1964 中外炉工業 分析レポート(作成日: 2025-10-07)
以下は個人投資家向けの企業分析です。事実に基づき整理しており、投資判断を目的とした助言ではありません。
1. 企業情報
- 概要
- 工業炉・熱処理設備の専業大手。鉄鋼や自動車、機能材料(半導体関連・磁性材・触媒等)向けに強み。
- バーナ・燃焼制御、雰囲気ガス発生、回収型熱交換器(リクーパー)、マルチレトルト回転炉、リモートメンテナンスなど熱技術を核に装置・システムを展開。
- 環境分野(大気浄化・排ガス処理)やコーティング・乾燥装置、FPD関連装置も取り扱い。
- 事業区分(2025/3期 決算短信)
- 熱処理事業:売上 18,590百万円/営業利益 1,500百万円
- プラント事業:売上 11,522百万円/営業利益 963百万円
- 開発事業:売上 2,376百万円/営業損失 208百万円
- その他:売上 8,173百万円/営業利益 529百万円
- 収益規模(連結、2025/3期)
- 売上高 36,247百万円(+23.8%)
- 営業利益 2,735百万円(+85.2%)
- 営業利益率 7.5%
- 親会社株主に帰属する当期純利益 2,998百万円(+36.5%)
- 海外売上比率:26%(2025/3期)
- 中計テーマ:CBT 2022-2026/ビジョン「自ら変革し、カーボンニュートラル技術で未来をひらく!」
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 国内「工業炉」分野でトップクラス。鉄鋼の焼鈍・めっきライン、自動車部品・電池・機能材料向け熱処理設備に強み。
- 熱・燃焼技術とプロセス設計、環境対策の一体提案が差別化要因。
- 競争優位性
- 長年の実績とプロセス・熱制御のノウハウ、エネルギー効率・省CO2を実現する装置群、アフターサービス(保全・改造)までの一貫対応。
- 課題
- 需要のサイクル(鉄鋼・自動車・半導体設備投資)に業績が連動しやすい。
- 開発事業は先行投資負担が続き損失(2025/3期 営業損失 208百万円)。
3. 経営戦略と重点分野
- 中期経営計画(CBT 2022-2026)
- カーボンニュートラル対応技術の拡充(省エネ型炉、燃焼最適化、環境装置、電炉化対応など)。
- EV/HV 主要部品(電池・モーター等)および半導体関連の機能材向け設備の深耕。
- 国内鉄鋼向け:省エネ型焼鈍設備、連続亜鉛めっきライン(CGL)、排ガス処理・機能材炎内処理など。
- 次世代電池・航空機関連素材の熱処理装置など新領域受注。
- 受注動向
- 受注高 39,477百万円(前期比+101.8%)と大幅増。中計テーマとの整合性が高い。
- 資本政策
- 2025/4/28 自社株買い決議。配当は2025/3期 150円、2026/3期予想 150円を継続。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- プロジェクト型の装置売上が主力。保全・改造・部品などサービス収入も持つが、装置比率が高く変動性がある。
- 適応力
- 省エネ・省CO2需要、品質高度化(機能材料)、環境規制強化を追い風に製品開発を継続。
- リモートメンテナンスや燃焼制御のデジタル化でライフサイクル収益の強化余地。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 高効率燃焼(ガス・油・酸素バーナ、燃焼制御)、雰囲気熱処理、回収型熱交換器、マルチレトルト回転炉、プロセス最適化、遠隔保全。
- 収益牽引領域
- 省エネ型焼鈍設備・CGL、EV/HV向け電池・モーター部品の熱処理、半導体・機能材用熱処理、排ガス処理など。
- コーティング・乾燥装置や環境装置は需要連動だが、CN・品質要求の高まりで提案機会が拡大。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価 4,385円、時価総額 343億円、予想EPS 384.30円、実績BPS 3,717.8円、配当 150円。
- 指標
- 予想PER:約11.4倍(業界平均 14.0倍)
- 参考:実績PER(LTM EPS 407.6円換算)≈ 10.8倍
- PBR:1.18倍(業界平均 1.1倍)
- EV/S:約0.96倍(EV ≈ 346億円=時価総額343億+純有利子負債約3億、売上 362億円)
- EV/EBITDA:概ね7.2倍(LTM EBITDA 48.3億円基準)〜約9.6倍(ノーマライズEBITDA 36.1億円基準)
- 配当利回り:約3.4%(予想)、配当性向:約37%(LTMベース)
- コメント
- PERは業界平均を下回る一方、PBRは概ね平均並み〜やや上。営業好転と受注増を織り込みつつも、サイクル性や来期減益(特殊要因剥落)見通しがバリュエーションを抑制する要因。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 株価は50日線(約4,002円)、200日線(約3,631円)を上回り上昇トレンド。
- 年初来高値 4,425円に接近(本日終値 4,385円)。直近10日で反発基調。
- 需給
- 出来高は10日平均(約3.5万株)を上回る日が増加。年初来高値付近は上値抵抗になりやすい水準。
- 信用倍率 4.94倍(買い長)。買残は小幅減、売残は増加で短期的な攻防が意識される可能性。
- 水準感
- 52週レンジ上限付近(2545円〜4425円)。高値圏でのもみ合い〜ブレイクの分岐点。
8. 財務諸表分析
- 損益推移(連結)
- 売上高:263億(2022/3)→280億(2023/3)→293億(2024/3)→362億(2025/3)
- 営業利益:12.6億 → 13.1億 → 14.8億 → 27.4億
- 当期純利益:13.6億 → 12.3億 → 22.0億 → 30.0億(政策保有株式売却益の寄与あり)
- 粗利率:約21%で安定、営業利益率は7.5%まで改善。
- 収益性
- EBITDAマージン:約13%(LTM)。ROE 10.73%、ROA 4.26%(LTM)。
- 安全性・流動性
- 自己資本比率 58.1%、D/E(有利子負債/資本)約24%、流動比率 2.33倍。キャッシュ 60.7億、借入 64.0億でネット債務軽微。
- 受注
- 受注高 394.8億(+101.8%)と高水準で先行きの売上支え。
- セグメント
- 熱処理・プラントが利益牽引。開発は先行投資で赤字。
- 注記
- 一過性益(政策保有株式の売却益)が純利益を押し上げ。実力把握ではノーマライズ利益の確認が有用。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 2025/3期 150円(前期80円から増配)、2026/3期予想 150円を継続。想定利回り約3.4%。
- 配当性向はLTMで約37%(来期の業績前提ではやや上振れ可能性)。
- 自社株買い
- 2025/4/28 取得決議。自己株式保有 5.88%。
- 目安
- 5年平均配当利回り 3.34%。安定配当志向を示唆。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- パフォーマンス・リスク
- 52週騰落 +58.9%、ベータ 0.34 と市場連動性は低め。
- 関心テーマ
- カーボンニュートラル、省エネ・環境規制対応、EV・半導体の設備投資回復、国内鉄鋼の更新投資。
- 短期ドライバー
- 受注残の消化ペースと採算、原材料・人件費、為替、開発事業の収益化。
- 近々のイベント
- 権利落ち予定日:2026/3/30(予定)
11. 総評
- 収益は23.8%増収・85%増益で大幅改善。粗利率は安定、営業利益率が7.5%まで上昇。受注高が倍増し先行きの視認性が高まる一方、装置投資サイクルへの感応度は引き続き留意点。
- 中計はカーボンニュートラルと高機能材料分野にフォーカス。鉄鋼の省エネ・環境、EV/HV・半導体の機能材向けで受注獲得が進展。
- バリュエーションはPERで業界平均を下回り、PBRは概ね平均並み。来期は特殊要因剥落で純利益は減益予想だが、営業段階の増益計画と高水準受注が下支え。
- 財務は自己資本比率58%、流動比率2.33倍、ネット有利子負債軽微と健全。配当は利回り約3.4%を維持し、自社株買いも実施。
12. 企業スコア
(S, A, B, C, Dの5段階。欠損はB、一過性損益を除外して評価)
– 成長性:A
– 根拠:LTM売上成長率 +23.8%、過去3年でも増収トレンド。受注高も倍増。
– 収益性:A
– 根拠:営業利益率 7.5%、EBITDAマージン約13%、ROE 10.7%。装置業界の水準を概ね上回る。
– 財務健全性:A
– 根拠:自己資本比率 58.1%、流動比率 2.33倍、D/E 約24%と健全。
– 株価バリュエーション:A
– 根拠:PER 約11.4倍で業界平均(14倍)を下回る。PBR 1.18倍は平均並み。EV/S ≈0.96倍。
データ出所:提示の決算短信・各種指標・株価データ。記載の数値は原則として連結ベース、特記のない限り2025年3月期または直近12か月のものです。投資判断はご自身の責任でご確認ください。
企業情報
銘柄コード | 1964 |
企業名 | 中外炉工業 |
URL | http://www.chugai.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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