株式会社イズミ (証券コード: 8273) 企業分析レポート
株式会社イズミ(8273)は、中四国・九州地方を地盤に総合スーパー、ショッピングセンター、食品スーパーを展開する小売企業です。以下に提供データに基づく企業分析をまとめます。
1. 企業情報
イズミは、Izumi Co., Ltd.として、広島県を拠点に日本国内で総合スーパー、ショッピングセンター、食品スーパーなどを運営している企業です。主力業態として「ゆめタウン」ブランドのショッピングセンター、「ゆめモール」ブランドの近隣型ショッピングセンター、そして「ゆめマート」ブランドの食品スーパーを展開しています。衣料品、家庭用品、食料品の販売および輸入が主な事業内容です。また、クレジットカード事業、施設管理、建設、警備、清掃、レストランサービスなどの小売周辺事業も手掛けています。連結事業別売上構成は、小売事業が97%、小売周辺事業が3%、その他が1%となっています(2025年2月期)。1942年に設立され、1961年10月27日に法人化されました。
2. 業界のポジションと市場シェア
イズミは、中四国・九州地域を主要な事業基盤とする地域密着型の総合小売企業です。特に「ゆめタウン」などの大型ショッピングセンターを積極展開し、「ドミナント戦略」と呼ばれる特定の地域での店舗網の密度を高める戦略を推進しています。直近では、サニー事業の承継により九州地区での店舗網を拡大し、地域内での市場シェアおよび競争優位性の強化を図っています。小売業界は、消費者の節約志向の高まりや物価上昇、競合他社との競争激化といったマクロ経済的な課題に直面している状況です。イズミは、このような環境下でPB商品の導入強化や低価格施策を展開し、差別化を図っています。
3. 経営戦略と重点分野
イズミは「第二次中期経営計画」を推進しており、その中でいくつかの重点戦略を掲げています。具体的には、サニー事業のノウハウを既存店舗へ展開することで、収益性の高い「新規SM(食品スーパー)事業」を創出することを目指しています。また、サニー店舗網を含めた九州地域におけるドミナンス(支配的地位)強化も重要な戦略です。各店舗を「街の核」と位置づけ、自治体との連携や付加価値提供を通じて地域に密着した拠点化を進めることも戦略の柱となっています。消費者の節約志向に対応するため、「全力応援値下げ」などの低価格施策やプライベートブランド(PB)の強化、テナント導入による店舗付加価値の向上にも取り組んでいます。
4. 事業モデルの持続可能性
イズミの事業モデルは、多様な業態(総合スーパー、食品スーパー、ショッピングセンター)と小売周辺事業(金融、施設管理、飲食)の組み合わせにより、多角的な収益源を確保しています。市場ニーズへの適応としては、消費者の節約志向に応じた低価格戦略やPB商品の強化、惣菜PBの推進、そして地域特性に合わせた店舗改装やテナント導入による顧客体験の向上などが挙げられます。ゆめカードや電子マネー「ゆめか」といった金融サービスは、顧客の囲い込みに貢献する可能性を秘めています。ドミナント戦略は地域内での効率的な運営を可能にする一方で、特定の地域経済への依存度が高まる側面もあります。マクロ経済の不透明感や消費動向の変化にどのように対応していくかが、持続的な成長の鍵となります。
5. 技術革新と主力製品
提供データに技術革新に関する具体的な情報は記載されていませんが、小売事業における効率化や顧客サービスの向上に向けた取り組みは行われていると推測されます。
収益を牽引する主力製品・サービスとしては、総合スーパー「ゆめタウン」および食品スーパー「ゆめマート」で販売される食品、衣料品、生活用品が主軸です。多様なテナントを導入したショッピングセンターとしての魅力も収益源となっています。また、プライベートブランド商品「くらしモア」や惣菜PB「zehi(ぜひ)」の推進を通じて、商品力の強化も図っています。ゆめカードによる金融サービスも、小売事業を補完する重要なサービスです。
6. 株価の評価
現在の株価は3,172.0円です。
会社の予想EPS(1株当たり純利益)は257.48円であり、これに基づくPER(株価収益率)は12.32倍です。これは業界平均PER 21.3倍と比較して割安な水準にあります。
実績BPS(1株当たり純資産)は4,011.71円であり、これに基づくPBR(株価純資産倍率)は0.79倍です。これは業界平均PBR 1.8倍と比較して割安な水準にあります。
株価がBPSを下回っていることから、現在の株価は純資産価値と比較して割安に評価されていると見ることができます。
7. テクニカル分析
現在の株価3,172.0円は、年初来高値3,468円(52週高値3,599.00円)を下回り、年初来安値2,935円(52週安値2,935.00円)よりは高い水準にあります。
直近10日間の株価推移を見ると、3,340円から3,172円へと下落傾向が見られます。また、現在の株価は50日移動平均線(3,267.56円)および200日移動平均線(3,200.30円)の両方を下回っており、短期的には下落トレンドにある可能性を示唆しています。
8. 財務諸表分析
- 売上高(Total Revenue):過去12か月で551,895百万円と、2025年2月期予想(524,142百万円)を上回っており、過去数年で増加傾向にあります。特に直近四半期の前年同期比売上高成長率は28.70%と大幅な伸びを示していますが、これは主にサニー事業の承継による影響です。
- 営業利益(Operating Income):過去数年で減少傾向にあり、2022年2月期の34,724百万円から2025年2月期(過去12か月)は25,780百万円となっています。サニー事業承継に伴う販管費増加(人件費、賃借料、のれん償却費など)や広告費増加が利益を圧迫していると説明されています。
- 純利益(Net Income Common Stockholders):営業利益と同様に過去数年で減少傾向にあり、2022年2月期の23,204百万円から2025年2月期(過去12か月)は12,031百万円と大きく低下しています。営業外費用の増加(支払利息など)や特別損失の計上も影響しています。
- キャッシュフロー(Operating Cash Flow):過去12か月で51,660百万円と健全に推移しており、直近の第1四半期累計では前年同期比で大幅に増加しています。
- ROE(Return on Equity):実績は4.21%(過去12か月は4.36%)であり、株主資本を効率的に活用できているかという点では改善の余地がある水準です。
- ROA(Return on Assets):過去12か月実績は2.99%であり、総資産に対する利益の効率も同様に改善の余地がある水準です。
- 自己資本比率:実績50.1%(直近四半期48.7%)と、財務健全性は高い水準を維持しています。
- 流動比率:直近四半期で0.89(89%)と100%を下回っており、短期的な支払能力には注意が必要な可能性があります。ただし、小売業は商品を仕入れてすぐに販売するビジネスモデルのため、他業種と比較して流動比率が低くなる傾向があります。
- D/Eレシオ(Total Debt/Equity):直近四半期で41.38%と、財務の健全性を示す一つの指標として良好な水準です。
9. 株主還元と配当方針
イズミの会社予想配当利回りは2.84%であり、1株当たり配当金は年間90.00円(中間45.00円、期末45.00円)を予定しています。過去5年間の平均配当利回りは2.57%です。配当性向は53.41%と、利益の半分以上を株主に還元する方針であり、株主還元への意識は高いと考えられます。
また、2025年4月には3,170百万円で自己株式を取得しており、自社株買いも株主還元策の一つとして実施しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価の直近の変動傾向としては、過去10日間で下落傾向にあり、短期的には調整局面にあると見られます。信用買残は増加傾向にあり、ある程度の投資家の関心が見られる一方で、信用倍率は2.54倍と買残が売残を上回っており、今後の株価上昇局面では上値の重しとなる可能性も考慮されます。
株価に影響を与える要因としては、サニー事業承継による売上拡大効果とそれに伴う利益率の改善、デフレ傾向や消費者の節約志向への対応、中四国・九州地域における店舗の競争力強化、そしてランサムウェア被害からの完全な回復と今後のシステム投資などが挙げられます。また、金利上昇による資金調達コストの増加も注視される要因です。
11. 総評
イズミは中四国・九州地域に強固な基盤を持つ総合小売企業であり、サニー事業の承継による売上規模の拡大とドミナント戦略の推進により、地域内での競争力強化を図っています。足元ではサニー事業承継の効果により大幅な増収を達成していますが、一方で販管費増加や金利上昇により営業利益・純利益は減少傾向にあり、収益性の改善が課題となっています。
財務健全性は自己資本比率が高く良好ですが、流動比率には注意が必要です。株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にあり、配当性向も高く、株主還元への意識は高いと見られます。直近の株価は下落傾向にありますが、今後のサニー事業とのシナジー効果の発揮や、利益率改善に向けた施策の進捗が注目されます。
12. 企業スコア
- 成長性:A
- 過去12か月の売上高は増加傾向で、直近四半期の売上高成長率は前年同期比+28.70%と高く、サニー事業承継による事業規模拡大が見られます。
- 収益性:C
- 売上は伸びているものの、過去数年で営業利益と純利益は減少傾向にあり、販管費や金利負担の増加が利益を圧迫しています。第1四半期の営業利益率は前年同期比で低下しており、業界平均と比較しても高い水準とは言えない可能性があります。
- 財務健全性:B
- 自己資本比率48.7%(直近四半期末)は健全な水準であり、有利子負債も問題ない範囲ですが、流動比率が0.89と100%を下回っており、短期的な資金繰りの面で改善の余地があります。
- 株価バリュエーション:S
- PER(会社予想12.32倍)およびPBR(実績0.79倍)は、それぞれ業界平均PER 21.3倍、PBR 1.8倍と比較して明確に割安な水準にあります。
企業情報
銘柄コード | 8273 |
企業名 | イズミ |
URL | http://www.izumi.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 小売 – 小売業 |
関連情報
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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