1. 企業情報
東京機械製作所は、1874年創業の歴史ある企業で、特に新聞輪転機においては国内大手としての地位を確立しています。主な事業内容は、新聞や商業向けウェブオフセット輪転機の製造・販売を手掛ける印刷機械関連事業です。近年では、デジタルインクジェット印刷機「JETLEADER」の開発や、自動搬送機(AGV)などのFA(ファクトリーオートメーション)関連機器、加工組立事業といった新規分野への展開も積極的に行っています。また、電力の発電・販売事業も手掛けています。同社は国内の主要新聞社を大株主として擁しており、これはかつての買収防衛策の結果でもあります。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は国内の新聞輪転機市場において長い歴史と技術力を持ち、主要なプレイヤーとして位置付けられています。しかし、主要顧客である新聞業界は、紙媒体の販売部数減少と広告収入の低迷が続く構造的な需要減に直面しており、設備投資は極めて慎重な状況です。この市場環境は同社の事業にとって大きな課題となっています。競争優位性としては、長年培ってきた輪転機に関する高い技術力と保守・メンテナンスのノウハウが挙げられます。課題としては、新聞業界の縮小トレンドが継続する中で、いかに新規事業分野での成長を確立し、収益構造を転換できるかが問われています。
3. 経営戦略と重点分野
同社は中期経営計画(2022年1月14日策定)に基づき、「顧客課題に向き合う」「カスタマイズ力」「保守・FA等での新領域拡大」を重点戦略として掲げています。具体的な施策としては、新聞輪転機においては次世代型輪転機「COLOR TOP ECOWIDE III」の開発・販売促進、そして安定収益に繋がる保守・メンテナンス事業の強化に注力しています。また、FA事業では大型自動搬送機(AGV)などの市場開拓を進め、新聞業界以外の新たな需要の取り込みを図っています。直近では読売新聞東京本社向けに同輪転機の追加受注を獲得するなど、既存顧客との関係維持・強化にも取り組んでいます。
4. 事業モデルの持続可能性
主力である新聞輪転機事業は、新聞業界の長期的な縮小トレンドにより、持続可能性に課題を抱えています。このため、同社は事業モデルの転換を進めており、FA事業や加工組立事業といった新規分野への多角化を図ることで、市場ニーズの変化への適応を目指しています。FA事業は、人手不足や生産性向上のニーズが高まる産業界において成長が期待される分野であり、新たな収益の柱となりうる可能性を秘めています。しかし、現時点では印刷機械関連事業が売上高の100%を占めており(開示セグメント上)、事業転換の成果が本格的に収益に寄与するには時間を要すると見られます。
5. 技術革新と主力製品
同社の技術革新は、主に以下の製品に見られます。
– 次世代型輪転機「COLOR TOP ECOWIDE III」: 新聞業界のニーズに応えるべく、省エネ・高速化・環境負荷低減などを追求した、同社の技術力を象徴する主力製品です。最新の読売新聞向け追加受注もこの製品によるものです。
– デジタルインクジェット印刷機「JETLEADER」: 従来のオフセット印刷とは異なるデジタル技術を導入した印刷機であり、多様な印刷ニーズに対応するための技術開発の一つです。
– 大型自動搬送機(AGV): FA事業における主力製品であり、工場や倉庫における自動化・省人化ニーズに応えるものです。
これらの製品は、既存事業の効率化と、新規事業領域での成長を牽引する役割を担っています。
6. 株価の評価
現在の株価は495.0円です。
– PER(会社予想): 79.97倍(通期予想EPS6.09円で計算すると約81.28倍)。業界平均PER10.7倍と比較すると非常に高い水準にあります。これは、予想される利益水準が絶対的に小さいことに起因していると考えられます。
– PBR(実績): 0.50倍。業界平均PBR0.7倍と比較すると割安な水準です。株価が1株当たり純資産価値(BPS 994.15円)の半分程度で取引されており、資産価値から見ると割安感があります。
PERは利益水準の低さから高騰していますが、PBRは企業が持つ純資産と比較して低い水準にあるため、両指標から一概に「割高」あるいは「割安」と断定することは難しい状況です。
7. テクニカル分析
現在の株価495.0円は、年初来高値889円から大きく下落し、年初来安値338円からは上昇した水準にあります。直近10日間の株価推移を見ると、9月下旬には500円台前半から中盤で推移していましたが、10月1日には470円まで下落し、その後は500円前後で推移するなど、軟調な動きが見られます。50日移動平均線(439.18円)と200日移動平均線(392.30円)は株価を下回っており、長期的な上昇トレンドは維持されているものの、短期的な調整局面に入っている可能性が示唆されます。現在の株価は、年初来高値からは約-44%の水準にあり、高値圏からは離れた位置にあります。
8. 財務諸表分析
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売上高:
- 2022年3月期 6,858百万円
- 2023年3月期 8,769百万円
- 2024年3月期 9,315百万円
- 過去12か月(2025年3月期実績相当) 7,401百万円(前年比△20.5%)
- 2026年3月期 第1四半期 1,374百万円(前年同期比△27.0%)
売上高は年度によって変動が大きく、直近の2025年3月期実績と2026年3月期第1四半期では大幅な減少が確認されています。
– 利益:
* 営業利益は2022年3月期に赤字でしたが、2023年3月期、2024年3月期は黒字を確保しました。しかし、2024年3月期は特別損失の計上により純利益が赤字に転落。
* 直近の2026年3月期第1四半期では、売上減により営業損失(△149百万円)および純損失(△139百万円)を計上しています。通期予想も前期(過去12ヶ月の純利益345百万円)と比較して大幅な減益(50百万円)を見込んでおり、収益の安定性には課題があります。
– キャッシュフロー: 第1四半期決算短信では連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な評価はできません。ただし、現金及び預金は7,121百万円(時価総額4,321百万円を上回る)と潤沢です。
– ROE(実績):
* 2024年3月期 4.25%
* 過去12か月 3.16%利益水準の不安定さから、資本効率は低い水準にあります。
– ROA(実績): 過去12か月 1.58%と、ROAも低水準です。
– 自己資本比率(実績): 56.2%(2024年3月期末)、2025年6月30日時点では59.0%と非常に高く、財務健全性は極めて良好です。
– 流動比率(実績): 2025年6月30日時点 5.14倍(514%)と、短期的な支払い能力も極めて高い水準にあります。
9. 株主還元と配当方針
同社は現在、配当を実施していません。会社予想でも2026年3月期の中間・期末配当ともに0.00円を予定しており、配当利回りは0.00%、配当性向も0.00%となっています。株主還元策として配当は現段階では重視されていない方針です。自社株買いに関する情報も開示されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は、年初来高値から大きく調整しており、短期的な下落傾向が見られます。信用買残は326,300株と積み上がっていますが、信用売残は0株であるため、信用倍率は算出不能(0.00倍)となっています。これは、需給バランスが一方的に買いに傾いていることを示唆しています(ただし、貸借銘柄ではない可能性も考慮)。
株価への影響を与える要因としては、新聞業界の動向、特に輪転機の新規受注状況、FA事業の具体的な成長進捗、そして訴訟関連費用など特別損失の発生リスクが挙げられます。
11. 総評
東京機械製作所は、国内新聞輪転機の大手としての確固たる歴史と技術基盤を持つ企業です。しかし、主要顧客である新聞業界の構造的な縮小という大きな逆風に直面しており、これまでの事業モデルの持続可能性が問われています。同社はこの課題に対し、次世代型輪転機の開発やFA事業といった新規分野への多角化で活路を見出そうとしています。
財務体質は極めて強固で、高い自己資本比率と潤沢な現金を背景に、事業構造転換のための投資余力は十分にあると言えます。一方で、業績は変動が大きく、直近の四半期では営業損失を計上しており、収益安定化が喫緊の課題です。株主還元は現時点で実施されていません。
現在の株価は、PBRで見ると割安感がありますが、利益水準が低く不安定なためPERは非常に高い水準にあります。今後の投資判断においては、FA事業などの新規事業がどれだけ収益貢献できるようになるか、そして既存の印刷機械事業での高収益性をいかに維持・改善できるかが焦点となるでしょう。
12. 企業スコア
評価項目 | スコア | 評価理由 |
---|---|---|
成長性 | C | 過去12か月の売上高は前年比△20.5%と大きく減少。直近四半期も売上高は前年同期比△27.0%減。通期予想は若干の増収を見込むものの、過去数年の変動が大きく、安定的な成長は確認できていません。 |
収益性 | C | 過去12か月の営業利益率は8.66%ですが、直近四半期は営業損失(△10.87%)を計上。通期予想営業利益率も3.39%と低水準で、過去には営業損失を計上した期もあり、収益の安定性および持続的な高収益性は課題を抱えています。 |
財務健全性 | S | 自己資本比率59.0%(2025年6月30日時点)、流動比率5.14倍(同)と極めて高い水準にあり、現金及び預金も潤沢です。財務基盤は非常に強固で健全であると評価できます。 |
株価バリュエーション | A | PBRは0.50倍と業界平均0.7倍を下回っており、資産価値から見れば割安な水準にあります。一方でPERは利益水準の低さから約81倍と業界平均を大幅に上回っていますが、これは利益の不安定さに起因するものであり、PBRの割安感を総合的に考慮すると、バリュエーション全体としては「割安」と判断できます。 |
企業情報
銘柄コード | 6335 |
企業名 | 東京機械製作所 |
URL | http://www.tks-net.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 機械 – 機械 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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