企業分析レポート:レアジョブ(6096)
個人投資家向けに、株式会社レアジョブ(証券コード:6096)の企業分析レポートをまとめました。
1. 企業情報
レアジョブは、オンライン英会話サービスを主軸とする企業です。英語学習を通じて「Chances for everyone, everywhere.」というビジョンの実現を目指しています。フィリピン人講師を主軸とした質の高いオンライン英会話レッスンを個人・法人・教育機関向けに提供しており、業界最大手の地位を確立しています。近年はAIを活用した英会話力測定試験「PROGOS」の展開や、小中学校への外国人英語指導助手(ALT)派遣事業など、教育DX(デジタルトランスフォーメーション)とリスキリングを支援する事業領域を拡大しています。
現在の事業構成は、大人向け学習や法人向けサービスを含む「リスキリング事業」が売上高の48%を占め、ALT派遣や子ども向け英会話など「子ども・子育て支援事業」が52%を占めています(2025年3月期実績)。
2. 業界のポジションと市場シェア
レアジョブは「オンライン英会話最大手」とされており、主力市場においてリーダー的なポジションを占めていると見られます。
競争優位性としては、フィリピン人講師を活用したオンラインレッスンの提供体制、そしてAI英会話力測定試験「PROGOS」に代表されるAI技術を活用した学習サービスの差別化が挙げられます。また、リスキリング事業と子ども・子育て支援事業という異なる市場ニーズに対応することで、事業のリスク分散とシナジー創出を図っています。
一方、課題としては、個人向けリスキリング事業における成長の鈍化傾向や、子ども・子育て支援事業における全国展開に伴う先行投資が利益を圧迫している点が挙げられます。オンライン英会話市場における競合は依然として多く、AI技術の発展による学習市場の変化への継続的な適応が求められます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、「人(講師)とAIの共創(「人×AI」)」を軸に提供価値の最大化を目指すビジョンを掲げています。
中期経営計画においては具体的な数値目標は明示されていませんが、以下の施策と重点分野が挙げられます。
* 「人×AI」戦略の推進: AI英会話、AIレッスンレポート、AIスピーキングテスト「PROGOS」といったAIプロダクトの拡充と、これらを活用した新たな学習体験の提供に継続的に投資しています。PROGOSの延べ受験者数が100万人を突破するなど、AI分野での実績を積み上げています。
* 事業展開の加速: 特にALT派遣事業において、全国展開を加速することで教育機関へのサービス提供を拡充しています。オンラインとオフラインを融合した教育機会の拡大も重視しています。
* シナジーと協業の強化: 各事業間の連携を深めるとともに、外部企業との協業を通じて新たな事業機会を創出する方針です。
現在、これらの成長戦略のための先行投資が短期的な利益を圧迫していますが、会社としては中期的な成長に向けた取り組みと位置づけています。
4. 事業モデルの持続可能性
レアジョブの収益モデルは、オンライン英会話レッスン、コーチングプログラム、AIスピーキングテストの提供によるサービス収入が主です。これに加えて、ALT派遣事業や子ども向けオンライン英会話が収益源となっています。
市場ニーズの変化への適応力として、近年高まっているビジネスパーソンのリスキリング需要や、教育現場でのデジタル化・グローバル化の加速といった社会動向に対応したサービスを提供しています。特にAI技術の導入は、学習効果の向上と効率化を図り、市場の変化に対応する重要な戦略です。
子ども・子育て支援事業は、少子化という課題を抱えつつも、国の教育政策と連動する側面があり、一定の需要基盤を持っています。ただし、AI技術が学習市場にもたらす構造変化(無料翻訳ツールの進化など)に対して、英語を「話す」能力の価値をいかに提示し続けるかが持続可能性のカギとなります。
5. 技術革新と主力製品
レアジョブは「人×AI」を軸とした技術革新に注力しています。
* AI英会話・AIレッスンレポート: 学習効果の最適化や効率化を図るためにAI技術を活用したサービスを提供しています。
* AIスピーキングテスト「PROGOS」: AIが受験者の英語スピーキング能力を測定する独自性の高いサービスであり、延べ受験者数が100万人を達成しています。これは、同社のAI技術開発能力を示す重要な実績です。
主力製品としては、オンライン英会話(個人・法人向け)が依然として売上を大きく牽引しています。また、子ども・子育て支援事業におけるALT派遣も主要な収益源です。AIプロダクトは将来の成長ドライバーとして育成が進められています。
6. 株価の評価
現在の株価は360.0円です。各種指標との比較は以下の通りです。
* PER(会社予想): 11.03倍
* 業界平均PER(15.0倍)と比較すると、割安な水準にあります。
* PBR(実績): 1.85倍
* 業界平均PBR(1.2倍)と比較すると、割高な水準にあります。
* EPS(会社予想): 32.64円
* BPS(実績): 195.00円
予想PERでは割安感がある一方、実績PBRでは割高感があるため、評価は分かれる可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価360.0円は、年初来高値440円、年初来安値338円のレンジ内で推移しており、年初来安値に近い水準にあります。
直近10日間の株価推移を見ても、355円から366円の狭いレンジでの横ばい、あるいはやや下落基調となっています。
50日移動平均線(360.26円)とほぼ同水準ですが、200日移動平均線(378.08円)は下回っています。このことから、株価は現状、過去1年のトレンドと比較して安値圏にあると評価できます。特段の強い上昇トレンドは見られません。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 2022年3月期には約55.9億円でしたが、2024年3月期には約101.7億円と大きく成長しました。しかし、過去12か月間の売上高は約97.1億円とやや減少傾向にあり、直近の2026年3月期第1四半期売上高も前年同期比で5.7%減少しています。2026年3月期の通期予想では約98.0億円と微増を見込んでいます。
- 粗利益・利益率: 過去12か月の粗利益は約40.8億円で、粗利率は約42.0%です。しかし、直近四半期の粗利率は約38.8%とやや低下しています。営業利益は2024年3月期には約6.9億円でしたが、過去12か月では約4.4億円に減少しました。特に2026年3月期第1四半期の営業利益は、先行投資と成長鈍化の影響により約1,100万円と大幅な減益(前年同期比△87.4%)となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は△1,600万円の損失を計上しています。2024年3月期の純損失(約2.8億円)は、一過性の特別損失が大きく影響していました。2026年3月期の通期予想では営業利益4.5億円、純利益3.1億円と回復を見込んでいます。
- キャッシュフロー: 提供された情報には、過去のキャッシュフロー計算書や直近四半期のキャッシュフロー計算書の詳細は含まれていません。
- 収益性指標:
- ROE(実績): 14.32%(過去12か月では10.88%)。日本企業の平均と比較して高水準にあります。
- ROA(過去12か月): 3.70%。
- 財務健全性指標:
- 自己資本比率(実績): 32.8%(直近四半期では31.5%)。一般的に40%以上が健全とされる中で、やや低い水準です。
- 流動比率(直近四半期): 1.36倍(136%)。短期的な支払い能力は問題ない水準です。
- 総負債/自己資本比率(D/E比率)(直近四半期): 108.73%。負債が純資産を上回っており、財務レバレッジは高めです。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 2.22%(株価360円に対し、1株配当8.00円)。これは、現在の市場金利と比較して魅力的な水準と言えるかもしれません。
- 配当性向: 17.64%。利益に対する配当の割合は比較的低く、成長戦略のための内部留保や投資を優先する方針がうかがえます。
- 1株配当: 2025年3月期実績の5.00円から、2026年3月期予想では8.00円への増配を見込んでおり、株主還元への意欲は示されています。
- 自社株買い: 譲渡制限付株式報酬として自己株式を処分する予定はありますが、市場からの大規模な自社株買いについては、提供された情報には明確な記載はありません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価の直近の変動傾向は、横ばいまたはやや下落基調にあり、52週変化率は-9.07%と、市場平均(S&P 500の52週変化率+15.93%)を大きく下回っています。
出来高は直近10日間で2,500株〜21,900株と比較的低水準で推移しており、投資家の関心が限定的である可能性を示唆しています。
信用取引においては、信用買残が信用売残を大きく上回り(信用倍率11.75倍)、需給面で上値が重くなる要因となる可能性があります。
今後の株価は、AIプロダクトの収益貢献状況、ALT事業の全国展開の進捗、国内教育市場の変化、そして物価上昇や消費意欲などのマクロ経済環境の変化が影響を与える要因として考えられます。次回決算発表は今後の株価を左右する重要なイベントです。
11. 総評
レアジョブは、オンライン英会話の最大手として確立された地位を持ち、リスキリングと子ども・子育て支援という二つの成長市場を事業軸としています。過去には高い売上成長を達成しましたが、直近では個人向け事業の成長鈍化や、AI技術・ALT事業の全国展開への先行投資によって、一時的に売上成長が停滞し、利益率が低下しています。
しかし、「人×AI」を組み合わせた独自の戦略とAIプロダクト(PROGOSなど)の展開は、中長期的な成長の可能性を秘めています。財務面では、ROEは比較的高いものの、自己資本比率とD/E比率は改善の余地があると言えます。
株価は予想PERでは割安感がある一方、実績PBRでは割高感があります。テクニカル的には年初来安値圏にあり、直近は横ばいで、投資家の関心は限定的と見られます。
今後の株価は、先行投資が実を結び、企業が掲げる成長戦略が具体的に売上・利益へと反映されるかどうかにかかっていると考えられます。
12. 企業スコア
以下の3観点での5段階評価です。欠損データは「B(中立)」とし、一過性損益は除外して評価しています。
* 成長性: C
* 過去3年間の売上高CAGRは高かったものの、過去12か月および直近四半期の売上高は前年同期比で⁻4.5%〜⁻5.7%と減少傾向にあります。2026年3月期の通期売上高予想も微増(+0.9%)に留まるため、現状の売上成長の勢いは停滞していると評価します。
* 収益性: C
* 直近四半期の営業利益率は0.47%と低く、セグメント利益では一部損失を計上しています。先行投資の影響があるとはいえ、一時的に収益性が大幅に低下している状況を反映し、改善の余地があると評価します。
* 財務健全性: C
* 自己資本比率(直近四半期31.5%)は一般的に健全とされる40%を下回っており、総負債/自己資本比率(108.73%)もやや高い水準です。財務基盤は強化が必要です。
* 株価バリュエーション: B
* 予想PER(11.03倍)は業界平均(15.0倍)と比較して割安水準にありますが、実績PBR(1.85倍)は業界平均(1.2倍)と比較して割高水準です。両指標に乖離があるため、中立的な評価とします。
本レポートは、提供された情報に基づいて作成された企業分析であり、特定の有価証券の購入、売却、保有を推奨するものではありません。記載されている情報は、将来の業績を保証するものではなく、内容の正確性や完全性について保証するものではありません。投資判断はご自身の責任と判断において行ってください。
企業情報
銘柄コード | 6096 |
企業名 | レアジョブ |
URL | http://www.rarejob.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – サービス業 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。