1. 企業情報
NECキャピタルソリューションは、主に情報通信機器を中心としたリース事業を主軸とし、その他にもファイナンス事業、インベストメント事業、PFI/PPP事業などを手掛ける総合金融サービス企業です。情報通信機器のリースでは国内大手の一角を占め、ファンド事業にも注力しています。2024年10月からはSBI新生銀行の持分法適用会社となっています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は情報通信機器のリースにおいて強みを持っており、これが業界内での競争優位性の一つとなっています。SBI新生銀行の持分法適用会社となったことで、資金調達や顧客基盤の面で連携強化が期待されます。一方で、リース業界は金利変動の影響を受けやすく、情報通信機器の技術進歩が速いために陳腐化リスクへの対応も常に求められます。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは具体的な中期経営計画やビジョンに関する詳細な記述はありませんが、「ファンド事業にも力」を入れていることから、インベストメント事業の強化を通じて収益源の多様化を図っていることが示唆されます。NECグループとの連携に加え、SBI新生銀行とのシナジー創出も今後の重点分野となる可能性があります。
4. 事業モデルの持続可能性
リース事業は、顧客の設備投資ニーズに応える安定的な収益源ですが、景気変動や設備投資の増減に左右されます。情報通信機器の技術革新に合わせたリースポートフォリオの柔軟な見直しが重要です。ファイナンス事業やインベストメント事業は新たな収益機会を生む一方で、リスク管理も必要です。SBI新生銀行という大手金融機関との資本関係は、資金調達の安定性や事業領域の拡大に寄与する可能性があり、事業モデルの持続性に貢献し得ると考えられます。
5. 技術革新と主力製品
同社はリース業であるため、直接的な技術開発を行う企業ではありませんが、リース対象となる情報通信機器やインフラ設備の技術革新動向への対応が不可欠です。リースサービス契約が主力製品であり、その他にもファイナンス・投資関連サービスが収益を牽引しています。特に、変化の速い情報通信分野における最新技術への対応力が事業の競争力を左右します。
6. 株価の評価
現在の株価（3,905.0円）に対し、各種指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 8.41倍 (業界平均: 10.3倍)
* PBR（実績）: 0.70倍 (業界平均: 0.9倍)
* EPS（会社予想）: 464.25円
* BPS（実績）: 5,560.23円
業界平均と比較すると、PER、PBRともに低い水準にあり、現在の株価は割安な評価を受けていると言えます。予想EPSと業界平均PERから算出した理論株価は約4,781円、実績BPSと業界 gemiddelde PBRから算出した理論株価は約5,004円となり、いずれも現在の株価を上回っています。
7. テクニカル分析
現在の株価3,905.0円は、年初来高値4,100円、年初来安値3,260円のレンジ内で推移しています。直近10日間の株価は一時高値を付けた後、軟調な動きを見せており、現在は50日移動平均線（3,927.70円）を下回り、200日移動平均線（3,859.00円）を上回る水準にあります。年初来の範囲で見ると高値圏に近い位置にありますが、短期的な調整局面にあると見ることができます。
8. 財務諸表分析
- 売上高: 過去数年、2,500億円台で推移しており、横ばいから微減の傾向が見られます。
- 利益: 営業利益は2023年3月期をピークに減少傾向にあり、純利益も2025年3月期予想では前年比で減少が見込まれています。
- ROE: 過去12か月で4.32%と低水準にあります。
- ROA: 過去12か月で0.42%と低い水準です。
- 自己資本比率: 9.9%と低く、金融業の特性として有利子負債は多い傾向にありますが、健全性の観点では低い水準です。
- 流動比率: 1.84と、短期的な支払い能力は比較的良好です。
- D/E比率: 693.66%と非常に高い水準にあり、財務レバレッジが高い状態です。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の配当利回りは3.84%と比較的高い水準です。1株配当は150.00円が予定されており、配当性向は48.86%と、利益の安定的な配分を行っていることが伺えます。5年平均配当利回り3.50%と比較しても、現在の利回りは高い水準にあります。自社株買いに関する情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近の株価は高値からやや調整する動きを見せており、短期的なモメンタムは下降傾向です。出来高は比較的安定して推移しています。信用買残が減少し、信用売残が増加していることから、短期的な市場心理はやや慎重な見方をしている投資家がいる可能性があります。Beta値が0.26と低く、市場全体の変動に比べて株価の変動が小さい特性があります。
11. 総評
NECキャピタルソリューションは、リース事業を基盤とし、SBI新生銀行との提携により事業の安定性・成長性強化を図る金融サービス企業です。株価バリュエーションは業界平均と比較して割安水準にあり、配当利回りも魅力的な水準です。一方で、近年の業績は売上高が横ばいから微減、利益は減少傾向にあり、今後の事業成長が焦点となります。財務面では、金融業特有の高い負債比率と低い自己資本比率が特徴です。株価は短期的に調整局面にあるものの、市場全体に対する変動リスクは小さい傾向にあります。
12. 企業スコア
- 成長性: C
- LTM売上成長率（YoY）は約-0.38%と微減傾向にあり、営業利益・純利益も近年減少傾向です。
- 収益性: C
- LTM営業利益率3.72%は、高い粗利率を持つ業界と比較して低い水準です。
- 財務健全性: D
- 自己資本比率9.9%は金融業としても低い水準であり、総負債対自己資本比率(D/E)も非常に高いです。
- 株価バリュエーション: A
- PER8.41倍、PBR0.70倍は、それぞれ業界平均のPER10.3倍、PBR0.9倍と比較して割安な水準にあります。
企業情報
| 銘柄コード | 8793 |
| 企業名 | NECキャピタルソリューション |
| URL | http://www.necap.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 金融（除く銀行） – その他金融業 |
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