1. 企業情報
- 概要
- OA機器・成像・医療・産業機器の総合メーカー。主要セグメントはプリンティング、メディカル、イメージング、インダストリアル。
- 世界でオフィスMFD、レーザー/インクジェットプリンター、ミラーレス中心のデジタルカメラ、ネットワークカメラ、医療用CT/MRI/超音波、半導体・FPD露光装置などを展開。
- グローバル売上比率:海外79%(2024.12)。
- 直近決算の要点(2025/1-6中間期)
- 売上高 2,198.6億円(+2.0%)、営業利益 214.3億円(+8.0%)、営業利益率 約9.7%。
- 四半期(4-6月)は為替の円高影響で売上-2.4%も、費用コントロールで利益率は維持。
2. 業界のポジションと市場シェア
- プリンティング(オフィスMFD/商業印刷/ホームプリンター)
- オフィスMFDで世界上位。商業印刷のデジタル化(連続紙・枚葉インクジェット)に注力。
- 課題:SOHO/家庭向けは市場縮小傾向。レーザープリンターは需要調整。
- イメージング(カメラ/レンズ/映像ソリューション)
- ミラーレス一眼で上位(ソニーと二強の一角)。RFレンズ群の拡充で付帯収益も確保。
- Axis(連結子会社)によるネットワークカメラ・VMSでグローバル上位。
- メディカル
- キヤノンメディカル(旧東芝メディカル)を中核にCT・超音波等でグローバル上位グループ。サービス収入が安定化要因。
- インダストリアル(半導体/FPD装置)
- 半導体露光はEUV未展開。成熟ノード向けDUV・ナノインプリント露光(NIL)で差別化を図る。FPD露光は回復基調。
- 競争優位性
- 光学・画像処理・メカトロの総合力、広範な製品群、サービス/消耗品のリカーリング基盤、グローバル販売網。
- 主な課題
- 伝統事業(家庭用プリンター/コンデジ等)の構造的縮小、為替・関税の外部要因、次世代露光(EUV不在)での技術ポジション。
3. 経営戦略と重点分野
- 方針
- 中計「グローバル優良企業グループ構想 Phase VI」最終年度。売上の過去最高更新と収益性改善を継続。
- 重点テーマ
- 事業ポートフォリオ高度化:商業印刷、ネットワークカメラ/映像解析、医療ソリューション、産業装置(NIL含む)を伸長領域に。
- リカーリング強化:消耗品・保守・ソフト/クラウド(ドキュメントソリューション、VMS、ヘルスケアIT)。
- 選択と集中:縮小市場の効率化、構造改革の継続。
- 通期見通し(会社計画、2025.12)
- 売上 4.60兆円、営業利益 4,600億円、当期純利益 3,300億円、EPS 361.73円。米国追加関税10%継続・為替(下期USD/JPY=142)前提で慎重目線。
4. 事業モデルの持続可能性
- リカーリング収益
- プリンティング消耗品/保守、メディカルのサービス、監視カメラのソフト/保守など安定収益が下支え。
- 構造転換への対応
- ホーム/オフィスの印刷ボリューム減少に対して、大容量インク・商業印刷/産業用途へシフト。
- カメラはミラーレス・動画志向、プロ/クリエイター向けに注力。
- 外部環境への適応
- 為替・関税・地政学リスクを織り込んだ通期見直し。サプライチェーン分散や費用最適化を継続。
5. 技術革新と主力製品
- 技術
- 画像処理・光学設計・精密メカ・インクジェット/トナープロセス、医用画像再構成、映像解析AI、露光/真空薄膜。
- 半導体ではナノインプリント露光(NIL)の量産適用を推進。
- 主力
- イメージング:EOS Rシリーズ(例:EOS R5 Mark II等)、RFレンズ群、業務用映像機器。
- プリンティング:商業インクジェット(連続紙/枚葉)、大判プリンター、オフィスMFD。
- メディカル:CT、超音波、MRI、DR、ヘルスケアIT。
- 監視・映像:Axisのネットワークカメラ、VMS/映像解析。
- 産業:半導体/FPD露光装置、真空薄膜・OLED製造関連、ダイボンダ等。
6. 株価の評価(バリュエーション比較)
- 現在株価:4,358円
- 会社予想EPS:358.07円 → PER 12.17倍(提供値)
- 業界平均PER 24.2倍との単純比較では低位水準。
- 業界平均PERを当社EPSに適用した参考値:358.07×24.2 ≈ 8,665円(単純比較、前提差に留意)。
- BPS(実績):3,560.93円 → PBR 1.22倍(提供値)
- 業界平均PBR 1.6倍をBPSに適用した参考値:3,560.93×1.6 ≈ 5,698円(単純比較)。
- EV/Sales(試算)
- EV ≈ 時価総額5.81兆 + 有利子負債1.12兆 − 現金0.72兆 ≈ 6.21兆円
- 売上(LTM)4.55兆円 → EV/S ≈ 1.36倍
- 補足
- ROE(LTM)5.26%、自己資本比率58.6%。一過性費用の影響でトレーリングEPSが低く、配当性向は見かけ上高め(後述)。
7. テクニカル分析
- 位置づけ
- 52週レンジ:3,893〜5,233円の中間域(やや安値寄り)。現在4,358円。
- 移動平均:50日線 4,340円付近を上回り、200日線 4,556円を下回る。短期は反発、長期は中立〜弱含み。
- モメンタム/出来高
- 直近は4,200円台前半から切り返し。出来高は10日平均(約341万株)並み、3カ月平均(約374万株)をやや下回る。
- 信用動向
- 信用倍率 12.64倍、買残増(+74.9千株)で個人投資家の押し目狙いスタンスが示唆。
8. 財務諸表分析
- 成長
- 売上(兆円):2021 3.51 → 2022 4.03 → 2023 4.18 → 2024 4.51 → LTM 4.55。3年CAGR ≈ +8.9%、LTM YoYも+8〜9%程度(2023対比)。
- 収益性(LTM)
- 粗利率 ≈ 47.2%(2.149/4.552)
- 営業利益率 ≈ 10.1%(提供の10.33%と整合)
- EBITDAマージン ≈ 15.5%(704.5/4,552)
- 純利益率 3.65%(一過性費用の影響注記:2024期に-1,651億円の特殊項目計上あり)
- 効率/資本
- ROE 5.26%、ROA 4.93%。運転資本・固定資産の厚みから資本効率は中位。
- キャッシュフロー(LTM)
- 営業CF 5,237億円(売上対比≈11.5%)、レバードFCF 3,081億円(≈6.8%)。
- 財務健全性(直近)
- 自己資本比率 58.6%、D/E約32%(Net Debt ≈ 0.40兆円)、流動比率 1.44倍。バランスシートは堅健。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 年間予想 160円(中間80円・期末80円)、予想配当利回り 3.67%。
- 会社方針:配当性向50%目途の安定的・積極的還元。
- トレーリング配当性向 ≈ 87.9%(LTM EPS182円ベース、一過性費用影響)。予想EPS(約358〜362円)ベースでは配当性向≈45〜50%と方針に整合。
- 自己株式
- 自己株保有比率 約32.4%と高水準(過去の自己株取得の蓄積)。今後の資本政策柔軟性に資する基盤。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価推移
- 52週変化率 -11.08%(S&P500の+17.9%に劣後)。β 0.21で低ボラティリティ。
- 需給
- 信用買い越しが大きく、短期は個人主導の反発局面。出来高は平常域。
- 近々のイベント
- 決算:2025/10/27(予定)
- 権利落ち:2025/12/29(予定)
- これらイベントや為替・米国関税動向が短期モメンタムに影響。
11. 総評
- 構造転換の進捗
- 伝統的印刷・カメラ依存から、商業印刷/映像ソリューション/医療/産業装置の比重を高める戦略が進行。中間期で過去最高売上を更新し、費用効率も改善。
- 収益性と一過性
- LTM純利益は一時費用で抑制も、事業ベースの営業/EBITDAマージンは堅調。リカーリング収益の厚みが安定化に寄与。
- 外部要因
- 為替・関税・半導体設備投資のタイミングに業績感応度。半導体露光は成熟ノード/NILで差別化する一方、EUV不在は中長期の課題。
- バリュエーション
- PER・PBRとも業界平均比で低位。資本効率の引き上げ(ROE改善)や成長領域の収益寄与拡大が評価軸。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- LTM売上YoY+、3年CAGR約+8.9%。イメージング/商業印刷/サービスが牽引。
- 収益性:B
- 営業利益率約10%、EBITDA率15%台。業界平均比較の統一ベンチマーク欠落のため中立評価。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率約59%、D/E約32%、流動比率1.44倍。ネット有利子負債は軽度。
- 株価バリュエーション:A
- PER 12.2倍・PBR 1.22倍は業界平均(PER 24.2、PBR 1.6)比で低位。EV/S ≈1.36倍も抑制的。
参考データ抜粋
– 時価総額:5.81兆円、株価:4,358円
– 年初来高値/安値:5,233/3,893円
– 予想配当:160円(利回り3.67%)
– LTM:売上4.55兆円、営業利益率10.3%、ROE 5.26%
– 現金等 0.72兆円、有利子負債 1.12兆円、営業CF 5,237億円
(注)業界平均値との比較は提供値(PER 24.2、PBR 1.6)に基づく単純比較です。業種細分や会計基準差、為替前提の違いに留意してください。
企業情報
銘柄コード | 7751 |
企業名 | キヤノン |
URL | http://canon.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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