高砂熱学工業(1969)企業分析レポート
株価:4,110円(2025-10-10終値)
市場:東証プライム/建設業(33業種)/建設・資材(17業種)
時価総額:5,773.7億円/発行済株式数:140,478,804株(2025/10 1→2株式分割後)
1. 企業情報
- 概要
- 空調・衛生などの設備工事で国内首位。民間工事が中心で、半導体・医薬・データセンター等の高精度空調、クリーンルームに強み。
- 事業は「設備工事(売上の約98%)」「設備機器の製造・販売」「その他(保険代理店等)」で構成。海外売上比率は19%(2025.3期、1Q26は約17%)。
- 環境ソリューション志向。省エネ・脱炭素や地区熱供給、コージェネ、排熱回収、GODA Cloud(データ収集・分析)などの付加価値提案を拡大。
- 主な提供価値
- 高精度HVAC、クリーン乾燥空気、うず誘引型HVAC等の独自技術/核関連施設向けHVACの実績/保守・メンテ売上(1Q26で約6.7%)によるライフサイクル対応。
- 会社基礎
- 設立:1923年/本社:東京都新宿区/従業員:5,909人/平均年齢41.6歳・平均年収1,129万円
- 代表者:小島和人
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 空調設備工事の最大手。大規模・高難度案件(半導体・医薬・データセンター等)での実績・品質・工程管理力が競争優位。
- 競合:大気社、三機工業、新日本空調、ダイダン等。中でもクリーンルーム・高精度空調は差別化領域。
- 競争優位性
- 技術力(高精度HVAC、クリーン環境制御)、品質・安全・工程の総合マネジメント、ワンストップの設計~施工~保守、環境・省エネ提案力。
- 課題
- 資機材価格・労務費の上昇と受注価格反映のタイムラグ、熟練技能者の確保、海外案件のリスク管理、プロジェクトの出来高集中による業績変動。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・方向性
- 「環境ソリューション企業」への進化。建設事業の収益基盤強化と成長投資、人的資本・デジタル活用の両輪でビジネスモデルを高度化。
- 中期的な重点施策(短信・会社方針より)
- 産業分野(半導体・医薬・データセンター等)の高付加価値案件拡大。
- 省エネ・脱炭素提案(排熱回収、DHC、コージェネ、GODA Cloud等)による付加価値向上。
- ライフサイクル型(保守・メンテ・省エネ改修)の継続収益強化。
- 海外強化(中国・タイ・ベトナム等アジア展開)。
- 進捗
- 2026年3月期1Qは産業設備の大型案件進捗集中で売上・利益が大幅増。受注残は3,860億円(前期末比+4%)とパイプラインは良好。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- 主力は大型案件のEPC(設計・調達・施工)。出来高・案件タイミングの影響を受けやすい一方、保守・メンテや省エネ改修でストック性を補強。
- 需要環境への適応
- 脱炭素・省エネ規制の強化、データセンター需要、半導体投資再開など構造テーマに合致。資機材・人件費上昇に対しては見積精度・契約条件の改善で対応を継続。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- 高精度HVAC、クリーンルーム、クリーンドライエア、うず誘引型HVAC、核施設向けHVAC等の高難度技術。
- GODA Cloud等のデータプラットフォームで省エネ・運用最適化を支援。
- 収益牽引領域
- 産業設備(半導体・医薬・データセンター)と環境ソリューションが利益を牽引。1Q26の設備工事セグメント売上は9,244億円(+34.5%)、同セグメント利益1,003億円(+424%)。
6. 株価の評価(バリュエーション)
- 前提
- 株価4,110円、予想EPS 217.83円、予想PER 18.87倍、実績PBR 3.03倍、BPS 1,357.69円、配当予想87円(利回り2.12%)、予想ROEレンジ:16%(実績)~約20%(LTM指標)。
- 相対評価(業界平均:PER14倍、PBR1.1倍)
- PERは業界平均を上回る水準(プレミアム)。PBRも平均を大きく上回る。
- 参考マルチプル
- EV ≒ 時価総額5,773.7億 + 有利子負債2,443億 − 現金3,729億 ≒ 5,645億円
- LTM売上 4,054.5億円 → EV/S ≒ 1.39倍
- LTM EBITDA 438.7億円 → EV/EBITDA ≒ 12.9倍
- 解釈
- 収益性(営業利益率LTM約10.6%、ROE高水準)や構造テーマ(半導体・DC・脱炭素)を反映したプレミアム評価。配当利回りは5年平均(2.85%)を下回り、株価上昇の影響が見られる。
7. テクニカル分析
- トレンド位置
- 50日移動平均:4,255円、200日移動平均:3,398円。現値は50日線を下回り、200日線を上回る。
- 年初来高値4,584円に対し約10%下、年初来安値2,458円(52週安値2,310円)からは大きく上方。
- 足元の値動き(直近10日)
- 10/6に出来高急増で一時4,380円まで上昇後、戻り売りで調整。短期は上昇一服、中期は上昇基調維持のレンジ調整。
- 需給
- 信用買残36.8万株(前週比+19.1万)、信用倍率7.58倍と買い残積み上がり。イベント(決算など)前後のボラティリティに留意。
8. 財務諸表分析
-
成長
- 売上高:302,746(2022)→338,831(2023)→363,366(2024)→381,661(2025、百万円)で3年CAGR約+7.9%。
LTM売上は4,054.5億円(会社データより)。
– 収益性(LTMベース)
– 粗利率:約20.1%(粗利814.5億/売上4,054.5億)
– 営業利益率:10.59%、純利益率:8.52%
– EBITDA:438.7億円
– ROE:20.16%、ROA:8.58%(注:通期実績のROEは16.0%)
– 貸借・流動性
– 自己資本比率:53.9%(期末)→1Q26で約59.0%
– 流動比率:約2.08倍、有利子負債/自己資本(D/E):約13.5%
– 現金3,729億円、総借入2,443億円で実質ネットキャッシュ。
– 損益の変動要因
– 1Q26は産業設備の大型案件進捗集中により売上高+33.8%、営業利益+433%と高伸長。一方で工事進捗の偏在による四半期ブレは内在。
– キャッシュフロー
– 1QはCF計算書未作成注記。ネットキャッシュ基調で財務余力は良好。
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 会社予想:年間87円(分割後ベース)、配当利回り約2.12%、配当性向約40%。
- 5年平均利回り2.85%に比べ、足元は低め(株価上昇の影響)。
- 自社株買い等
- 自己株式は1Q26に増加(約479.9万株)。機動的な株主還元の実施実績あり。
- 今後のイベント
- 決算発表予定:2025/11/14
- 権利落ち予定:2026/03/30
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 52週騰落率+64.6%と相対的に強い推移。足元は高値圏からのテクニカル調整。
- 関心要因
- 半導体・データセンターの投資動向、資機材・労務費の動向、為替、国内外の大型案件受注・進捗、受注残の質、ESG/脱炭素関連の政策・補助。
- 需給面
- 信用買いの増加は上値追い時の押し戻し要因にもなり得る一方、好材料時は踏み上げ要因にもなり得る。
11. 総評
- 事業面
- 高精度HVAC・クリーンルーム等の技術優位と、環境ソリューション領域の拡大により、設備工事業界内での差別化が進展。受注残も厚く、ライフサイクル収益の積み上げが進む。
- 財務面
- 営業利益率・ROEは業界内で高水準。自己資本比率・流動比率・D/Eの観点でも健全性は良好で、ネットキャッシュ。
- 株価面
- PER・PBRともに業界平均に対しプレミアム。高収益・成長期待・テーマ性(半導体・DC・脱炭素)を織り込んだ水準。短期は50日線下の調整局面、中長期は上昇トレンドを維持。
- 留意点
- 工事進捗の期ズレによる業績変動、コスト上昇の継続、海外案件の管理、信用需給の偏りに伴う変動性。
(本レポートは公開情報に基づく企業分析であり、投資助言を目的としたものではありません。)
12. 企業スコア
- 成長性:A
- 根拠:3年CAGR約+7.9%、2025.3期は前年同期比で増収(LTMでも増収)。1Q26は大型案件進捗で高成長だが一過性要素は考慮外。
- 収益性:A
- 根拠:LTM営業利益率10.6%、粗利率約20%、ROE高水準。業界平均を上回る水準。
- 財務健全性:S
- 根拠:自己資本比率約54~59%、流動比率2.08倍、D/E約13.5%、ネットキャッシュ。
- 株価バリュエーション:C
- 根拠:PER18.9倍、PBR3.03倍、EV/EBITDA約12.9倍と業界平均対比プレミアム。
参考データ(要点)
– 2026/3期会社予想:売上4,100億円、営業利益360億円、純利益287億円、EPS 217.83円
– LTM(会社データ):売上4,054.5億円、粗利814.5億円、営業利益率10.59%、純利益率8.52%、ROE20.16%
– 受注残:3,860.1億円(1Q時点、前期末比+4.0%)
– 株式分割:2025/10/1に1→2分割済み
企業情報
銘柄コード | 1969 |
企業名 | 高砂熱学工業 |
URL | https://www.tte-net.com/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 建設・資材 – 建設業 |
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