日本製紙(3863)企業分析レポート

株価:1,216円(10/3終値)/時価総額:1,413億円/市場区分:東証プライム
セクター:素材・化学(パルプ・紙)/配当利回り(会社予想):1.23%

1. 企業情報

  • 事業内容
    • 紙・板紙(売上構成48%):新聞用紙、印刷・情報用紙、包装用紙、板紙・段ボール原紙、紙パック等
    • 生活関連(39%):家庭紙(スコッティ、クリネックス等)、液体用紙容器、ヘルスケア、機能性紙・ケミカル
    • エネルギー(4%):発電・電力販売(主に自家発電の外販等)
    • 木材・建材・土木建設関連(7%):木材・建材、バイオマス関連 等
    • その他(3%):物流・レジャー等
  • 地域:日本、オセアニア(豪州Opal)、アジア、北米など。海外売上比率28%(2025.3)
  • 特徴:国内製紙大手(製紙2強の一角)。森林資源〜パルプ〜紙〜物流までの川上から川下の垂直統合、家庭紙ブランド力、機能性材料(セルロースナノファイバー等)

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:国内大手の一角(洋紙で首位級)。段階的な設備再編・生産最適化を進行
  • 競争優位性
    • 規模・一貫体制(パルプ内製、物流・エネルギー活用)
    • 家庭紙・液体用紙容器など生活関連のブランド・販路
    • 高付加価値の機能紙・ケミカル、CNF(セルロースナノファイバー)等の技術資産
  • 課題
    • グラフィック用紙(印刷・情報用紙)の構造的需要減
    • 原燃料価格・為替の変動影響、豪州Opalの収益改善の継続課題
    • 財務レバレッジの高さ(後述)

3. 経営戦略と重点分野

  • 中期経営計画(2025最終年度)重点
    • 生活関連事業の拡大と収益力強化(クレシア宮城フル寄与、機能性製品拡販)
    • 豪州Opalの収益改善(操業安定・コストダウン、早期黒字化)
    • 紙・板紙の基盤強化(生産体制再編、固定費削減)
  • 1Q(2026/3期)進捗
    • 生活関連・木材建材が増益。紙・板紙は需給・市況逆風で赤字化
    • エネルギーは石炭価格低下で売上減も収益は改善
    • Opalは操業効率改善の一方、労働争議で一時停止
  • 資金調達
    • 普通社債の発行枠(最大500億円、利率上限3%)決議:設備投資・借入返済等に充当

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:紙・板紙の価格改定とコストコントロール、生活関連(ブランド×安定需要)、高機能材の付加価値、エネルギー外販のポートフォリオ
  • 適応力
    • 需要減領域(グラフィック紙)から、家庭紙・包装・機能材等へミックスシフト
    • 為替・原燃料の外部変数管理(調達・ヘッジ・価格転嫁)
    • 海外子会社の操業改善(豪州)とサプライチェーン安定化
  • リスク:資源・エネルギー価格、為替、労使関係・設備トラブル、環境規制対応コスト、需要構造変化

5. 技術革新と主力製品

  • 技術・独自性:セルロースナノファイバー(CNF)、バリア材、機能性コーティング、溶解パルプ、機能性ケミカル(リグニン等)
  • 収益牽引
    • 生活関連(家庭紙・液体用紙容器)は数量・ブランド基盤が強み
    • 木材・建材はバイオマス燃料需要が追い風
    • 1Qは生活関連・木材建材が利益をけん引、紙・板紙は減益

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提:株価1,216円、EPS(会社予想)103.96円、BPS 4,060.58円
  • 指標
    • PER(予想):約11.7倍(業界平均9.5倍比で高め)
    • PBR(実績):約0.30倍(業界平均0.5倍比で低め)
    • EV:約8,335億円(時価総額1,413億+有利子負債8,452億−現金1,531億)
    • EV/売上(LTM):約0.71倍、EV/EBITDA(LTM):約9.3倍
  • コメント
    • PERは業界平均より高い一方、PBRは大きく下回る水準
    • 低ROE(実績0.95〜1.99%)がPBR低位の一因とみられる
    • 予想EPSはLTM(39.3円)からの回復計画

7. テクニカル分析

  • トレンド
    • 50日移動平均:1,188円/200日:1,048円。現値は両方を上回る
    • 年初来高値1,289円(現値は約-5.7%)、年初来安値849円(同+43%)
    • 直近10日:1,190〜1,270円のレンジ推移。9/26高値1,270円を回復できず横ばい
  • 需給
    • 信用買残26.5万株、売残11.8万株、信用倍率2.24倍(買い長だが極端ではない)
    • 出来高は3カ月平均47.6万株に対し直近40.1万株とやや低下
  • モメンタム
    • 200日線上方で中期は上向き、短期はレンジ内で方向感限定的

8. 財務諸表分析

  • 売上高(百万円)
    • 2022/3:1,045,086 → 2023/3:1,152,645 → 2024/3:1,167,314 → LTM:1,182,431
    • LTM成長率:約+1.3% YoY、3年CAGR:約+4.2%
  • 収益性
    • 粗利率:約16.2%(LTM)
    • 営業利益率:約1.7〜1.9%(LTM)
    • EBITDAマージン:約7.6%(LTM)
    • 当期純利益率:0.63%(LTMベース指標)
    • 2023/3は営業赤字、その後改善傾向だが絶対水準は低位
  • 効率性・資本性
    • ROE:0.95%(実績)〜1.99%(LTM指標)
    • ROA:0.77%(LTM)
    • 自己資本比率:28.3%(期末)とやや低水準
    • D/E(有利子負債/自己資本):約170%(LTM)、流動比率1.53倍
    • 現金同等物1,531億円/総有利子負債8,452億円でネットデット重い
  • セグメント(2026/3期1Q)
    • 生活関連・木材建材が増益、紙・板紙は赤字、エネルギーは増益

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:2026/3期予想 年間15円(中間5円+期末10円)、予想配当性向約25%
  • 実績:2025/3期 年間10円
  • 5年平均利回り:2.94%(現状利回りはこれを下回る)
  • 自社株買い:開示情報上、目立った実施なし(自己株式比率0.33%)
  • 権利落ち:次回想定 2026/3/30(会社予定)

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 52週騰落:+22.1%(β:0.16と低ボラティリティ)
  • 直近はレンジ推移でニュース感応度は限定的。外部要因(為替・原燃料、市況、豪州子会社の操業)で変動余地
  • 機関投資家保有:約39%(フロート約1.10億株)

11. 総評

  • 生活関連・木材建材の改善とコスト対策で収益は持ち直しつつある一方、紙・板紙の構造課題と海外子会社(Opal)の安定化が引き続きの焦点
  • 財務レバレッジは高めで、資金調達多様化(社債)とともに、キャッシュ創出力の強化が重要
  • バリュエーションはPERで業界平均上、PBRは平均下と分岐。収益性と資本効率の改善が評価要因
  • テクニカルは中期上向き、短期はレンジ。業績進捗(11/6決算)と外部環境が方向性を左右

(注)本資料は公開情報の整理であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。一過性損益は評価から可能な範囲で除外しています。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:B
    • LTM売上+1.3% YoY、3年CAGR約+4.2%と穏やかな成長
  • 収益性:C
    • 営業利益率約1.7〜1.9%、ROE1〜2%台。業界水準を大きく上回るとは言えない
  • 財務健全性:C
    • 自己資本比率28.3%、D/E約170%とレバレッジ高め。流動比率1.53倍は一定の流動性
  • 株価バリュエーション:B
    • PERは業界平均超、PBRは平均下。EV/売上約0.71倍・EV/EBITDA約9.3倍は中庸〜やや低位水準との組み合わせ

参考データ
– 2026/3期1Q(4-6月):売上2,926億円(+2.0%)、営業利益54.9億円(+32.6%)、純利益19.1億円
– 通期会社計画(2026/3):売上1.205兆円、営業利益340億円、純利益120億円、EPS 103.96円
– 年初来レンジ:849〜1,289円、50日線1,188円/200日線1,048円


企業情報

銘柄コード 3863
企業名 日本製紙
URL http://www.nipponpapergroup.com/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – パルプ・紙

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By シャーロット

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。