特種東海製紙(3708)企業分析レポート
株価:1,559円(2025-10-03終値)/市場:東証プライム/時価総額:約608億円
1. 企業情報
- 概要・事業内容
- 特殊紙と段ボール原紙用板紙を2本柱とする独立系の製紙グループ。特種製紙と東海パルプが統合して2007年発足。本社は東京都千代田区。
- 主要製品
- 特殊素材:高級印刷用紙、ファンシーペーパー、機能紙、セキュリティ用紙、情報用紙、保護・保存用紙、合成繊維シート(アラミドペーパー等)
- 産業素材:段ボール原紙、クラフト紙、コンバーティング用紙
- 生活商品:トイレットペーパー、ペーパータオル、紙ワイパー、食品用紙、ギフト・ラミネート製品
- 環境関連:古紙・プラ・金属・家電等のリサイクル、太陽光関連、林業・造園、観光、ウイスキー製造・販売 等
- 製販面で日本製紙と提携(板紙領域)。グループ再編・M&Aを活用し事業領域を拡大。
- セグメント構成(2025/3期 会社開示ベース)
- 産業素材 44%、特殊素材 22%、生活商品 19%、環境関連 14%
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 大手総合(王子HD、日本製紙、大王製紙 等)と比べ規模は中堅だが、特殊紙・機能紙分野に強み。ニッチ市場で高付加価値製品を多数保有。
- 段ボール原紙は国内需要に連動し安定性がある一方、価格・コスト環境の影響を受けやすい。特殊紙は製品設計力・品質・小ロット対応が競争要因。
- 競争優位性
- 価格支配力が相対的に高い特殊紙ポートフォリオ、セキュリティ・保存用など代替が難しい用途、合成繊維シート(アラミドペーパー等)の成長余地。
- 課題
- 印刷・情報用紙の国内需要構造的縮小、原材料(パルプ)・エネルギー価格と為替の変動、環境対応投資負担。板紙は市況影響が残る。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・中計(第6次中期経営計画:2023–2025年度)
- 目標:営業利益50億円、経常利益80億円、ROE 7.0%
- 重点施策
- 成長領域の拡大:合成繊維シート/アラミドペーパー等の高機能材、特殊印刷・機能紙の海外展開
- 価格適正化と製品ミックス高度化(高付加価値比率の引上げ)
- 環境・リサイクル事業の強化(連結範囲拡大、子会社の完全子会社化など)
- 生産効率・省エネ、原材料・エネルギーコストの最適化
- 2026/3期会社予想(2025/5/15公表、8/8時点変更なし)
- 売上高 990億円(前年比+4.4%)、営業利益 50億円(+27.3%)、経常利益 70億円(+12.4%)、純利益 49億円(+35.8%)、EPS 139.25円(株式分割後表示)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 安定系(段ボール原紙・生活紙)+高付加価値系(特殊紙・機能紙)のバランス型。価格改定と製品ミックス、海外展開でマージン改善を図る。
- 耐性・適応力
- Eコマース等の梱包需要は底堅い一方、印刷需要は縮小傾向。特殊紙の固有ニーズ(保存・セキュリティ、耐熱・電装用途)や環境配慮素材は相対的に強い。
- 原燃料・為替変動の影響大。価格転嫁・省エネ・サプライチェーン最適化での吸収が鍵。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 合成繊維シート/アラミドペーパー等の機能材料、セキュリティ用紙(偽造防止)、保存・保護用紙、機能コーティング技術など、用途特化の開発に強み。
- 収益牽引
- 特殊素材の価格改定・海外販売拡大で高付加価値比率が上昇。産業素材は段ボール原紙・クラフト紙が堅調。生活商品は業務用・サステナブル製品が伸長。環境関連は連結子会社寄与。
6. 株価の評価(バリュエーション簡易比較)
- 指標(現株価ベース)
- PER(会社予想):11.09倍(EPS 140.61円)
- PBR(実績):0.69倍(BPS 2,270.53円)
- 予想配当利回り:2.80%(1株配当 43.67円)
- EV/EBITDA(概算):約6.5倍[EV=時価総額608億円+純有利子負債約199億円、EBITDA約123億円]
- EV/売上高(概算):約0.85倍(売上高 約948〜964億円)
- 業界平均との単純比較
- 業界平均PER 9.5倍、PBR 0.5倍に対し、当社はPER・PBRともに上回る水準。
- 低PBR1倍未満かつEV倍率は一般的なレンジ内。利益成長の進捗と収益性の差で評価の妥当性が左右されやすい。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 52週レンジ:1,025〜1,641円。現在値は高値圏(高値比約-5%)。
- 移動平均:50日 1,439円、200日 1,278円。株価は両移動平均を上回る上昇トレンド。
- 直近の値動き
- 9/29に株式分割(1→3)実施。直後に1,633→1,555円へ調整、その後1,559円で推移。
- 出来高:10日平均8.3万株が3カ月平均5.2万株を上回り、短期的な関心は上昇。
- 信用動向
- 信用買残1.73万株(前週比+3,900)、信用売残1.36万株(+8,900)、信用倍率1.27倍。売買拮抗で短期の需給はやや中立。
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(連結)
- 売上高:2022/3 807億円 → 2023/3 841億円 → 2024/3 865億円 → 2025/3通期約948億円(LTM)と増収基調(3年CAGR約5〜6%)。
- 営業利益:2023/3 16億円 → 2024/3 23億円 → 2025/3 39億円(LTM)で改善。営業利益率LTM 5.46%。
- 当期純利益:2024/3 46億円 → LTM 36億円。特殊要因の影響を除く正規化利益は40億円程度(会社集計)とされる。
- 収益性
- 粗利率:約13〜14%、営業利益率:約5.5%、EBITDAマージン:約13%。
- ROE:4.6%、ROA:1.9%(LTM)。
- 財政状態・流動性
- 自己資本比率:56.3%(2025/3末)→ 57.5%(2025/6末)。
- 流動比率:1.56倍。総借入金約288億円、現金約89億円、D/E約33.5%と保守的。
- キャッシュフロー
- 減価償却費は年換算で約66億円規模。営業CF詳細は未開示だが、EBITDA対比で投資とのバランスが論点。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期実績:年間120円(分割前表示)。
- 2026/3期予想:分割後表示で年間約43.67円(会社予想ベース)、予想配当利回り約2.8%。
- 配当性向:約39%(直近データ)。
- その他株主還元
- 自己株式比率10.64%。自社株買いの新規開示は手元情報では確認できず。2025/10/1に1→3の株式分割を実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落率+22.8%で上昇トレンド。短期は分割後の高値圏でのもみ合い。
- 関心度
- 出来高増加(10日>3カ月)から短期的な投資家関心は高まり。信用残は買い売りとも増加し、イベントドリブンの往来が入りやすい需給。
11. 総評
- 特殊紙・機能材の拡販と価格適正化、環境関連の寄与により、増収と営業利益率の改善が進展。段ボール原紙など安定系と特殊紙の高付加価値系の組み合わせで収益の底堅さを確保。
- 原材料・エネルギー・為替の影響や国内印刷需要の構造的縮小は継続的なリスク。製品ミックス高度化と海外販売拡大、省エネ・生産性向上の実行度合いが重要。
- バリュエーションは業界平均のPER・PBRを上回る一方、PBR1倍未満・EV/EBITDA約6.5倍と中庸圏内。中計目標(営業利益50億円、ROE 7%)の達成進捗が評価の焦点となりやすい。
- 財務は自己資本比率57%前後、D/E33%台と健全。配当は利回り2.8%・性向約39%で持続性を意識した水準。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- LTM売上成長率+9%前後、3年CAGR約5〜6%。四半期売上も前年比+7%。
- 収益性:B
- 営業利益率約5.5%、EBITDAマージン約13%。特殊紙比率の上昇で改善途上。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率57%前後、流動比率1.56倍、D/E約33%で保守的。
- 株価バリュエーション:C
- PER・PBRが業界平均を上回る水準。EV倍率は中庸。
参考データ
– 株価レンジ:年初来高値 1,641円/年初来安値 1,025円
– 移動平均:50日 1,439円、200日 1,278円
– 主な予想:2026/3期 売上 990億円、営業利益 50億円、EPS 139.25円
– 開示トピック:2025/10/1 株式分割(1→3)、子会社の完全子会社化、環境関連の拡大
– 今後の配当権利落ち予定日(会社情報):2026/3/30
企業情報
銘柄コード | 3708 |
企業名 | 特種東海製紙 |
URL | http://www.tt-paper.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 素材・化学 – パルプ・紙 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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