証券コード: 8416
企業名: 高知銀行
1. 企業情報
高知銀行は、高知県を地盤とする第二地方銀行です。地域に密着した金融サービスを提供し、高知県内での貸出金シェア約25%、預貯金シェア約15%と高い市場シェアを保持しています。県内外に約70の店舗網を展開しており、預金、貸出、有価証券運用を主とした銀行業務のほか、リース事業、クレジットカード事業も手掛けています。
2. 業界のポジションと市場シェア
高知銀行は、高知県内において貸出金で約25%、預貯金で約15%のシェアを持つ地域密着型の金融機関です。この高い地域シェアは、長年の取引に基づく顧客基盤と地域経済への貢献による競争優位性であると考えられます。一方で、地域経済の動向に業績が左右されやすいという地域銀行特有の課題も有しています。
3. 経営戦略と重点分野
決算短信では、「地域の景気動向等により変動する可能性があるが、5月9日公表の業績予想に変更なし」とされています。具体的な中期経営計画や経営陣が掲げるビジョン、重点分野の詳細については、提供された情報からは特定できませんでした。
4. 事業モデルの持続可能性
同社の事業モデルは、高知県を中心とした預貸金業務を核とし、リース事業、クレジットカード事業で多角化を図っています。預金利息や貸出金利息が収益の大部分を占める銀行業が主力であり、地域経済の成長が収益の安定性に直結する構造です。インターネットバンキングなどのサービス提供は行っていますが、市場ニーズの変化への適応力に関する具体的な施策は開示情報からは読み取れません。
5. 技術革新と主力製品
同社の主力製品およびサービスは、預金、貸出金といった伝統的な銀行業務のほか、リース事業やクレジットカード事業です。企業情報にはインターネットバンキングなどのオンラインサービスが挙げられていますが、具体的な技術革新に関する情報や独自の技術開発動向については、提供された情報からは特定できませんでした。
6. 株価の評価
現在の株価895.0円に対し、各指標は以下の通りです。
* PER（会社予想）: 6.94倍
* PBR（実績）: 0.17倍
* EPS（会社予想）: 128.92円
* BPS（実績）: 5,176.28円
業界平均と比較すると、現在のPER (6.94倍) は業界平均PER (50.4倍) を大幅に下回っています。また、PBR (0.17倍) も業界平均PBR (0.3倍) を下回っており、株価の水準は業界平均と比較して割安と評価できる可能性があります。
7. テクニカル分析
現在の株価895.0円は、年初来高値980.0円と年初来安値646.0円の中間に位置しており、安値圏からは上昇しています。
* 50日移動平均線: 891.70円
* 200日移動平均線: 807.07円
現在の株価は、50日移動平均線をわずかに上回り、200日移動平均線を大きく上回る水準にあります。このことから、株価は中長期的に上昇傾向にあると判断できますが、直近の10日間の株価推移では高値から調整し、870円台から910円台の間で推移しており、方向感に乏しい動きも見られます。9月29日の「10 Dividend」の記載は、配当権利落ち日を示唆している可能性があります。
8. 財務諸表分析
- 売上（経常収益）: 過去数年間で20,301百万円（2022年）から21,279百万円（過去12か月）と微増傾向にあります。直近の第1四半期決算では、経常収益は前年同期比で+7.0%増加しています。
- 純利益: Net Income Common Stockholdersは、2022年の1,606百万円から2025年の860百万円へと減少傾向にあります。直近の第1四半期（2026年3月期）も親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比で約54.8%減少しており、利益面での課題が見られます。
- キャッシュフロー: 第1四半期連結キャッシュ・フロー計算書は作成されていないため、詳細な分析は困難です。
- ROE: 連結1.57%（実績）、過去12か月で0.83%と低い水準です。これは資本効率の改善が課題であることを示唆しています。
- 自己資本比率: 連結で4.3%と、銀行としては比較的低い水準にあります。ただし、単体では8.85%となっており、地銀の国内基準は満たしています。
9. 株主還元と配当方針
- 配当利回り（会社予想）: 2.79%
- 1株配当（会社予想）: 25.00円
- 配当性向: 48.12%
同社は、年間25.00円の配当を予想しており、前期実績と同額です。配当性向は50%弱であり、利益水準に応じた株主還元を行っていると見られます。自社株買いに関する具体的な情報は提供されていません。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は年初来安値から上昇基調にありますが、直近では高値圏でのもみ合いが見られます。出来高は直近で31,800株と比較的低水準です。
信用取引においては、信用買残が363,500株に対し、信用売残が1,000株と、信用買残が極めて多く、信用倍率は363.50倍となっています。これは将来的な売り圧力となる可能性を内包しています。
11. 総評
高知銀行は、高知県内で高い市場シェアを持つ地域密着型第二地方銀行です。預貸金業務を主力とし、リース事業やクレジットカード事業も展開しています。
売上（経常収益）は微増傾向にあるものの、純利益は近年減少基調にあり、直近四半期も減益となっています。ROEも低い水準にあり、収益性の改善が課題と考えられます。財務健全性に関しても、連結自己資本比率は4.3%と銀行としては低い水準です。
株価指標（PER、PBR）は業界平均と比較して割安な水準にあります。株価は中長期的に上昇傾向にありますが、直近は横ばいの動きも見られます。信用倍率が高く、潜在的な売り圧力が存在します。
12. 企業スコア
- 成長性: B (売上は微増傾向であり、ほぼ横ばい)
- 収益性: C (純利益は減少傾向にあり、ROEも低い水準)
- 財務健全性: D (連結自己資本比率が低く、D/E比率が高い)
- 株価バリュエーション: S (PER、PBRともに業界平均と比較して大幅に割安)
企業情報
| 銘柄コード | 8416 |
| 企業名 | 高知銀行 |
| URL | http://www.kochi-bank.co.jp/ |
| 市場区分 | スタンダード市場 |
| 業種 | 銀行 – 銀行業 |
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