1. 企業情報
弘電社は1910年創業、1917年設立の電気設備工事業者です。三菱電機グループの一員であり、三菱電機への依存度が約3割を占めています。主な事業内容は、発電所・変電所、水処理施設、高速道路管制設備、建築物の電気設備、スタジアムの映像設備、夜間照明などの各種電気設備工事（連結事業比率77%）と、重電・電子機器などの商品販売（連結事業比率23%）です（2025年3月期予想）。東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、建設業に分類されます。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は建設業の中でも特に電気設備工事に特化しています。親会社である三菱電機からの安定的な受注基盤を有しており、これが競争優位性の一つと考えられます。建設業界全体では、人手不足や時間外労働の上限規制といった課題を抱えていますが、民間企業を中心に設備投資や建設投資は高水準で推移しています。具体的な市場シェアのデータは提供されていません。
3. 経営戦略と重点分野
同社は「2027年度目標中期経営計画」を掲げ、2027年度以降の「ありたい姿」の実現に向けて、安定的な利益創出と成長投資、株主還元を推進する方針です。電気設備工事部門においては、高水準の手持工事に加え、大口案件やリニューアル案件の受注を通じて、今後も好調な推移が見込まれています。また、2024年12月には東新電気工業株式会社を完全子会社化し、事業規模の拡大と多様化を進めています。
4. 事業モデルの持続可能性
主要な収益源は電気設備工事であり、社会インフラの整備・更新や、工場・商業施設などの設備投資需要に支えられています。親会社である三菱電機からの安定的な取引関係は、事業基盤の安定性につながっています。また、多様な電気設備に対応できる技術力と実績は、市場ニーズの変化への適応力に貢献すると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
技術革新に関する具体的な情報は提供されていませんが、発電所・変電所、水処理施設、高速道路管制設備といった社会インフラから、ビル・工場の電気設備、映像設備まで、幅広い分野で電気設備工事を手掛けています。これらの設備は高度な専門技術を要します。収益を牽引する主力事業は電気設備工事であり、連結売上高の約77%を占めています。
6. 株価の評価
- 現在の株価: 2,545.0円
- 会社予想EPS: 234.73円
- 会社予想PER: 10.84倍
- 実績PBR: 1.04倍
- 実績BPS: 2,449.28円
PER（会社予想10.84倍）は業界平均PER11.3倍と比較してわずかに低い水準にあります。PBR（実績1.04倍）は業界平均PBR0.7倍と比較して高い水準です。PERとPBRを総合的に見ると、PERは業界平均並みかやや割安、PBRは業界平均より割高という状況です。
7. テクニカル分析
現在の株価2,545.0円は、年初来高値2,729円、52週高値2,729.00円に比較的近い水準にあります。年初来安値1,600円、52週安値1,386.00円からは大きく上昇しており、高値圏にあると言えます。
50日移動平均線（2,500.60円）と200日移動平均線（2,199.29円）をいずれも上回っていることから、短期・中期的に上昇トレンドにあると考えられます。ただし、直近の出来高は2,500株（本日）から26,500株（10月1日）と変動が大きく、流動性には注意が必要です。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年間、堅実に増加傾向にあります。2025年3月期の会社予想では、前期比12.6%増の39,263百万円と大幅な成長が見込まれています。
- 利益: 営業利益は2022年3月期の417百万円から2024年3月期の1,156百万円へと改善し、2025年3月期には3,081百万円と大幅な増益予想です。純利益も同様に大きく増加しています。粗利率は2025年3月期（LTM）で20.79%、営業利益率は同7.85%と、収益性が改善していることが伺えます。
- ROE: 直近12ヶ月実績で13.36%と、効率的な資本活用が示唆されます。
- ROA: 直近12ヶ月実績で6.24%です。
- 自己資本比率: 実績で65.4%（直近四半期64.8%）と非常に高く、財務基盤は安定しており健全性が高いです。
- 流動比率: 直近四半期で2.75と高く、短期的な支払い能力に問題はありません。
- D/Eレシオ: 直近四半期で2.47%と極めて低い水準であり、負債は少ない状態です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の1株配当は90.00円であり、現在の株価に基づく配当利回りは3.54%です。配当性向は会社財務指標に基づくと27.13%です。中期経営計画において株主還元を推進していく方針を示しており、高い配当利回りが設定されています。直近では2024年4月1日付で1株を5株に分割する株式分割を実施しています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
過去52週間の株価変化率は+74.32%と、市場全体を大きく上回る上昇を示しており、強い上昇モメンタムが見られます。50日および200日移動平均線を上回って推移しており、短中期的な上昇傾向は継続しています。しかし、発行済株式数8.97百万株に対し、浮動株が2.99百万株、平均出来高が少ない（3ヶ月平均19.75k株、10日平均11.51k株）ため、流動性は低い可能性があります。親会社の三菱電機が発行済株式数の50%を保有しています。
11. 総評
弘電社は三菱電機グループの堅実な電気設備工事業者であり、社会インフラ整備や設備投資の需要を背景に、売上高は着実に増加傾向にあります。特に、営業利益と純利益は過去数年間で大きく改善しており、2025年3月期には大幅な増益が予想されています。財務基盤は自己資本比率65.4%と非常に健全であり、ROEも高い水準にあります。株主還元にも積極的で、妥当な配当利回りが設定されています。
株価は過去1年で大幅に上昇し、高値圏で推移していますが、PERは業界平均水準にあります。ただし、PBRは業界平均を上回っています。株式の流動性は低い傾向にあるため、取引には留意が必要です。建設業界の人手不足などの課題は存在しますが、中期経営計画に基づいた成長戦略と、M&Aによる事業強化も進めています。
12. 企業スコア
- 成長性: A
- LTM売上成長率（YoY、2025年3月期予想）は12.6%増、3年CAGR（売上高）も10.6%増と、売上は堅調に伸びています。利益の成長率も顕著であり、成長性は高いと評価されます。
- 収益性: A
- LTM粗利率は20.79%、営業利益率は7.85%と、過去数年で大幅な改善傾向が見られます。これらの利益率は建設業において良好な水準にあると考えられます。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率65.4%、流動比率2.75、D/Eレシオ2.47%と、極めて高い自己資本比率と低い負債比率を誇り、財務基盤は非常に健全です。
- 株価バリュエーション: B
- 会社予想PER10.84倍は業界平均PER11.3倍と比べるとわずかに割安水準です。しかし、実績PBR1.04倍は業界平均PBR0.7倍より割高であり、両指標を考慮すると中立的な評価となります。
企業情報
| 銘柄コード | 1948 |
| 企業名 | 弘電社 |
| URL | https://www.kk-kodensha.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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