企業分析レポート:セラク(6199)
個人投資家の皆様へ、株式会社セラク(証券コード:6199)の企業分析レポートをお届けします。本レポートは、提供されたデータに基づき企業情報、財務状況、市場での位置づけなどを客観的に整理したものです。投資判断の一助としてご活用ください。
1. 企業情報
株式会社セラクは1987年に設立されたITソリューション企業です。インターネットシステムインテグレーターとして、主に企業のデジタル変革(DX)を支援するサービスを提供しています。クラウド技術、サイバーセキュリティ、IoT、AI・データサイエンス、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)、さらには農業・水産業向けの「みどりクラウド」といった幅広いソリューションを手掛けています。また、エンジニアの派遣や受託開発、機械設計エンジニアリングサービスも展開しており、ITインフラの構築・保守を柱としつつ、ウェブサイトやシステムのカスタム開発も行っています。従業員の社内育成に注力している点が特徴です。
2024年8月期の連結事業セグメント別売上高比率は、「デジタルインテグレーション」が96%を占め、これに「機械設計エンジニアリング」が3%、農業・漁業向けの「みどりクラウド」が1%と続きます。
2. 業界のポジションと市場シェア
セラクは日本のITサービス市場において、DX推進を支援するソリューションプロバイダーとして活動しています。提供されたデータからは具体的な市場シェアは不明ですが、クラウド、IoT、AIといった成長分野に事業を集中させていることから、これらの領域で競争力を持つ企業の一つと言えます。
競争優位性としては、多岐にわたるデジタルインテグレーションサービスを提供し、顧客のDXニーズに幅広く対応できる点、そしてSalesforceやCOMPANYなどの主要クラウドプラットフォームの導入・定着支援に強みを持つ点が挙げられます。また、約1,800社超のビジネスパートナー企業を活用した提供体制、およびエンジニアの社内育成に注力することで、IT人材不足が課題となる市場において高品質なサービス提供を維持しようとしています。
課題としては、国内IT業界全体の人材不足とスキル向上が挙げられますが、同社はエンジニア育成に注力することでこの課題に対応しようとしています。また、将来の成長を見込む「みどりクラウド」事業は現在先行投資フェーズであり、収益化までの道のりが課題となる可能性があります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、企業のデジタル変革を支援する「デジタルインテグレーション事業」を中核とし、その成長を加速させることを戦略の柱としています。特に、クラウド技術の導入・運用支援、IoT、AI、RPAといった先端技術を活用したソリューション提供に重点を置いています。
中期経営計画における具体的な施策として、決算短信からは以下の点が読み取れます。
* デジタルインテグレーション事業の拡大: SI領域およびクラウド領域(Salesforce、COMPANY等)の堅調な拡大を目指し、ビジネスパートナーとの連携を強化。
* 新規技術領域への投資: 法人向けChatGPT導入支援サービス「NewtonX」など、新たな技術トレンドへの対応を強化。
* みどりクラウド事業への先行投資: 農業・畜産・水産等の一次産業向けDXプラットフォーム「みどりクラウド」および「ファームクラウド」の拡販に注力。特に「みどりクラウドらくらく出荷」の導入促進による事業育成。
* 人材への投資: 機械設計エンジニアリング事業を含め、全社的にエンジニアの採用および育成に継続的に投資しています。
通期の業績予想は期初から変更がなく、これらの戦略を着実に実行していく姿勢が見られます。
4. 事業モデルの持続可能性
セラクの事業モデルは、ITインフラ構築・運用・保守といった基盤系のサービスから、クラウド導入支援、さらにはIoT、AI、RPAといった先進技術を組み合わせたデジタル変革支援まで多角的に展開しています。主要セグメントであるデジタルインテグレーション事業が堅調な成長を続けており、市場ニーズである企業のDX推進に合致したサービスを提供しているため、収益モデルは現在の市場環境に適応していると言えます。
また、ビジネスパートナーとの連携や社内でのエンジニア育成は、市場のIT人材不足に対応しながら安定的な事業継続を可能にする要素です。一次産業向けDXといった新規事業への先行投資は、将来の新たな市場開拓と収益源の多様化を目指すものであり、長期的な持続可能性を高める可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
セラクは市場の技術革新に積極的に対応しています。
技術開発の動向や独自性としては、AWS、Azure、Salesforce、Google Cloud Platformなどの主要クラウドプラットフォームの導入・運用支援技術、サイバーセキュリティ対策技術、IoTデータの収集・分析・活用技術、AI・データサイエンス、RPAなどが挙げられます。特に法人向けChatGPT導入支援サービス「NewtonX」は、生成AIの活用といった最新技術動向への対応を示しています。
収益を牽引している製品やサービスは、主として「デジタルインテグレーション事業」におけるITインフラ構築・運用に加え、SalesforceやCOMPANYなどのクラウド導入・定着支援サービスです。また、独自プラットフォームである「みどりクラウド」や「ファームクラウド」は、現在は先行投資フェーズであるものの、一次産業のDX化を支援する独自性の高いサービスとして将来の成長ドライバーとなることが期待されます。
6. 株価の評価
現在の株価1,619.0円に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 12.68倍
* 業界平均PER(情報通信・サービスその他)15.0倍と比較すると、セラクのPERは業界平均より割安な水準にあります。
* PBR(実績): 2.50倍
* 業界平均PBR(情報通信・サービスその他)1.2倍と比較すると、セラクのPBRは業界平均より割高な水準にあります。
* EPS(会社予想): 127.66円
* BPS(実績): 647.83円
PERは割安感がありますが、PBRは割高感があるという評価です。これは、企業が利益を創出する能力に対しては市場が評価しているものの、純資産に対しては株価が比較的高い水準にあることを示唆しています。成長企業においては、将来の成長期待からPBRが高くなる傾向が見られることもあります。
7. テクニカル分析
株価(1,619.0円)の推移を直近データに基づいて分析します。
* 年初来高値: 1,898円
* 年初来安値: 1,250円
* 52週高値: 1,898円
* 52週安値: 1,211円
* 50日移動平均: 1,641.12円
* 200日移動平均: 1,604.56円
現在の株価1,619.0円は、年初来高値(1,898円)と年初来安値(1,250円)の間に位置しており、特に高値圏でも安値圏でもない中間の水準と言えます。直近10日間の株価推移を見ると、1733円から1619円へと緩やかに下落傾向にあり、50日移動平均(1,641.12円)を下回っています。しかし、200日移動平均(1,604.56円)はわずかに上回っている状況です。
8. 財務諸表分析
損益計算書(年度別比較):
Breakdown | 過去12か月 | 2024年8月期 | 2023年8月期 | 2022年8月期 | 2021年8月期 |
---|---|---|---|---|---|
売上高 | 23,691M | 22,221M | 20,858M | 17,859M | 15,263M |
売上総利益 | 6,288M | 5,700M | 5,178M | 3,904M | 3,667M |
営業利益 | 2,519M | 2,273M | 1,944M | 886M | 1,356M |
親会社株主帰属純利益 | 1,725M | 1,575M | 1,472M | 966M | 1,240M |
過去数年間、売上高は継続して成長傾向にあり、直近12か月では236億円超を記録しています。売上総利益、営業利益、親会社株主に帰属する純利益も順調に増加傾向にあります。特に、営業利益は2022年8月期の落ち込みから回復基調にあり、過去12か月では25億円を超える水準です。
各種財務指標:
- 売上高成長率(YoY、直近四半期): 11.10%
- 売上高成長率(過去12か月): 13.5%(前年同期間比)
- 営業利益率(過去12か月): 10.30%
- 純利益率(過去12か月): 7.15%
- ROE(実績): 21.58% (過去12か月)
- ROA(過去12か月): 12.08%
- 自己資本比率(実績): 64.2%
- 流動比率(直近四半期): 2.25倍
- D/Eレシオ(直近四半期): 0.41%
売上高は安定的に2桁成長を継続しており、高い成長性を示しています。営業利益率も10%を超え、情報通信サービス業としては良好な収益性を維持しています。
ROE21.58%、ROA12.08%と資本を効率的に活用して利益を上げている状況です。
自己資本比率は64.2%と非常に高く、流動比率も2.25倍と短期的な支払能力に優れています。総負債/自己資本比率(D/Eレシオ)も0.41%と非常に低く、財務健全性は極めて高いと評価できます。
直近四半期(2025年8月期 第3四半期累計)の連結決算では、売上高185億円(前年同期比12.7%増)、営業利益20億円(前年同期比12.5%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益13億円(前年同期比14.2%増)と、主要な収益指標は引き続き堅調に推移しています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 0.82%
- 1株配当(会社予想): 13.20円 (通期)
- 配当性向(過去12か月): 10.26%
セラクの配当利回りは0.82%であり、現在の株価水準では比較的高くはありません。配当性向は10.26%と低水準であり、利益の多くを内部留保し、事業投資や成長戦略に充当している姿勢がうかがえます。株主還元策としては、発行済株式数の1.97%にあたる自社株(自己株口)を保有しており、これらは将来的な自社株買いや株式報酬制度等に活用される可能性があります。2025年8月期も、前年をわずかに上回る13.20円の年間配当を予想しており、安定的な配当を継続する方針です。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価推移を見ると、10月3日の終値は1,619円であり、9月19日の1,733円から緩やかな下降傾向にあります。出来高は直近で11,200株と活発とまでは言えず、直近10日平均(19,720株)も3ヶ月平均(32,450株)を下回っています。これは、直近の株価変動が投資家の活発な売買によって引き起こされているというよりも、やや関心が薄い状態にあることを示唆する可能性があります。
信用取引においては、信用買残が221,400株に対して信用売残が18,500株と、信用倍率は11.97倍となっており、買い残が売り残を大きく上回る状況です。これは、将来的な買い圧力となりうるものの、同時に株価の上値を抑える要因となる可能性も秘めています。
株価への影響を与える要因としては、主要事業であるデジタルインテグレーション事業の成長鈍化懸念、新規事業であるみどりクラウド事業の収益化状況、および国内外のIT投資動向や景気動向などが考えられます。
11. 総評
セラクは、デジタルインテグレーション事業を主軸に、IT市場の成長トレンドに沿ったDX関連サービスを提供し、安定的な売上・利益成長を続けている企業です。高い自己資本比率と潤沢な現金預金、非常に低いD/Eレシオに裏打ちされた強固な財務基盤も特徴です。ROEやROAも高い水準にあり、効率的な経営ができていると言えます。
PERは業界平均と比較して割安感がある一方で、PBRは割高感が見られます。これは、成長性への期待が株価に織り込まれている可能性を示唆しています。
新規事業である「みどりクラウド」への先行投資は現時点では損失を計上していますが、一次産業のDXニーズは大きく、将来の成長ドライバーとなる可能性を秘めています。今後の株価は、主力事業の堅調な成長継続に加え、新規事業の収益化進捗、そしてIT人材の確保と育成が鍵となるでしょう。
12. 企業スコア
評価項目 | スコア | 定量・定性コメント |
---|---|---|
成長性 | A | LTM売上成長率(YoY)13.5%、直近3Q累計売上高前年比+12.7%、3年CAGR約15.7%と、継続して高い成長率を維持しています。主力事業のデジタルインテグレーションが堅調に推移しており、新規技術領域への投資も積極的です。 |
収益性 | A | 過去12か月の営業利益率10.30%、粗利率26.5%と情報通信・サービスその他業界の平均と比較しても高い水準にあります。ROEも21.58%と資本効率も優れています。みどりクラウド事業が損失を計上しているものの、全体としては高収益です。 |
財務健全性 | S | 自己資本比率64.2%、流動比率2.25倍、D/E比率0.41%(直近四半期)と、非常に健全性の高い財務基盤を持っています。現預金も豊富なため、リスク耐性が高く、安定した経営基盤が評価されます。 |
株価バリュエーション | B | PER(会社予想)12.68倍は業界平均(15.0倍)より割安ですが、PBR(実績)2.50倍は業界平均(1.2倍)より割高です。成長性を考慮すると一概に割高とは言えませんが、指標だけを比較すると割安・割高が混在するため、中立的な評価とします。 |
企業情報
銘柄コード | 6199 |
企業名 | セラク |
URL | http://www.seraku.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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