以下、大阪有機化学工業(証券コード:4187)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

大阪有機化学工業は、1946年設立の独立系化学企業です。主に特殊アクリル酸エステルを強みとし、多品種少量生産を得意としています。事業は大きく「化成品」「電子材料」「機能化学品」の3つのセグメントに分かれています。化成品は塗料用樹脂原料や粘着剤、UVインクジェット向け、電子材料は半導体向け(EUV/ArFレジスト原料)やディスプレイ材料、機能化学品は化粧品原料、高純度特殊溶剤などを提供しています。海外売上比率は約30%(2024年11月期)です。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は独立系のエステル化成品の分野で中堅企業としての地位を確立しています。特殊アクリル酸エステルに強みを持つ多品種少量生産体制により、特定のニッチ市場で競争優位性を築いています。特に、自動車用塗料、ディスプレイ用粘着剤、UVインク、半導体レジスト材料といった高機能・高付加価値分野に注力しており、これらの市場変動が業績に影響を与える可能性があります。決算短信からは特定の市場シェアの具体的な数値は確認できませんが、最先端半導体材料の開発を加速させるなど、技術力で差別化を図っています。
課題としては、原材料価格の変動や市場の景気変動(特に半導体市場のサイクル)に業績が左右される点が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

同社は中期経営計画「Progress & Development 2030(P&D 2030)」(2024年11月期〜2030年11月期)を推進しています。主な戦略と重点分野は以下の通りです。
* 海外販売体制の強化: 特に韓国子会社の連結化や北米での販売拠点・合弁設立計画を通じて、グローバル市場での展開を加速しています。
* 環境配慮製品の拡販: バイオマス由来のアクリル酸エステルなど、サステナブルな製品の開発と普及に注力しています。
* 最先端半導体材料の開発加速: EUV/ArFレジスト原料などの半導体向け電子材料分野において、技術革新を進め、市場ニーズに対応しています。
* 化粧品原料の海外展開: 機能化学品セグメントにおいては、化粧品原料の海外市場での展開を強化しています。

これらの取り組みは、高付加価値領域での成長と持続的な事業発展を目指すものです。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の事業モデルは、特殊化学品に特化した「多品種少量生産」と「技術開発力」に支えられています。これにより、一般的な汎用化学品とは異なる高機能・高付加価値市場での競争力を維持しています。電子材料(半導体、ディスプレイ)や化粧品原料といった成長分野への注力、および環境配慮型製品の開発は、市場ニーズの変化への適応力を高め、持続可能性を向上させる要因となります。
近年は半導体市場の回復を背景に電子材料事業が好調であり、その動向が今後の収益を左右する可能性があります。海外展開の強化も、事業地域の多角化と市場機会拡大に貢献すると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

同社の主力製品は、特殊アクリル酸エステルを基盤とした化学品、電子材料、機能化学品です。
* 化成品: 自動車用塗料、粘着剤、UVインクジェット材料など幅広い用途に対応。
* 電子材料: スマートフォンやタブレットPCなどの表示デバイス、半導体(EUV/ArFレジスト原料)向け材料。特に高純度・高機能が求められる半導体分野で独自の技術を有しています。
* 機能化学品: カチオン性、アニオン性、ベタイン、非イオン性など多岐にわたる化粧品原料、高純度特殊溶剤、機能性有機化合物など。

同社は、バイオマスアクリレートといった環境配慮型製品の開発や、最先端半導体材料の研究開発に力を入れており、これらが収益を牽引する可能性があります。

6. 株価の評価

前日終値3,225円。
* PER(会社予想): 19.00倍。業界平均PER 20.4倍と比較すると、やや割安な水準にあります。
* PBR(実績): 1.48倍。業界平均PBR 1.1倍と比較すると、やや割高な水準にあります。

EPS(会社予想)170.23円、BPS(実績)2,182.82円。
PERは業界平均より割安感がありますが、PBRは業界平均より割高感があります。これは、同社の安定した財務基盤や将来の成長性への期待が株価に織り込まれている可能性も考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価3,235円(本日終値)は、年初来高値3,265円に近く、年初来安値1,949円からは大きく上昇しています。直近10日間の株価推移を見ると、3,000円台前半から3,200円台半ばで推移しており、3,200円台の高値圏で取引されています。出来高は特段大きく急増しているわけではありませんが、株価は堅調な上昇トレンドにあると見られます。

8. 財務諸表分析

  • 売上高: 過去数年間は変動がありましたが、2023年11月期の28,907百万円を底に、2024年11月期は32,698百万円に回復。直近12ヶ月(LTM)では34,761百万円と、回復基調が続いています。2025年11月期第2四半期(中間期)の売上高は前年同期比+13.4%と好調です。
  • 利益: 営業利益は2023年11月期に3,577百万円でしたが、2024年11月期は4,608百万円へと増加し、LTMでは5,671百万円と大きく改善しています。2025年中間期の営業利益は前年同期比+57.2%と大幅増益を達成しており、収益性が大きく向上しています。純利益も同様に回復傾向にあります。
  • キャッシュフロー: 営業活動によるキャッシュフローは安定してプラスを維持しており、事業からの現預金創出能力は安定しています。投資活動や財務活動により現金及び現金同等物は減少傾向にありますが、健全な範囲内と考えられます。
  • ROE: 9.15%(実績)。健全な水準です。
  • 自己資本比率: 75.8%(実績)。非常に高く、財務基盤の健全性を示しています。
  • 流動比率: 約289.7%(中間期)。非常に高く、短期的な支払い能力も十分です。

総合的に見て、売上・利益は直近で力強く回復しており、財務体質は極めて健全です。

9. 株主還元と配当方針

同社の配当利回り(会社予想)は2.13%(1株配当69.00円)です。2025年11月期の通期配当予想は中間配当35円、期末配当34円の合計69円です。
配当性向の目安は1株配当69.00円 / EPS170.23円 = 約40.5%と、利益に応じた適切な水準と考えられます。
2025年1月24日の取締役会決議に基づき自己株式取得も実施しており、株主還元への意識が高いことが伺えます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

直近の株価は年初来高値圏で推移しており、上昇の勢い(モメンタム)は強いと言えます。出来高は平均的ですが、高値圏での取引が続いています。
信用取引を見ると、信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率は4.51倍です。信用買い残は前週比で増加しており、個人投資家の買い意欲が継続している可能性があります。株価への影響を与える主な要因としては、半導体市場の回復、電子材料や環境配慮型製品の開発進捗、海外展開の成果、原材料価格の動向などが挙げられます。

11. 総評

大阪有機化学工業は、特殊アクリル酸エステルを核とする高付加価値化学品メーカーであり、多品種少量生産と技術開発力を強みとしています。事業は化成品、電子材料、機能化学品と多角化されており、特に半導体関連の電子材料事業が直近の業績回復を牽引しています。
財務状況は自己資本比率が非常に高く、極めて健全です。売上高と利益は2023年を底に回復基調にあり、2025年中間期も大幅な増益を達成しています。中期経営計画「P&D 2030」のもと、海外展開強化、環境配慮製品の拡販、最先端半導体材料開発といった戦略的な重点分野に注力しており、今後の持続的な成長が期待されます。
株価は年初来高値圏で推移しており、市場からの期待も高い状況です。PERは業界平均よりやや割安ですが、PBRはやや割高です。今後の業績の進展が、株価評価に繋がる可能性があります。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • 過去3年間の売上高CAGRはマイナスですが、2024年11月期は対前期比で売上高が回復し、直近12ヶ月(LTM)での売上高も増加しています。特に2025年11月期第2四半期は売上高が前年同期比+13.4%と好調であり、半導体市場の回復を背景に力強い成長軌道に乗っています。
  • 収益性: A
    • LTMおよび2025年中間期の営業利益率はそれぞれ約16.3%、16.8%と、堅調な水準を維持し、直近では改善傾向にあります。粗利率やEBITDA率も良好な水準であり、高付加価値製品による収益創出力は高いと評価できます。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率は75.8%と非常に高く、流動比率も約289.7%と極めて高く、負債比率も低いため、財務体質は圧倒的に健全です。
  • 株価バリュエーション: B
    • 予想PERは19.00倍で業界平均(20.4倍)と比較してやや割安感がありますが、実績PBRは1.48倍で業界平均(1.1倍)よりは割高です。直近の好調な業績回復と高い財務健全性、今後の成長期待を考慮すると、現在の株価は妥当なレンジにあると考えられます。

企業情報

銘柄コード 4187
企業名 大阪有機化学工業
URL http://www.ooc.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 素材・化学 – 化学

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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