利回りは約3.27%。
- 配当性向:LTMでは約146%と高水準(EPS低下が要因)。会社予想EPSベースでは約54%。
- 自社株買い:2025年5月に33.7万株を取得。自己株保有比率は上昇(自己株約8.8%)。
- 主要株主:信託銀行、住友林業、金融機関ほか。インサイダー保有約26%、機関投資家約30%。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- パフォーマンス:52週で約▲24%。ベータ0.33と相対的に低ボラティリティ。
- 直近10日:戻り売り基調。配当落ち後の反発力は限定的。
- 投資家関心のドライバー:
- 国内住宅着工の動向(法改正反動の収束タイミング)
- コスト(原材料・物流)と価格改定の進捗
- 為替・米国市況・通商政策(関税)の影響
- 利益率回復(会社計画の達成度)と追加の株主還元方針
11. 総評
- まとめ:国内窯業系外壁材の最大手として売上は堅調に拡大(LTM成長+4%、3年CAGR約+5%)する一方、コスト高・為替影響・市況鈍化で利益率は低下。財務基盤は強固(自己資本比率約70%、ネットキャッシュ)。バリュエーションは業界平均比で低位(PER・PBRとも低水準)。
- 注目点:①価格改定とミックス改善によるマージン回復、②国内の非住宅・リフォーム領域の伸長、③米国事業の収益性、④為替・通商リスク、⑤会社計画(増益計画)の進捗。
- リスク:住宅着工の変動、原材料・物流コストの高止まり、為替・関税、シェア動向。
(本資料は情報提供を目的としたもので、投資助言ではありません。)
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
理由:LTM売上YoY +4.0%、3年CAGR約+4.9%と持続的に増収。
– 収益性:C
理由:LTM営業利益率約4.7%、純利益率約1.8%、ROE低位。業界水準を下回ると判断。
– 財務健全性:S
理由:自己資本比率約70%、流動比率2.5倍、低D/E、ネットキャッシュ。
– 株価バリュエーション:A
理由:予想PER約12.8倍(業界平均18.3倍)、PBR約0.76倍(業界平均1.4倍)と相対的に低位。EV/売上約0.65倍、EV/EBITDA約7.6倍。
補足データ(参考)
- 今日の値動き:始値2,704/高値2,731/安値2,702/終値2,720円、出来高7.19万株
- 年初来高値:3,225円/年初来安値:2,674円
- 次回予定:配当権利落ち(予定)2026-03-30/決算発表は会社開示を要確認
企業情報
銘柄コード | 7943 |
企業名 | ニチハ |
URL | http://www.nichiha.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – ガラス・土石製品 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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