ソシオネクスト(6526)企業分析レポート
注:本レポートは公開情報に基づく客観的な企業分析であり、投資助言ではありません。数値は原則として連結ベース。単位は特記なき限り円、百万円。
1. 企業情報
- 概要:パナソニック/富士通のロジック半導体部門を統合し2014年設立。ファブレス型のSoC(System on Chip)専業。自動車、データセンター/ネットワーク、スマートデバイス・産業向けに、カスタムASIC/ソリューションSoCを提供。NRE(開発収入)と量産製品売上の組み合わせ。
- 事業:単一セグメント(ソリューションSoC)。海外売上比率約55%(2025.3期)。
- 特徴:Arm/TSMC等と連携した先端ノード、チップレット/先進パッケージの活用。画像/映像処理、レーダーセンサー、HDMIモジュール等で設計力とIP活用を強みとする。
- 従業員:2,501人、平均年齢50.2歳、平均年収926万円
- 本社:横浜市港北区
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:グローバルでも数が限られるカスタムSoC(ASIC)専業のファブレス企業の一角。日本発で先端ノードまで対応可能な設計・量産体制を持つ点は希少。
- 強み
- ファブレス×先端ノード対応(2nm以細を見据えた開発、チップレット/先進パッケージ)
- NREから量産へ繋ぐ大型商談型モデル(顧客固有ニーズに最適化)
- 自動車/データセンター/産業といった分野横断の顧客基盤
- 課題
- 受注(NRE)と量産のタイムラグによる業績の振れ幅
- 顧客需要変動・在庫調整(特に通信/データセンター、中国関連)
- 為替感応度(円高局面で売上/利益の逆風)
- 先端ノードの開発継続に伴う固定的な開発費負担
(注)市場シェアの公表値は確認できず。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン/基本戦略:大型商談を重視する先端/成長分野への集中投資。NRE獲得→量産移行のパイプラインを強化。
- 重点分野
- オートモーティブ(ADAS/レーダー、車載向けSoC)
- データセンター/ネットワーク(高速SerDes、AI/映像/ネットワーク処理)
- スマートデバイス/産業(画像/映像処理、産機向け)
- 技術戦略:Arm、TSMCと連携し、2nm級、チップレット、先進パッケージ、設計ツール/プラットフォーム化を推進。
- 財務・資本政策:自己株式取得(2026年3月期1Qで約50億円)、コミットメントライン増額(200億→300億円)。配当予想は年間50円を維持。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:開発フェーズでのNRE収入で先行回収し、量産フェーズで製品売上・利益を積み上げる二段構え。大型案件ほど収益貢献が逓増しやすい一方、案件の期ズレ・ミックス変動で四半期変動が大きい。
- 適応力:分野分散と先端ノード対応で技術陳腐化リスクを緩和。自動車は製品ライフが長く安定寄与が見込まれる一方、データセンター/通信は循環性が高い。
- リスク:顧客集中やサプライチェーンの制約、地政学・規制(対中関連)と為替。先端投資の継続性が競争力維持に不可欠。
5. 技術革新と主力製品
- 技術動向:2nm以細、チップレット、先進パッケージ、高速SerDes、画像/映像処理IPの高度化、設計プラットフォーム化。
- 主力/収益ドライバー
- データセンター/ネットワーク向けASIC(高速I/O、映像/ネットワーク処理)※直近は需要調整の影響
- オートモーティブ向けSoC(レーダー/カメラ等の信号処理)
- 映像/画像処理、HDMIモジュール、産業/IoT向けSoC
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 株価:2,886円、時価総額:約5,191億円
- 会社予想EPS:59.48円 → PER約48.5倍(業界平均PER 24.2倍)
- BPS(実績):730.42円 → PBR約3.95倍(業界平均PBR 1.6倍)
- EV/売上(参考):EV≈時価総額+有利子負債−現金 ≈ 5,191+12−695 ≈ 4,509億円 → EV/S ≈ 2.4倍(売上TTM約1,885億円を仮置き)
- EV/EBITDA(参考):EV約4,509億円 / EBITDA約412億円(2025.3期) ≈ 10.9倍
評価コメント:PER・PBRは業界平均に対してプレミアム水準。EV系指標は参考値。
7. テクニカル分析
- 52週レンジ:1,233.5〜3,228円。現値はレンジ上側(約83%地点)。
- 移動平均:50日MA 2,838円、200日MA 2,350円。株価は両MA上に位置。
- 直近10日:出来高多い中で戻り基調(2,671→2,886円近辺)。年初来高値(3,228円)には未接近。
- 信用動向:信用買残7,470千株(前週比+804千)、信用倍率7.37倍。信用売残は減少。需給は買いに傾斜。
(短期はモメンタム改善、ただし高値圏では乱高下に留意)
8. 財務諸表分析
- 売上・利益(百万円)
- 2022.3:売上117,009 / 営業益8,463 / 当期益7,480
- 2023.3:売上192,767 / 営業益21,711 / 当期益19,763
- 2024.3:売上221,246 / 営業益35,510 / 当期益26,134
- 2025.3:売上188,535 / 営業益25,000 / 当期益19,600
- 2026.3 1Q:売上34,553(前年比-34.5%)/ 営業益1,440(-86.0%)
- 利益率
- 粗利率:2025.3期 約55.1%(2024.3期 約49.7%から上昇)
- 営業利益率:2025.3期 約13.3%(2024.3期 約16.0%から低下)、2026.3 1Q 約4.2%
- 純利益率:2025.3期 約10.4%
- 成長性
- 3年CAGR(2022→2025):約+17%(大幅成長の後、直近は反動減)
- 直近期(2025.3期)は前期比-14.8%、1Qは-34.5%
- 効率性/収益性
- ROE(実績):14.62%(参考:別データLTM 9.49%)
- ROA:6.02%(LTM)
- キャッシュフロー/財務
- 営業CF(LTM):373億円、レバードFCF:168億円
- 自己資本比率:80.5%(1Q:80.9%)
- 流動比率:4.11、有利子負債極小(D/E約1%)
- 現金同等物:約695億円(1Q末)
- コメント:ミックス改善で粗利率は上昇も、販管費や需要調整で営業率は後退。財務基盤は厚く、先行投資と株主還元を両立可能な余力。
9. 株主還元と配当方針
- 配当予想:年間50円(中間25円・期末25円)、配当利回り約1.73%
- 連結配当性向:トレーリング約46%(会社資料)。会社予想EPS(約59.5円)が実現した場合、単純計算の先行配当性向は約84%。
- 自社株買い:2026年3月期1Qに約50億円(2,722,400株)を取得。自己株式残高は約473.9万株(1Q末)。
- 方針コメント:安定配当を基本としつつ、機動的な自己株式取得を実施。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:50日・200日線上で推移。出来高は3カ月平均1,771万株、直近10日平均1,483万株と流動性高い。
- 投資家属性:機関投資家保有比率約50%。インサイダー保有は約1%。
- 価格要因(足元):中国/通信機器需要の調整、為替(円高前提)、大型商談の進捗、決算(次回10/31予定)など。
11. 総評
- 中期的には、先端ノード/チップレット対応と大型商談パイプラインを背景に、NRE→量産のストーリーが継続。自動車の安定需要とデータセンター/ネットワークの変動要因を併せ持つ事業特性。
- 足元は、通信/産機の需要調整と円高の影響で売上・利益とも減速。1Qは営業率が大きく低下。
- 財務体質は強固(自己資本比率約81%、ネットキャッシュ厚め)。株主還元は配当+自己株買いを実施。
- バリュエーションはPER・PBRとも業界平均に対してプレミアム。今後は大型案件の進捗、ミックス改善、為替前提に対する実績が注目点。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:C
- 根拠:LTM/1Qで売上が前年比減少。3年CAGRはプラスも、直近トレンドを重視。
- 収益性:B
- 根拠:粗利率は高水準(~55%)だが、直近四半期の営業利益率が低下。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率~81%、流動比率4.1倍、D/E~1%と極めて健全。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PER約48.5倍、PBR約3.95倍と業界平均(PER 24.2、PBR 1.6)に対してプレミアム。
参考データ
– 年初来高値/安値:3,228 / 1,234円
– 50日/200日MA:2,838 / 2,350円
– 次回決算予定:2025年10月31日(日本時間)
– 権利落ち予定:2026年3月30日(配当)
企業情報
銘柄コード | 6526 |
企業名 | ソシオネクスト |
URL | https://www.socionext.com/jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 電機・精密 – 電気機器 |
関連情報
証券会社
このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。
本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。
投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。
なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。
企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。