以下、山九株式会社(証券コード: 9065)の企業分析レポートです。

1. 企業情報

山九株式会社は、1917年設立の総合物流および機工(プラントエンジニアリング)サービスを提供する企業です。日本製鉄グループを主要顧客の一つとしており、物流事業と機工事業を二本柱としています。物流事業では、港湾荷役、海上・航空貨物輸送、国際複合一貫輸送、3PL(Third Party Logistics)、工場構内作業、環境物流など多岐にわたるソリューションを提供しています。機工事業では、国内外の設備工事、プラントメンテナンス(特に高炉改修に強み)、調達、建設などを行っています。近年は中東やアジア地域を中心に海外展開を強化しています。2025年3月期の連結事業割合は物流事業が49%、機工事業が47%とほぼ拮抗しており、その他事業が5%を占めています。

2. 業界のポジションと市場シェア

山九は、総合物流およびプラントエンジニアリングという二つの異なる分野で事業を展開しており、それぞれの業界で独自のポジションを築いています。物流事業においては、国内外の港湾施設を利用した国際物流や、工場構内物流、3PLといった多様なサービス提供能力が強みです。機工事業では、大手企業である日本製鉄との長年の取引を通じて培われた高炉改修技術や、各種プラント設備の設計・施工・メンテナンスにおける専門性が競争優位性となっています。特に大規模な設備投資やメンテナンス需要の捉え方には強みがありますが、特定の顧客や産業分野への依存、景気変動の影響を受けやすい点も潜在的な課題として考えられます。市場シェアに関する具体的なデータは今回の情報では確認できませんでした。

3. 経営戦略と重点分野

山九は、「物流事業と機工事業を二本柱」とし、特に「海外展開強化中」であることを明確にしています。これにより、国内市場だけでなく成長著しい海外市場でのビジネス拡大を目指していると考えられます。直近の決算短信では、機工事業において国内の設備更新・脱炭素投資、米国でのEV関連工事の増加に言及しており、環境関連技術や新興産業への対応を重点分野と位置づけていることが伺えます。物流事業では、プロジェクト輸送や海上コンテナ取扱量の増加、3PLでの単価引き上げにより収益改善を図っており、高付加価値サービスの提供に注力していると見られます。

4. 事業モデルの持続可能性

山九の事業モデルは、物流と機工という異なる特性を持つ二つの事業を組み合わせることで、リスク分散と安定的な収益確保を図っています。物流サービスは景気変動の影響を受けやすい側面がありますが、多様なサービス(国際・国内輸送、3PL、構内物流)を提供することで、特定分野への依存度を低減しています。機工事業は大規模プロジェクトや定期メンテナンス需要に支えられており、安定した収益源となります。環境関連投資や海外市場への積極的な取り組みは、長期的な市場ニーズの変化に対応し、持続的な成長を目指す姿勢を示しています。ただし、米国の関税問題やインフレ、中国経済の動向、為替変動、原材料・燃料価格の高騰、人手不足・賃上げといった外部環境の変化は、事業に影響を与える潜在的なリスク要因として認識されています。

5. 技術革新と主力製品

山九の主力サービスは、物流事業における「港湾国際輸送」「3PL」「工場構内物流」と、機工事業における「設備工事」「メンテナンス」です。特に機工事業では、日本製鉄グループとの取引で培った高炉改修技術や大規模プラント設備の建設・メンテナンス技術は独自の強みと言えます。また、決算短信で「プロジェクト輸送」や「脱炭素投資」「米国でのEV関連工事」といった具体的な実績を挙げていることから、最新の産業トレンドや高度な輸送ニーズに対応する技術力・ノウハウを有していることが示唆されます。技術革新に関する具体的なR&D活動の詳細については、今回の情報では確認できませんでした。

6. 株価の評価

山九の現在の株価は8,035.0円です。
会社予想EPS 563.51円に基づくPERは14.26倍であり、Industryの業界平均PER13.9倍と比較するとほぼ同水準からわずかに上回っています。実績BPS 5,491.01円に基づくPBRは1.46倍であり、Industryの業界平均PBR1.0倍と比較すると高めの水準にあります。これらの指標から見ると、現在の株価は業界平均と比較して妥当な評価からやや割高な水準にあると言えます。

7. テクニカル分析

現在の株価8,035.0円は、過去52週間の高値8,940.00円と比較すると約10%低い水準にある一方、安値4,612.00円からは大幅に上昇しています。年初来高値8,940円、年初来安値5,285円と比較しても同様の傾向です。
50日移動平均線8,295.46円を下回っていますが、200日移動平均線6,961.06円は大きく上回っています。直近10日間の株価推移を見ると、8,000円台を中心に推移しており、前日終値8,127円から当日は8,035円とやや下落していますが、全体としては上昇トレンドの中で調整局面にある可能性が考えられます。過去52週のレンジで見ると、現在の株価は高値圏に位置していると判断できます。

8. 財務諸表分析

山九の財務状況は以下の通りです(単位:百万円)。
* 売上高 (Total Revenue): 2022年3月期: 553,831 → 2023年3月期: 579,226 → 2024年3月期: 563,547 → 2025年3月期予想/LTM: 606,791。

直近12ヶ月(LTM)の売上高は617,720百万円となり、前年同期比7.60%増と堅調に推移しています。過去数年間で緩やかな成長傾向が見られます。
  • 営業利益 (Operating Income): 2022年3月期: 34,466 → 2023年3月期: 38,169 → 2024年3月期: 35,216 → 2025年3月期予想/LTM: 43,945。

    2024年3月期に一時的な減少が見られましたが、2025年3月期予想/LTMでは大きく回復し、過去最高水準を達成しています。
    * 純利益 (Net Income Common Stockholders): 2022年3月期: 22,636 → 2023年3月期: 24,959 → 2024年3月期: 24,379 → 2025年3月期予想/LTM: 30,747。

    営業利益と同様に、2025年3月期予想/LTMで大幅な増益となっています。直近12ヶ月(LTM)の純利益は31,390百万円となり、前年同期比11.40%増を示しています。
    * 収益性指標: ROE(実績)は10.69%、LTMでは11.05%と、資本効率は良好です。ROA(LTM)は5.27%です。過去12ヶ月の営業利益率は6.25%で、安定した収益力を示しています。
    * 財務健全性: 自己資本比率(実績)は53.8%、直近四半期でも52.3%と非常に高く、財務基盤は健全です。流動比率(直近四半期)は1.84、Total Debt/Equity(直近四半期)は38.36%といずれも健全な水準であり、負債は低く抑えられています。

9. 株主還元と配当方針

山九は株主還元に積極的です。会社予想の一株配当は232.00円で、配当利回り(会社予想)は2.89%です。配当性向は過去12ヶ月で40.63%と安定しており、利益を株主に還元する姿勢が見られます。また、2025年5月に普通株式501,300株、3,564百万円の自己株式取得を実施しており、配当だけでなく自社株買いも活用した株主還元策を実行しています。5年平均配当利回りが2.89%であることから、継続的に安定した配当を維持していると考えられます。

10. 株価モメンタムと投資家関心

過去52週間の株価変動率は63.08%と、S&P 500の11.82%を大きく上回っており、強い株価モメンタムを示しています。株価は年初来で大きく上昇しており、投資家の関心が高い状況であると推測されます。
直近の出来高は140,900株、売買代金は1,133百万円と中程度の水準です。信用倍率は0.85倍と売残が買残を上回っており、需給は引き締まっている状態です。
株価への影響要因としては、国内外の経済状況(特に製造業の設備投資意欲)、原材料・燃料価格などのコスト変動、為替レートの変動、さらには海外展開の進捗や大規模プロジェクトの受注状況などが挙げられます。

11. 総評

山九は、物流と機工という安定した二本柱事業を持ち、日本製鉄グループとの強固な関係性を背景に事業を展開しています。足元の業績は直近12ヶ月で増収増益を達成しており、特に機工事業での脱炭素・EV関連投資の恩恵を受けています。財務基盤は自己資本比率50%超、低い負債比率と非常に健全であり、株主還元にも配当と自社株買いの両面で積極的です。
株価は過去52週で大きく上昇しており、高値圏に位置していますが、PERは業界平均と同水準、PBRはやや高めです。今後も国内外の設備投資需要や海外展開の状況が株価の主要な変動要因となると考えられます。

12. 企業スコア

  • 成長性: A
    • LTM売上成長率(YoY)は7.67%、四半期売上高成長率も7.60%と堅調な成長が続いています。3年売上CAGRも3.09%とプラス成長を示しており、安定した成長性があると評価されます。
  • 収益性: A
    • 過去12ヶ月の営業利益率は6.25%、EBITDA率は10.44%と安定した水準です。決算短信でも「売上高営業利益率がわずかに改善」とされており、良好な収益性を維持していると評価されます。
  • 財務健全性: S
    • 自己資本比率52.3%、流動比率1.84、Total Debt/Equity比率38.36%といずれの指標も非常に優れており、極めて健全な財務体質であると評価されます。
  • 株価バリュエーション: B
    • PER(会社予想14.26倍)は業界平均PER(13.9倍)とほぼ同水準ですが、PBR(実績1.46倍)は業界平均PBR(1.0倍)と比較して高めです。業界平均と比較して妥当な水準であり、特別に割安・割高とは判断しにくいことから中立的な評価としました。

企業情報

銘柄コード 9065
企業名 山九
URL http://www.sankyu.co.jp/
市場区分 プライム市場
業種 運輸・物流 – 陸運業

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このレポートは、AIアドバイザー「ジニー (3.0.3)」によって自動生成されました。

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By ジニー

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