日本エンタープライズ(4829)企業分析レポート
1. 企業情報
日本エンタープライズは、スマートフォン向けコンテンツの企画・開発・運営と、企業向けのソリューション提供を主力事業とする企業です。主な事業は「クリエーション事業」と「ソリューション事業」の2つのセグメントに分かれています。
* クリエーション事業: 電子書籍サービス「Booksmart」、交通情報アプリ「ATIS Traffic Info」、女性向けヘルスケアアプリ「Women's Diary」、高品位な商品を取り扱うフリマアプリ「Flea-ma.jp」などのスマートフォン向けコンテンツを提供しています。また、企業向けのキッティング支援、交通情報サービス、EC・ASPサービスなどのビジネスサポートも手掛けています。さらに、再生可能エネルギー事業も展開しています。
* ソリューション事業: 企業顧客向けにアプリケーションやシステムの企画・開発・運用サービスを提供し、業務効率化を支援しています。具体的には、IP電話サービス「AplosOne」、ビジネスチャットアプリ「BizTalk」、観光向けクラウドサービス「Yubisashi Navi」、学習クラウドサービス「e-Manabi」などがあります。
同社は、新技術を活用した事業に積極的で、used端末やガラスコーティングの販売、鮮魚ECなど新たな事業も模索しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
日本エンタープライズは、情報・通信業の中でも特にモバイルコンテンツ市場と法人向けITソリューション市場に属しています。国内における市場シェアに関する具体的なデータは開示されていませんが、スマートフォン向けサービスや法人P向けITソリューションを提供する競合企業は多数存在します。
競争優位性:
* 長年にわたるスマートフォン向けコンテンツ開発・運用実績と、多様なアプリのポートフォリオ。
* 法人顧客向けのシステム開発や業務支援サービスにおいて、DX(デジタルトランスフォーメーション)、IoT、AIといった最新技術ニーズに対応できるノウハウを有している点。
* キッティング支援や交通情報など、特定のニッチ市場における実績。
課題:
* モバイルコンテンツ市場は競争が激しく、ユーザー獲得と維持には継続的なプロモーション投資が必要。
* 法人向けソリューション市場では、高度な技術力と豊富なリソースを持つ大手ITベンダーとの競合がある。
* 「システム開発サービス」の復調の遅れや、「定額制コンテンツ運営費や広告宣伝費、人件費増」が当期減益の要因とされており、収益性を安定させるための事業構造改革やコスト管理が課題となる可能性が示唆されます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、クリエーション事業とソリューション事業の両輪で事業拡大を継続する方針を掲げています。
具体的な施策・重点分野:
* クリエーション事業: 月額コンテンツの会員増強を推進し、定額制コンテンツのプロモーション強化や新タイトルの投入を通じて増収基調への転換を目指しています。キッティング支援においては、既存顧客への深耕と新たな拡販に注力する予定です。
* ソリューション事業: DX、IoT、AI関連への顧客投資ニーズの高まりを追い風に、クリエーション事業で培ったノウハウを活かしたトータルソリューション(アプリ、IoT、AI関連含む)の提供を強化します。高度IT人材の採用・育成を継続し、金融分野や生成AIといった顧客ニーズの高い領域への展開を図るとしています。
* 中長期目標: 決算短信では具体的な中期経営計画の数値目標は示されていませんが、2026年5月期には売上高5,330百万円(前期比+20.0%)、営業利益240百万円(同+253.9%)、当期純利益155百万円(同+614.5%)と大幅な業績回復を見込んでおり、これらの成長投資が次期の収益改善に繋がることを目指しています。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、多様なスマートフォン向けコンテンツによる個人顧客へのサービス提供と、法人顧客向けのITソリューション提供の二本柱が特徴です。
収益モデル:
* クリエーション事業では、月額課金制のコンテンツサービスや、ビジネスサポートサービスの利用料が主な収益源。
* ソリューション事業では、システム開発の受託、業務支援サービスの提供、製品販売などによる収益が主となります。
市場ニーズの変化への適応力:
* DX、AI、IoTといった先端技術への法人投資ニーズが高まる中で、ソリューション事業を強化する方針は市場の変化に対応しようとする姿勢を示しています。IT人材の育成・確保は持続的成長のために重要です。
* クリエーション事業における定額制コンテンツの強化やプロモーション投資は、競争の激しいモバイルコンテンツ市場でのユーザー基盤維持・拡大を図るための戦略であり、市場ニーズへの適応を試みています。
* 再生可能エネルギーなど多角的な事業展開も、収益源の多様化と持続可能性向上に寄与する可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は新技術での事業に積極的な姿勢を示しており、DX、AI、IoT関連技術への対応を強化していく戦略です。具体的な技術開発の独自性に関する詳細な情報は提供されていませんが、長年のシステム開発・アプリ開発の知見を活かしていると考えられます。
収益を牽引している製品・サービス:
* クリエーション事業: 電子書籍サービス「Booksmart」や交通情報アプリ「ATIS Traffic Info」などのコンテンツサービスが中核です。また、企業向けのキッティング支援サービスも重要なビジネスサポート分野です。
* ソリューション事業: アプリケーション・Web・サーバー構築などのシステム開発サービスや、IT人材の常駐支援を行う業務支援サービスが収益の柱となっています。特注化されたスマホ向けシステムの開発実績も強みとされています。
決算短信によると、2025年5月期は月額コンテンツがプロモーション投下で増加していますが、「システム開発サービス」の復調遅れが減収の一因となっており、現状では法人向けのシステム開発が依然として重要な位置を占めていると考えられます。
6. 株価の評価
現在の株価119.0円に対し、各指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 29.60倍
* 業界平均PER(17.6倍)と比較すると、現在のPERは業界平均を大幅に上回っており、割高感があるといえます。ただし、PERは会社予想EPS(4.02円)に基づいて計算されており、これは次期(2026年5月期)の回復を見込んだ数値です。過去12カ月のEPS(実績0.55円)を用いるとPERは約216倍となり、当期の利益が大幅に減少したことで割高に見えています。
* PBR(実績): 0.97倍
* 業界平均PBR(1.6倍)と比較すると、現在のPBRは業界平均を下回っており、純資産価値から見ると割安感があるといえます。現在の株価が1株当たり純資産(BPS 122.87円)を下回っている状態です。
7. テクニカル分析
現在の株価は119.0円です。
* 年初来高値:130円
* 年初来安値:98円
* 50日移動平均:120.66円
* 200日移動平均:118.29円
現在の株価119.0円は、年初来高値(130円)からは約8%低い水準であり、年初来安値(98円)からは約21%高い水準です。また、50日移動平均線(120.66円)を下回り、200日移動平均線(118.29円)に近い水準で推移しています。直近10日間の株価は、117円から122円の間で推移しており、やや下降傾向から横ばいに転じています。以上の推移から、現在の株価は高値圏と安値圏の中間やや安値寄り、または上値が重い展開にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
売上高:
* 2022年5月期: 4,019百万円
* 2023年5月期: 4,210百万円(前年比+4.7%)
* 2024年5月期: 4,696百万円(前年比+11.5%)
* 2025年5月期: 4,442百万円(前年比-5.4%)
過去数年間は微増傾向でしたが、2025年5月期は減収となりました。直近12ヶ月の売上高(4,442百万円)は前年比で減少しています。
利益:
* 営業利益:
* 2022年5月期: 102百万円
* 2023年5月期: 180百万円
* 2024年5月期: 264百万円
* 2025年5月期: 67百万円
過去に増加傾向を示していましたが、2025年5月期は大幅な減益(前年比-74.4%)となりました。営業利益率も2024年5月期の5.6%から2025年5月期は1.5%に低下しています。
-
親会社株主に帰属する当期純利益:
- 2022年5月期: 71百万円
- 2023年5月期: 103百万円
- 2024年5月期: 209百万円
- 2025年5月期: 21百万円
営業利益と同様に、2025年5月期は大幅な減益(前年比-89.6%)となりました。
キャッシュフロー:
* 営業活動によるCF: +157百万円(2025年5月期)
* 投資活動によるCF: △436百万円(2025年5月期、無形固定資産・投資有価証券取得が主)
* 財務活動によるCF: △286百万円(2025年5月期、配当支払、長期借入金返済等)
営業キャッシュフローはプラスですが、投資活動と財務活動で現金を流出させているため、現金及び現金同等物の期末残高は減少傾向にあります。
収益性・効率性指標:
* ROE(実績): 0.44%(2025年5月期) / 過去12か月: 0.74%
* 当期純利益の大幅な減少により、自己資本を活用してどれだけ効率的に利益を生み出しているかを示すROEは非常に低い水準となっています。
* ROA(過去12か月): 0.74%
* 総資産に対する利益の割合も低い水準です。
* 粗利率(過去12か月): 36.8%。
* EBITDA(過去12か月): 179百万円。EBITDA率は約4.0%(179M / 4,442M)。
財務健全性:
* 自己資本比率(実績): 84.7%(2025年5月期)
* 非常に高い水準であり、財務基盤は強固であると評価できます。前期の82.6%からさらに改善しています。
* 流動比率(直近四半期): 7.75倍 (775%)
* 極めて高い水準であり、短期的な支払い能力は非常に高いことを示しています。
* 有利子負債: 期末で長期・短期借入金は概ね解消されており、負債は非常に少ない状態です。
全体評価:
売上高は直近で減収、営業利益と純利益は大幅な減益となり、収益性は大きく悪化しています。特にROEやROAは低い水準にあります。一方で、自己資本比率が84.7%と非常に高く、流動比率も775%と極めて健全であり、有利子負債も少ないため、財務健全性は非常に優れていると評価できます。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り(会社予想): 2.52% (現在の株価119.0円、会社予想1株配当3.00円に基づく)
- 1株配当(会社予想): 3.00円(2026年5月期も同額を予想)
- 配当性向(連結): 535.71%(2025年5月期)
- 当期純利益が大幅に減少したことで、配当金総額に対し当期純利益が小さいため、計算上の配当性向が非常に高くなっています。これは一過性の要因によるもので、通常この比率は利益の大部分を配当に回していることを示しますが、当期は例外的に利益水準が低いためです。
- 5年平均配当利回り: 1.84%
同社は2025年5月期に年間3.00円の配当を実施しており、2026年5月期も同額を継続する予想を示しています。直近の利益水準から考えると配当性向は非常に高い状況ですが、財務の健全性が高いため、安定配当を維持する方針であると考えられます。自社株買いに関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- 株価の直近の変動傾向: 直近10日間の株価は117円から122円の範囲で推移しており、9月末の上昇基調から反転し、やや下降または横ばい傾向にあります。本日(10/8)は119円で引けています。
- 出来高: 直近10日間の平均出来高は約16万株であり、大きな売買が集中している状態ではありません。
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信用取引:
- 信用買残: 1,020,500株
- 信用売残: 23,600株
- 信用倍率: 43.24倍
信用買残が信用売残を大きく上回り、信用倍率も高い水準にあります。これは将来の株価上昇を期待する買いが多い一方で、需給面では将来の売り圧力となる可能性をはらんでいます。
* 株価への影響を与える要因: 2025年5月期の決算で大幅な減益となったことは、投資家にとってネガティブな要因となる可能性があります。一方で、2026年5月期には大幅な業績回復を見込んでいるため、この見通しが今後の株価を支えるかどうかが注目されます。また、DXやAI、IoTといった成長分野への積極的な投資戦略が市場に評価されるかも重要な要因です。
11. 総評
日本エンタープライズは、スマートフォン向けコンテンツと法人向けITソリューションを二本柱とする情報・通信企業です。これまで売上は微増傾向でしたが、2025年5月期はシステム開発サービスの不振や事業投資増加が響き、減収・大幅減益となりました。特に、利益面での落ち込みが目立ちます。
しかしながら、財務健全性は特筆すべき水準にあり、自己資本比率84.7%、流動比率7.75倍と極めて高く、有利子負債もほぼ解消されています。これにより、事業環境の変化や投資への対応余力は十分に確保されていると考えられます。
経営戦略としては、DX、AI、IoTといった成長分野への対応を強化し、高度IT人材の採用・育成を通じてソリューション事業の拡大を図るとともに、クリエーション事業ではコンテンツの拡充とプロモーション強化を進める方針です。2026年5月期には大幅な業績回復を会社側は予想しており、この計画が実現できるかが今後の焦点となります。
株価はPBRで見た割安感があるものの、PERは当期の利益水準の低さから割高に見えています。次期の業績回復が株価の再評価に繋がるかが注目されます。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- 2025年5月期は前年比-5.4%の減収(Quarterly Revenue Growth -5.80%)となり、直近の売上成長は停滞しています。ただし、次期(2026年5月期)には+20.0%の大幅な増収を見込んでいます。過去3年間の売上CAGRは約3.4%です。
- 収益性: D
- 2025年5月期の営業利益率は1.5%まで低下し(前年比-74.4%)、ROEは0.44%と非常に低い水準です。これは業界平均と比較しても低いと推測され、現状では収益性に課題があります。
- 財務健全性: S
- 自己資本比率は84.7%、流動比率は7.75倍と非常に高く、有利子負債もほぼ解消されています。財務基盤は極めて強固です。
- 株価バリュエーション: D
- PER(会社予想29.60倍)は業界平均(17.6倍)を大幅に上回っており、割高感があります。これは当期の利益が大幅に減少したことによる影響が大きいです。一方でPBR(0.97倍)は業界平均(1.6倍)を下回っており、純資産価値からは割安に見えますが、収益性が低迷している現状を考慮すると、将来の利益成長への期待が株価に織り込まれていると考える。純粋な利益基準のPER評価では割高感が強いです。
企業情報
銘柄コード | 4829 |
企業名 | 日本エンタープライズ |
URL | http://www.nihon-e.co.jp/ |
市場区分 | スタンダード市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。
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