データ・アプリケーション(3848)企業分析レポート
個人投資家の皆様へ、データ・アプリケーション(3848)の企業分析レポートをお届けします。
1. 企業情報
データ・アプリケーションは、主に企業間における電子データ交換(EDI)および企業内アプリケーション統合(EAI)のためのソフトウェア開発、販売、コンサルティングを手掛ける企業です。B2Bのデータ連携基盤ソフトウェアに強みを持ち、EDIソフトウェア開発においては国内トップクラスの地位を確立しています。主な顧客は流通業や製造業で、大手システムインテグレーターからの受注が中心です。事業構造は、継続的な収益源となるリカーリング事業が売上構成比の76%を占めています(2025年3月期実績)。2025年4月には、DTC社およびメロン社を連結子会社化し、事業領域を拡大しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
国内のB2B EDIソフトウェア市場において、同社はリーダー的なポジションにあります。長年の実績と技術的なノウハウに裏打ちされた製品力、および大手システムインテグレーターとのパートナーシップが競争優位性となっています。近年進行する企業のDX推進やクラウド活用、AI技術の導入ニーズは、データ連携およびシステム統合の重要性を高めており、同社の事業領域には追い風が吹いています。M&Aを通じてAI関連領域への参入も進め、市場変化への適応を図っています。具体的な市場シェアの数値は公開データからは確認できませんが、大手SIとの取引を基盤としています。一方で、間接販売中心であるため、販売パートナーとの関係維持や、常に変化するIT市場の技術トレンドへの対応が課題となります。
3. 経営戦略と重点分野
2025年5月12日に発表された新中期経営計画(2026年3月期〜2028年3月期)では、「DIGITAL WORK の実現」を中核ビジョンに掲げています。主要な事業戦略として以下の3点を挙げています。
– 事業領域の拡大・開拓: データ連携プラットフォームを基盤に、M&AによりAI関連事業やシステムインテグレーション事業へと領域を拡大。これにより、従来のEDI/EAIに加え、AI活用や業務インフラ構築までを包含するソリューション提供を目指しています。
– 収益安定性の向上: ソフトウェア事業において、サブスクリプション型サービス(ACMS Cloudなど)への転換を推進し、継続的な収益基盤の強化を図っています。
– 人的資本経営の推進: 専門人材の採用・育成を通じて、変化する市場ニーズに対応できる組織力の強化を図っています。
これらの戦略は、M&Aによる連結子会社化やクラウドサービスの展開、AI子会社との連携など、具体的な施策として実行段階にあります。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、安定した収益源であるリカーリング収益(ソフトウェア事業における約89.4%)に支えられています。特に、サブスクリプション比率が47.2%に達しており、収益の予測可能性と安定性が高まっています。M&AによるAI関連事業やシステムインテグレーション事業への拡大は、既存の強みを活かしつつ、成長分野を取り込むことで、中長期的な持続可能性を高める戦略です。企業のDX推進は今後もデータ連携やシステム統合のニーズを生み出すため、同社の事業は継続的な需要が見込まれます。ただし、M&Aに伴うのれんの増加やPMI(Post Merger Integration)の確実な遂行、AIプロジェクトの不確実性などが短期的な収益変動要因となる可能性も考慮されます。
5. 技術革新と主力製品
主力製品は、データ連携プラットフォーム「ACMS Apex」を中心としたEDI/EAI関連のソフトウェア群です。これに加え、B2Bサーバー、Web-EDIシステム、データ連携基盤、ノープログラミングデータ交換ツールなどを提供しています。技術革新の動向としては、クラウドベースの「ACMS Cloud」の提供開始により、市場のクラウドシフトへの対応を進めています。また、M&Aを通じてAI技術(生成AI、時系列解析、LLM)を積極的に取り込み、既存のデータ連携技術とAIを組み合わせた新しいソリューションの開発を目指しています。現在、収益を牽引しているのは、EDI/EAI関連ソフトウェアとそれに付随する保守サービスが中心であり、特にリカーリングモデルによる安定収益が特徴です。AI関連事業は現時点では成長フェーズにあり、今後の収益貢献が期待される分野です。
6. 株価の評価
現在の株価は819.0円です。2025年3月期(LTM)の希薄化後EPSが43.37円に基づきPERを試算すると約18.88倍となります。これは業界平均PER17.6倍と比較してやや高めの水準です。PBR(実績)は1.07倍であり、業界平均PBR1.6倍と比較すると割安に見えます。BPS(実績)は768.60円で、現在の株価は純資産価値をわずかに上回っています。2026年3月期第1四半期に純損失を計上しており、LTM EPSには変動が生じやすいため、PERのみでの評価には留意が必要です。M&Aによる事業構造転換と将来の成長期待が株価に織り込まれている可能性があります。
7. テクニカル分析
直近10日間の株価推移を見ると、高値圏から下落傾向にあります。株価は9月25日の868円から10月8日の819円まで調整が進んでいます。現在の株価819.0円は、50日移動平均線838.58円、200日移動平均線825.93円をいずれも下回っており、短期・中期的に売り圧力が優勢であることが示唆されます。年初来高値930円、年初来安値743円に対して、現株価は中間よりやや安値圏に近い水準です。本日の出来高は10,200株で、過去10日平均(5.21千株)より増加しており、売りが加速した可能性があります。株価は高値圏から調整局面に入っていると見られますが、新たなトレンドの形成には今後の動向を注視する必要があります。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年3月期から2024年3月期にかけては増加傾向にありましたが、LTM(2025年3月実績相当)では2,607百万円と前年度(2,919百万円)から減少しました。2026年3月期の通期予想ではM&A効果により4,500百万円(前年比+72.6%)と大幅な増収を見込んでいます。
- 利益: 売上総利益率はLTMで約69.5%と高い水準です。営業利益は2024年3月期まで増加していましたが、LTMでは329百万円と減少しました。2026年3月期第1四半期はM&Aに伴うのれん償却費などの影響で営業損失・純損失を計上しており、通期でも営業利益は280百万円(前年比△14.9%)と減益を予想しています。利益面では事業構造の転換期における一時的な影響が見られます。
- キャッシュフロー: 過去12ヶ月の営業キャッシュフローは103百万円とプラスを維持しており、健全な事業活動を示唆しています。直近四半期末の現金及び預金は4,202百万円と潤沢です。
- ROE: 実績ROEは5.61%であり、自己資本の活用効率は平均を下回る水準です。
- 自己資本比率: 実績で77.3%、直近四半期末でも67.8%と非常に高く、極めて健全な財務基盤を有しています。
- 流動比率: 直近四半期で3.72倍と高く、短期的な支払い能力も優れています。
- D/E (Total Debt/Equity)比率: 直近四半期で8.31%と低く、負債依存度が低いことを示しています。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.17%(1株配当26.00円)で、現在の低金利環境下においては比較的高い水準です。配当性向は59.95%と、利益に対する配当の割合が比較的高く、株主への利益還元意欲が高いと見られます。自社株買いに関する情報はありませんが、発行済株式数の15.59%を自己株として保有しており、将来的な資本政策の柔軟性があります。強固な財務体質と潤沢な現預金は、安定的な配当支払いの基盤となり得ます。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は下落傾向にあり、短期的モメンタムは弱いです。信用買残が信用売残を大きく上回る信用倍率18.44倍という状況は、株価上昇時には買い方有利に作用する一方で、下落時には含み損を抱えた買い残が上値を抑制する要因となる可能性があります。M&Aによる事業領域拡大やAI分野への参入は、成長期待から投資家の関心を集める可能性がありますが、直近のM&A関連費用による利益の減少やPMIの不確実性が、投資家の評価に影響を与えている可能性があります。経営層・創業者による株式保有比率が51.47%と高く、企業の安定性に寄与する一方、市場での流通株数(Float)が相対的に少ないため、株価の変動が大きくなる要因となる可能性もあります。
11. 総評
データ・アプリケーションは、国内EDI市場における強固な基盤と安定したリカーリング収益を持つソフトウェア企業です。健全な財務体質と潤沢な現預金を背景に、M&Aを通じてAI関連やシステムインテグレーション分野へ事業領域を拡大し、新たな成長戦略を推進しています。新中期経営計画では、デジタルワークの実現とサブスクリプション型ビジネスへの移行により、持続的な成長を目指しています。
財務面では、自己資本比率や流動比率が高く、極めて健全な状態です。しかし、直近のM&Aに伴うのれん償却費などの影響により、一時的に利益が圧迫され、2026年3月期第1四半期に営業損失・純損失を計上しています。通期でも増収減益を見込んでおり、PMIの確実な遂行と、 M&Aによる事業が収益貢献することの確認が今後の焦点となります。
株価は直近で調整局面に入っており、移動平均線を下回る状況です。PBRは業界平均と比較して割安水準ですが、PER(参考値)はやや高めとなっています。配当利回りは3.17%と魅力的で、株主還元への意欲は高いと評価できます。投資家は、拡大する事業領域の潜在的な成長性と、M&Aに伴う短期的な利益減少とのバランスを評価することになりそうです。
12. 企業スコア
観点 | 評価 | 評価理由 |
---|---|---|
成長性 | C | LTM売上高は前年比で減少傾向を示しており、既存事業での明確な高成長は見られません。2026年3月期通期予想はM&Aによる大幅増収(+72.6%)ですが、これは外部要因によるものであり、内部的な成長ドライバーが明確になるのはこれからです。 |
収益性 | B | LTM売上総利益率は約69.5%と高い水準ですが、第1四半期は営業損失を計上し、通期予想の営業利益率も減少が見込まれます。M&Aに伴う一時的な費用やのれん償却が影響しており、事業構造転換期であるため中期的には安定が見込まれます。 |
財務健全性 | S | 自己資本比率77.3%(実績)、直近四半期末67.8%、流動比率3.72倍、D/E比率8.31%と、全ての指標において非常に健全な水準を維持しています。潤沢な現預金も強みです。 |
株価バリュエーション | B | PBR1.07倍は業界平均1.6倍に比して割安ですが、LTM EPSから算出した参考PER約18.88倍は業界平均17.6倍よりやや高めです。M&Aによる成長期待と短期的な利益圧縮が混在するため、総合的に中立評価となります。 |
企業情報
銘柄コード | 3848 |
企業名 | データ・アプリケーション |
URL | http://www.dal.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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