1. 企業情報
モリ工業は、主にステンレス管の製造・販売を手掛ける日本の企業です。ステンレス溶接管の分野では国内最大手として知られています。主な事業内容としては、ステンレス製の丸管、角管、複合管、ジョイント部品、条鋼加工品などの製品を製造・販売しています。これらの製品は、建設資材、手すり、家具、自動車部品など多岐にわたる分野で利用されています。連結事業別では、国内ステンレス管が売上の大半(55%)を占め、ステンレス条鋼(24%)、鋼管(12%)、海外ステンレス管(5%)、ステンレス加工品(2%)、機械(2%)が続きます。本社を大阪に置き、1929年創業の歴史のある企業です。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は「ステンレス管最大手」とされており、国内ステンレス管市場において高い競争優位性を有していると考えられます。特に加工技術に強みがある点が競争力の源泉とされています。主要な顧客セグメントは自動車向けと建設・手すり向けです。
しかし、現在の市場環境においてはいくつかの課題が見られます。決算短信によると、建築業界における人手不足や人件費高騰により建築案件が減少し、鋼材需要が低迷しています。また、安価な輸入材の流入やニッケル相場の下落が買い控えを引き起こし、市況は予測困難な状況です。海外事業では、インドネシアにおいて顧客の内製化の動きや需要低迷が見られ、事業収益に影響を与えています。
3. 経営戦略と重点分野
提供された決算短信には、具体的な中期経営計画や詳細な経営戦略に関する記述は限定的です。主にセグメントごとの現状の業績説明と、事業を取り巻くリスク要因(ステンレス鋼・ニッケル市況、為替、需給変動など)についての言及が中心となっています。通期の業績予想は維持されており、既存事業の安定運営を基盤としつつ、市場環境の変化に柔軟に対応していく姿勢がうかがえます。
4. 事業モデルの持続可能性
モリ工業の事業モデルは、ステンレス管の製造販売を核とし、建設、自動車、家具など幅広い産業への製品供給を通じて多角的な需要に対応できる構造を持っています。加工技術に強みがある点は、汎用品との差別化を図り、市場での競争力を維持する上で重要です。
一方で、市場ニーズの変化への適応に関しては、建築資材市場の低迷やインドネシア市場における顧客の内製化といった外部環境の変化に直面しています。ニッケル市況に収益が強く影響されるため、原材料価格の変動は収益の安定性に影響を与える可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は「ステンレス溶接管の大手で加工技術に強み」とされており、この加工技術が同社の独自性および競争力の源泉と考えられます。具体的な技術開発の動向に関する詳細な記述は提供資料では確認できませんが、長年の経験と実績に裏打ちされた生産技術が特徴と見られます。
主力製品としては、自動車向けや手すり向けなどのステンレス管、およびステンレス条鋼が挙げられます。直近の第1四半期決算では、日本事業においてステンレス管が6,230百万円、ステンレス条鋼が2,481百万円と、これらが売上の大部分を占める構成となっています。
6. 株価の評価
現在の株価は940.0円です。
* 会社予想EPS: 89.55円
* 実績BPS: 1,458.42円
* PER(会社予想)は10.50倍 (株価940円 ÷ 予想EPS89.55円 ≒ 10.497倍)。鉄鋼・非鉄業界の平均PER 8.7倍と比較すると、モリ工業のPERは業界平均より高い水準にあります。
* PBR(実績)は0.64倍 (株価940円 ÷ 実績BPS1,458.42円 ≒ 0.644倍)。鉄鋼・非鉄業界の平均PBR 0.5倍と比較すると、モリ工業のPBRは業界平均より高く、PBR1倍未満ではありますが、業界平均との比較では割高と判断されます。
7. テクニカル分析
現在の株価は940.0円です。
* 年初来高値は1,130円、52週高値は1,142.00円。
* 年初来安値は830円、52週安値は830.00円。
* 現在の株価は52週高値から約17%下落した水準にあり、52週安値からは約13%上昇した水準です。
* 50日移動平均線は921.62円、200日移動平均線は937.41円であり、現在の株価は両移動平均線をやや上回って推移しています。
* 直近10日間の株価推移を見ると、9月下旬の970円台から、10月1日には927円まで下落し、その後940円に戻しています。この動きは一時的な調整局面と見られます。
* 高値圏からは下落しているものの、安値圏とは判断しにくい中間的な位置にあると言えます。
8. 財務諸表分析
- 売上高:
- 2022年3月期 43,076百万円
- 2023年3月期 48,712百万円 (前年比 +13.08%)
- 2024年3月期 47,898百万円 (前年比 -1.67%)
- 過去12か月(2025年3月期実績) 46,141百万円 (前年比 -3.67%)
- 直近四半期(2025年4-6月) 10,966百万円 (前年同期比 -4.2%)
- 売上高は2023年3月期をピークに緩やかな減少傾向にあります。
- 利益:
- 営業利益は2023年3月期の6,735百万円をピークに減少傾向にあり、過去12か月で5,397百万円となっています。直近の第1四半期(2025年4-6月)の営業利益は1,082百万円と、前年同期比で23.3%の減益となりました。
- 親会社株主に帰属する純利益も同様に減少傾向で、過去12か月で4,128百万円、直近四半期も前年同期比で20.8%の減益となっています。
- キャッシュフロー: 直接的なキャッシュフロー計算書のデータは提供されていませんが、現金及び預金は15,267百万円(直近四半期末)と潤沢であり、有利子負債から現預金を差し引いた実質有利子負債はマイナス13,260百万円と、ネットで実質無借金状態を維持しています。
- ROE/ROA:
- ROE(実績)は7.50%、過去12か月で7.09%。
- ROA(過去12か月)は4.52%。
- 両指標ともに日本の製造業平均と比較して健全な水準ですが、高ROE企業と比較すると低い水準です。
- 財務健全性:
- 自己資本比率は79.5%と極めて高く、非常に堅固な財務基盤を築いています。
- 流動比率は3.73倍(373%)と、短期的な支払い能力も非常に高いです。
- Total Debt/Equity比率は3.60%と極めて低く、有利子負債は少ない状態です。
- これらの指標から、財務体質は非常に健全であると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の1株配当は年間36.00円(期末配当20.00円、中間配当16.00円、いずれも株式分割後)です。現在の株価940.0円に基づく配当利回りは3.83%と高水準です。
配当性向は39.27%であり、収益に対する配当の割合は持続可能な範囲内にあります。
提供資料には自社株買いに関する直接的な言及はありませんが、安定的に高水準の配当を実施していることから、株主還元への意識は高いと見られます。なお、令和7年4月1日付で普通株式1株につき5株の株式分割を実施しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去52週間の株価変動率は-10.53%であり、S&P 500の+17.74%と比較して市場全体に劣後しています。
直近の株価は、一時的な下落の後、わずかに回復傾向を示していますが、全体としては年初来高値から乖離しています。
直近の出来高は37,000株と比較的少なく、売買代金も34,737千円であり、投資家の大きな関心を継続的に集めている状況ではないと考えられます。
信用買い残が信用売り残を大きく上回る信用倍率20.58倍であり、制度信用取引においては需給が悪化しやすい傾向を示す可能性があります。
今後の株価に影響を与える要因としては、ステンレス・ニッケル市況の動向、建築および自動車業界の需要状況、海外事業の展開、コスト変動(人件費、運送費など)、為替レートの変動などが挙げられます。足元の減収減益見通しが株価の重しとなっている可能性も考慮されます。
11. 総評
モリ工業は、国内ステンレス管業界の最大手として確立された地位と、優れた加工技術を持つ企業です。特に財務体質は極めて健全であり、高い自己資本比率と潤沢な現金を背景に実質無借金経営を続けています。これは、事業運営上の大きな安定要因です。
しかしながら、業績は直近数期にわたり売上高・利益ともに減少傾向にあります。建築需要の減退、安価な輸入材の流入、ニッケル価格の変動、海外事業(インドネシア)での顧客の内製化や需要低迷などが、現在の業績を圧迫している主な要因です。
株価は年初来高値から調整局面に入っており、市場全体と比較して出遅れて推移しています。現在のPERやPBRは業界平均を上回っており、割高感が見られます。
一方で、高水準の配当利回りと堅固な財務基盤は、安定配当を期待する投資家にとって魅力となり得ます。今後の業績回復には、変動する市場環境への適応力強化、高付加価値製品への更なる注力、そして海外事業の再構築が課題となるでしょう。
12. 企業スコア
評価項目 | 基準 | 評価 | 理由 |
---|---|---|---|
成長性 | LTM売上成長率(YoY)を基準に、売上が伸びていれば高評価、横ばいでB、減少でC〜D。 | C | LTM売上成長率(YoY)は-3.67%であり、減少傾向にあります。直近四半期も売上高は前年同期比で減少しています。 |
収益性 | 粗利率、営業利益率やEBITDA率を基準に、業界平均を上回ればS〜A、同水準でB、下回ればC〜D。 | B | 過去12ヶ月の営業利益率は9.88%、EBITDA率は13.49%と絶対値は良好な水準ですが、直近の利益は減少傾向にあります。業界平均不明のため中立寄りの評価。 |
財務健全性 | 自己資本比率、流動比率、D/Eを基準に、指標が健全(自己資本比率40%以上など)ならS〜A、普通ならB、弱い場合はC〜D。 | S | 自己資本比率79.5%、流動比率3.73倍、Total Debt/Equity比率3.60%と、極めて健全な財務体質です。実質無借金状態。 |
株価バリュエーション | PER、PBRを基準に業界平均との差を評価。割安ならS〜A、平均並みでB、割高ならC〜D。 | C | 会社予想PER10.50倍は業界平均8.7倍より高く、実績PBR0.64倍は業界平均0.5倍より高い水準で、業界平均比で割高感があります。 |
企業情報
銘柄コード | 5464 |
企業名 | モリ工業 |
URL | http://www.mory.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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