九州電力(9508)企業分析レポート

注記:本資料は提供データに基づく客観的な情報整理であり、投資勧誘・助言を目的とするものではありません。不明点は記載を省略しています。

1. 企業情報

  • 概要:九州電力は、発電・小売、送配電、海外、ICT、都市開発、その他エネルギーサービスを展開する総合エネルギー企業。1951年設立、福岡市本社。九州7県を基盤に全国の離島発電も担い、産業向け需要比率が高い。通信(光回線・データセンター等)にも注力。
  • 原子力:川内原子力発電所2基、玄海原子力発電所2基を保有。提供情報によれば現在は原発3基稼働(玄海1・2号機は廃炉済、保有は玄海3・4号機)。
  • 事業構成(2025/3連結・外部売上比):発電・販売78%、送配電11%、その他エネルギーサービス6%、ICT4%、都市開発1%、海外0%、その他0%。
  • セグメント注記:2025/4/1に九電みらいエナジーの小売電気事業を九電ネクストへ承継し、区分を「発電・販売」へ変更。

2. 業界のポジションと市場シェア

  • ポジション:従来の一般電気事業者の一角として、九州地域で最大の供給者。小売全面自由化後も地域基盤の顧客基盤と送配電網運用(規制部門)を背景に高いプレゼンスを維持。
  • 競争優位性
    • 地域密着のブランド・顧客基盤と料金メニュー・サービス運営力
    • 原子力の安定稼働による燃料コスト低減余地(火力依存低減)
    • 規制収益(送配電)による収益のベース安定性
    • 非電気分野(ICT・データセンター等)の成長ポテンシャル
  • 課題
    • 燃料価格・為替の変動、渇水等の外部環境感応度
    • 原子力の定期検査・想定外停止リスクと規制対応コスト
    • 自由化市場での料金競争、需要家の省エネ・分散電源進展による販売量リスク
    • 財務レバレッジの高さ(後述)

3. 経営戦略と重点分野

  • 経営の方向性(短信・公開情報の要点整理)
    • 原子力の安全最優先・安定稼働による収益基盤の確立
    • 再生可能エネルギー・調整力(蓄電池等)への投資と系統安定化
    • 需要家向けエネルギーサービス(省エネ、デマンドレスポンス等)の拡充
    • 非電気の成長領域(ICT:光回線・データセンター、都市開発等)の拡大
    • 財務健全化(選択的投資、負債圧縮、資本効率の改善)
  • 2026年3月期の会社予想(通期)
    • 売上高 2.25兆円(前年比-4.5%)
    • 営業利益 1,800億円(-9.8%)
    • 経常利益 1,600億円(-17.8%)
    • 親会社純利益 1,200億円(-6.8%)、EPS予想 241.67円
    • 配当予想:年間50円(中間25円・期末25円、据え置き)

4. 事業モデルの持続可能性

  • 収益モデル:
    • 規制収益(送配電):安定的で景気影響が相対的に小さい。
    • 競争部門(発電・小売):燃料・為替・需給の影響を受けやすいが、原子力稼働により収益変動の緩和が可能。
    • 非電気:ICT・データセンター等のストック型収益の積み上げが進展。
  • 適応力:
    • 料金調整、調達ポートフォリオの見直し、再エネ拡大、デジタルサービスの拡張により環境変化に対応。
    • 一方、原子力の稼働前提や政策・規制変更に対する感応度は残存。

5. 技術革新と主力製品・サービス

  • 技術・設備:
    • 原子力(川内・玄海)と高効率火力の運用最適化、再エネ導入・出力抑制低減への系統対応。
    • 需要側:HEMS/BEMS、デマンドレスポンス、分散リソース活用の取り組み。
  • 主力領域:
    • 収益牽引:発電・販売(第1Qセグメント利益49,262百万円)、ICTサービス(光回線、データセンター)、その他エネルギーサービス。
    • 海外IPPも展開(規模はまだ小さいが利益貢献:第1Q 2,475百万円)。

6. 株価の評価(バリュエーション)

  • 前提データ(2025-10-10終値ベース)
    • 株価:1,484.5円、時価総額:約7,039億円
    • 予想EPS:253.94円 → 予想PER:約5.85倍(業界平均PER 7.0倍を下回る)
    • 実績BPS:2,154.04円 → PBR:約0.69倍(業界平均PBR 0.7倍並み〜やや下回る)
    • 予想配当:50円 → 配当利回り:約3.37%、配当性向:約19.2%
    • 参考:EV/EBITDA ≒ 8.2倍(EV≒時価総額7,039億+純有利子負債約3.09兆、EBITDA約4,62百億)
  • コメント:
    • PER・PBRともに業界平均と比較して割安水準に位置。ROE実績(約13.6%)はPBR0.69倍に対して相対的に高く、資本効率面の改善が評価されている可能性。
    • 一方で高レバレッジ(後述)や収益の燃料・規制感応度がディスカウント要因となる余地。

7. テクニカル分析(参考)

  • トレンド位置:
    • 50日移動平均:1,504.9円、200日移動平均:1,350.0円
    • 現在値は50日線をわずかに下回り、200日線は上回る中立〜やや調整局面。
  • レンジ評価:
    • 52週高値:1,751.5円、52週安値:1,107.0円
    • 現在値は高値比約-15%、安値比約+34%で中位レンジ。
  • モメンタム:
    • 直近10日では1,530円台から1,480円台へ小幅反落。出来高は3カ月平均(約210万株)をやや下回る日が多い。
    • 信用倍率16.22倍(買い残増、売り残減)と買いに偏り。短期的な値動きの振れが生じやすい点に留意。

8. 財務諸表分析

  • 成長性(売上)
    • 売上高推移:2022/3 1.74兆 → 2023/3 2.22兆 → 2024/3 2.14兆 → 2025/3(LTM)2.36兆
    • LTM YoY:約+10.2%。3年CAGRもプラス。2026/3会社予想は2.25兆円(減収見通し)。
  • 収益性
    • 営業利益(LTM)1,996億円、営業利益率約12.4%
    • EBITDA(LTM)約4,612億円、EBITDAマージン約19.6%
    • 当期純利益(LTM)約1,288億円、純利益率約5.9%
    • ROE(実績)約13.6%、ROA(LTM)約2.3%
    • 2023/3の赤字から反転、2024/3・2025/3は黒字を維持。
  • 安定性・レバレッジ
    • 自己資本比率:17.3%(2025/3、2025/6は17.8%)
    • 総有利子負債:約3.34兆円、現金等約2,523億円 → ネットD/E高水準、D/E(2025/6)約319%
    • 流動比率:0.78(短期資金繰りは調達前提の構造)
    • 金利費用:300億円、EBIT/金利 ≒ 7.0倍(LTM)で利払い余力は改善。
    • ネットデット/EBITDA ≒ 6.7倍(やや重い)
  • その他
    • 減価償却費:年約2,506億円(LTM)
    • セグメント(2026/3期1Q):発電・販売の利益寄与が大きく、ICT・海外・エネルギーサービスも黒字で分散が進む。

9. 株主還元と配当方針

  • 配当:年間50円(中間25円・期末25円)を継続予想。利回り約3.37%、配当性向約19.2%。
  • 自社株買い:開示情報ベースでは目立った自己株式増加はなく、自己株は0.06%と限定的。
  • 方針:業績回復を反映し安定配当を継続。将来の増配可否は利益水準・投資計画・財務バランスの動向次第。

10. 株価モメンタムと投資家関心

  • 直近の値動き:年初来高値1,624円からは約-8.6%、200日線上での持ち合い〜調整。
  • ボラティリティ:5年ベータ0.11と市場連動性は低い一方、信用買い偏重が短期の値動きを増幅する可能性。
  • 関心材料(一般要因)
    • 原子力の運転計画・停止/再稼働スケジュール
    • 燃料価格(LNG/石炭)と為替の動向、国の料金支援策の影響
    • 送配電規制の見直し、再エネ出力制御・系統強化
    • 非電気(ICT・データセンター)の成長進捗

11. 総評

  • 収益は2023/3の赤字から回復し、原子力の安定稼働・燃料環境の落ち着きで利益率が改善。送配電の安定収益と非電気の伸長も下支え。
  • 財務はレバレッジが高く、流動比率も1倍を下回るなど負債依存が大きい構造。金利上昇・再調達環境の影響には注意が必要。
  • バリュエーションはPER・PBRとも業界水準よりやや低く、相対的に割安圏。ROEは改善しており、資本効率の持続が評価ポイント。
  • テクニカルは中位レンジでの持ち合い。信用買い偏重により短期モメンタムは変動しやすい。
  • 中期的には、原子力の稼働状況・燃料/為替・規制動向、非電気領域の成長実装が業績と評価のカギ。

12. 企業スコア(S/A/B/C/D)

  • 成長性:A
    • 根拠:LTM売上+約10%と3年CAGRもプラス。一方で会社計画は減収見通しでSは見送り。
  • 収益性:A
    • 根拠:営業利益率約12%、EBITDA約20%。同業平均を上回る水準に改善。
  • 財務健全性:C
    • 根拠:自己資本比率17〜18%、D/E約3.2倍、流動比率0.78。利払い余力は改善もレバレッジ高水準。
  • 株価バリュエーション:A
    • 根拠:PER約5.9倍(業界平均7.0倍下回り)、PBR約0.69倍(平均並み〜やや低い)。収益黒字で配当性向低位。

参考データ抜粋
– 直近株価データ:前日終値1,531円、当日高値1,516円・安値1,479円、終値1,484.5円
– 2026/3期1Q(前年比):売上-0.6%、営業利益+24.1%、最終利益+27.6%
– ROE(実績):13.63%、自己資本比率:17.3%(2025/3)
– 配当:年間50円予想(利回り約3.37%)、権利落ち予定 2026/3/30

(以上)


企業情報

銘柄コード 9508
企業名 九州電力
URL http://www.kyuden.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電力・ガス – 電気・ガス業

関連情報

証券会社


このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。

本レポートは、不特定多数の投資家に向けた一般的な情報提供を目的としており、個別の投資ニーズや状況に基づく助言を行うものではありません。記載されている情報は、AIによる分析や公開データに基づいて作成されたものであり、その正確性、完全性、適時性について保証するものではありません。また、これらの情報は予告なく変更または削除される場合があります。

本レポートに含まれる内容は、過去のデータや公開情報を基にしたものであり、主観的な価値判断や将来の結果を保証するものではありません。特定の金融商品の購入、売却、保有、またはその他の投資行動を推奨する意図は一切ありません。

投資には元本割れのリスクがあり、市場状況や経済環境の変化により損失が発生する可能性があります。最終的な投資判断は、すべてご自身の責任で行ってください。当サイト運営者は、本レポートの情報を利用した結果発生したいかなる損失や損害についても一切責任を負いません。

なお、本レポートは、金融商品取引法に基づく投資助言を行うものではなく、参考資料としてのみご利用ください。特定の銘柄や投資行動についての判断は、個別の専門家や金融機関にご相談されることを強くお勧めします。

企業スコアは、AIによる財務・業績データの分析をもとに試験的に算出した指標です。評価方法は現在も検討・改善を重ねており、確立した標準的な指標ではありません。投資判断の唯一の基準ではなく、あくまで参考情報としてご利用ください。

By シャーロット

ジニーは、Smart Stock NotesのAIアシスタントです。膨大なデータとAIの力で、企業や市場の情報をわかりやすくお届けします。投資に役立つ参考情報を提供することで、みなさまが安心して自己判断で投資を考えられるようサポートします。