1. 企業情報

JVCケンウッドは、2008年に日本ビクターとケンウッドが経営統合して設立された電機メーカーです。主な事業は「モビリティ&テレマティクスサービス」、「セーフティ&セキュリティ」、「エンタテインメント ソリューションズ」の3つの分野に注力しています。
* モビリティ&テレマティクスサービス分野:カーAV、カーナビ、ドライブレコーダー、車載用スピーカー、テレマティクスソリューションなどを製造・販売しています。
* セーフティ&セキュリティ分野:業務用無線通信機器、業務用映像監視・音響機器、医用画像表示システムなどを提供しています。
* エンタテインメント ソリューションズ分野:プロフェッショナルビデオカメラ、プロジェクター、ヘッドホン、ホームオーディオ機器、ポータブル電源、CD/DVDなどのパッケージソフトウェア、音響・映像コンテンツ配信などを手掛けています。

「JVC (Victor)」、「KENWOOD」のブランドで製品を展開し、海外売上比率は約68%(2025年3月期予想)を占め、グローバルに事業を展開しています。

2. 業界のポジションと市場シェア

JVCケンウッドは、創業以来培ってきた音響・映像技術を基盤に、特にモビリティ、業務用無線、プロフェッショナル向け映像機器といった領域で強みを持っています。事業構成比を見ると、モビリティ&テレマティクスサービス分野が売上の約55%を占める主要事業であり、この分野での競争優位性の強化に努めています。
具体的な市場シェアのデータは提供されていませんが、カーエレクトロニクスや業務用市場では一定のプレゼンスを確立しています。課題としては、競合他社との製品開発競争や、部品供給の不安定性、為替変動、米国の関税措置といった外部環境の変化への対応が挙げられます。

3. 経営戦略と重点分野

JVCケンウッドは、市販製品のラインナップを絞り込み、無線システムと車載機器を重点分野としています。特に、ドライブレコーダー関連事業の強化を推進しています。
中期経営計画においては具体的な施策は開示されていませんが、決算短信のコメントからは、モビリティ&テレマティクス分野におけるOEM製品の販売強化や価格転嫁、セーフティ&セキュリティ分野における部品供給問題の解消による生産正常化が重要な課題として認識されています。エンタテインメント ソリューションズ分野では、コンテンツ事業の堅調な推移を維持しつつ、メディア事業における外部環境の影響緩和が求められます。

4. 事業モデルの持続可能性

同社の事業モデルは、多様なエレクトロニクス製品の技術開発・製造・販売に加え、コンテンツ配信やテレマティクスソリューションといったサービスも提供することで多角化を図っています。
* モビリティ&テレマティクスサービス分野: 自動車のコネクテッド化やIoT化の進展に伴い、車載情報機器やドライブレコーダー、テレマティクスサービスの需要は今後も増加が見込まれます。この分野での技術革新への対応やOEM供給の強化は、持続的な成長を支える要因となり得ます。
* セーフティ&セキュリティ分野: 業務用無線や監視システムは、公共安全、防災、インフラ設備監視など社会インフラを支える需要基盤があり、安定した事業基盤を形成しています。
* エンタテインメント ソリューションズ分野: 映像・音響機器の高品質化やコンテンツ配信サービスの需要は堅調です。

収益モデルは製品販売およびサービス提供が主軸ですが、部品供給問題や関税措置などの外部要因に影響を受けやすい側面もあります。市場ニーズの変化に対し、ドライブレコーダーの機能強化やテレマティクスソリューションの提供といった適応策を講じています。

5. 技術革新と主力製品

JVCケンウッドは、長年培ってきた音響・映像技術を核に、各事業分野で製品開発を進めています。
* 主力製品:
* モビリティ&テレマティクスサービス分野: カーAVシステム、カーナビゲーションシステム、ドライブレコーダー、車載カメラ、テレマティクスデバイスなど。
* セーフティ&セキュリティ分野: デジタル業務用無線システム、IP監視カメラ、医用画像表示モニターなど。
* エンタテインメント ソリューションズ分野: プロフェッショナルビデオカメラ、プロジェクター、ヘッドホン、ホームオーディオ機器、コンテンツ配信など。

特定の技術革新に関する詳細な情報は提供されていませんが、無線通信技術や高画質・高音質技術を基盤とした製品開発が収益を牽引していると考えられます。特に、近年市場拡大が続くドライブレコーダーや車載関連技術への注力が見られます。

6. 株価の評価

現在の株価1182.5円に対し、会社予想に基づいた各種指標は以下の通りです。
* PER(会社予想): 12.45倍
* PBR(実績): 1.39倍
* EPS(会社予想): 94.98円
* BPS(実績): 847.95円

業界平均と比較すると、
* 業界平均PER: 24.2倍 に対して 12.45倍 → 理論的には割安な水準にあります。
* 業界平均PBR: 1.6倍 に対して 1.39倍 → 理論的には割安な水準にあります。

現在の株価は、業界平均PERおよびPBRと比較して、相対的に低いバリュエーションで評価されていると考えられます。

7. テクニカル分析

現在の株価1182.5円は、以下の推移と比較できます。
* 年初来高値: 1,832円
* 年初来安値: 901円
* 52週高値: 1,832円
* 52週安値: 901円
* 50日移動平均線: 1,207.76円
* 200日移動平均線: 1,286.03円

現在の株価は、年初来高値・52週高値からは大きく下落しており、50日移動平均線および200日移動平均線を下回る水準で推移しています。年初来安値からは上昇していますが、相対的には安値圏に近い位置にあると考えられます。直近10日間の株価推移を見ると、概ね1115円~1188円のレンジで取引され、やや回復基調にありますが、大きく上昇する勢いは見られません。

8. 財務諸表分析

JVCケンウッドの過去数年間の財務諸表は以下の傾向を示しています。
* 売上収益: 2022年3月期から2025年3月期(予想含む過去12ヶ月)にかけて、継続的な増加傾向にありました。336,910百万円(2023年3月期)から370,308百万円(過去12ヶ月)へ増加しています。しかし、2026年3月期通期予想では358,000百万円と前期比で減少を見込んでおり、直近四半期(2026年3月期第1四半期)も前年同期比で8.6%の減収となりました。
* 粗利益: 売上収益の増加に伴い、粗利益も増加傾向にあり、過去12ヶ月で118,940百万円となっています。
* 営業利益: 2022年3月期の9,392百万円から2023年3月期には22,208百万円へと大きく改善しましたが、2024年3月期は18,314百万円に減少しました。過去12ヶ月では21,689百万円に回復していますが、2026年3月期通期予想では19,000百万円と前期比減少を見込んでいます。直近の2026年3月期第1四半期は前年同期比27.7%の減益となりました。
* 親会社所有者帰属当期純利益: 営業利益の変動と同様の傾向にあり、2022年3月期の5,873百万円から2023年3月期には16,229百万円に増加後、2024年3月期は13,016百万円に減少。過去12ヶ月では20,276百万円に回復していますが、2026年3月期通期予想では14,000百万円と前期比31.0%の減少を見込んでおり、直近四半期は前年同期比37.4%の減益となりました。
* ROE(実績): 16.90%(実績)、過去12ヶ月では14.33%であり、効率的な資本活用ができていると評価できます。
* 自己資本比率(実績): 39.9%(直近決算短信では40.5%)と、一定の財務安定性を保持しています。
* 流動比率(直近四半期): 1.53倍と、短期的な支払い能力に問題はない水準です。
* キャッシュフロー: 過去12ヶ月の営業活動によるキャッシュフローは30,140百万円とプラスで推移しており、事業で現金を創出する能力があります。直近四半期も営業CFはプラスでしたが、前年同期比では減少しました。有利子負債は53,433百万円に対し、現金および現金同等物が49,318百万円であり、ネットデットは比較的低い水準にあります。

9. 株主還元と配当方針

JVCケンウッドは、安定的な配当実施に努めています。
* 配当利回り(会社予想): 1.52%
* 1株配当(会社予想): 18.00円
* 配当性向(過去12ヶ月): 11.19%

2026年3月期の年間配当は1株当たり18.00円(中間6.00円、期末12.00円)を予想しており、これは2025年3月期実績の年間15.00円から増配の予定です。配当性向は低水準であり、利益の変動に対し配当額を維持できる余力があると考えられます。また、決算短信には自己株式取得として2,000百万円が記載されており、自社株買いによる株主還元も実施しています。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近10日間の株価は、若干の上昇傾向が見られますが、年初来高値からは大きく下落しており、全体としては下落モメンタムにあると言えます(52週変化率 -8.95%)。
  • 投資家関心: 信用倍率は10.32倍と買い残が多く、需給面では重い状態を示唆しています。直近四半期の売上収益が前年同期比で8.6%減、四半期純利益が37.4%減となっていることや、通期業績予想が減収減益を見込んでいることは、投資家のセンチメントに影響を与える要因となり得ます。無線システム事業における部品供給不足や米国の関税措置といった課題は株価を圧迫する可能性があり、その改善状況が今後の株価動向に影響を与えると推測されます。

11. 総評

JVCケンウッドは、AV機器メーカーとしての基盤から、車載機器や業務用無線・セキュリティといった分野に事業の軸足を移し、事業構造の変革を進めています。モビリティ&テレマティクス分野が売上の中心であり、ドラレコなどの成長領域への注力が見られます。過去数年間は売上・利益ともに成長傾向にありましたが、直近の2026年3月期通期予想と第1四半期決算は減収減益となっており、外部環境の変化(部品供給不足や関税措置)への対応が喫緊の課題となっています。
財務体質は自己資本比率が約40%と一定の健全性を保ち、流動性も問題ありません。資本効率を示すROEも高い水準にあります。株主還元策として増配予想と自社株買いを実施しており、株主還元への意識は高いと言えます。
株価バリュエーションはPER、PBRともに業界平均と比較して割安な水準にありますが、直近の業績の減速傾向や信用需給の状況、過去高値からの下落は、投資家が今後の成長戦略の進捗や収益改善を見極めようとしていることを示唆しているとも考えられます。無線システム事業における部品供給不足の解消や、米国関税措置の影響緩和が今後の注目点となります。

12. 企業スコア

  • 成長性: B
    • LTM売上成長率(YoY)はプラスですが、2026年3月期通期予想および直近四半期は減収を見込んでおり、成長には懸念があります。一方で3年CAGRは約9.5%と比較的良好です。
  • 収益性: B
    • 過去12ヶ月の営業利益率は5.86%、収益は確保していますが、直近四半期および通期予想では前年同期比で減益を見込んでおり、変動があるため、中立と評価します。
  • 財務健全性: B
    • 自己資本比率は39.9%(直近決算短信では40.5%)と健全性の目安とされる40%に近い水準です。流動比率も1.53と問題なく、Total Debt/Equityも41.10%と過度な負債はありません。
  • 株価バリュエーション: A
    • PER(会社予想)12.45倍、PBR(実績)1.39倍は、それぞれ業界平均PER24.2倍、PBR1.6倍と比較して、割安な水準にあります。

企業情報

銘柄コード 6632
企業名 JVCケンウッド
URL https://www.jvckenwood.com/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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By ジニー

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