ゼンリン(9474)企業分析レポート(プライム)
株価基準日:2025-10-10(終値 1,037円)
注:本レポートは公開情報に基づく企業分析であり、投資助言ではありません。
1. 企業情報
- 概要:地図・位置情報の収集・整備・提供で国内有数。住宅地図を全国展開し、カーナビ向け3D高精度地図、地図DBの保守・更新、地図API・ソフトウェア、公共・企業向けソリューションを提供。海外も展開。CVCも運営。
- 主な事業(売上構成・2025.3実績の目安):プロダクト26%、公共13%、マーケティング10%、IoT/インフラ24%、モビリティ(自動車関連)28%。海外比率約10%。
- 特徴:地図更新の運用力(現地調査・データ整備)、住宅地図の網羅性、OEM/自動車向け高精度地図、ネット配信と業務システムとの連携に強み。売上は期末(4Q)に偏重。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション:国内の地図コンテンツ・DBでトップクラス。全国住宅地図の一貫整備は代替が難しい資産。主要株主にトヨタ、NTTなど戦略関係の深い企業が並ぶ。
- 競争環境:
- 国内:昭文社HDなどの地図/出版、官公庁・自治体向けGISベンダー、地図API(Mapbox等)が競合。
- 海外系:Google、HERE、TomTom、Appleなどプラットフォーマーが位置情報エコシステムで競う。
- 競争優位:網羅的な基盤地図DB、更新運用、カーナビ向け高精度/3D、公共・企業向けの導入実績が強み。
- 課題:スマホナビ台頭による組込カーナビ需要変化、プラットフォーマーのAPI/価格政策、地図維持の固定費負担。
3. 経営戦略と重点分野
- 中長期計画「ZGP2030」:
- 5区分(プロダクト、マーケティング、公共、インフラ、モビリティ)で顧客別/用途別に最適化。
- ストック型サービス(GIS、クラウド配信、サブスクリプション)の拡大。
- モビリティ:3D/HD地図、ADAS・コネクテッド化への対応、OTA更新。
- 公共:自治体DX、都市OS、デジタルツイン等の実装支援。
- インフラ/産業:バリューチェーン最適化(物流、電力、通信、店舗開発等)への位置情報ソリューション。
- データ収集効率化(プローブデータ活用等)で更新コストの最適化。
- 2026年3月期の方針(会社計画):売上+1.8%、営業利益+9.6%、純利益+15.1%を維持(Q1時点で予想変更なし)。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル:地図DB・ソフトのライセンス/更新料、API/クラウドのサブスク、受託・SI、印刷物。地図更新費は固定的に発生し、売上は4Qに偏重。
- 持続性の視点:
- データ資産・更新運用は参入障壁が高い(ネットワーク効果/品質の積み上げ)。
- ストック型への移行が進むと安定性向上が見込まれる。
- 自動車のコネクテッド化・ADAS/自動運転対応は中期機会。一方、スマホナビの普及は組込向けの価格・数量圧力。
- 公共・社会インフラ向けのDX需要は底堅い。
5. 技術革新と主力製品
- 技術:3D/HDマップ、車載向け地図データ更新、統合地理空間プラットフォーム、位置情報解析、API/SDK群。データ収集のデジタル化・自動化、プローブデータ活用が進展。
- 収益ドライバー:
- モビリティ(自動車メーカー/ティア1向け地図・ソフト・更新)
- インフラ・公共向けGISパッケージ/クラウド
- プロダクト(住宅地図・業務用途の定番製品群)
6. 株価の評価(バリュエーション比較)
- 前提:株価 1,037円、EPS(会社予想)56.20円、BPS 910.91円、時価総額 594億円
- 指標と比較
- PER(予想):18.5倍(業界平均 23.2倍)→ 業界平均比で低位
- PBR(実績):1.14倍(業界平均 2.3倍)→ 低位
- EV/EBITDA(LTM):約4.8倍[EV≒462億円(有利子負債16億−現金148億)/ EBITDA 96億円]→ 低位
- EV/Sales(LTM):約0.72倍(売上 643億円)→ 低位
- 配当利回り(予想):4.05%(5年平均 2.89%)
- 補足:PBR×BPS=約1,037円(実績PBR1.14倍)、PERは業界平均を下回る水準。
7. テクニカル分析
- トレンド系:
- 50日移動平均 1,080.76円 > 現在値 1,037円(下回り)
- 200日移動平均 1,039.10円 ≒ 現在値(わずかに下回り)
- レンジ位置:52週高値 1,225円(-15%)/ 安値 812円(+28%)→ 中位レンジ、やや弱含み。
- 短期推移(直近10日):1,070円前後からやや下押し基調。出来高は3カ月平均(約12万株)を下回る日が多い。
8. 財務諸表分析(連結、LTM中心)
- 成長:
- 売上高:643.6億円(前年比 +4.9%)、3年CAGR ≒ +4.5%
- 収益性(LTMベース):
- 粗利:270.9億円(粗利率 ≒ 42.1%)
- 営業利益:39.3億円(営業利益率 ≒ 6.1%)
- EBITDA:96.1億円(EBITDAマージン ≒ 14.9%)
- 親会社純利益:26.1億円(純利益率 ≒ 4.0%)
- 効率・安全性:
- ROE:5.26%、ROA:3.35%
- 自己資本比率:67.4%(6/30時点 68.2%)
- 流動比率:約130%(流動資産 262.8億 / 流動負債 201.8億)
- ネットキャッシュ:約132億円(現金148億−有利子負債16億)
- 利払能力:EBIT/金利費用 ≫100倍(16百万円規模)
- 季節性:Q1は費用先行で営業損失(△3.05億円)。通期は4Q偏重の収益構造。
参考(Q1セグメント売上、前年比):公共+45%、プロダクト+8%、インフラ+1%、マーケ△8%、モビリティ△16%(前年の一過性反動)。
9. 株主還元と配当方針
- 配当:2026/3期 42円(中間21/期末21)予想、利回り約4.05%。
- 配当性向:71.7%(会社公表値)。中期的に安定配当志向。
- 自社株:自己株式比率 ≈ 6〜7%台(四半期末3,921,523株)、資本効率の補完手段として機動的活用の余地。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム:50日線を下回り、200日線近辺で推移。年初来高値からは調整局面。
- 需給:信用買残 24.5万株、信用倍率 8.81倍と買いに偏る。直近は買い・売りともに減少傾向。
- ボラティリティ:5年β 0.24と市場連動性は低め。
- 予定イベント:次回配当の権利落ち予定 2026/3/30。決算説明資料は会社サイトに掲載(7/30公表済)。
11. 総評
- 強み:全国住宅地図と高精度地図の資産性、更新運用力、公共・インフラ/産業向けの広い顧客基盤。ネット・車載・公共を横断する地理空間プラットフォームは代替が容易でない。
- 課題:組込カーナビのボリューム/単価変動、グローバルプラットフォーマーとのAPI競争、維持更新コストの継続負担。季節性による四半期の変動も大きい。
- 業績:LTMで増収・増益(営利・純利とも改善)。2026/3期はストック型の堅調さとモビリティ反動減の影響が混在。
- バリュエーション:PER/PBR/EV系指標は業界平均比で低位水準。ネットキャッシュを踏まえたEV倍率も抑制的。配当利回りは自社過去平均を上回る。
- テクニカル:中期は中立圏、短期はやや弱含み。需給は信用買い偏重。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:A
理由:LTM売上+4.9%、3年CAGR約+4.5%。安定成長域。
– 収益性:B
理由:粗利率約42%、営業利益率約6%。改善基調だがプラットフォーム/ソフト平均と比べると中位。
– 財務健全性:A
理由:自己資本比率約67%、ネットキャッシュ、低D/E・十分な流動性。
– 株価バリュエーション:A
理由:PER/PBR/EV/EBITDA・EV/Sが業界平均比で低位、配当利回りも高め。
データ出所:会社公表(決算短信 等)、提示の各種指標/株価データ(2025-10-10時点)。数値は百万円・円ベースで概算換算を含みます。表記のない項目は開示なしまたは不明。
企業情報
銘柄コード | 9474 |
企業名 | ゼンリン |
URL | http://www.zenrin.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 情報通信・サービスその他 – 情報・通信業 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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