1. 企業情報

株式会社グリムス(gremz, Inc.)は、2005年設立の東京証券取引所プライム市場上場企業です。主にエネルギーソリューション事業と小売電気事業を展開しており、電力・ガス業界に属しています。

主な事業内容:

  • エネルギーコストソリューション事業: 法人向けに業務用太陽光発電システム、IoTデバイス、各種省エネ設備の販売・設置、および電力料金削減コンサルティングを提供しています。
  • スマートハウスプロジェクト事業: 個人向けに蓄電池やオール電化住宅などスマートハウス関連設備の販売を行っています。
  • 小売電気事業: 法人向けに電力小売りを行っており、安定的な収益源となっています。

2025年6月に商号を「gremz,Inc.」から「grems,Inc.」へ変更しています。従業員数は421人で、平均年齢40.5歳、平均年収は579万円です。

2. 業界のポジションと市場シェア

グリムスは、中小事業所向けのエネルギー費用削減ソリューションと、電力小売りを主軸に事業展開しています。特にターゲットとしている中小事業所の低圧電力市場は約600万件とされており、同社の累計設置事業所数約4,500件という実績から、市場開拓率は約0.8%とまだ拡大余地が大きいと会社は説明しています。

競争優位性:

  • 特定の市場セグメントへの集中: 大手企業が手掛ける大規模太陽光発電(野立て、メガソーラー)や高圧向け電力小売とは異なり、中小事業所の工場屋根などを活用した自家消費型太陽光発電に注力し、独自のポジショニングを築いています。
  • エネルギーソリューションの総合提供: 太陽光発電だけでなく、省エネ設備、蓄電池、IoTデバイスを組み合わせた包括的な提案により、顧客の多様なニーズに対応し、電力コスト削減をトータルでサポートできる点が強みとなります。
  • 小売電気事業のリスクヘッジ戦略: 独自の「燃調費転嫁制度」を採用し、相対電源や先物取引を活用して電力市場価格変動リスクを抑制する戦略に取り組んでいます。

課題:

  • 電力市場価格の変動、容量市場拠出金などの制度変更が収益に影響を与える可能性があります。
  • 住宅用太陽光・蓄電池の販売が減少傾向にあり、市場の需要変化への対応が必要です。

3. 経営戦略と重点分野

グリムスは、引き続きエネルギーソリューション事業と小売電気事業の拡大を軸に、過去最高営業利益の更新を目指す戦略を掲げています。

具体的な施策・重点分野:

  • セグメント統合と効率化: 2026年3月期より、エネルギーコストソリューション事業とスマートハウスプロジェクト事業を統合し、「エネルギーソリューション事業」に変更。これにより、人的資本効率の向上、営業・生産性の一元管理、部門間のクロスセル推進を図ります。
  • エネルギーソリューション事業の強化:
    • 中小企業の工場屋根をターゲットとした事業用太陽光発電システムの設置推進。
    • 蓄電池の販売強化による顧客あたりのLTV(顧客生涯価値)向上。
    • AI画像認識を用いた屋根判定システムを導入し、新規顧客リストの効率的な開拓。
  • 小売電気事業のストック収益推進:
    • 独自の燃料調整費転嫁制度や、相対電源・先物取引による市場価格リスクヘッジ戦略の継続。
    • グリムスパワーとGRコンサルティングという複数ライセンス体制で、多様なチャネルを通じて顧客開拓を図ります。
  • 新規事業分野「系統用蓄電池事業」の展開:
    • 高圧蓄電所を全国4箇所で建設中(2MW/8MWh規模)。2026年6月頃からの運用開始を見込み、需給調整市場や卸電力市場などからの報酬による収益化を目指します。

これらの戦略を通じて、持続的な成長と収益性の向上を図るとともに、エネルギーの安定供給とコスト削減に貢献することを目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

グリムスの事業モデルは、フロー型収益(太陽光・蓄電池販売)とストック型収益(電力小売)を組み合わせることで、市場ニーズの変化への適応力と収益の安定化を図っています。

収益モデル:

  • フロー型(エネルギーソリューション事業): 事業用・住宅用太陽光発電設備、蓄電池、省エネ機器の販売・設置による一過性の売上。中小事業所における電力コスト削減ニーズの継続と、AIを活用した効率的な顧客開拓により、安定した受注を目指しています。
  • ストック型(小売電気事業): 電力販売による継続的な売上。独自のリスクヘッジ戦略により、電力市場価格の変動リスクを管理しつつ、顧客基盤の拡大を図り、安定収益源としています。

市場ニーズの変化への適応力:

  • 東日本大震災以降の電気料金高騰は、特に中小事業所にとって電力コスト削減が喫緊の課題となっています。グリムスは、自家消費型太陽光発電や省エネ設備の導入を提案することで、この市場ニーズに応えています。
  • 脱炭素化社会への移行や再生可能エネルギーの導入拡大という社会的な潮流は、同社の事業にとって追い風となります。系統用蓄電池事業への参入も、この潮流に対応するものです。
  • 電力市況の変動リスクに対しては、独自の燃料調整費転嫁制度や相対電源・先物取引を活用したリスクヘッジ戦略を講じることで、収益への影響を最小限に抑えることを目指しています。

これらの取り組みにより、事業モデルの持続可能性を高めていると考えられます。

5. 技術革新と主力製品

グリムスは、エネルギーソリューション分野における技術革新と効率化に注力しています。

技術開発の動向や独自性:

  • AI画像認識による屋根判定システム: 営業活動において、AIを活用して中小企業の屋根形状を分析し、効率的な顧客リストを作成・選定することで、営業生産性の向上と新規顧客開拓の効率化を図っています。
  • 系統用蓄電池事業への参入: 電力系統の安定化に寄与する大規模蓄電所の建設・運用は、新たな技術領域への挑戦であり、再エネ導入拡大における重要なインフラとなります。

収益を牽引している製品・サービス:

  • 法人向け事業用太陽光発電システム: 中小企業の工場屋根に設置し、自家消費によって電力コストを削減するソリューションが、エネルギーソリューション事業の主要な収益源の一つとなっています。
  • 法人向け電力小売: 独自の市場リスクヘッジ戦略を用いた電力小売りが、安定的なストック収益を構成し、企業全体の収益基盤を支えています。
  • 家庭用スマートハウス設備: 蓄電池・オール電化などの販売も行っていますが、直近では事業用太陽光の伸びに比べると減少傾向にあります。

6. 株価の評価

提出時点の株価は2,377.0円です。
* PER(会社予想): 11.29倍
* 業界平均PER: 7.0倍
* PBR(実績): 3.42倍
* 業界平均PBR: 0.7倍
* EPS(会社予想): 210.59円
* BPS(実績): 695.26円

現在の株価は、会社予想EPS(210.59円)に基づくと、予想PERは11.29倍です。これは業界平均PER(7.0倍)と比較すると割高な水準にあります。
また、実績BPS(695.26円)に基づくPBRは3.42倍であり、業界平均PBR(0.7倍)と比較しても高い水準となっています。これは、今後の成長期待や高い収益性、財務健全性などが株価に織り込まれている可能性を示唆しています。

7. テクニカル分析

現在の株価(2,377.0円)は、年初来高値(2,619円)や52週高値(2,888円)と比較すると低い水準にあります。一方で、年初来安値(1,910円)や52週安値(1,910円)からは上昇した水準です。
* 50日移動平均線: 2,504.64円
* 200日移動平均線: 2,394.21円

現在の株価は、50日移動平均線および200日移動平均線ともに下回る水準で推移しており、直近では下降トレンドにある可能性があります。過去10日間の株価推移では、2,356円から2,443円のレンジで変動しており、2025-10-10には2,377円で終値をつけています。全体的には直近のピークからは調整局面にあると見ることが考えられます。

8. 財務諸表分析

グリムスの過去数年の財務諸表は、以下の傾向を示しています。

指標(単位:百万円または%) 過去12か月(2025/3期予想) 2024/3期 2023/3期 2022/3期
売上高 (Total Revenue) 33,341 29,908 31,392 23,252
売上総利益 (Gross Profit) 10,984 9,258 7,509 6,117
営業利益 (Operating Income) 6,500 5,218 3,601 2,451
純利益 (Net Income) 4,558 3,541 2,465 2,159
ROE (実績%) 31.30%
ROA (実績%) 17.94%
自己資本比率 (実績%) 62.3% (1Q末 64.9%)

売上高・利益:

過去数年間の売上高は、2023年3月期に一時的に減少したものの、2024年3月期、そして過去12か月(2025年3月期予想)にかけて再び成長傾向にあります。売上総利益、営業利益、純利益も同様に増加傾向を示し、収益性が着実に向上していることが伺えます。特に営業利益は2022年3月期の約24.5億円から過去12か月で約65億円と大きく伸長しています。直近の2026年3月期第1四半期決算でも、売上高は前年同期比で+4.0%、営業利益は+7.2%と増収増益を達成しており、通期計画に対しても順調に進捗しています。

収益性指標:

直近12か月の実績では、売上高営業利益率は22.38%、経常利益率(Pretax Income / Total Revenue)は約19.9%(6,641,680 / 33,340,818)、純利益率は13.69%と、全般的に高い収益性を維持しています。ROE(31.30%)とROA(17.94%)も非常に高く、効率的な資本活用と資産運用ができていることを示しています。

財務健全性:

自己資本比率は62.3%(2025年6月末は64.9%)と非常に高く、財務基盤が強固であることを示しています。流動比率は3.69と高く、短期的な支払い能力も十分です。Total Debt/Equityも26.78%と低く、借入依存度が低い健全な財務体質を維持しています。キャッシュフローの具体的な数値は提示されていませんが、貸借対照表の現金及び預金残高が131.4億円と多額であり、財務の安定性を示唆しています。

9. 株主還元と配当方針

グリムスは、株主還元として配当性向を重視する方針を掲げています。
* 配当方針: 2025年3月期から「配当性向40%を目安」とする方針を設定しています。
* 1株配当(会社予想): 2026年3月期は中間配当25円、期末配当60円、合計85円を予想しています。
* 配当利回り(会社予想): 現在の株価(2,377.0円)と会社予想配当(85.00円)に基づくと、3.58%となります。
* 配当性向(過去12か月): LTMの配当性向は40.06%であり、会社が掲げる「配当性向40%を目安」という方針に沿ったものとなっています。

自社株買いに関する情報はこのデータからは確認できません。配当利回りは比較的高水準であり、業績の成長に合わせて安定的な配当が期待できると考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 株価の直近の変動傾向: 直近の株価は、年初来高値や52週高値から調整局面に入っており、短期的な下降トレンドにあると見られます。ただし、年初来安値からは回復しています。50日移動平均線および200日移動平均線を下回って推移しており、短期的な売り圧力が存在する可能性があります。
  • 出来高と流動性: 直近10日間の出来高は6万株前後で推移しており、平均出来高(3ヶ月平均5.19万株、10日平均6.54万株)とほぼ同水準からやや増加傾向にあります。
  • 信用取引: 信用買残が105,900株に対して信用売残が3,700株と、信用買残が信用売残を大きく上回っており、信用倍率は28.62倍です。これは、株価が下落すると信用買いの決済に伴う売り圧力が強まる可能性を示唆しています。
  • 投資家関与: 筆頭株主である田中政臣氏(代表者)が45.31%を保有しており、大株主からの安定した保有が見られます。機関投資家(Held by Institutions)の保有割合は20.88%です。高い内部者保有比率(Held by Insiders 62.73%)は、経営陣が株価上昇にコミットしていると解釈できる一方で、市場に流通する株式(Float)が約704万株と相対的に少ないため、出来高の変動によって株価が動きやすい可能性もあります。
  • 外部環境要因: エネルギー価格の変動、電力関連政策の変更、再生可能エネルギー導入の加速などの外部要因が、株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

グリムスは、中小事業所向けのエネルギーソリューションと電力小売りを主軸に、高い成長性と収益性を実現している企業です。エネルギーコスト削減ニーズの継続と、脱炭素化社会への移行という社会的な潮流を背景に、事業拡大の機会を捉えています。
財務基盤は非常に健全であり、自己資本比率や流動比率は安定した経営体制を示しています。利益の積み上げと効率的な資産運用により、ROE・ROAも高水準です。
配当方針として配当性向40%を目安としており、継続的な株主還元姿勢が明確です。ただし、現在の株価はPER、PBRともに業界平均と比較して割高感があり、市場からの成長期待が高いことが反映されていると考えられます。
直近の株価は移動平均線を下回る水準で推移しており、短期的な調整局面にある可能性がありますが、今後の成長戦略(特に系統用蓄電池事業の本格稼働やエネルギーソリューション事業のクロスセル強化)の進捗が株価に影響を与える要因となるでしょう。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • LTM売上成長率は約11.47%、3年CAGRは約12.7%と、過去数年にわたり売上高は着実に成長しています。直近の四半期売上成長率も4.00%を記録しており、今後も増収が期待できる水準です。
  • 収益性: A
    • 過去12か月の営業利益率は22.38%と高い水準を維持しており、EBITDA率や純利益率も高評価です。特にエネルギーソリューション事業の営業利益率は約34.8%と非常に高く、業界平均を上回る収益効率を示していると考えられます。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率は62.3%(直近1Q末で64.9%)と非常に高く、流動比率も369%と短期的な支払い能力に優れています。総負債/自己資本比率も26.78%と低く、極めて強固な財務体質を有しています。
  • 株価バリュエーション: C
    • PER(会社予想11.29倍)は業界平均PER(7.0倍)と比較して割高な水準です。PBR(実績3.42倍)も業界平均PBR(0.7倍)と比較すると割高であり、市場が同社の成長性や収益性を高く評価していることが反映されていると考えられます。

企業情報

銘柄コード 3150
企業名 グリムス
URL http://www.gremz.co.jp/index.html
市場区分 プライム市場
業種 電力・ガス – 電気・ガス業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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