ニプロ(8086)企業分析レポート
最終更新: 2025-10-06
1. 企業情報
- 概要:ディスポーザブル(使い捨て)医療器具大手。人工腎臓(ダイアライザ)に強み。医療関連(透析、注射・輸液、血管関連、糖尿病関連等)、医薬関連(後発医薬品、受託製造/CDMO)、ファーマパッケージング(医薬用ガラス容器・ラバー部材・ガラスチューブ)を展開。国内外で透析センター・トレーニングセンターも運営。
- 連結事業構成(売上構成/セグメント利益率の目安):医療 79%(約9%)、医薬 12%(約7%)、ファーマパッケージング 9%(約0%)、その他 0%(約3%)
- 海外売上比率:51%(2025.3期)
- 従業員:39,811人
- 本社:大阪府摂津市
- 業種分類:精密機器(医療機器・用品)
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内のダイアライザで上位。透析関連で国内外に広い顧客基盤。ディスポーザブル医療器材と医薬用容器も多品種を展開。
- 主な競合:透析(Fresenius Medical Care、Baxter、旭化成メディカル、テルモ等)、パッケージング(SCHOTT、West/大洋製器など)、ジェネリック・CDMO(多数)。
- 競争優位性:
- 透析分野の製造技術・量産能力と拠点分散(中国合肥、国内大館、ベトナム、タイ等)
- 医療器具~容器~受託までの垂直・周辺一体の品ぞろえ
- 課題:
- 海外の集中購買や価格引下げ圧力、原材料・労務費の上昇
- 欧米の医薬用ガラス容器の在庫調整
- 為替変動影響(為替差損益の振れ)
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/方向性(短信等より推察):
- 透析・注射/輸液など基幹ディスポの安定成長
- ジェネリック/受託(CDMO)の拡大(抗がん剤等)
- 医薬用パッケージングでの高付加価値製品(滅菌済シリンジ等)強化
- 具体施策:
- 生産能力増強(合肥・大館・ベトナム・タイのライン稼働/整備)
- 海外透析センター事業の拡大
- 品質保証・供給安定体制の強化(出荷制限品目の改善)
- 財務面では劣後特約付ソーシャルボンド発行(50,000百万円、2025/7/25)
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益源:ディスポ医療材料(反復需要)、透析関連(慢性腎不全患者の継続需要)、CDMO(長期契約化の余地)、医薬用容器(製薬需要連動)。
- 適応力:
- 価格圧力や在庫調整に対し、生産拠点分散・品目ミックス改善で対応
- 受託/注射剤・滅菌済シリンジなど高付加価値領域へのシフト
- リスク:為替、集中購買、規制・品質要件、原材料コスト、地政学。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性:ダイアライザ膜技術、滅菌・成形・材料技術、キット化(コンビネーション製品)、バイアル/シリンジの前処理・減菌技術。
- 収益牽引:
- 医療関連:ダイアライザ、透析装置、注射針・輸液関連、注射剤
- 医薬関連:受託(抗がん剤、新規受託品)
- パッケージング:ガラス管・バイアル、滅菌済シリンジ(バイオ製剤向け注力)
- 直近動向:医療・医薬は増収増益、パッケージングは欧米在庫調整で減収減益。
6. 株価の評価(バリュエーション比較)
- 株価:1,486.5円、時価総額:約2,548億円
- 会社予想EPS:79.40円 → 予想PER:約18.7倍(業界平均PER 21.1倍)
- BPS(実績):1,460.54円 → PBR:約1.02倍(業界平均PBR 1.8倍)
- EV/S(概算):EV ≈ 7,882億円(時価総額2,549+純有利子負債約5,333)/ 売上高約6,514億円 ≈ 約1.2倍
- 参考比較(単純換算):
- 業界平均PERを適用時の参考水準:79.4円 × 21.1 ≈ 1,676円
- 業界平均PBRを適用時の参考水準:1,460.5円 × 1.8 ≈ 2,629円
注:単純比較であり、成長率・利益率・財務リスク差異は未調整。
7. テクニカル分析
- 足元の位置:終値1,486.5円は50日移動平均1,487円付近、200日移動平均1,379円を上回る水準。年初来高値1,578円に約6%届かず、安値1,230円に対しては約21%上方。
- 短期推移:9/26の1,556円から緩やかに反落。直近出来高は3カ月平均(約53万株)よりやや多め。
- 信用需給:信用倍率0.21倍(売り長)。信用買残は減少、売残は増加。
8. 財務諸表分析
- 売上高推移:494,789(2022.3)→ 545,199(2023.3)→ 586,785(2024.3)→ 644,586(2025.3, LTM)百万円
- 3年CAGR:約+9.2%、LTM YoY:約+9.8%
- 収益性(LTM目安):
- 粗利率:約29.6%(190,883/644,586)
- 営業利益率:約4.1%(26,598/644,586)※指標データでは5.05%の表記あり
- EBITDAマージン:約14%(92,579/644,586)
- 当期純利益率:0.8–0.9%
- ROE/ROA:ROE 2.1%(実績)、ROA 1.6%(LTM目安)
- 費用・財務:
- 金利負担増(支払利息 7,844→増加傾向)
- 減価償却費 増加(設備投資の反映)
- 為替差損益の振れが経常利益に影響(Q1は差損)
- バランスシート:
- 自己資本比率:21.6%(2025/3末)、2025/6末は20.8%
- 流動比率:1.64(直近四半期)
- 総有利子負債:6,394億円、現金等:1,061億円、D/E(総資本ベース)215%
- 四半期(2026年3月期Q1):
- 売上+4.5%、営業利益+24.6%(注射・輸液、受託が牽引)
- 経常は為替で減益、純利益は固定資産売却益計上で増益
9. 株主還元と配当方針
- 配当実績・予想:
- 2025年3月期:年25円
- 2026年3月期(会社予想):年28円(中間10円・期末18円)
- 配当利回り(会社予想):約1.88%(株価1,486.5円基準)
- 配当性向:
- 予想ベース:約35%(28円/想定EPS79.4円)
- 直近期の実績ベースでは純利益低下の影響で一時的に高め
- 自社株:自己株口 約4.5%(期末自己株数8,363,825株)。自社株買いの新たな公表は短信に記載なし。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:200日線上での推移が続く一方、短期は高値圏からの調整局面。52週変化率は+1.1%程度。
- 関心材料:
- 透析・注射/輸液の生産増強の進捗、出荷制限の解消状況
- 欧米パッケージング在庫調整の収束タイミング
- 為替動向と原材料コスト
- 受託(CDMO)案件の積み上がり
- 11/6/2025 決算発表、2026/3/30 権利落ち予定
11. 総評
- 需要の底堅い透析・注射/輸液に加え、医薬受託の伸長で売上は拡大基調。欧米パッケージングの在庫調整が収益の重し。
- 利益率は医療機器大手平均と比べ低位で、為替・金利・原材料の外部要因の影響を受けやすい。設備投資・減価償却・金利負担の増加も利益圧迫要因。
- 財務レバレッジは高めで、自己資本比率は2割前後。劣後債の発行で資本性の補強を図る動きあり。
- バリュエーションはPER・PBRとも業界平均比で低水準。今後は生産能力増強の成果、価格/ミックス改善、パッケージング需要の正常化、為替影響の収れんが指標の改善要因となり得る。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
- 3年CAGR約+9%、LTM売上+約10%、Q1売上+4.5%。
- 収益性:C
- 粗利率約30%、営業利益率4–5%台で同業平均(医療機器大手)と比較し低位。
- 財務健全性:C
- 自己資本比率約21%、D/E約215%、流動比率1.64。負債水準は高め。
- 株価バリュエーション:A
- 予想PER約18.7倍(業界平均21.1倍以下)、PBR約1.02倍(同1.8倍以下)、EV/S約1.2倍。
参考データ
– 株価レンジ(過去1年):1,230.5円–1,578円
– 50日移動平均:1,487円、200日移動平均:1,379円
– 直近出来高(10日平均):約58万株、3カ月平均:約53万株
– 今後の主な予定:2025/11/6 決算発表、2026/3/30 権利落ち予定
注記
– 一過性損益(固定資産売却益等)は継続利益分析からは除外して評価しています。
企業情報
銘柄コード | 8086 |
企業名 | ニプロ |
URL | http://www.nipro.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 精密機器 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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