1. 企業情報
ほくほくフィナンシャルグループは、富山県に本店を置く北陸銀行と、北海道に本店を置く北海道銀行を傘下に持つ金融持ち株会社です。地域に密着した銀行業務を主力としており、個人や中小企業向けに預金、貸付金（ローン）などの金融サービスを提供しています。銀行業のほかにも、リース、クレジットカード業務、証券業務、コンサルティングなど、多様な金融サービスを展開しています。2003年の設立以来、地域を超えた地銀広域統合の先駆的な企業として知られています。
2. 業界のポジションと市場シェア
同社は、北陸地域と北海道地域という二つの主要な経済圏に強固な事業基盤を持つ地域金融グループです。傘下に二つの主要銀行を擁することで、広範な顧客基盤を構築しています。また、横浜銀行とのシステム提携を行うなど、業務効率化やサービス強化に向けた連携も進めています。
競争環境としては、各地域における他の地域金融機関や大手銀行との競合が存在しますが、広域統合を通じた経営基盤の強化が競争優位性の一つと考えられます。一方で、地域経済の人口減少や、金融市場の金利環境の変化といった課題も抱えています。
3. 経営戦略と重点分野
提供された情報からは、具体的な中期経営計画の詳細は確認できませんが、直近の第1四半期決算の業績ハイライトや増減要因から、金利環境の変化に対応した収益改善への取り組みが認められます。貸出金利息や有価証券利息の増加による資金利益の改善、そしてOHR（経費率）の改善が見られることから、収益基盤の強化と業務効率化が経営における重点分野であると考えられます。また、公金貸出の抑制と個人ローン増加の動向は、収益性の高い分野へのシフトを図る動きとして捉えることができます。
4. 事業モデルの持続可能性
地域金融機関である同社の事業モデルは、地域経済の動向に大きく影響を受けます。預金や貸出金といった伝統的な銀行業務を中核としつつ、証券、リース、クレジットカードといった「その他」事業を展開することで、収益源の多角化を図っています。金利上昇局面においては、貸出金利息の増加で資金利益が改善する一方、預金利息の増加による調達コストの上昇という市場ニーズの変化に直面しています。第1四半期決算の実績からは、金利上昇による資金利益改善が顕著であり、変化への適応が進んでいる様子が見て取れます。
5. 技術革新と主力製品
提供された情報には、具体的な技術革新や独自技術に関する詳細な記載は少ないですが、横浜銀行とのシステム提携は、IT投資の効率化や効率的な業務運営を目指す取り組みと解釈できます。主力製品・サービスは、傘下の北陸銀行と北海道銀行が提供する預金、貸出金（住宅ローン、中小企業向け融資など）といった伝統的な銀行商品が中心です。第1四半期においては、貸出金利息や有価証券利息の増加が収益を牽引しており、金利環境の変化と有価証券運用が収益に大きく貢献していると考えられます。個人ローンも増加傾向にあり、個別のローン商品も収益に貢献している可能性があります。
6. 株価の評価
現在の株価は3,765.0円です。
会社予想EPS（1株当たり当期純利益）335.42円に基づくと、PER（株価収益率）は11.22倍です。
実績PBR（株価純資産倍率）は0.70倍です。
業界平均PERが10.7倍、業界平均PBRが0.4倍であるのと比較すると、PERは業界平均とほぼ同水準でありながら、PBRは業界平均を上回る水準にあります。BPS（1株当たり純資産）は5,341.08円であるため、現在のPBR 0.70倍は株価が1株当たり純資産を下回っていることを示します。
7. テクニカル分析
現在の株価3,765.0円は、年初来高値3,897円に近く、年初来安値1,831円からは大幅に上昇しています。52週高値3,897円、52週安値1,549円と比較しても、株価は高値圏で推移していることが確認できます。
直近の移動平均線を見ると、株価は50日移動平均線3,600.60円と200日移動平均線2,727.31円を上回っており、短期および中期的に上昇トレンドにあることが示唆されます。直近は高値圏でのもみ合いが見られます。
8. 財務諸表分析
- 売上・収益: 2026年3月期第1四半期の経常収益は59,749百万円で、前年同期比27.8%増と大幅な増加となりました。これは主に貸出金利息、有価証券利息、株式等売却益の増加によるもので、金利上昇環境の恩恵を受けていると考えられます。過去12か月のRevenueも186.12Bドルと堅調です。
- 利益: 第1四半期の経常利益は20,108百万円（前年同期比73.4%増）、親会社株主に帰属する四半期純利益は14,216百万円（前年同期比90.6%増）と、収益性が大きく改善しています。過去12か月のNet Incomeは45.83Bドル、Profit Marginは24.62%、Operating Marginは40.03%と、高い利益率を維持しています。四半期純利益の成長率（YoY）は90.60%と高い伸びを示しています。
- キャッシュフロー: 四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析はできません。
- ROE (自己資本利益率): 実績ROEは5.95%ですが、決算短信内の資料では通期ベース等の指標で8.90%というROEが示されています。金融機関としては一般的な水準ですが、改善傾向が見られます。
- ROA (総資産利益率): 過去12か月のROAは0.28%です。金融機関の特性上、総資産規模が大きいことから、低いROAでも大きな純利益につながる傾向があります。
- 自己資本比率: 実績自己資本比率は4.0%（第1四半期末は3.9%）と報告されています。これは連結銀行持ち株会社としての自己資本比率告示に定める比率ではないと明記されています。銀行業の特性上、他業種と比べて低くなる傾向がありますが、規制基準を満たしていることが前提となります。
9. 株主還元と配当方針
会社予想の年間1株配当は70.00円（中間35.00円、期末35.00円）であり、現在の株価3,765.0円に基づく配当利回りは1.86%です。
会社予想EPS335.42円に対する配当性向は20.87%となります。提供データにはTrailing Annual Dividend Rate 50.00円に対するPayout Ratio 16.11%も示されており、将来的な増配の余地や内部留保の充実を示唆している可能性があります。
直近の決算短信では、優先株式の全株自己取得や普通株式の自己株式取得が行われたことが記載されており、株主還元策として自社株買いも実施していることが示唆されます。2026年3月期は増配が予想されています。
10. 株価モメンタムと投資家関心
直近10日間の株価推移を見ると、3,700円台から3,800円台の高値圏で安定的に推移しており、下降トレンドは見られません。特に9月下旬には3,886円まで上昇し、その後も比較的底堅く値動きしています。
52週間での株価変化率は130.86%と、S&P 500の16.85%を大きく上回っており、過去1年間で株価は大きく上昇してきたことがわかります。50日移動平均線、200日移動平均線を上回っており、中長期的には強い上昇モメンタムを維持していると考えられます。
直近の出来高も比較的高水準で、投資家の関心が継続していることが示唆されます。金利上昇による業績改善期待が株価に影響を与えている可能性があります。信用買残の増加と信用売残の減少は、個人投資家の買い意欲の高まりを反映している可能性があります。信用倍率は6.02倍です。
11. 総評
ほくほくフィナンシャルグループは、北陸と北海道に強固な事業基盤を持つ地域金融グループです。2026年3月期第1四半期決算では、金利上昇環境の恩恵を受け、資金利益および純利益ともに大幅な増益を達成し、収益性が大きく改善しました。株価は年初来高値圏で推移しており、中長期的な上昇トレンドを維持しています。PERは業界平均と同水準、PBRは業界平均よりもやや高めですが、1株あたり純資産を下回る水準です。株主還元策として安定的な配当に加え自己株式取得も行っており、今期は増配が予想されています。事業モデルは地域金融を核としつつ、証券・リースなどの多角化も進めることで持続可能性を高めていますが、人口減少や地域経済の構造変化への対応、金融デジタル化への継続的な投資が今後の課題となります。
12. 企業スコア
- 成長性：S
- 直近四半期売上成長率（YoY）20.90%、直近四半期利益成長率（YoY）90.60%と大幅な成長を達成しており、非常に高い評価となります。
- 収益性：A
- Profit Margin 24.62%、Operating Margin 40.03%と高い利益率を誇り、ROEも8.90%（資料内通期ベース指標）と金融機関としては良好な水準です。OHRも改善傾向にあります。
- 財務健全性：B
- 自己資本比率は4.0%（第1四半期は3.9%）と報告されていますが、これは銀行業特有の算出方法であり、一般企業の指標とは単純比較できません。銀行としての規制基準を満たしていることが前提となります。流動比率、D/E比率などのデータが不足しているため、中立的な評価とします。
- 株価バリュエーション：B
- PER（会社予想）11.22倍は業界平均10.7倍とほぼ同水準です。PBR（実績）0.70倍は業界平均0.4倍と比較して高めですが、現在の収益性や成長性を考慮すると、割安とは言えないものの、著しく割高というわけでもないため、平均並みと判断します。
企業情報
| 銘柄コード | 8377 |
| 企業名 | ほくほくフィナンシャルグループ |
| URL | http://www.hokuhoku-fg.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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