1. 企業情報
ニプロは、医療機器、医薬品、ファーマパッケージング(医薬包装)の3つの主要事業を展開する日本の企業です。特に使い捨て医療器具の分野で大手であり、人工透析に使用される人工腎臓製品に強みを持っています。近年は後発医薬品(ジェネリック医薬品)の製造・受託生産および、再生医療の研究にも注力しています。
連結事業の構成比は、医療関連事業が79%、医薬関連事業が12%、ファーマパッケージング事業が9%となっています(2025年3月期)。海外売上高比率は51%に達しており、グローバルに事業を展開しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
ニプロはディスポーザブル医療器具市場において大手の一角を占め、特に人工腎臓分野で高い競争力を持つとされています。医療関連事業では注射針、輸液関連、透析関連製品などで国内外の需要に対応しており、透析センターの運営も行っています。医薬関連事業では医薬品の受託製造を強化し、ファーマパッケージング事業では医薬品向けのガラス容器などを供給しています。
競争優位性としては、多岐にわたる医療分野での製品ラインナップと、グローバルな生産・販売体制が挙げられます。課題としては、透析関連の一部品目の出荷制限が継続していること、為替変動が業績に与える影響、原材料価格や労務費の上昇、欧米市場における医薬用ガラス容器の在庫過多による調整局面などがあります。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げる具体的なビジョンや中期経営計画の詳細は、提出された決算短信には明示されていません。
しかし、同社の取り組みからは以下の重点分野が読み取れます。
* 医療関連事業の強化とグローバル展開の拡大: ダイアライザの現地生産ライン稼働、国内工場(大館)のライン増設、ベトナム・タイ拠点での設備整備など、医療関連製品の生産能力増強に向けた投資を継続しています。特に海外でのダイアライザ出荷増加や透析装置の好調、透析センター事業の拡大に注力しています。
* 医薬関連事業の成長: 抗がん剤や新規受託品の出荷を増やし、操業度維持と品質確保に努めています。
* ファーマパッケージング事業の製品シフト: 欧米での在庫調整の影響を受けつつも、国内でのガラス管・バイアルの増収や、バイオ製剤向けの滅菌済シリンジに注力しています。
* 研究開発: 再生医療研究への言及があり、将来的な技術革新と新事業分野の開拓を目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
ニプロの事業モデルは、医療機器、医薬品、医薬包装という異なるが関連性の高い分野に多角化されており、リスク分散が図られています。医療関連事業は高齢化社会の進展や生活習慣病の増加に伴い、長期的に安定した需要が見込まれます。医薬関連事業における後発医薬品や受託製造も医療費抑制の流れの中で重要な役割を担っており、一定の需要基盤を持っています。ファーマパッケージング事業は医薬品供給に不可欠なため、こちらも安定的な需要が見込めます。
海外売上高比率が高いことから、グローバルな市場ニーズの変化への適応力が求められます。為替変動や地政学的リスク、各国規制など外部環境の変化に事業が影響を受ける可能性もあります。
5. 技術革新と主力製品
ニプロの主力製品は、人工腎臓(ダイアライザ)をはじめとする透析関連製品、注射針、輸液関連製品、および医薬品受託製造品、医薬用ガラス容器など多岐にわたります。特に人工腎臓分野における技術と製造能力は同社の強みです。
技術革新への取り組みとして、再生医療の研究開発を進めています。これは、持続的な成長に向けた新たな収益の柱を確立しようとする姿勢を示しています。具体的な技術開発の独自性に関する詳細な記述は提供されていませんが、医療分野のニーズに応える製品開発に継続的に投資していることがう伺えます。
6. 株価の評価
ニプロの現在の株価は1,486.5円です。
* PER(会社予想): 18.72倍
* 現在の株価 (1,486.5円) ÷ 会社予想EPS (79.40円) = 18.72倍
* 業界平均PER (21.1倍) と比較すると、現在のPERは業界平均を下回っており、相対的に割安感があると言えます。
* PBR(実績): 1.02倍
* 現在の株価 (1,486.5円) ÷ 実績BPS (1,460.54円) = 約1.02倍
* 業界平均PBR (1.8倍) と比較しても、現在のPBRは業界平均を大きく下回っており、解散価値に対して割安感があるPBR水準です。
7. テクニカル分析
現在の株価1,486.5円は、以下の状況にあります。
* 年初来高値: 1,578円
* 年初来安値: 1,230円
* 52週高値: 1,578円
* 52週安値: 1,230.50円
* 50日移動平均: 1,487.11円
* 200日移動平均: 1,379.20円
直近10日間の株価推移を見ると、1,556円(2025/09/26)から1,486.5円(2025/10/03)へと緩やかな下降傾向にあります。現在の株価は50日移動平均線にほぼ一致していますが、200日移動平均線よりは上に位置しています。年初来高値にやや近い水準ですが、直近は高値から調整局面に入っていると見ることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上: 過去数年間の総売上高は着実に増加傾向にあります。2022年3月期の494,789百万円から2025年3月期の644,586百万円まで成長し、2026年3月期通期予想も677,000百万円と増収を見込んでいます。
- 利益:
- 売上総利益: 売上の増加に伴い、売上総利益も増加傾向にあります。
- 営業利益: 過去5年間で変動はありますが、直近の過去12ヶ月では26,598百万円と回復傾向にあります。2026年3月期通期予想では37,000百万円と大幅な増益を見込んでいます。
- 経常利益: 為替差損の影響を受けやすく、直近の第1四半期では前年同期比で大幅な減少となりましたが、通期予想では123.7%増と大きな回復を見込んでいます。
- 親会社株主に帰属する純利益: 変動が大きく、過去12ヶ月では5,113百万円となっています。直近第1四半期では固定資産売却益の計上により増加していますが、通期では12,950百万円と大幅な増益を予想しています。
- 収益性指標:
- ROE(実績): 2.11%(過去12ヶ月では2.57%)。低い水準にあります。
- ROA(過去12ヶ月): 1.55%。こちらも低い水準です。
- 営業利益率(過去12ヶ月): 5.05%。
- 財務健全性:
- 自己資本比率(実績): 21.6%(直近四半期では20.8%)。健全とされる水準(一般的に40%以上)と比較すると低い傾向にあります。
- 流動比率(直近四半期): 1.64。流動負債に対する流動資産の比率は維持されており、短期的な支払い能力は比較的健全です。
- Total Debt/Equity(直近四半期): 215.24%。自己資本に対する有利子負債の比率が高く、財務レバレッジが高い状態にあります。
- キャッシュフロー: 第1四半期累計の連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできません。
9. 株主還元と配当方針
ニプロは株主還元の一環として配当を実施しています。
* 配当利回り(会社予想): 1.88% (株価1486.5円、1株配当予想28.00円に基づく)
* 1株配当(会社予想): 28.00円(中間10.00円、期末18.00円)
* 配当性向: 会社予想EPS(79.40円)に対する配当予想(28.00円)を基にすると、約35.26%となります。提供データにあるPayout Ratio 89.99%と乖離があるため、会社予想値を採用します。この水準であれば、利益の範囲内で継続可能な配当と言えます。
* 2026年3月期の配当は、2025年3月期の実績25.00円から増配が予想されています。自社株買いに関する具体的な情報はこのデータには含まれていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は1,556円(9月26日)から1,486.5円(10月3日)へとやや下降傾向にあります。これは高値からの小幅な調整局面と見られます。
* 出来高: 本日の出来高は346,600株で、3ヶ月平均(約53万株)や10日平均(約58万株)を下回っており、直近では取引がやや落ち着いている状態です。
* 信用取引:
* 信用買残: 73,000株(前週比 -52,200株)と減少しています。
* 信用売残: 347,900株(前週比 +114,300株)と増加しています。
* 信用倍率: 0.21倍と1倍を大きく下回っており、売り残が多い状況です。これは、将来的にショートカバー(買い戻し)が入ることで株価が上昇する可能性を示す需給状況とも解釈できます。
株価への影響を与える要因としては、決算発表内容、為替レートの変動(特に円安は輸出企業にとって収益押し上げ要因となり得るが、同社は為替差損も計上している)、原材料価格の動向、各国での医療政策や規制、競合他社の動向などが挙げられます。
11. 総評
ニプロは医療機器、医薬品、医薬包装の3事業を柱にグローバル展開を進める企業です。売上高は着実に成長しており、今後も増収増益を見込むなど、事業の成長性には期待が持てます。営業利益は回復傾向にあり、生産能力増強への投資も積極的です。
一方、全体の利益率は決して高くなく、特に純利益は為替影響や一時的な特別利益計上により変動しやすい性質があります。自己資本比率が低く、有利子負債の比率が高い点は財務健全性における留意点です。
現在の株価は、会社予想PERおよびPBRともに業界平均を下回っており、バリュエーション面では割安感がある水準です。株主還元は増配予想であり、現在の会社予想EPSに基づくと配当性向は健全な範囲にあります。直近の株価は調整局面にあるものの、低い信用倍率は需給面での将来的な買い戻し圧力の可能性を示唆しています。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- 過去数年間にわたる売上高の着実な増加、LTM売上成長率約9.8%、直近四半期売上成長率+4.5%、および2026年3月期通期予想の増収見込みを考慮すると、成長性は高いと評価されます。
- 収益性: C
- 過去12ヶ月の営業利益率は5.05%と、業界内で突出して高いわけではありません。ROE(2.11%)およびROA(1.55%)も低い水準です。経常利益は為替影響を受けやすく、純利益も変動が大きい傾向が見られます。
- 財務健全性: D
- 自己資本比率が20.8%と低く、一般的に目安とされる40%を下回っています。Total Debt/Equity比率が215.24%と高く、財務レバレッジが高い状態です。流動比率は1.64と一定の健全性を保っているものの、全体的な財務健全性は弱いと評価されます。
- 株価バリュエーション: A
- 会社予想PER (18.72倍) は業界平均PER (21.1倍) を下回っています。実績PBR (1.02倍) も業界平均PBR (1.8倍) を大幅に下回っており、現在の株価は業界平均と比較して割安感があると言えます。
企業情報
銘柄コード | 8086 |
企業名 | ニプロ |
URL | http://www.nipro.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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