1. 企業情報
サンワテクノス株式会社は、1949年設立の電機、電子、機械を扱う独立系の専門商社です。主な事業は、メカトロニクス関連の電機設備、プラント電気品、電子部品、FAシステム、産業用ロボットなどの販売とこれに伴うエンジニアリングサポートです。事業ポートフォリオは、電子部門が連結売上高の約71%を占める主力であり、次いで電機部門が約20%、機械部門が約8%を構成しています（2025年3月期連結事業予想に基づく）。単なる製品販売に留まらず、ソリューション開発やエンジニアリング事業の強化を通じて、顧客の生産効率向上に貢献する付加価値提供型のビジネスモデル構築を目指しています。
2. 業界のポジションと市場シェア
サンワテクノスは、エレクトロニクス、メカトロニクス領域の専門商社として、幅広い製品ラインナップとエンジニアリング力を強みとしています。特定の市場シェアデータは開示されていませんが、「独立系」の立場から、多様なメーカーの製品を組み合わせた柔軟な提案が可能です。エンジニアリング事業やソリューション開発への注力は、単なる製品流通業者としての競争から差別化を図り、付加価値の高いサービスにより顧客との関係を強化する戦略と言えます。課題としては、電気・電子部品分野における市況変動や、国内外の設備投資動向に業績が左右される点が挙げられます。
3. 経営戦略と重点分野
経営陣は、付加価値提供を重視したビジネスモデルへの転換を掲げ、「エンジニアリング事業の強化」と「ソリューション開発」を重点分野としています。これにより、顧客の生産性向上や自動化ニーズに対応し、事業領域の拡大と収益性の向上を目指しています。直近の2026年3月期通期業績予想では、売上高1,550億円（前期比+11.0%）、親会社株主に帰属する当期純利益26.1億円（前期比+6.8%）を見込んでおり、事業構造の強化を通じた業績回復と成長を目指す姿勢がうかがえます。
4. 事業モデルの持続可能性
サンワテクノスは、電機、電子、機械という広範な分野を手がけることで、特定産業への過度な依存を避け、市場ニーズの変化への適応力を高めています。特に、電子部門が自動車向けや社会インフラ向けで売上を伸ばし、機械部門では半導体向けロボットが寄与していることは、成長分野への対応力を示しています。エンジニアリングやソリューション提供へのシフトは、景気変動に左右されやすい「モノ売り」から、継続的なサービス収入や高付加価値ビジネスへの転換を図るものであり、収益モデルの持続可能性を高める可能性があります。
5. 技術革新と主力製品
同社は商社であるため、自社での技術開発よりも、国内外の多様なメーカーが持つ先端技術製品を取り扱い、それらを組み合わせたソリューションを提供することで顧客価値を創出しています。主力製品・サービスは電子部門に集中しており、自動車向け電子部品や社会インフラ関連、FA（ファクトリーオートメーション）関連製品が売上を牽引しています。また、機械部門においては半導体製造装置関連や産業用ロボットが重要な役割を担っています。エンジニアリングサポートを通じて、顧客の課題解決に貢献する点が付加価値となっており、技術革新の動向を常に把握し、最適な製品を提案する能力が独自性と言えます。
6. 株価の評価
現在の株価2,610.0円に対し、2026年3月期の会社予想EPSは171.94円、会社予想PERは15.18倍です。実績PBRは0.84倍です。
業界平均PERが12.1倍であるのに対し、PER15.18倍は業界平均よりも高い水準にあります。一方、業界平均PBRが1.0倍であるのに対し、PBR0.84倍は業界平均よりも低い水準にあります。
株価は、PER基準では業界平均より割高ですが、PBR基準では業界平均より割安な状況にあります。
7. テクニカル分析
現在の株価2,610.0円は、年初来高値2,729.0円に近い水準で推移しており、年初来安値1,765.0円からは大きく上昇しています。50日移動平均線2,595.20円、200日移動平均線2,328.92円ともに現在の株価が上回っていることから、中長期的な上昇トレンドにあると見ることができます。直近10日間の株価は一時的な下落が見られますが、全体としては高値圏で底堅く推移している状況です。
8. 財務諸表分析
| 指標 | 2022年3月期 | 2023年3月期 | 2024年3月期 | 過去12か月 (LTM) | 2026年3月期1Q実績 | 2026年3月期通期予想 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 売上高（百万円） | 154,414 | 181,013 | 166,138 | 139,581 | 31,322 | 155,000 |
| 営業利益（百万円） | 4,805 | 7,631 | 6,216 | 3,508 | 269 | 3,500 |
| 親会社株主に帰属する純利益（百万円） | 3,577 | 5,493 | 5,007 | 2,443 | 245 | 2,610 |
| 営業利益率（%) | 3.1% | 4.2% | 3.7% | 2.5% | 0.86% | 2.3% |
| ROE（実績） | — | — | 5.03% | 4.36% | 0.52% (四半期ベース) | — |
| 自己資本比率（実績） | — | — | 52.8% | — | 52.1% | — |
| 流動比率 | — | — | — | — | 2.08 | — |
売上高は2023年3月期をピークに2024年3月期、過去12か月（LTM）と減少傾向にありましたが、2026年3月期の通期予想では1,550億円と増加を見込んでいます。利益面では、営業利益、純利益ともに2023年3月期をピークに減少傾向が続き、LTMおよび直近の2026年3月期第1四半期は前年同期比で大幅な減益となりました。しかし、2026年3月期通期予想では、純利益は前期比で増益を見込んでいます。
収益性を示す営業利益率は、過去ピークの4.2%（2023年3月期）からLTMでは2.5%、直近第1四半期では0.86%と低下傾向にあります。
財務健全性については、自己資本比率が52.1%と高く、流動比率も2.08と、安全性が非常に高い水準を維持しています。また、現金及び預金が有利子負債を大きく上回っており、ネットキャッシュの状況から強固な財務基盤を持つことが伺えます。
9. 株主還元と配当方針
サンワテクノスは株主還元に積極的で、安定した配当を実施しています。2026年3月期の1株当たり配当金は年間120円（中間60円、期末60円）を予想しており、配当利回りは4.60%と高い水準です。配当性向も約68.26%と、利益の大部分を株主へ還元する方針が見られます。株式に関する情報において、自社株買いに関する具体的な記載はありませんでした。
10. 株価モメンタムと投資家関心
株価は年初来高値圏で推移し、52週変化率が32.49%と市場平均を大きく上回っています。これは、過去1年間の投資家関心の高まりを示唆しています。直近10日間ではやや下落傾向が見られますが、中長期的な移動平均線を上回っており、上昇モメンタムは継続していると解釈できます。信用買残が信用売残を大きく上回る状況にあり、投資家からの買い意欲が強い可能性があります。高い配当利回りも投資家の関心を引きつける要因の一つと考えられます。
11. 総評
サンワテクノスは、電機・電子・機械の専門商社として、エンジニアリング事業とソリューション開発を強化し、付加価値提供型のビジネスモデルへの転換を進めています。過去数年間は業績に変動が見られ、直近の第1四半期は減益となりましたが、通期では売上・純利益の回復を予想しており、今後の事業戦略の成果が期待されます。財務体質は自己資本比率の高さやネットキャッシュの豊富さから非常に健全であり、高水準な配当を継続するなど株主還元にも積極的です。株価は年初来高値圏で推移し、中長期では上昇トレンドにありますが、PERは業界平均より高く、PBRは業界平均を下回る水準にあります。
12. 企業スコア
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成長性：C
LTM売上成長率（YoY）は約-16%と大きく減少しており、直近四半期売上成長率も-1.7%とマイナスです。2026年3月期の通期売上予想は増加を見込みますが、過去の売上ピークには届かないため、成長性には課題があると言えます。
– 収益性：C過去の営業利益率は概ね3-4%台で推移していましたが、LTMでは約2.5%に低下し、直近の2026年3月期第1四半期の営業利益率は0.86%と低水準にあります。卸売業の業界平均と比較しても、直近の収益性は劣ると評価できます。
– 財務健全性：S自己資本比率が52.1%、流動比率が2.08、総負債・純資産比率（D/E）が16.57%と、いずれの指標も非常に良好な水準です。現金及び預金が有利子負債を大幅に上回るネットキャッシュの状態であり、極めて健全な財務基盤を有しています。
– 株価バリュエーション：BPER（会社予想）15.18倍は業界平均12.1倍と比較して割高ですが、PBR（実績）0.84倍は業界平均1.0倍を下回っており、純資産に対する株価としては割安水準にあります。PERとPBRで評価が分かれるため、総合的に中立的な評価とします。
企業情報
| 銘柄コード | 8137 |
| 企業名 | サンワテクノス |
| URL | http://www.sunwa.co.jp/ |
| 市場区分 | プライム市場 |
| 業種 | 商社・卸売 – 卸売業 |
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