1. 企業情報
朝日工業社は、空調・衛生工事を主軸とする設備工事会社です。特に半導体や液晶パネル製造に用いられる高精度な環境制御装置の開発、設計、製造にも強みを持っています。事業構成は、設備工事事業が売上高の94%を占め、機器製造販売事業が6%となっています（2025年3月期予想）。民間企業からの受注が中心です。
2. 業界のポジションと市場シェア
朝日工業社は、空調・衛生工事の分野において大手の一角を占めています。同社の競争優位性は、ハイテク環境制御装置における優れた技術力とメーカー機能を持っている点にあります。特に、半導体製造装置やFPD（フラットパネルディスプレイ）製造装置向けの製品は、中国パネルメーカーの需要増加に伴い受注が増加しており、この分野における専門性が強みとなっています。市場シェアに関する具体的な数値は提示されていませんが、この専門技術は高付加価値分野での競争力を支えています。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣が掲げるビジョンや具体的な戦略、中期経営計画に関する詳細な記述は、提供された情報からは確認できません。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、設備工事事業が主要な収益源であり、そこに高付加価値な機器製造販売事業が加わる形です。国内の建設投資は堅調に推移しており、設備工事事業の安定的な基盤を形成しています。また、ハイテク環境制御装置は半導体・FPD産業の成長に連動しており、特にアジア市場の需要増加に対応することで、市場ニーズの変化への適応力を示しています。顧客のニーズに応じた技術開発と、幅広い事業領域を持つことで、事業モデルの持続可能性を維持しています。
5. 技術革新と主力製品
朝日工業社は、空調・衛生工事の専門技術に加え、精密な環境制御技術に強みを持っています。特に、半導体製造装置や液晶パネル製造装置などに使用される高機能な環境制御装置を開発、設計、製造するメーカー機能を有しており、これが同社の独自性となっています。これらのハイテク環境制御装置が、収益を牽引する主力製品の一つです。環境技術開発にも注力しており、今後の技術革新が期待されます。
6. 株価の評価
現在の株価（3,115.0円）に対し、会社予想に基づくと以下の評価となります。
* PER（会社予想）は12.54倍です。業界平均PERが14.0倍であることと比較すると、やや割安感がある水準です。
* PBR（実績）は1.95倍です。業界平均PBRが1.1倍であることと比較すると、割高感がある水準です。
EPS（会社予想）が248.49円、BPS（実績）が1,594.86円となっています。
7. テクニカル分析
現在の株価3,115.0円は、過去1年の推移を見ると、年初来高値3,225円、52週高値3,225.00円に近く、比較的高値圏で推移しています。年初来安値1,620円、52週安値1,224.00円と比較すると、大幅に上昇した水準です。
50日移動平均線（2,994.34円）を上回り、200日移動平均線（2,383.45円）も大きく上回っていることから、中長期的な上昇トレンドにあると考えられます。直近10日間の株価は3,000円から3,200円台で推移しており、比較的強いモメンタムを維持しています。
8. 財務諸表分析
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売上高：
過去数年間の売上高は増加傾向にあります。2022年3月期68,820百万円から2024年3月期91,676百万円へと成長しました。2025年3月期連結業績予想では、90,000百万円と前年比で微減の計画ですが、2025年3月期第3四半期までの連結売上高は62,676百万円（前年同期比△4.9%）でした。
* 利益：営業利益は、2022年3月期2,289百万円から2024年3月期4,570百万円へと大幅に増加し、2025年3月期予想では7,251百万円（修正予想では6,400百万円）と継続的な改善が見られます。特に、設備工事事業における工事採算の改善が営業利益を押し上げています。親会社株主に帰属する純利益も同様に増加傾向にあり、2025年3月期予想（修正後）で5,500百万円と高い成長を見込んでいます。
* キャッシュフロー：提供データに詳細なキャッシュフローの内訳はありませんが、Total Cash（直近四半期）が13.12Bと潤沢な現預金を保有しています。
* 収益性指標：ROE（実績）は15.42%、ROA（過去12か月）は7.59%と、いずれも良好な水準です。Operating Margin（過去12か月）は10.69%に達しており、収益性の改善が顕著です。
* 財務健全性指標：自己資本比率（実績）は52.0%と高く、2025年3月期第3四半期時点では59.4%とさらに健全性が向上しています。流動比率（直近四半期）は1.96、Total Debt/Equity比率（直近四半期）は11.44%と非常に低く、財務基盤は強固であると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.21%で、1株あたり配当金は100.00円（2025年3月期予想）。配当性向は20.67%と低水準であり、利益成長に応じた今後の増配余地が考えられます。
2025年3月期には、創立100周年記念配当20.00円を含め、年間110.00円（中間25.00円、期末85.00円）の配当が予想されています。これに加えて特別配当40.00円も予定されており、株主還元に積極的な姿勢が見られます。
また、自社（自己株口）が発行済株式の5.31%を保有しており、自社株買いによる株主還元も実施されている可能性があります。10. 株価モメンタムと投資家関心
過去1年間の株価変動率（52 Week Change）は123.88%であり、S&P 500の17.90%を大きく上回るパフォーマンスです。これは投資家の強い関心を示唆しています。
平均出来高は3ヶ月平均85.89k株に対し、10日平均150.13k株と直近の取引が活発化しており、投資家の注目度が高まっている可能性があります。
信用倍率は7.72倍で、信用買い残が信用売り残を大きく上回っていますが、信用買い残は前週比で減少しています。
業績予想修正による利益の大幅な上方修正や、配当予想の増配などが株価に好影響を与えていると考えられます。一方で、ウクライナ情勢、中東情勢、中国経済の動向、国内物価上昇、金融資本市場の変動などがリスク要因として挙げられます。11. 総評
朝日工業社は、安定した設備工事事業を基盤とし、ハイテク環境制御装置という高付加価値分野で技術優位性を持つ企業です。過去数年間にわたる売上高と利益の成長が顕著であり、特に収益性改善と財務健全性の高さが特徴です。足元の売上高は微減傾向にありますが、利益は改善しています。株価はPERで割安感がある一方、PBRでは割高感もありますが、高いROEがこれを裏付けている可能性もあります。株主還元にも積極的で、配当利回りも魅力的な水準です。直近の株価は年初来高値圏で推移しており、投資家の関心も高い状況です。
12. 企業スコア
- 成長性：C
- LTM売上成長率（YoY）は前期比微減（-1.8%の会社予想修正）、直近四半期成長率は-4.3%と足元では鈍化傾向が見られます。過去3年間のCAGRは約10%ですが、直近の動向を鑑みて中立より評価を引き下げます。
- 収益性：A
- 営業利益率が過去数年で大きく改善し、2025年3月期予想では7%台後半から10%台後半（データ源により変動）と高い水準です。ROEも15.42%と業界内で高水準であり、設備の採算改善が寄与しています。
- 財務健全性：S
- 自己資本比率は52.0%（3Qでは59.4%）と非常に高く、流動比率1.96、D/E比率11.44%と借入も少なく、非常に健全な財務体質です。
- 株価バリュエーション：B
- PER（会社予想）12.54倍は業界平均14.0倍と比較してやや割安感があります。一方で、PBR（実績）1.95倍は業界平均1.1倍より割高ですが、これは高いROEを考慮すると説明可能です。総合的に判断し、中立と評価します。
企業情報
| 銘柄コード | 1975 |
| 企業名 | 朝日工業社 |
| URL | http://www.asahikogyosha.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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