大同特殊鋼(5471)企業分析レポート
本資料は公開情報に基づく客観的な分析であり、投資助言を行うものではありません。不明点は記載を省略しています。
1. 企業情報
- 概要
- 特殊鋼の専業メーカーとして世界首位級。自動車向けが主力で、産業機械、電機、建設、工具鋼など幅広い用途に展開。
- セグメント:
- 特殊鋼・鋼材:構造用鋼、工具鋼 等
- 機能材料・磁性材料:ステンレス、高合金、磁性材料、合金粉、チタン、溶接材 等
- 自動車・産機部品:エンジンバルブ、精密鋳造、鍛造、溶接部品 等
- エンジニアリング:製鋼設備、工業炉、環境装置、メンテナンス
- 流通・サービス:原材料販売、物流、福利厚生、不動産、保険、ゴルフ場運営 等
- 連結事業構成(売上構成/営業利益率):特殊鋼鋼材37%(4%)、機能材料・磁性材料35%(5%)、自動車・産機部品20%(8%)、エンジニアリング4%(9%)、流通・サービス5%(6%)/海外比率29%(2025/3)
- 主要顧客・関係:日産・ホンダ等の自動車向けが主力。日本製鉄と資本・事業面で親密。
2. 業界のポジションと市場シェア
- ポジション
- 特殊鋼専業として世界最大級。高品質鋼・高合金・磁性材料など高付加価値領域に強み。
- 競争優位性
- 高級鋼(ニッケル基合金等)や磁性材料の開発・製造ノウハウ、幅広い用途展開による分散、顧客密着の加工・部品までのバリューチェーン。
- 課題
- 自動車業界の電動化進展によるエンジン系部品需要の構造変化。
- 原燃料(鉄スクラップ、合金元素)価格と為替の変動。
- グローバル通商政策・地政学リスク、サプライチェーンの分断。
3. 経営戦略と重点分野
- ビジョン・重点
- 高付加価値材(高合金、磁性材料、チタン等)の強化と適正在庫・収益性の確保。
- 自動車・産機部品のグローバル供給体制の最適化。
- 主要施策(最近の開示)
- 高合金プロセス改革プロジェクトを推進。生産アロケーション見直しに伴う一時費用(約17億円)を計上しつつ、長期的な収益性改善を狙う。
- コスト削減と販売価格転嫁の継続によるマージン確保。
- 計画開示
- 26/3期の通期予想は未定(不確実性を考慮)。上期(2Q累計)ガイダンスのみ開示。
4. 事業モデルの持続可能性
- 収益モデル
- ベース需要の大きい自動車向け特殊鋼と、景気感応度の高い産機・建機向け、高付加価値の高合金・磁性材料の組み合わせ。
- 適応力
- EV化に伴うエンジン系需要の変化は、eモーター向け磁性材料や電子部品向け高合金で補完可能。
- 高合金・磁性材料は参入障壁が相対的に高く、中長期の差別化余地。
5. 技術革新と主力製品
- 技術・独自性
- ニッケル基合金、ステンレス、高透磁率材料、レアアース磁石、合金粉(粉末冶金)など高機能材に強み。
- 医療・航空機向けチタン、精密鋳造・鍛造技術など高信頼性用途に対応。
- 収益牽引領域
- 自動車向けエンジンバルブや精密鋳造(ターボ関連)が堅調(足元)。
- 磁性材料は規制環境の変化により需要流入の動き。HDD向けは持ち直し。
6. 株価の評価(2025-10-10終値 1,282.5円)
- 自己資本・利益指標(過去12か月)
- EPS:134.53円、BPS:2,101.22円、ROE:6.68%
- バリュエーション試算
- PER(TTM):約9.5倍=1,282.5÷134.53
- PBR(実績):約0.61倍=1,282.5÷2,101.22(開示と整合)
- EV/S(参考):約0.69倍(EV≒時価総額2,786億+ネット有利子負債1,181億=約3,968億、売上約5,750億)
- 配当
- 直近実績:年47円(TTM配当性向約35%)
- 会社計画:年42円(現時点は中間16円、期末未定の資料もあり)→ 参考利回り約3.3%=42÷1,282.5
- 業界平均との比較(参考)
- 業界平均PER:約8.0倍、PBR:約0.6倍
- 当社はPERがやや高め、PBRは同水準付近。
7. テクニカル分析
- トレンド
- 50日移動平均:1,269円、200日:1,143円。株価は両線上方で中期的には上向き基調。
- 位置づけ
- 年初来高値:1,350円、年初来安値:924円。現値は高値圏からの短期調整局面(直近10日で高値1,349.5→1,282.5)。
- 需給
- 信用買残 129千株(前週比▲23.2千)、信用売残 81.5千株(+6.0千)、信用倍率1.58倍。短期的にはやや中立〜やや需給整理の動き。
8. 財務諸表分析(IFRS/連結)
- 売上・利益(単位:百万円)
- 売上収益(LTM):574,945(YoY ▲0.6%)
- 営業利益(LTM):39,408(営業利益率 約6.9%)
- 当期利益(LTM):28,314(純利益率 約4.9%)
- EBITDA(LTM):74,006(EBITDAマージン 約12.9%)
- 収益性の推移
- 営業利益:2023/3 50,026 → 2024/3 42,251 → LTM 39,408(段階的に低下)
- 1Q(26/3期):売上+0.2%、営業利益▲14%(調整後▲6%)。高合金改革に伴う一時費用が影響。
- 効率・安全性
- ROE(LTM):約6.4%/ROA:約3.0%
- 自己資本比率:54.8%、流動比率:2.58倍
- 有利子負債:1,804億、現金同等物:623億 → ネット有利子負債:約1,181億
- ネットD/EBITDA:約1.6倍、金利負担は軽微(EBIT/利息費用 ≈ 40倍)
- コスト構造
- 粗利率:約18.1%(原材料・エネルギー価格の高止まり影響継続)
9. 株主還元と配当方針
- 配当
- 実績:年間47円(中間21円、期末26円)。TTM配当性向約35%。
- 26/3期:中間16円計画、期末未定の開示。通期見通しは不確実性を理由に未定。
- 自社株
- 自己株式は約5%台(期末自己株式数の増加が確認でき、機動的な資本政策の余地)。
10. 株価モメンタムと投資家関心
- モメンタム
- 直近は高値圏からの押し。50日線近辺での攻防。
- 52週騰落:▲7.4%(参考:S&P500は+11.8%)
- 投資家属性
- インサイダー保有約21%、機関保有約36%。フロート約1.72億株。
- イベント
- 直近の権利落ち日:2025/9/29
- 次回決算予定:2025/10/30(会社開示)
- 足元の出来高:3カ月平均68万株、10日平均53万株。
11. 総評
- 需要面では自動車向けが底堅い一方、エンジン系は構造変化の影響を受けやすい。これを高合金・磁性材料・チタン等の高付加価値領域で補完する戦略を進行中。
- 1Qは生産体制改革に伴う一時費用で利益が圧迫。ただし中長期の効率改善を目的とした投資であり、調整後ベースでは下げ幅は限定的。
- 財務は自己資本比率・流動性・レバレッジのいずれも健全。金利耐性も高い。
- バリュエーションはPBRが業界平均並み、PERは平均比でやや上。中期的な収益力の伸長(高付加価値比率の高まり)が評価のカギ。
- リスクは原燃料・為替変動、通商政策、地政学、主要需要産業の在庫調整。決算イベントやガイダンス更新が株価変動要因。
12. 企業スコア(S/A/B/C/D)
- 成長性:B
- LTM売上はYoY微減(▲0.6%)。3年では緩やかに増加。総合して中立評価。
- 収益性:B
- 営業利益率約6.9%、EBITDA約12.9%。特殊鋼として標準〜良好水準とみられ、中立評価。
- 財務健全性:A
- 自己資本比率54.8%、流動比率2.58、D/E約0.38、Net D/EBITDA約1.6倍。総じて健全。
- 株価バリュエーション:B
- PER約9.5倍(業界平均8倍よりやや上)、PBR約0.61倍(平均同水準)。総合して平均並み。
参考データ
– 株価:1,282.5円
– 時価総額:2,786億円
– BPS:2,101.22円、PBR:0.61倍
– EPS(TTM):134.53円、PER(TTM):約9.5倍
– 配当(実績):47円(利回り参考約3.7%)、配当性向約35%
– 1Q(26/3期):売上+0.2%、営業利益▲14%(調整後▲6%)
– 次回決算予定:2025/10/30
本資料は情報提供のみを目的としており、投資判断はご自身の責任で行ってください。
企業情報
銘柄コード | 5471 |
企業名 | 大同特殊鋼 |
URL | http://www.daido.co.jp/ |
市場区分 | プライム市場 |
業種 | 鉄鋼・非鉄 – 鉄鋼 |
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このレポートは、AIアドバイザー「シャーロット (3.0.2)」によって自動生成されました。
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