1. 企業情報

ニチコンは、世界有数のコンデンサメーカーであり、主に電気・電子製品向けのコンデンサ製品を製造・販売しています。特にアルミ電解コンデンサを主力としています。また、「NECST」事業として、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)向けの急速充電器や、家庭用・産業用蓄電システムなど、次世代のエネルギー関連製品にも積極的に事業展開しています。日本国内だけでなく、米国、欧州、アジアなどグローバルに事業を展開している企業です。

2. 業界のポジションと市場シェア

同社は世界有数のコンデンサメーカーとして、特にアルミ電解コンデンサ分野で有力な地位を確立しています。近年の市場では、車載機器(ADAS、電動化)向けやデータセンター(生成AIサーバー)向けに導電性高分子コンデンサなどの高機能製品の需要が拡大しており、これらの分野での技術力と迅速な開発・量産体制が競争優位性となっています。一方で、白物家電や産業用インバータ向けの一部製品は在庫調整の影響から回復傾向にあります。NECST事業では、国内のEV充電インフラ整備の加速や家庭用蓄電システムの需要増加を背景に成長機会を捉えていますが、補助金政策の開始時期の遅れや米国関税措置などの貿易政策が一部市場に影響を与える課題も抱えています。

3. 経営戦略と重点分野

経営戦略として、主力のコンデンサ事業では、高機能化が進む車載や情報通信分野において、導電性高分子コンデンサなどの競争力のある製品開発と供給体制の強化を重点的に進めています。また、NECST事業では、家庭用蓄電システムの新たなフラッグシップモデルの開発・発売(秋発売に向けて準備中)や、EV充電関連機器の展開を加速し、エネルギー関連市場でのポジション強化を図っています。開発から量産までの期間短縮により、市場ニーズへの迅速な対応を目指しています。

4. 事業モデルの持続可能性

ニチコンの事業モデルは、多様なエレクトロニクス機器に使用されるコンデンサを基盤としつつ、エネルギー・環境分野という成長領域に事業を広げることで持続可能性を高めています。主要な収益源はコンデンサとNECST製品の販売です。車載、情報通信、家電、産業用といった幅広い用途を持つコンデンサ事業は安定した需要が見込める一方、家庭用蓄電システムやEV充電関連機器は、脱炭素化の流れやエネルギーの効率利用への関心の高まりを背景に、今後の市場ニーズの拡大が期待されます。為替変動や貿易政策、地政学リスク、中国経済の低迷といった外部環境の変化が収益に影響を与える可能性はありますが、ポートフォリオの多角化と高付加価値製品への転換を通じて、変化する市場への適応力向上を図っています。

5. 技術革新と主力製品

同社の技術革新は、特にコンデンサ分野で顕著です。アルミ電解コンデンサ、導電性高分子アルミ固体コンデンサ、導電性高分子ハイブリッドアルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサなど幅広い製品群を提供しています。車載向け(ADAS/電動化)や情報通信(生成AIサーバー)向けの高性能コンデンサは、同社の技術力が活かされている主力製品です。NECST事業では、大容量・高効率の家庭用蓄電システム、EV/PHV急速充電器、V2H(Vehicle to Home)システム、産業用電源などが主力であり、エネルギーマネジメントや電力インフラの分野での貢献を目指しています。独自技術に基づくこれらの製品が、同社の収益を牽引しています。

6. 株価の評価

現在の株価1,433.0円に対し、PER(会社予想)は16.04倍、PBR(実績)は0.87倍です。業界平均PERが24.2倍、業界平均PBRが1.6倍であるため、ニチコンのPERおよびPBRは業界平均と比較して割安な水準にあると言えます。EPS(会社予想)は89.34円、BPS(実績)は1,642.92円であり、これらの指標からも現在の株価は比較的割安な評価を受けていると判断できます。

7. テクニカル分析

現在の株価1,433.0円は、年初来高値1,502円、52週高値1,502円に比較的近い水準にあります。ただし、直近10日間の株価推移では、1,502円の高値を付けた後、やや調整局面に入り、本日は前日終値から下落しています。一方で、50日移動平均線1,373.46円、200日移動平均線1,224.32円を上回っており、中長期的な上昇トレンドは継続していると見られます。現在の株価は高値圏に位置していますが、調整局面にある可能性も示唆されます。

8. 財務諸表分析

売上高:

2022年3月期以降は1,421億円から1,847億円まで成長しましたが、2024年3月期は1,816億円と微減し、2025年3月期(予想、過去12か月)も1,757億円と減少傾向にあります。直近の2026年3月期第1四半期売上高も前年同期比で3.8%減少しており、売上成長には陰りが見られます。

利益:

売上総利益は2023年3月期の337億円をピークに減少し、2025年3月期(予想、過去12か月)は283億円となっています。営業利益も2023年3月期の126億円から2025年3月期(予想、過去12か月)は52億円と大幅に減少。営業利益率は過去12か月で約2.96%と低水準です。親会社株主に帰属する純利益も2024年3月期の82億円から2025年3月期(予想、過去12か月)は58億円に減少しており、直近の2026年3月期第1四半期の純利益も前年同期比で31.3%減となっています。為替差損の計上などが経常利益・純利益の減少要因として挙げられます。

収益性指標:

ROE(実績)は5.31%、LTMでは5.05%と、資本効率は低い水準にあります。粗利率は約16.1%、営業利益率約2.96%(LTM)であり、いずれも収益性の改善が課題です。

キャッシュフロー:

過去12か月の営業キャッシュフローは142億円とプラスを維持しており、本業で資金を生み出す力はあります。直近の第1四半期では前年同期比で営業CFが減少しています。投資CFはマイナス(投資活動による支出が超過)で、事業拡大のための投資が継続していると考えられます。

財務健全性:

自己資本比率は57.3%(実績)、直近四半期では58.4%と非常に高く、財務基盤は強固です。流動比率も2.15(直近四半期)と良好であり、短期的な支払い能力に問題はありません。有利子負債も総資産に対する比率が低く、財務健全性は非常に高いと評価できます。

9. 株主還元と配当方針

会社予想の配当利回りは2.51%で、1株配当は36.00円を予定しています。2025年3月期の実績35.00円から増配予想となっており、安定的な株主還元姿勢がうかがえます。配当性向は過去12か月で40.68%であり、利益の一定割合を配当として還元する方針が継続されています。また、自己株式を保有しており(自己株口4.06%)、自社株買いによる株主還元も実施していると見られます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

過去1年間の株価は47.28%上昇しており、S&P500の11.82%を大きく上回る強いモメンタムを示しています。直近では年初来高値圏で推移し、本日終値はやや調整下落となりましたが、活発な出来高(265,700株)が維持されており、投資家の関心は高い状態が続いていると判断されます。信用買残の増加も投資家の買い意欲を示唆していますが、今後の決算発表などの企業イベントや、市場全体の動向、為替変動が株価に影響を与える可能性があります。

11. 総評

ニチコンは、確固たる地位を築いたコンデンサ事業と将来の成長ドライバーとして期待されるNECST事業を持つ企業です。特に車載や情報通信分野向けのコンデンサ、家庭用蓄電システムやEV充電器といった製品は成長市場のニーズを捉えています。財務健全性は非常に高く、安定した経営基盤を持っています。
しかし、直近の売上高と利益は減少傾向にあり、収益性の低い点が課題として挙げられます。株価は過去1年で大きく上昇し高値圏にありますが、PERやPBRを見る限りでは、業界平均と比較して割安な水準にあります。安定的かつ増配傾向にある株主還元策は評価できます。

12. 企業スコア

  • 成長性: C
    • LTM売上高は前年同期比で減少傾向にあり、直近四半期の売上成長率もマイナス3.80%と直近で減速が見られるため。
  • 収益性: D
    • 粗利率16.1%、営業利益率約2.96%(LTM)と、電機機器業界の中では収益性が低い水準にあるため。ROEも5%台と資本効率に課題があるため。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率58.4%、流動比率2.15、D/E比率21.41%と、非常に優れた健全な財務体質を有しているため。
  • 株価バリュエーション: S
    • PER(会社予想)16.04倍、PBR(実績)0.87倍は、業界平均PER24.2倍、PBR1.6倍と比較して割安な水準にあるため。

企業情報

銘柄コード 6996
企業名 ニチコン
URL http://www.nichicon.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 電機・精密 – 電気機器

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